会社名の決め方を徹底解説!おしゃれな会社名などを実例つきで紹介
成功する会社名とは?実例から学ぶネーミングアイデア
起業する上で、頭を悩ませるもののひとつが「会社名」かもしれません。会社を表すのが会社名ですし、これから長く付き合っていくことになるので、印象に残りやすく、誰からも親しまれる名前にしたいですよね。
今回は、会社名を決める時に知っておきたいルールや、会社名を考えるときのコツをご紹介します。なかなか決まらないと焦ったり、法律上NGになって考え直すことになったりしないためにも、参考にしてみてください。
会社名のほかにも、創業前に用意しなければならないポイントはたくさんあります。創業後のノウハウをまとめた冊子版の創業手帳(無料)も参考になります。
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この記事の目次
会社名を決めるときに覚えておきたい基本ルール
会社名(商号)は起業する人が自由に決められるものですが、いくつかの法律上のルールを守る必要があります。ここでは、会社名に関する「会社法」の決まりを簡単にご紹介しましょう。
ちなみに、法人設立をせずに個人事業を行う場合は「屋号」を設定することができますが、屋号については特にルールはありません。しかし、個人事業から法人化する際には当然、法人の会社名に対するルールに基づく会社名になっている必要があります。それまでの屋号がそのまま使えないケースも出てきますので注意しましょう。
使用できる文字とできない文字がある
まず、会社名には使える文字の制限があります。
会社名(商号)に使用できる文字一覧
- 漢字
- ひらがな
- カタカナ
- 英文字(大文字、小文字)
- アラビア数字(0,1,2,3~)
法律上は「ABC株式会社」や「株式会社777」も可能です。ちなみに、平成14年の改正までは英文字や符号の登録は認められていなかったそうです。
会社名(商号)に使用できる符号一覧
以下の符号は会社名に使うこともできますが、使用できるのは「文字を区切るとき」だけです。つまり、会社名の先頭や末尾に使うことはできません。ただし、「.」(ピリオド)については、直前に英文字がある場合は、省略を表すものとして末尾に使えるという例外があります。
- 「&」(アンパサンド)
- 「’」(アポストロフィー)
- 「,」(コンマ)
- 「-」(ハイフン)
- 「.」(ピリオド)
- 「・」(中点)
これらの符号を会社名に使いたい場合は注意しましょう。
また、♪や★などのマークは使うことができないので注意してください。
会社の種類を入れなくてはいけない
会社名には、会社の種類に応じた「法人格」を入れる必要があります。法人格とは、株式会社、合名会社、合資会社または合同会社といった、会社形態のことを指します。
ちなみに、弊社の正式な会社名は「創業手帳株式会社」と言い、法人格が含まれています。法人格を入れる位置は会社名の先頭または末尾と決められていて、どちらかにするかは自由に選ぶことができます。
「創業手帳株式会社」のように、株式会社を後につける方法を「後株(あとかぶ)」、「株式会社創業手帳」のように、株式会社を頭につける方法を「前株(まえかぶ)」と呼びます。どちらが良い・悪いというわけではないので、読みやすさや見やすさ、好みなどで選びましょう。
支店や支社という言葉を使わない
会社の一部であることを示す「支店」「支社」「部門」という言葉は、会社名には使えません。たとえ実際に子会社の位置づけであっても、です。ただ、特約店や代理店という文字は使うことができます。
法令で禁止されている言葉を使わない
銀行、保険、信託、学校という言葉は、その事業を行っている会社だけが使用できるものであり、その事業を行っていない法人が会社名に使うことは禁止されています。
同じ住所に同じ会社名は存在できない
「同一住所に、同じ会社名がある場合は使用できない」というルールがあります。
同じ住所に複数の会社が存在する状況は稀かもしれませんが、現在はシェアハウスやバーチャルオフィスを利用して起業する人も増えています。その場合、同一住所に複数の企業が存在する可能性もあるので、会社設立・登記をする場合は注意して確認しましょう。
他社と同じ会社名をつける際は十分に配慮する
住所の問題がクリアできれば、法律上は同じ名前の会社が存在しても構いません。
しかし、会社名が同じことによって起こりうるトラブルもあると考えられるため、その点は認識しておく必要があります。また、商標権侵害で訴えられる可能性があるので、似たような商品名やサービスがないか事前に類似商号チェックをしておいた方が安心です。
そのほか、知名度アップや話題作りを目的としてあえて有名企業と同じ社名で設立するのは避けましょう。相手会社から不当競争防止法に基づいて訴えられる可能性があります。
特許情報プラットフォームでは、明治以来、特許庁が発行してきた特許・実用新案、意匠、商標に関する公報や外国公報を検索することができます。一度、こちらで会社名の候補を検索してみて、他に同様の商標などがないかチェックすることをおすすめします。
会社名の決め方のポイント4つ
ルールを守れば会社名は自由に決めることができますが、より親しまれる会社名にするために押さえておきたいポイントをご紹介します。
1.出来るだけ覚えやすく、わかりやすい会社名にする
インパクトや個性ばかりを意識して、ついついオンリーワンの会社名にこだわりたくなる気持ちはわかりますが、会社名は経営者だけでなく、社員やお客さん、取引先など多くの人に親しんでもらうべきものです。
発音しやすく、シンプルで短い会社名にするほうが多くの人に覚えてもらえるでしょう。
2.会社名に意味を持たせる
会社名に商品名やサービス名、会社の理念などが入っていると、会社名の印象が強くなります。『創業手帳』を発行している弊社の社名も、「創業手帳株式会社」です。社名の由来が決まっていると、創業当初によくある「会社名をつけた理由はなんですか?」という質問にもすぐに答えられ、覚えてもらいやすくなります。
また、地域に密着した会社の場合、社名に地域名を入れるというのもひとつのテクニックです。Webでの集客を考えた際に、地域名で検索する人が多いであろうことを前提としたSEO効果も期待できます。
3.事業に応じて海外展開を意識する
事業のグローバル展開を考えているなら、外国での意味や発音も意識しておきましょう。会社名とは違いますが、「カルピス」は「カウピス(Cow Piss=牛のおしっこ)」と聞こえてしまうため、英語圏では「カルピコ」という名称に改名しています。
海外展開の際に予期せぬ誤解が生まれないように、事前に調査したり、現地の言葉がわかる人にアドバイスをもらったりしておきましょう。
4.ドメインが取得できるか確認する
会社を設立したら、自社のホームページを作る人も多いと思います。その際に「ドメイン」を取得することになりますが、このドメインは1つのホームページに1つと決められています。つまり、他の会社ですでに使われているドメインは、使用することができません。
創業手帳の場合、ドメインは「sogyotecho.jp」。ドメインだけ見ても、創業手帳のサイトであるとおわかりいただけると思います。このように、コーポレートページの場合、会社名と関連したドメインのほうが望ましいのです。それは、ドメインと社名に関連性がないと、会社の信用度にも関わってくるからです。
使いたいドメインがすでに他社で使われている場合、自社の売りとなるサービスや業種を入れるといった工夫もできます。とはいえ、会社名をそのまま使えるに越したことはないので、会社名を決める前に、理想のドメインが使えるかをチェックしておきましょう。使えるドメインについては、インターネット上ですぐに調べることができます。
有名企業の会社名の実例・ネーミングアイデアを参考にしよう
会社名の決め方で迷う方向けに、有名企業の会社名の由来をいくつか紹介します。皆さんがよく知っている会社名の中には、よく考えられたものがあります。迷ったら、次に紹介する会社名の由来を参考にしてみてください。
言葉の意味を重視して会社名をつけた事例
存在する言葉の意味から、会社の理想や目標に合致する社名をつけた事例を紹介します。会社名自体にも意味を持たせたい場合に参考となるでしょう。
・アース製薬株式会社
「アース(Earth)」とは地球を意味する言葉です。地球、すなわち日本以外の世界を含めた市場との競争力を持つことを踏まえて、アースという言葉を使った会社名がつけられています。
・アスクル株式会社
「明日来る」からつけられた会社名です。アスクルは事務用品を販売するメーカーで、商品を注文すると翌日に届くことを心がけています。
・コクヨ株式会社
故郷の誉れとなる想いからつけられた会社名です。
・株式会社モスフードサービス
会社名のMOSは、Mountain山、Ocean海、Sun太陽の頭文字を取ったものです。「山のように気高く堂々と、海のように深く広い心で、太陽のように燃え尽きることのない情熱を持って」という意味があります。
企業の理念や方針から会社名をつけた事例
企業理念や経営方針をそのまま会社名に落とし込んだ事例です。代表者の考えや企業としてのあり方などが社名となって表れています。
・エステー株式会社
消臭剤・芳香剤などで知られるエステーの会社名は、経営理念の「社会に対する奉仕(SERVICE)と信頼(TRUST)を信条とし、製品については最高(SUPERTOP)を求める事」が由来です。理念の頭文字にSとTがあることから転じて、エステーと名付けられました。
・三洋電機株式会社
三洋電機の社名は、創業当時から海外展開を視野に入れて名付けられています。三洋とは「太平洋」「大西洋」「インド洋」を指し、グローバルな企業になるという志のもと命名されました。
・任天堂株式会社
三代目社長の「人生一寸先が闇、運は天に任せ、与えられた仕事に全力で取り組む」という定義から会社名が生まれました。
名詞から会社名をつけた事例
人物や地名、商品名など、特定の名詞をきっかけに生まれた会社名も多くあります。働きや効果から考案された社名もあれば、思い入れの強さから社名になったものまで、さまざまな名詞由来の会社名をみていきましょう。
・江崎グリコ株式会社
創業者の江崎利一が、牡蠣に含まれるグリコーゲンを、子どもの栄養に役立てようと考えました。グリコは、グリコーゲンから取っています。
・オリンパス株式会社
元々の社名は、高千穂製作所でした。高千穂峰は、日本神話で神々が集う場所とされており、高千穂を会社名につけました。現在のオリンパスは、創業当時から製造していた顕微鏡の商標であるオリンパスからきています。オリンパスは、ギリシャ神話で神々が住む山とされるオリンポス山から取った名前です。
・シャープ株式会社
1915年に金属製の繰り出し式鉛筆を発明しました。商品名は、エバー・レディー・シャープペンシルでした。商品が大ヒットとなったことから、商品名の一部を会社名にしています。
・株式会社一休
宿泊やレストランの予約事業を展開する株式会社一休は、一風変わった会社名の由来が特徴です。「一休」とは、とんちで有名な僧ではなく、同社の創業者が飼っていた犬の名前から取ってつけられています。
・日清オイリオグループ株式会社
日本の「日」、昔の中国を意味する「清」から会社名を考案したのが日清オイリオです。創業期は東京の本社以外に、中国・大連に支店や工場がありました。
・ブラザー工業株式会社
創業当時の会社名は、安井ミシン商会でした。会社を継いだ際に、兄弟で力を合わせてもり立てていこうという想いから、安井ミシン兄弟商会に会社名を変更しています。その後、兄弟という意味のブラザーを商品名につけたことから、ブラザー工業に変えています。
造語から会社名をつけた事例
言葉と言葉を組み合わせて、オリジナルの造語を会社名とした企業の事例を紹介します。言葉のもとの意味から考えられるケースが多いほか、造語を発したときの音の響きも重視されているようです。
・カルビー株式会社
カルシウムの「カル」と、ビタミンB1の「ビー」を組み合わせた会社名です。カルシウムもビタミンB1も体に重要な栄養素であることから、人々の健康に役立ちたい想いが込められています。
・ENEOS株式会社
ENEOSとは、複数の言葉を組み合わせた造語の会社名です。「ENERGY(エネルギー)」と「NEOS(ネオス)」を結びつけて生まれました。ネオスはギリシャ語で新しいという意味を持ち、革新的なエネルギーの提供で顧客満足を追求する願いが込められています。
・株式会社ファンケル
ファンケル(FANCEL)は2つの言葉からできており、1つは「FINE(ファイン)」、もう1つは「CHEMICAL(ケミカル)」です。造語ということになりますが、経営理念にちなんで「不安を蹴る」の語呂合わせであるとの見方もあります。
・株式会社ブリヂストン
創業者の苗字、石橋を英語にした会社名です。ブリッジ、ストーンを組み合わせた造語を会社名に採用しています。
縁起の良さや古来の教えから会社名をつけた事例
縁起物や同様の意味を持つ言葉に由来する会社名は、景気の良いイメージを抱きやすいかもしれません。古くから伝わる詩や宗教由来の教えなど、伝統的なありがたい言葉がもとになっている社名もあります。
・アート引越センター株式会社
電話帳の最初に掲載されるように、「あ」から始まる会社名にしました。また、芸術的という意味の「アート」と引っ越しを組み合わせています。
・キヤノン株式会社
観音様にあやかりカメラを作る想いから誕生した試作カメラは、「カンノン」でした。そのカンノンの音と似た英語を採用しています。英語で「Canon」は、規範や標準の意味があります。
・株式会社バンダイナムコエンターテインメント
「バンダイ」という会社名は、中国の古典に登場する「萬代不易(ばんだいふえき)」という言葉が由来になっています。永遠に変わらないことを意味する言葉で、絶えることのない企業への願いが感じられる社名でしょう。
・株式会社不二越
仏典にある「迷悟不二」などの言葉から会社名をつけたのが、機械系の分野で事業展開を行う不二越です。「不二」には、視座を高く持つことで相反するように見えていた事柄も1つであることがわかる、という趣旨があります。
・株式会社 日本サンガリア ベバレッジカンパニー
中国の杜甫が読んだ春望という詩には「国破れて山河あり」という有名な冒頭があります。この「山河あり」に由来した会社名がサンガリアです。
会社名を変更した有名企業の実例・会社名はいつでも変更できる
会社名をつける際の注意点についてご紹介してきましたが、実は、会社名は一度つけたら不変のものではなく、いつでも変更することができます。
ただし、会社名を変更する際には定款変更と登記内容の変更手続きが必要になるため気をつけましょう。株式会社であれば株主総会の開催も求められ、登記変更の際に登録免許税3万円も必要となります。
「創業手帳株式会社」も、最初は「ビズシード株式会社」としてスタートしました。創業から3年経ち、創業手帳という名称の認知度が高まってきたと感じたので、会社名を変更したという経緯があります。会社のステージやサービスの変化によって、最適な会社名に変更するというのも1つの選択肢です。
創業手帳のように、当初の社名から変更した企業の実例を2つ紹介します。
株式会社 Francfranc(旧:株式会社バルス)
多彩なインテリア雑貨を取り扱う株式会社 Francfrancは、株式会社バルスという旧社名から変更した経緯を持つ企業です。
もともとブランド名として立ち上げていたFrancfrancを会社名と統一することで、ブランドの価値をさらに高めていくことを目的としています。
RIZAPグループ株式会社(旧:健康コーポレーション株式会社)
パーソナルトレーニングジムの運営で有名なRIZAPですが、かつてはその親会社として健康コーポレーション株式会社がありました。
2016年に同社は純粋持株会社に移行するとともに、認知度の高いRIZAPを冠する社名「RIZAPグループ株式会社」への変更を行っています。
まとめ・会社名の決め方は命名ルールや実例を参考にしよう
会社名が決まると、起業準備に一気に力が入ります。多くの人に愛され、親しんでもらえる名前を考えましょう。自身の気持を込めた名前も大切ですが、良いイメージや良いインパクトのある会社名を考えることで、サービスの宣伝にもつながります。
今回お伝えしたポイントを参考に、考えてみてくださいね。
会社名が決まり、さぁいよいよ具体的に起業に向けてアクションを起こすぞ!となったタイミングが来たら、創業手帳の冊子版も活用してみてください。
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起業準備に関しては、創業カレンダーを使って、起業前後の基本手順を把握し、忘れていることがないかを確認しながら、進めていくことをおすすめします。こちらで作業の漏れがないか確認できますので、ぜひご活用ください!
(編集:創業手帳編集部)