CFOne(シフォン)木村優太|費用は従来の約1/5!AI税務SaaSで誰でも気軽に会計や税務を管理できる社会を目指す
税理士資格を取得後28歳で起業。税理士業界の抱える課題をAIで解決したい

経営者にとって欠かせない税務処理。しかし複雑で専門性が高く、起業家にとってハードルが高いのも事実です。リソースが限られる起業家こそ税務処理は外部に頼りたいところですが、税理士への依頼となるとやはりネックとなるのが費用。特に起業直後で資金が限られていると、税理士への依頼が難しいケースも多いようです。
こうした中、スモールビジネス向けにAIを活用した税務SaaSを提供して注目されているスタートアップが、株式会社CFOne(シフォン)です。
同社を起業し現在代表取締役を務める木村優太さんは「独自に開発したAIエージェントがほとんどの税務処理を自動化します。人手を減らすことで効率化はもちろんですが、正確性も向上しました。また従来よりもリーズナブルな価格で提供できる点も、AIネイティブならではのメリットです。」と語ります。
25歳で税理士資格を取得し、28歳で起業したという木村さん。今回は起業までの経緯や今後の事業展開などについて伺いました。
株式会社CFOne 代表取締役
1995年生まれ。25歳で税理士試験に合格。クラウド会計ソフト「freee」導入実績全国1位の会計事務所にて実務経験を積み、クラウド会計を活用した業務設計・運用に従事。freee活用実績が評価され、「freee Master of the Year」を受賞。28歳で独立開業。
この記事の目次
「業界が抱える課題はAIで解決できる」20代でベンチャー起業を決意した背景

木村:学生の頃から会計や税務といった分野に興味がありまして、大学院在学中に税理士の資格を取得しました。
ただ税理士としては、資格だけではなく実務経験が求められます。そのため大学院卒業後は会計事務所に入りました。そこには2年半くらいいまして、28歳の時に今のCFOneの前身となる会社を起業しました。
木村:私が大学生の頃、ちょうど「freee」などのSaaSがすごく普及し始めた時期だったんです。そういうビジネスがこれからすごく伸びそうだなと思っていたのと、あとはプロダクトを作るということに興味がありました。そういったところから、会社を立ち上げたいという思いが強くなっていったんです。もともと会社に雇われるのはあまり向いていないなと思っていたので、いつかスタートアップをやりたいという思いは以前からありました。
起業にあたっては、以前勤めていた会計事務所で一緒に働いていた同僚と共同起業したという形です。
木村:実際に税理士の仕事をしている中で、業務の効率化が課題だと感じたことです。人間ではなくてもできるような部分にとても時間がかかっていたので、業界全体としてAIを取り入れればもっと効率化できるのではないかと考えました。
人の手がかかっているということは、当然時間もかかりますし、その分お客様に負担いただく費用も上がってしまうことになります。
税理士に業務を依頼するのは、中小企業の経営者の方や個人事業主の方が中心です。そういったお客様にとって、税理士にかかる費用が高いというのは大きな問題です。実際に費用が高くて契約できないとか、乗り換えできないとか、そういうことも耳にしていました。ですからAIを活用して効率化することでお客様の負担を抑え、もっと多くの方々に税理士を使ってほしいと思ったんです。
また税理士側を見ても、やはり他の業界と同じく人手が不足しているという状況があります。こういった状況の解決にもつながると思いました。
木村:あまり不安はなかったですね。一緒に起業したメンバーがいてくれたということもありますし、もし万が一うまくいかなかったら税理士としてもう1回働けば何とかなるかな、という感じでした。
あとは、やはりニーズがあるという確信がありました。きちんとしたプロダクトを作ってサービスを提供できれば、必ず伸びると思っていましたので。
「部分的なIT化」とは一線を画す「AIネイティブ」なサービス開発

木村:弊社では、AIを活用した税務サービスを提供しています。簡単に言えばこれまで税理士が対応していたことを、AIエージェントが対応するというものです。とはいえ現状は全ての業務をAIが対応できるわけではありませんので、AIで対応できない部分は実際の税理士がサポートします。こうした体制をとるために、私たちはSaaSの開発や提供だけではなく、税理士事務所も経営しています。
「税務のAI化」というと、これまで税理士事務所内の業務の一部をAIに行わせることで効率化につなげるというものでした。しかし私たちのサービスは、AIを活用することを前提に開発してきた「AIネイティブ」です。ですからAIエージェントが人の役割を担ってさまざまな処理を行い、お客様は基本的に承認するだけという形を実現できます。
木村:以前勤めていた会計事務所の時から「freee」さんとつながりがありましたので、「freee」さんからご紹介いただくという形がメインですね。同じSaaSではありますが、私たちはあくまで税理士業務がメインですので、サービス自体はfreeeと重ならないんです。
木村:当然人の手間が減ることでコストが下がるというメリットはありますが、サービスのクオリティにおいても、AIならではのメリットがあります。
まず大きなメリットは、AIは24時間いつでも働けるという点です。税理士に依頼する場合、どうしても何度もやりとりすることが多いのですが、AIエージェントであればいつでも対応できますので、お客様の利便性も大きく向上します。
もう一つ大きなポイントは、AIは一度覚えると次回から自動的に処理ができるという点です。ですから、いわゆるヒューマンエラーのようなことは起こらなくなります。
起業家は「大変なことを乗り越える度に成長できる」というマインドが大切

木村:正直、もう全部じゃないでしょうか。プロダクト開発もそうですし、資金調達や採用など、全般的に大変なことばかりだったと思います。
全てを一気に解決することはできませんので、ひとつひとつ乗り越えていったという感じですね。大変なことを乗り越える度に自分が成長できる、というマインドでやってきました。スタートアップにはこういう気持ちが必要だと実感しています。
木村:社員は3名で、その他にエンジニアなどの業務委託の方が10名くらいいます。今後も事業の拡大を目指していますので、社員の採用も積極的にしていきたいと思っています。とはいえ、ただ人を増やせばいいというわけではありません。やはり信頼関係を築ける方と一緒に働きたいと考えています。
木村:他のスタートアップ経営者の方も同じかもしれませんが、メンバーみんなで同じ目標に向かってやっていくという中で、みんなが同じくらい熱量を持ち続けるのは難しいなと感じます。これについては、一緒にやっているうちに、自然と同じ思いを持つ方が残っていくという感じになっていますね。
木村:あまり趣味とかはないので、仕事をずっとしている感じですね。あとは任せることができる人が今はいますので、私でなくてもよいところは、できるだけ他のメンバーに任せるようにしています。
人に任せるのは簡単なことではありませんが、任せた人にクオリティを求めすぎるとうまくいかないと思うんです。ですからそこは割り切っています。今はクオリティを追求するより、まず業務を回すことが大事かなと思っていますので。
あらゆる人にとって、カジュアルに相談できるCFOという存在になりたい

木村:起業の際には、日本政策金融公庫と信用金庫から借り入れを行いました。これは主にプロダクトの開発費に充てました。開発は基本的に外部の方にお願いしていますが、今後はスピード感を持って機能の追加や変更ができるよう、将来的には内製化したいと考えています。
あとは今年(2026年)、約2億円を新たに資金調達することができました。こちらの資金を活用して、プロダクト開発やマーケティング、採用などに取り組んでいきたいと思っています。
今回資金調達が実現できたのは、事業を運営する私たち自身がまずこの業界を熟知していること、あとは業界として今後の伸びしろがあるというところ、この2つを投資家の方が評価してくださった結果だと思っています。
木村:「すべての人にCFOをつけたい」というのが弊社のビジョンです。このビジョンに向けて、まずはユーザー数を増やして顧客基盤を強化したいと思っています。直近では、年内に500ユーザーを達成することが目標です。
並行して、サービスの拡充にも取り組んでいくつもりです。税理士の業務はもちろん税金に関することがメインですが、他にも融資や保険・不動産など、ビジネスにおいて必要なシーンがたくさんあります。そういったところで判断が必要な時、皆様をサポートするCFOとしての立ち位置になりたいですね。将来的には、事業の運営においてあらゆる意思決定を支援するAIプラットフォームにしていきたいと考えています。
これまで税理士というと、「費用が高い」「やり取りに手間と時間がかかる」といったイメージを持つ方が多かったかもしれません。私たちはこういうイメージを変えて、もっとカジュアルに使っていただけるものを目指しています。そのためには、やはり価格も重要になってきます。私たちのサービスは、一般的な税理士さんへ依頼する年間コストと比べると、およそ1/5程度で済むんですよ。
またビジネスだけではなく、生活全般でも税金などお金に関わる要素はたくさんあります。中小企業や個人事業主の方はもちろんですが、個人の方にも利用していただけるようなサービスにも取り組みたいと思っています。
木村:AIはあくまでツールですので、まずは専門分野の知識をしっかり持ってから取り組むことが大切です。何か挑戦したいことがあるなら、まずはその分野の知識と経験をつけて、それから起業するのが良いのかなと思います。
起業は本当に大変なことも多いですが、その分やりがいはすごくあります。ですから粘り強くチャレンジして欲しいですね。
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