銀行が行う中小企業の支援とは?メガバンクや地銀の具体例をご紹介!
メガバンクや地方銀行では中小企業の経営支援を強化
「経営が思うようにいかない」「創業したいけど費用面が心配」と悩みを持つ経営者も多いはずです。こうした悩みを解決するためには、銀行からの手助けも欠かせません。
現在、日本の大半を占める中小企業の経営をサポートするための支援活動が、メガバンクや地方銀行で実施されています。
しかし、どういったサポートが行われているのか詳しい内容を知らない方が多くいるかもしれません。
そこで今回は、メガバンクや地方銀行が手掛ける経済支援の内容を解説していきます。
サポートを受けることで安定した経営を続けていきたい経営者は、ぜひ参考にしてみてください。
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この記事の目次
銀行だけではない!中小企業支援のニーズが高まっている背景
2016年に実施された調査では、日本に存在する企業のうち、中小企業の割合が99.7%を占めているといわれています。
中小企業全体では、日本の従業者の約7割となる3,200万人ほどの人材が雇用されています。
中小企業の景気に関しては、リーマンショック後の2009年や東日本大震災発生後の2011年に大きく落ち込みを見せていましたが、その後は緩やかに回復基調を続けていました。
しかし、新型コロナウィルスの発生や感染拡大といった理由から再び経済に悪影響がもたらされ、様々な中小企業において業績の悪化が続きました。
その後、コロナウィルスの感染拡大も落ち着き、日常が取り戻されたと感じている方もいるかもしれません。
しかし、原材料などの仕入価格や原油・エネルギー価格の動向といった要因から、中小企業はいまだ厳しい経済状況下に置かれています。
日本政策金融金庫が発表した「中小企業景況調査」によると、2022年の業況判断は2021年と比較して大きく低下しています。
2023年度も低下する見通しです。さらに、人材不足や後継者不足といった問題を抱える中小企業も多いかもしれません。
様々な課題に直面している中小企業を救うためにも、支援策のニーズが高まっています。
銀行が行う融資以外の経営支援とは?
中小企業が抱えている悩みの解決をサポートするための支援策は、メガバンクや地方銀行から提供されています。具体的な支援策としては、以下のとおりです。
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- 販路、仕入先拡大支援
- 制度に関する情報提供
- 財務や税務、労働に関する相談
- 経営計画策定支援
- 事業承継支援
- M&A支援
- 再生支援
- 研究、開発支援 など
融資といったお金に関する内容以外にも、様々な支援を銀行で実施していることがわかります。
三菱UFJ銀行の中小企業支援事例
ここからは、実際に銀行が手掛ける支援策について解説していきます。まずは、3大メガバンクの一角を占める三菱UFJ銀行です。
三菱UFJ銀行では、中小企業や個人事業主に対しての専門サービスを提供しており、資金調達や資金決済のみならず、様々な相談や依頼を受け付けています。
経営サポートとしては「ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金」、商業・地域サポートとしては「地域・まちなか商業活性化支援事業」などが提供されています。
今回はその中でも、スタートアップ支援・成長企業支援・DX化に向けた支援について詳しくご紹介しますので、参考にしてみてください。
事例1:スタートアップ支援
三菱UFJ銀行では、三菱UFJ信託や三菱UFJモルガン・スタンレー証券、三菱UFJキャピタルといったグループ会社と協働して、スタートアップを考えている経営者のサポートをしています。
2019年に成長産業支援室を設置し、スタートアップに対しての様々な支援を実施してきました。
2021年には成長企業営業部を立ち上げ、金融取引や非金融取引のサポートを行い、中小企業が抱えている問題解決に向けて支援策を打ち出しています。
主な支援策としては、「Rise Up Festa」の開催や非対面型法人向け融資サービス「Biz Lending」の提供などです。
Rise Up Festaは、三菱UFJ銀行が主催をする新産業の育成サポートを目的とするプログラムです。
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- サステナブルな環境の実現
- 健康社会、グローバルヘルスへの貢献
- 既存産業のDX、プラットフォームの創出
- 都市、暮らしのアップデート
今後成長が見込まれている上記4つの分野について事業提案を募集し、応募の中から最優秀企業と優秀企業を表彰します。
最終審査会では大手企業のイノベーション推進担当者が観覧しているため、業務提携や共同研究、実証実験の機会も提供されています。
第10回Rise Up Festaでは最優秀企業には事業支援金が提供されるほか、AGS賞に輝いた企業にはコンサルティングサービスが用意されました。
事例2:成長企業支援
成長戦略の一環として、株式上場を検討している企業もあります。株式が上場すれば、企業の知名度や注目度が上昇し、社会的信用力の向上も目指せます。
認知度が上がれば人材確保にもつながり、人材不足に悩む企業の問題解決の糸口になるかもしれません。
資金調達も多様化するので、資金集めに悩む方にも株式上場はおすすめです。
そのような企業のために、三菱UFJ銀行ではグループ会社と連携したサポートを提供しています。
三菱UFJ銀行ではトータルでサポートを実施し、グループ会社と連携を取りながら、引受証券や投資、証券代行、各種コンサルティングを行います。
要望に合わせた最適な関連会社を紹介してくれるので安心です。
事例3:DX化に向けた支援
DXの推進や資金調達のために中小企業では補助金の活用ニーズが高まっています。
しかし、補助金の申請となれば情報収集が難しく、適切な専門家によるサポートがなければスムーズな申請ができずに悩んでしまう方もいるかもしれません。
適切な情報を収集し、迅速に補助金を受け取るために開発されたのが「補助金クラウド for SMEs」です。
補助金クラウド for SMEsはクラウド型補助金獲得支援サービスで、認定支援機関でもある公認会計士チームが運営しています。
公認会計士への補助金に関する悩み相談をはじめ、経営に関する悩みを相談したり、アドバイスをもらうことも可能です。
補助金の申請サポートもあるので、採択率アップが目指せます。「ものづくり補助金」「事業再構築補助金」に関してはトータル採択率が約80%です。
補助金や助成金に関する悩み相談では24時間Webから面談予約を受け付けており、予約後にZoomリンクが自動で発行されます。
みずほ銀行の中小企業支援事例
みずほ銀行では、経営課題に関する相談や解決に向けた提案のほか、成長戦略支援を行っています。
経営・事業支援サービスとしては、株式上場支援やM&Aアドバイザリー業務、事業承継・財務コンサルティングといったサービスを提供し、経営者のサポートをしています。
そのほかにも、様々な支援を実施しているので詳しい内容をチェックしてください。
事例1:中堅・中小企業向けDX支援
中堅・中小企業でのDX化が進められています。しかし、「何から始めたら良いのか」と悩む方もいるでしょう。
みずほ銀行には、悩みや困りごとを解決するためにオーダーメイドで提案を作り上げ、実行してくれるサポート力があります。
例えば、「みずほデジタルアカウンティング」は受け取った請求書の画像データをAI-OCRを活用して読み取り、文字データへと変換します。
振込みデータや会計システムで取り込める仕訳データを作成する、経理業務の効率化を支援するサービスです。
請求書の処理が効率化されるほか、インターネットからでも利用ができるのでリモートワークの促進にも貢献します。
オプションとして「みずほ電子帳票保存サービス」もあり、帳票を電子的に長期保存できるので、電子帳簿保存法にも対応しています。
ファイリング作業も必要なく、保管場所の確保も必要ないので取り入れやすいサービスです。
事例2:医療・ヘルスケア領域向けの支援
デジタルヘルスへの関心が高まり、様々な企業において医療ITアプリや治療支援アプリの開発、オンライン医療サービスの開発に力を注いでいます。
しかし、ハードルが高く、医師の確保や円滑な共同研究が難しい状況です。
そのような中、みずほ銀行がドクターズ株式会社と連携し、デジタルヘルスの普及促進のためのサービスを発表しました。
「オンライン医療支援プラットフォーム」を全国にあるみずほ銀行の取引先企業に提供し、医療やヘルスケア領域の新規サービス開発や普及促進を支援しています。
主な内容は以下の通りです。
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- 健康経営企業やそこで働く従業員とデジタルヘルス提供者との橋渡し
- 取引企業に対して医療やヘルスケアDX支援機能の提供
- 医療エコシステムへの金融・決済機能の提供
- ヘルスケアデータを活用したデータビジネス など
事例3:経営や事業に関する支援
みずほ銀行では経営や事業に関する様々な支援も実施しています。
アドバイスやコンサルティングに関するサービスでは、新たな仕入先・販売先となる企業の紹介をはじめ、新製品の開発支援、事業の多角化のためのパートナー企業の紹介といったビジネスマッチングサービスを提供しています。
みずほ銀行は様々な企業と取引きを行っているので、要望に合う企業とマッチングがしやすい点がメリットです。
アウトソーシングニーズに対応したサービス提供者の紹介や、ソリューションパートナーの紹介も行っているので、コストの削減が可能です。
また、イノベーション企業支援として会員サービスのM’s Salonの提供も行っています。
M’s Salonコネクトでは大企業とイノベーション企業をマッチングし、商談を通じて販路の拡大や事業提携の機会を提供しています。
M’s Acceleration Collegeでは資金調達や大企業連携、事業計画立案といった成長に欠かせないテーマでのセミナーを通じて、様々な知識を増やせるかもしれません。
ベンチャー支援の専門家やメンターを講師に招いて開催し、Q&Aセッションもあるので、心配事や不安を取り除くことにも役立ちます。
M’s Salonはみずほ銀行の預金口座を保有していること、先端分野におけるスタートアップ企業であることが条件です。
会費は無料ですので、試しに活用してみるのもおすすめです。
三井住友銀行の中小企業支援事例
三井住友銀行では、中小企業向けの融資ビジネスセレクトローンの提供をはじめ、経営課題の解決に向けた情報提供や産学連携、海外事業支援などを手掛けています。
三井住友銀行が行っている中小企業支援を解説します。
事例1:中堅・中小企業向けDX支援
三井住友銀行では、グループ全体でDX化を目指すビジョンを掲げています。社内での取組みはもちろんのこと、事業として法人向けのDX化に必要な事業を提供しています。
・Web21ライト
Web21ライトは振込み業務をインターネットで完結できるサービスです。
契約料や月額利用料は一切ないので、振込みだけではなく残高照会や振替といった内容も手軽に利用できます。
ATMに行く必要もないので、手間もなく業務に支障も与えません。三井住友銀行宛ての振込みであれば手数料もかからないので経費削減にもつながります。
・Biz-Create
企業と企業をつなぐマッチングサイトです。
国内にある様々な企業の情報が掲載され、優れた製品や技術を持った企業を見つけ出して、業務提携や発注先、受注先を開拓できます。
2023年2月時点で14,000社を超える企業が登録をしており、毎月2,000件弱の商談が実施されています。
気になる企業とはサイト上にあるチャットを活用して商談が実施できるので、相手先まで足を運ぶ手間もありません。
事例2:海外進出への支援
中小企業においても海外進出のニーズが高いことから、三井住友銀行では海外進出への支援も実施しています。
具体的には、海外での事業展開のサポートや資金管理や為替リスクの管理、外為取引の課題解決といったサービスの提供です。
専門となるグローバル・アドバイザリー部では、国によって異なる法規制や商慣習に関する情報を、経験豊富な専門スタッフから得ることが可能です。
また、グローバル業務の斡旋や資金管理、事業再編のためのソリューションなどを提供しています。
ブルーバルビジネス推進部では外為実務支援をはじめ、信用状の発行や輸出信用状の確認、輸出手形の買取などを行います。
事業拡大に向けて海外進出を検討しているなら、活用を検討してみてください。
横浜銀行の中小企業支援事例
地方銀行となる横浜銀行が手掛ける中小企業支援としては、創業や新規事業に関する支援や成長段階の支援があります。
事例1:創業・新規事業に関する支援
横浜銀行では地域経済の活性化に貢献するために、成長ステージに合わせた総合金融サービスを提供しています。
創業・新規事業の支援としては、事業計画策定支援や、資金調達のアドバイスを行うための創業個別相談会の実施です。
開業してから5年未満の企業を対象にした創業サポートパックでは、以下のサポートが受けられます。
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- ビジネスサポートダイレクト
- 横浜バンクカード・ビジネス
- キャッシュレス加盟店サービス
ビジネスサポートダイレクトでは、オフィスにいながらでも銀行取引が行えるので銀行まで足を運ぶ手間もありません。
事例2:成長段階の支援
成長段階における支援としては、販路拡大のためのビジネスマッチング支援や公的支援施策の活動支援、M&Aアドバイザリー業務、事業承継コンサルティングなど、外部の専門機関と連携しながらサポートを行ってくれます。
資金面でも地元で5年以上の業歴がある企業を対象に、通常の融資よりも簡易な審査で融資を受けられるクイックビジネスローンがあるので便利です。
資金以外でも「~次世代経営者ネットワーク~みらい飛翔会」を創設し、将来の地域経済を担う経営者の育成を支援するための取組みが行われています。
事例3:経営改善や事業再生に関する支援
企業の経営課題に見合うソリューションを提案し、経営改善計画の策定や実践支援を実施しています。
地域経済活性化支援機構・中小企業再生支援協議会との連携も図り、中小企業の再生を目指せる「かながわ中小企業支援ファンド」といった金融手法も活用しながら経営改善に取り組んでいます。
かながわ中小企業支援ファンドは、金銭債権の買取や株式出資などによって企業の債務を軽減し、再生が完了するまで継続的に経営の支援を行ってくれます。
神奈川県中小企業再生支援協議会によって再生計画策定支援を受けた企業のみが対象となるので、横浜銀行との取引きがある企業や神奈川県で経営を行っている企業は一度相談してみてください。
千葉銀行の中小企業支援事例
千葉銀行では企業の各ステージにおける課題解決のためのサポートを行っています。
創業や開業段階では、資金調達をはじめとしたサポート以外に、創業に向けた準備や手続きのサポートを受けることも可能です。
商談会やセミナーも開催されているので、経営やビジネスに役立つ多くの情報を習得できるかもしれません。
成長段階では、事業拡大にも影響を与える販売先や仕入先などのマッチングサポート、海外進出や貿易取引の手助けとなる輸入信用状の開設や輸出手形の買取など、海外事業の展開に関する幅広いニーズに合わせたサポートを行っています。
経営改善、再チャレンジ支援として、専門家による無料相談サービスや補助金や公的支援策の情報提供を実施しています。
あらゆるニーズに合ったサポートをしてくれるので、不安解消に役立つでしょう。
まとめ
メガバンクや地方銀行では、中小企業に対する支援として様々なサービスを提供しています。
資金の調達だけではなく、経営に関するアドバイスもしてくれるので、不安があれば解決できるかもしれません。
これからの経営に迷っている方は、相談してみてはいかがでしょうか。
(編集:創業手帳編集部)
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