ブルーベリーファームおかざき 畔柳 茂樹|40代でも遅くない!会社から逃げる勇気があれば人生が豊かになる

創業手帳
※このインタビュー内容は2024年06月に行われた取材時点のものです。

会社を辞める勇気が出ない全ての社会人の背中を押したい


起業家の平均年齢は43歳と言われていますが、40代になると社内で多くの役割を任されていたり、家族を養っていたりと、独立して起業する勇気が持てない人が多いのが現状です。

書籍「会社から逃げる勇気」は、今の働く環境や人生に満足していないにもかかわらず、転職や独立への一歩が踏み出せない人に向けて出版されました。45歳でブルーベリー農園を起業して、今では年間60日の稼働で年収2,000万円以上を得ているブルーベリーファームおかざきの畔柳茂樹さんが書いた本です。

今回の記事では「会社から逃げる勇気」の内容をベースに、畔柳さんが20年間勤めた会社を退職・独立するまでに至った心境の変化や、今の人生に満足していない方々が人生を好転させるためのヒントについて、創業手帳の大久保が聞きました。

創業手帳では、ブルーベリー観光農園を始めて年収2000万円稼ぐようになった「ブルーベリーファームおかざき」の代表畔柳さんと一緒に制作した「ブルーベリーガイド」を無料で配布しています。ブルーベリー観光農園ではなくとも、農業に関する様々な知識を伝授。ぜひお申し込みください。


畔柳 茂樹(くろやなぎ しげき)
株式会社ブルーベリーファームおかざき 代表取締役 農業起業家
早稲田大学政経学部卒。自動車部品最大手のデンソーに入社。40歳で事業企画課長に就任したが、ハードワークの日々に疑問を持つようになり、農業への転身を決意。2007年45歳で独立し、ブルーベリー農園を開設。
起業後は、デンソー時代に培ったスキルを生かし、ブルーベリー観光農園を開設。わずか60日余りの営業日で、会社員時代を大きく超える年収を実現。
2017年に初の著書「最強の農起業!」、2024年6月に「会社から逃げる勇気」を出版。国内だけでなく、台湾やタイからも問い合わせが絶えない。
オンライン講座「成幸するブルーベリー農園講座」は参加者が延べ1800人以上が受講、ブルーベリー観光農園が全国に約100か所誕生。メディア取材・報道は180回超え。メインメッセージは「好きな仕事があなたの人生を変える」。

インタビュアー 大久保幸世
創業手帳 株式会社 代表取締役
大手ITベンチャー役員で、多くの起業家を見た中で「創業後に困ることが共通している」ことに気づき会社のガイドブック「創業手帳」を考案。現:創業手帳を創業。ユニークなビジネスモデルを成功させた。印刷版は累計250万部、月間のWEB訪問数は起業分野では日本一の100万人を超え、“起業コンシェルジェ“創業手帳アプリの開発や起業無料相談や、内閣府会社設立ワンストップ検討会の常任委員や大学での授業も行っている。毎日創業Tシャツの人としても話題に。 創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら

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これまでの経験を通じて感じた「逃げる」ことの重要性を説く2冊目の書籍を出版

大久保:今回、2冊目の本を出版されるということで、おめでとうございます。

畔柳2017年が1冊目なので、7年ぶりの出版になります。

ありがたいことに1冊目の書籍が売れ続けてくれていて、一定のファンがいるようです。

数字で農業のビジネスモデルを示している方は、なかなか他にいないので、需要があるのかもしれません。

大久保:今回の本はまた違う層の方に刺さる内容になっているのでしょうか?

畔柳:今回はもう少し引いて、農業に関心がなくても何かに行き詰まっている40、50代に特に刺さる内容になっているのかなと思います。

大久保:ターゲットは今回の方が広そうですね。一番伝えたいキーワードは何になりますか?

畔柳:今回のテーマは「逃げる」です。私のように昭和に生まれ育った人間としては「逃げる」は卑怯な人間だというイメージがあって、親からもそのように教育を受けてきました。

私は会社を辞めて立ち上げた事業が上手くいきましたが、どうしても会社から逃げたということに対して後ろめたさを感じていました。つまり、仕事や部下を放棄したと認識しているので。

そのため、1冊目にもその辺りのことは詳しく書きませんでした。

ですが、すごく売れた他の出版物には「逃げる」ということが肯定的に書かれており、「いかに上手く逃げるかで、人生の豊かさが決まる」ということまで説いていました。

その文章を読んだ時に、まさにその通りだと思い、「逃げる」に対する認識や意味付けが180度変わりました。

生物学上、生き物は痛みを感じたら「逃げる」行動を取るのが普通です。ですが、人間だけは違って「耐えろ」「頑張れ」と教えられているため逃げません。私の元同僚たちは、逃げずに会社に残っています。

会社を辞めて事業を起こす時も、今思えば本当に勇気のいることでした。

満員電車での通勤から一変、日の出とともに起きて農作業をする健康的な生活へ

大久保:辛くなく、長く続けられる仕事と出会えるということは、ひとつの「勝ち」ですよね。

畔柳:やりたいことだけを仕事にできるわけではないので難しいですよね。我慢がお給料になっているところがありますので。

逆に私は、細く長くというより、太く短くではないですけど、やれるうちにガンガン働きたいと思っています。

大久保:農業、果樹園は、健康にも良さそうな環境ですよね。

畔柳日の出とともに起きて農園に来ているので、満員電車に乗って、オフィスで働くよりは健康的かもしれません。

満員電車には出勤前の気分の落ち込んだ暗い人も多く、私はとても苦手です。

とあるデータによると、起業の平均年齢は43歳とのことで、20年くらい会社員として経験を積んだら起業するという流れは変わっていないんですね。

私の講演会を聞きに来る方の年齢層も40代、50代、30代の順で多いようです。

40代はキャリアも積んでいるし、気力や体力も充実しているので、起業の最適なタイミングなのでしょう。

ただし、農業をやるなら力仕事中心のものは辞めた方がよいと思います。10年後に体が動かなくなるからです。

ブルーベリー農園起業にはサラリーマン時代の経験が活きている

大久保:サラリーマン時代に学んだことが、起業後に活きてくることもあると思いますが、その点いかがでしょうか?

畔柳:役に立っていますし、サラリーマン時代がなかったら事業も上手くいかなかったと思います。そこで学んだことも書籍に記しておきました。

私が言いたいこととしては「20年もキャリアを積めば、外の環境に出ても十分通用するぞ」ということです。

大久保:私もマーケティングを学んで実践していた経験を持って、別業種に転職した際、経験が活きて活躍できたということがあります。このように、他の業界に持っていくと意外と通用するということは多々あると思います。

畔柳:特に農業なんて伸び代しかないので、良い業界を選んだなと思いました。

手柄も失敗も自己責任。サラリーマンと起業を徹底比較して見えたこと

大久保:書籍の「サラリーマンと起業を徹底比較」という項目について書かれていると思いますが、詳しく教えていただけますか?

畔柳:サラリーマンは好きなことができるわけではないですし、手柄を立ててもストレートに給料に反映されるわけではないということですよね。逆に失敗しても給料はもらえるところは安心です。

独立すると成功は全て自分の成果に繋がりますが、失敗も自分で被ることとなります。

当たり前のことですが、そういった内容を書かせていただいています。

大久保:以前、起業家に向けたアンケートで「起業して良かったか?」という問いに対して、約80%が「良かった」という答えでした。

別の話ですが、ここ10年くらいで開業資金が半分くらいに減っている統計もあります。

IT、Web系での起業も増えて、開業資金をかけずにスタートする方も増えた影響で「起業して良かった」という答えに繋がっているのかもしれません。

畔柳:開業資金別の成功割合を見てみたいですね。

仕事よりも命の方がずっと大事。別の業界に飛び出して、好きなことをやるべき

大久保:書籍に「会社を辞められないあなたへ」というテーマも書かれていますが、大企業でキャリアを積み重ねていくと、自然と視野が狭まっていくように仕組み化されているように思えます。

畔柳:中には思い悩んでしまう人もいますからね。

自分で決めて起業したような場合は、寝る間も惜しんで働くのは当然だと思います。

そうではなくで、やらされている仕事で長い間辛い思いをしながら働くのは違いますよね。

会社を辞める選択肢すらも思い浮かばなくなってしまいますから、自分で決めたことでなければすぐに辞めなさいということを書きました。自分の代わりなんていくらでもいます。

大久保:畔柳さんがそのままサラリーマンを続けていたら、どうなっていたと思いますか?

畔柳:私は頭の中では「命の方がずっと大事だ!」と考えていたので、大丈夫だと思います。

ただし、それさえも考えない人もいますので、そういった方にはぜひ読んでほしいです。

大久保:会社を辞めた後で、関連業界に転職してしまうと、前職と同じ状況に陥ってしまうこともありますからね。

畔柳:私は別の業界に飛び出して、好きなことをやるべきだと思っています。

40代に入ってから死を感じながら、人生の後半生を生きているという感じがしています。

そのため、伝えておくべきことは伝えたい、残すべきものは残していきたい、そして、世の中に貢献していきたいと強く思うようになりました。

大久保:その考えを聞いて、救われる方は多くいらっしゃるでしょう。

脱サラ起業のきっかけとなった「14の問い」

大久保:今の仕事が辛いと感じつつも、会社にとどまるべきか、転職すべきか、起業すべきかと悩んでいる人が多いですが、何か考えるきっかけとなるヒントを頂けませんか?

畔柳書籍の第1章で「脱サラ起業のきっかけとなった14の問い」があります。それを自分で答えてもらい、今自分の置かれている状況と今後どうしたら良いかを改めて考えてください。

1つの目安として、半分以上がノーだったら転機が来ています。2、3個だけがイエスであれば、そろそろ真剣に考えた方が良いです。私は1つもイエスがありませんでした。

▼脱サラ起業のきっかけとなった14の問い
①:会社でやりたいこと、挑戦してみたいことがまだたくさんあるか?
②:会社の中での自分の明るい未来が描けるか?
③:自分があこがれる理想の上司はいるか?
④:自分は会社にとってかけがえのない存在か?
⑤:この先、昇給が期待できるか?
⑥:この先、昇進が期待できるか?
⑦:この先、キャリア、スキルアップが期待できるか?
⑧:仕事、生活のためには、自由は制限されても仕方ないと思うか?
⑨:自分の仕事が社会に貢献していると実感できるか?
⑩:いまの仕事が自分には天職(ライフワーク)だと思うか?
⑪:月曜日の朝、気持ちよく起きて会社に行けるか?
⑫:いまの仕事は、もともと自分がやりたかった仕事か?
⑬:いまの自分は、なりたかった自分なのか?
⑭:いまの仕事、あるいは会社生活を通して、自己実現ができると思うか?

大久保:入社して3年くらいなら全てイエスの人はいるかもしれませんが、社会人40年以上の人ですべてイエスの人は、なかなかいないと思います。

会社も変わりますし自分も変わります。そして、会社と自分の関係も変わるので、見つめ直すタイミングは必要ですね。

畔柳:人生は一度きりですから、自分の人生を見つめ直してみませんか?ということを伝えたいですね。

週末起業や副業起業などリスクを抑えた起業の選択肢もある

大久保:会社から逃げるのであって、人生から逃げるわけではないので、全然ポジティブですよね。

畔柳:つい先日、前職で一緒だった古い友人に会った際に、私の事業のことも知ってくれていて「すごく活躍されてますね」と言っていただきました。

ですが「大手自動車メーカーにずっと勤められていているあなたのほうがすごいです」とお伝えしたのですが「ただ勇気がなかっただけです」と返されました。

大久保:勇気は恐れの反対かと思いますが、転職や独立をためらっている方は何を恐れているのでしょうか?

畔柳:普通であればお金でしょうか。

家族がいれば、養っていけるかという恐れを感じると思います。

そういう方は、副業で週末だけWebで何かを始めて、上手くいきそうだと思った時にスタートする形でも良いと思います。

大久保:その点、ブルーベリー農園はどうですか?

畔柳:弊社は夏季シーズン中は定休日を除き毎日営業していますが、セミナー受講生の中には、夏季土日だけ営業してサラリーマンと掛け持ちしている方も多いです。その方がソフトランディングできます。

さらにシーズンオフに自分で事業を立ち上げれば、収入が止まることもありませんし、貯金もできます。

私の場合は書籍の収入もありますし、人に教えるコンサルの仕事も増えてきて、二毛作のような状況になってきました。

大久保:サラリーマンを辞める恐怖の1つで「孤独になってしまう」という点に関してはどう思いますか?

畔柳ブルーベリー農園に関しては地区別にグループがあって、情報交換をしたり、勉強会があったりします。孤立無援になることはなく、仲間はたくさんいるのでご安心ください。

大久保:畔柳さんの今後、こうしたいというような目標などはありますか?

畔柳:人生には選択肢がいろいろあって、「人生はえらべる」「未来はえらべる」ということをより多くの方々に伝えていきたいです。

サラリーマンとして嫌々働くよりも、好きなこと・やりたいことで起業した方が、その人の潜在能力が十分発揮され、生き生き働けるはずです。

会社から逃げることで、こんなに人生が豊かになります。世の中の行き詰まった会社員に夢と希望を与えたいですね。


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「人生最大のターニングポイントは会社から逃げることだった」
自動車部品世界一〝デンソー〟をハードワークによる心身の疲弊のため早期退職。

長年の夢であった農業への転身を決意し、『ブルーベリーファームおかざき』を開業。年間でわずか60日余りの営業にもかかわらず、会社員時代を大きく超える年収を実現した農業起業家による40代からの脱・先送り人生のススメ!

コロナ禍も乗り越えた失敗しない起業のための11か条も大公開。自分らしく豊かに生きたい人への起業指南書!!

また創業手帳では、ブルーベリー観光農園を始めて年収2000万円稼ぐようになった「ブルーベリーファームおかざき」の代表畔柳さんと一緒に制作した「ブルーベリーガイド」を無料で配布しています。ブルーベリー観光農園ではなくとも、農業に関する様々な知識を伝授。ぜひお申し込みください。


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(取材協力: 株式会社ブルーベリーファームおかざき 代表取締役 畔柳 茂樹
(編集: 創業手帳編集部)



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