ライフスタイル起業とは?従来の起業との違い・始め方・成功のステップを解説
ライフスタイル起業は自分らしく働くための新しい選択肢

以前は「起業」というとハードルの高さを感じていたかもしれませんが、近年は起業のハードルも下がり、起業を検討する人も増えました。
起業は社会的価値の創出や金銭的な部分を目標に定めているケースが多いですが、それよりも個人の満足感や活動に対する情熱などを優先する「ライフスタイル起業」が注目されています。
本記事では、ライフスタイル起業が従来の起業とどのように違うのか、メリットや始め方、成功に至るまでのステップを解説します。
ライフスタイル起業に興味があるものの、どのように始めればいいかわからない人は、ぜひ参考にしてください。
この記事の目次
ライフスタイル起業とは

そもそもライフスタイル起業とは、具体的にどういった起業を指す言葉なのでしょうか。まずはライフスタイル起業の特徴や従来の起業との違いについて解説します。
ライフスタイル起業の意味・定義
ライフスタイル起業とは、経済的な動機よりも起業家自らやりがいを感じる活動に従事したり、「ここで働きたい」と思える場所で生活したりすることを目的に、新しい事業を立ち上げることです。
「ライフスタイル領域で事業を興すこと」と捉える人もいますが、ライフスタイル起業はあくまで自分のライフスタイルを優先していることを意味します。
ライフスタイル起業の大きな特徴として、自分のライフスタイルが最優先であり、金銭的な利益の追求は二の次になっている点が挙げられます。
従来の起業との違い
これまで起業といえば利益を優先し、経済的な成長や市場でのシェア拡大など、競合に勝つことを目標に活動しているというイメージがありました。
実際、現在でも利益を優先して事業活動を展開している起業家は少なくありません。
一方、ライフスタイル起業では、生活のために利益を確保する必要はあるものの、生活できるだけの利益で満足でき、それ以上に事業活動の中で自分の価値観ややりがいが優先されることを望みます。
経済的な指標よりも個人の満足度や幸福感、生活の質が優先されるため、従来の起業とは似ているようで大きな違いがあるといえます。
起業・スモールビジネスとの違い
スモールビジネスは、小規模で行う事業を指す言葉です。副業に近いビジネスモデルから、小さな会社の立ち上げまで、スモールビジネスとして捉えられます。
スモールビジネスの目的は、低リスクに抑えながら収入を確保することや地元での商売、ニッチな市場での安定した利益など、人によって大きく異なります。
最初は事業規模が小さくても、徐々に拡大させ、シェアを拡大していくことも可能です。
一方、ライフスタイル起業は自分が望む生活が実現できれば、事業を拡大する必要がなく、成長よりも無理なく継続できるバランスを重視します。
そのため、本来は事業を拡大できるとしても、あえて拡大せず現状の維持に努める場合もあります。
ライフスタイル起業が注目される背景

ライフスタイル起業が注目を集める背景には、若い世代を中心に社会的ステータスやお金よりも、自由に生活を送れることを重視する傾向にあることが挙げられます。
日本政策金融公庫総合研究所が公表している「2025年度起業と起業意識に関する調査」では、起業に関心をもった理由(複数回答可)として、以下の理由が上位を占めていました。
| 起業に関心をもった理由 | 割合 |
| 収入を増やしたい | 62.6% |
| 自由に仕事がしたい | 43.8% |
| 自分が自由に使える収入が欲しい | 25.4% |
| 時間や気持ちにゆとりが欲しい | 11.9% |
| 自分の技術やアイデアを試したい | 11.4% |
最も多かったのは「収入を増やしたい」という経済的な理由ですが、「自由に仕事がしたい」や「時間や気持ちにゆとりが欲しい」、「自分の技術やアイデアを試したい」は経済的な部分とは別に、働き方ややりがい、自分の気持ちを優先した理由になっています。
自分の自由な時間や身体的・精神的な健康を犠牲にして、経済的な豊かさを手に入れることに疑問を持つ人が増え、ライフスタイル起業に注目が集まったといえるでしょう。
ライフスタイル起業のメリット

ライフスタイル起業には従来の起業とは異なり、様々なメリットが得られます。ここで、ライフスタイル起業のメリットを紹介します。
時間と場所の自由を得られる
ライフスタイル起業のメリットとして、時間と場所の自由を両方得られる点が挙げられます。
会社に勤めている場合、外出することもありますが、基本的にはオフィスで決められた勤務時間内で仕事をすることになります。
会社でもテレワークなどを利用すれば、自宅で仕事を進めることもできますが、勤務時間はほとんど変わりません。
ライフスタイル起業では、自分に合った働き方を優先するため、自由に働く時間と場所を決められます。
例えば、都心で働いていた人が、自分に合った暮らしと仕事をするために地元へ帰り、ライフスタイルに合った起業となれば高い幸福感を得られるはずです。
好きなこと・得意なことを仕事にできる
ライフスタイル起業は、好きなことや得意なことを仕事にできる点もメリットになります。
ライフスタイル起業はもともと2000年代初頭に、海外でアウトドアスポーツや観光ガイドを仕事にする人の幸福度が高いことに注目されて提唱されたものです。
そのため、お金を稼ぐよりも自分の趣味や特技を活かし、充実した生活を手に入れることが重視されます。
好きなこと・得意なことを仕事にすると、仕事に対するモチベーションの向上やストレスが溜まりにくいなどのメリットが得られます。
初期コストを抑えつつ起業できる
ライフスタイル起業は前提として1日でも早く黒字化させ、十分に生活が送れるほどの利益を出すことが挙げられます。
黒字化を目指すためには「市場調査やコスト管理を行い、綿密な事業計画を作成して実行する」というイメージがありますが、ライフスタイル起業の場合は「初期コストをできるだけ抑え、ビジネスを実現できる条件・環境を整備する」ことに注力します。
たくさん利益を出すよりも、あくまで一定の利益が得られれば良いため、初期コストを抑えた起業になりやすいです。
ライフスタイル起業の注意点

ライフスタイル起業のメリットを紹介してきましたが、その反面注意しなくてはならないポイントもあります。ここで、ライフスタイル起業の注意点を紹介します。
収入が安定しにくい
ライフスタイル起業で好きなことを仕事にした場合、収入が安定しにくいケースもあります。
例えば、自分の得意な仕事だけを請け、苦手な仕事を断っていれば、できる仕事が限られてしまいます。
自分の得意な仕事が多ければ問題ありませんが、苦手な仕事ばかりの状況だと収入は減ってしまう可能性が高いです。
ライフスタイル起業で収入を安定させるためには、好きなことに対して市場のニーズを理解することも重要です。
好きなことの中でもほかのユーザーが求めていることを把握し、それを仕事にすることで収入も安定しやすくなります。
事業拡大には限界がある
ライフスタイル起業では、事業を拡大させることでワークライフバランスに影響する可能性があることから、慎重になる傾向にあります。
事業拡大のチャンスがあっても、生活との兼ね合いを考えて現状維持に留まるケースもあります。
また、ライフスタイル起業では個人のスキルや専門性に依存しているビジネスモデルもあります。
自分ひとりだけだとできる事業範囲は限られてしまい、事業を拡大させるとなると人材の確保や業務の仕組み化が必要です。
組織化やマネジメント業務が増えれば、ライフスタイル起業の自由な働き方から離れてしまうかもしれません。
ライフスタイル起業の主なビジネスモデル

ライフスタイル起業では、低コストで始めやすいビジネスモデルが選ばれる傾向にあります。ここでは、主なビジネスモデルについて紹介します。
スキル販売型
自分が持つスキルを活用して販売するビジネスモデルです。例えば、コンサルタント業やデザイン制作、ライティングなどが挙げられます。
自分の好きなこと・得意なことを仕事にしやすく、スキルの内容や組み合わせによっては高収入につながる場合もあります。
このビジネスモデルは、単にスキルを活かせるだけでなく、自分のペースで仕事がしやすいというメリットもあり、個人運営でも十分に利益を出すことが可能です。
コンテンツ販売型
コンテンツ販売型は、自分が持っている知識やスキル、経験などをコンテンツ化し、収益を得るビジネスモデルです。
例えば、オンライン講座や電子書籍の出版、情報発信などが挙げられます。
最初に販売する仕組みをつくるのに労力がかかってしまうものの、仕組みさえ完成すれば定期的にメンテナンスをするだけで収益を得ることも可能です。
特にライフスタイル起業で自由にできる時間を重視している人にとっては、おすすめのビジネスモデルといえます。
EC・ハンドメイド販売型
EC・ハンドメイド販売型は、仕入れた商品や自分が手作りした商品をオンラインで販売するビジネスモデルです。
オンラインショッピングの普及にともない、個人運営のEC・ハンドメイド販売でも十分な収益を得られる場合もあります。
在庫リスクに不安を感じる人もいますが、ドロップシッピング(注文を受けてからサプライヤーが顧客に向けて直接商品を発送する仕組み)によって在庫リスクを回避することも可能です。
ライフスタイル起業における3つの原則

ライフスタイル起業では、低投資・低成長・低関与の3つの原則が重視されます。それぞれの原則がどういった意味を持つのか解説します。
低投資
ライフスタイル起業の「低投資」は、初期コストを限りなく抑え、損益分岐点を下げることで仕事に対するプレッシャーから解放されることを意味します。
例えば、飲食店を開業する場合、立地の良い土地と店舗を確保するために多額の資金が必要となります。
そうなると「失敗できない」というプレッシャーから、精神的な負担が大きくなってしまうのも事実です。
ライフスタイル起業では、小さくビジネスを立ち上げることで、仮に失敗しても大きなダメージにはなりません。
わずかな初期費用から始められるビジネスを探すことが、ライフスタイル起業でも大切なことになります。
低成長
起業してから収入も安定し始めると、「事業規模を広げよう」「提供するサービスを増やそう」という考えを持つ人もいます。
しかし、無理に事業を拡大しようとすれば、その分ストレスや面倒事を抱えてしまうことになるでしょう。
例えば、事業の拡大にともない従業員を雇用した結果、自分の仕事にマネジメント業務が加わったり、新たに販路を増やした結果、顧客対応が増えたりします。
ライフスタイル起業では、自分の時間を犠牲にしてまで事業を成長させ、利益を得ようとはしません。
むしろ自分の幸福度のために、意図的に事業の成長をストップさせます。
低関与
ライフスタイル起業における「低関与」は、他人の都合に縛られず自由に働くことを意味します。
例えば、他人の期待に応えようとしたり、他人の事業に巻き込まれたりすると、自分のライフスタイルが崩れる可能性が高いです。
人生の満足度を高めるためにも、他人に振り回されないビジネスを構築する必要があります。
ただし、低関与は他人との関係を断絶するものではありません。例えば、自分が仕事をしやすい、快適な環境や仕組みづくりをするのに関わったほうが良い人もいます。
ライフスタイル起業の始め方ステップ

ここまでライフスタイル起業について紹介してきましたが、実際に始めるにはどのようなステップを踏めば良いのでしょうか。
最後に、ライフスタイル起業の始め方を紹介します。
1.自分のライフスタイル・価値観を明確にする
まずは、自分のライフスタイルや価値観などを明確にするところから始めます。
明確化によって自分がどのようなライフスタイルを追求したいのか、さらに経営方針や方向性を示すこともできます。
また、自分が人生の中で何を大切にしているのか、ライフスタイル起業では何を優先させたいのかを明確にすることも可能です。
自分のライフスタイル・価値観を明確にすることで、ライフスタイル起業の成功にもつながります。
2.提供できる価値を整理する
ライフスタイルや価値観などを明確にできたら、次に提供できる価値を整理してください。
自分にはどのようなスキルがあるのか、これまでどのような仕事をしてきたのか、何をやっていきたいのかなどを整理することで、そこから事業アイデアが生まれる場合もあります。
好きなことを仕事にする場合でも、提供できる価値を整理しておけば、どの範囲で事業を展開するとライフスタイル起業になるのかわかりやすくなります。
3.事業計画書を作成する
提供できる価値を整理して、事業アイデアが生み出せたら事業計画書の作成に入ります。
事業計画書は頭にある事業アイデアを客観的な視点から考察し、実現可能かどうかを判断するのに必要です。
事業計画書のフォーマットはインターネット上でも比較的簡単に手に入るので、活用しながら計画書を作成してください。
事業計画書を作成する際には、市場調査や競合分析などが必要です。SWOT分析などのフレームワークも活用しつつ、事業戦略を構築して計画を立てていきます。
4.副業・スモールビジネスから始める
事業計画書も作成できたら、いよいよ事業をスタートさせることになります。
しかし、いきなり本格的に事業を始めるのではなく、まずは副業やスモールビジネスから展開したほうが良いでしょう。
そもそもライフスタイル起業では初期投資のコストをかけずに、リスクを最小限に抑えながら事業を始めることになります。
信頼を得るのにある程度時間が必要な場合もあるため、まずは副業やスモールビジネスから始め、持続可能なビジネスモデルを確立してください。
まとめ・理想のライフスタイルを実現する働き方を目指そう
ライフスタイル起業は、資金やリスクを抑えつつ、手持ちのスキルやできる範囲内で起業し、利益ではなく自分の幸福度を優先させる起業です。
生活するために収入を確保する必要はあるものの、安定した収入があれば必要以上に事業を拡大させ、積極的に稼ぐことはありません。
ライフスタイル起業によって仕事と生活のバランスを整え、理想的なライフスタイルを実現できる場合もあるため、起業を考えている人はぜひこういった考え方があることも知っておいてください。
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(編集:創業手帳編集部)
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