雑損失とは?具体例や仕訳方法、注意点を徹底解説!

資金調達手帳

会計処理は適切な方法で処理することが大事


事業を行っていると、思いがけないトラブルや損失が発生する場合もあります。
例えば設備の破損や盗難、災害による被害など、通常の経費とは異なるイレギュラーな損失に対して、どのように処理すべきか迷う人も多いかもしれません。
こうした場合に関係してくるのが、「雑損失」という勘定科目になります。
雑損失は発生頻度が低く、金額も不定な損失を処理するために用いられますが、正しく理解せずに使うと、税務上の指摘を受けてしまう可能性があるため、注意が必要です。

この記事では、雑損失とは何かを軸に、具体例や仕訳方法、雑損失を処理する際の注意点について詳しく解説します。
適切な会計処理を行うための基礎知識として、ぜひ参考にしてください。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

雑損失とは|一時的・臨時的に発生する損失


まずは、具体的に雑損失がどういったものなのか、似ている単語との違いや雑損失に当てはまらないケースなどを紹介します。

営業外費用に当てはまらない損失

雑損失とは、事業活動において通常は想定されない突発的な損失を処理するのに用いられる勘定科目です。
本業の売上げには関係ない「営業外費用」のうち、既存の勘定科目に当てはまらない場合に用いられます。
特に少額(営業外費用の10分の1以下)で、重要ではないものが雑損失に分類されます。
雑損失は法人会計に用いられる考え方であり、損益計算上では営業外費用・特別損失として扱われる傾向にあります。

雑損失と雑費の違い

雑損失と混同されやすい言葉として、「雑費」があります。
雑費とは、消耗品費や通信費などの主要な経費科目には当てはまらず、少額かつ日常的な支出を処理する際に用いられる勘定科目です。
雑損失と区別するポイントとして、「本業の売上げに関わっているか」が挙げられます。

また、日常的な支出は雑費に、イレギュラーな損失は雑損失と判断できます。
言葉は似ているものの、性質は大きく異なるため、発生理由や内容を確認した上で仕訳をすることが大切です。

雑損失と雑損控除の違い

「雑損控除」も似ている言葉ですが、意味は大きく異なります。雑損失は会計上の勘定科目であり、法人・個人事業主が帳簿上で損失を処理する際に使われるものです。
一方、雑損控除は災害や盗難、横領などによって生活用の資産に損害が発生した場合に、一定額を所得から差し引ける控除を指します。

雑損控除を活用して所得から一定額を差し引いたものの、控除しきれなかった損失額は、「雑損失の金額」と呼ばれます。
雑損失の金額は雑損控除を使った年度の翌年から3年間繰り越すことが可能です。

事業の帳簿処理で使う雑損失と、確定申告で用いる雑損控除は、目的や適用場面が異なるため、混同しないよう注意してください。

雑損失に該当しないケース

主要な勘定科目に当てはまらなければ、すべての損失が雑損失になるかというと、そうではありません。
例えば、売掛金の回収ができなかった場合の損失には「貸倒損失」、在庫を廃棄処分する際には「棚卸廃棄損」、減価償却資産中に使用しなくなった設備を除却する場合は「固定資産除却損」といった勘定科目が用いられます。

また、業務上発生する修理で程度が軽微だった場合、雑損失ではなく「修繕費」や「消耗品費」として処理するのが一般的です。
雑損失はあくまで例外的な損害に限り使用する科目になるため、安易に計上せず、損失の性質をきちんと見極めてから使用することが大切です。

雑損失の具体例


雑損失について解説してきましたが、具体的にどのような損失だと雑損失として計上することになるのでしょうか。ここで、雑損失の具体例を紹介していきます。

現金過不足

現金過不足とは、帳簿上に記録されている現金残高と手元の現金が一致しない状況を指します。
手元の現金が残高より少なければ現金不足、逆に多い場合は現金過剰と呼ばれます。
現金過不足に陥っている原因がわからない場合、一時的な勘定科目として「現金過不足」が用いられますが、後に過不足が発生した原因がわかった場合、期末処理で「雑収入」または「雑損失」に振り替えなくてはなりません。

示談金・慰謝料

事業を運営している中で思わぬトラブルが発生し、示談金・慰謝料の支払いが必要になった場合は、支払った金額を雑損失として計上できます。
例えば、配送中に交通事故を起こしてしまい、事故でケガをした相手に対して示談金や慰謝料を支払った場合などが当てはまります。

ただし、示談金や慰謝料がすべて経費として計上できるわけではありません。
例えば事故を起こした人物が重大な過失を犯していた場合や、故意に事故を起こしていた場合などは、示談金や慰謝料、損害賠償金なども経費にできないので注意してください。

盗難被害

事業所に泥棒が入り、商品や備品、現金などが盗まれてしまった場合の被害額は雑損失として計上できます。
現金が盗まれてしまった場合は被害額をそのまま計上することになりますが、備品や消耗品などを盗まれた場合には、いくら計上できるか判断が難しくなります。
基本的には帳簿価格で計上することになりますが、帳簿価格がなければ市場価格を参考に算出してください。

罰金・違約金

罰金や違約金も雑損失として計上します。例えば、事業用の車両で交通違反をしてしまった場合、交通違反時に生じた罰金は雑損失です。
他にも、行政罰による過料や刑事罰による科料も、すべて雑損失に当てはまります。

ただし、罰金や違約金は損失が出たとして記帳はしますが、場合によって税務上経費として認められません。
そのため、仕訳をする際に摘要などで経費不算入である旨を記載しておくと、経費を計算する際に間違えにくくなります。

その他、雑損失に該当するケース

上記以外にも、雑損失に当てはまるケースがあります。
例えば、ファクタリングを行った際に支払う手数料のうち、少額の場合や事業活動に与える影響が少ない場合、雑損失に該当します。
売掛債権をファクタリング会社に売却した場合に発生する手数料は、一般的に「売上債権売却損」という勘定科目で処理することが多いですが、少額の場合は雑損失として計上しても問題ありません。

また、事務所やオフィス、倉庫といった建物を解体する場合の費用も雑損失に該当するケースがあります。
基本的には特別損失として処理し、固定資産除却損として計上することになります。
しかし、重要度が低く、解体費用が少額に収まった場合には、特別損失ではなく雑損失として計上することも可能です。

雑損失の仕訳方法


実際に雑損失として計上する場合、どのように仕訳をすれば良いのでしょうか。
ここでは、具体例として挙げたものの中から、現金過不足や盗難被害、弁償費・違約金を例に仕訳例を紹介します。

現金過不足の仕訳例

現金過不足が発生した場合、期中では「現金過不足」の勘定科目を用いますが、決算時に雑損失または雑収入の勘定科目で振り替えます。
例えば、現金出納帳の金額が手元の現金より1,000円多かった場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
現金過不足 1,000円 現金 1,000円

その後、決算までに原因が判明した場合には、現金過不足を消し込むため、適切な科目に振り替えます。

借方 貸方
消耗品費 1,000円 現金過不足 1,000円

決算まで現金過不足の原因がわからなかった場合、以下のように処理を行います。

借方 貸方
雑損失 1,000円 現金過不足 1,000円

盗難被害の仕訳例

事務所に保管していた現金50万円が盗まれてしまった場合、借方に「雑損失」、貸方に「現金」を置いて計上します。

借方 貸方
雑損失 500,000円 現金 500,000円

ただし、貸方の勘定科目は盗難によって損害を受けた資産によって異なります。
例えば、倉庫に保管していた在庫商品が盗まれた場合は「商品」、事業場にあった機械装置や備品などの固定資産が盗まれた場合は、固定資産の勘定科目を借方に置きます。

弁償費・違約金の仕訳例

弁償費用を仕訳する場合、支払い方法によって貸方の勘定科目が違ってきます。
例えば取引先から借りていた機材を壊してしまい、弁償費用として100万円を振込で支払った場合の仕訳例は以下のとおりです。

借方 貸方
雑損失 1,000,000円 普通預金 1,000,000円

また、違約金は支払いの目的によって雑損失として計上する場合とそうでない場合に分かれます。
例えば契約違反による賠償金を支払うことになった場合は雑損失として計上しますが、納期遅延などの軽微な違反による追加支払いは、支払手数料として処理するのが一般的です。

例えば一方的に契約を解除したことで、20万円の違約金が発生した場合、仕訳例は以下のようになります。

借方 貸方
雑損失 200,000円 普通預金 200,000円

雑損失を処理する際の注意点


雑損失を処理する際には、いくつか注意すべきポイントもあります。ここでは、雑損失を処理する際に押さえておきたい4つの注意点を解説します。

使い過ぎに注意する

雑損失は営業外費用を計上する際に用いられる勘定科目ということもあり、雑損失を使って様々な損失を計上できます。
上記でも解説したように、例えば本来特別損失として計上する建物の解体費用も、重要度が低く、比較的少額に収まった場合は雑損失として計上可能です。

対象範囲の広さから、ついつい使いすぎてしまう場合もあるでしょう。
しかし、雑損失を使いすぎてしまうと、どの取引のものか判断が難しくなり、会計管理が複雑化するおそれがあります。
また、雑損失での処理を使いすぎることで会計の透明性が失われてしまい、金融機関からの信用低下につながるリスクもあります。

このようなリスクを回避するためにも、雑損失の使いすぎには注意が必要です。
目安としては、営業外費用の10%を超える損失を計上する場合は、別の勘定科目を用いるようにしましょう。

合計金額に注意する

雑損失を計上する際に、一つひとつの金額が少額だったとしても、何度も使ってしまうと高額になる可能性があります。
基本的に営業外費用の10%を超えないように計上することが大切です。

もし雑損失の合計金額が営業外費用の10%を超えてしまった場合は、新しく科目をつくり仕訳をしなくてはなりません。
このルールをきちんと守らないと、雑損失として認められなくなってしまい、後から仕訳を修正しなくてはいけない状況に陥る可能性もあります。
雑損失として計上する際は合計金額にも目を向けるようにしてください。

消費税区分に注意する

営業外費用の中でも雑損失は他の勘定科目に分類できない費用・損失が当てはまることになります。
そのため、同じ勘定科目であっても特性の異なる費用・損失が混在しています。
この費用・損失には消費税の課税対象になるものとならないものも含まれてしまうため、消費税区分に注意しなくてはなりません。

例えば、雑損失の中で消費税の課税対象にならないのは、以下の費用・損失です。

  • 交通反則金
  • 延滞税・加算税などの税金
  • 現金不足額
  • 損害賠償金
  • 違約金 など

これらの費用・損失は、支払う相手との対価性が発生しないことから、消費税の課税対象から外れます。
ただし、上記で挙げた項目でも対価性が見られると判断された場合は、消費税の課税対象になり得るので注意が必要です。

例えば、加害者側に引き渡された損害を受けた資産が、修理することで使用できる場合、ここで支払った損害賠償金には対価性が見られると判断され、消費税の課税対象になる可能性があります。
違約金でも事務手数料として扱われている場合は、消費税の課税対象となります。

損金算入できないケースに注意する

雑損失で仕訳をする際に気を付けたいのが、損金算入できる場合とできない場合がある点です。
例えば、税法上のペナルティである延滞税や加算税は、仕訳として記載できても損金算入できません。また、脱税などに課される罰金も損金不算入となります。
これは、本来ペナルティとして支払うはずの金額に対して損金算入ができてしまうと、税負担がかえって軽減してしまうためです。

法人税や住民税などの税金も損金算入ができないため注意が必要です。
法人税は所得に対して課される税金のため、もし損金算入を認めると課税所得が減少し、それに対する法人税も減少するという循環が生じてしまいます。
違約金や損害賠償金、和解金なども一見経費にできなそうにみえますが、業務遂行上やむを得ず支払ったものは経費として認められる可能性があります。

まとめ・雑損失を理解して正しく処理をしよう

雑損失は、営業外費用の中でも既存の勘定科目に当てはまらないものに活用する勘定科目です。
現金過不足や示談金・慰謝料、少額の解体費用やファクタリング手数料などは雑損失として計上できますが、合計金額が営業外費用の10%を超えないように調整する必要があります。
雑損失に区分できる費用や損金算入できないケースがあることなどを把握し、雑損失を使って正しく処理を行いましょう。

創業手帳(冊子版)では、経営者が知っておきたい仕訳の基礎知識について、詳しく解説しています。また、会計処理を効率化するための方法や節税対策についても紹介しているので、ぜひ創業手帳をお役立てください。

関連記事
雑損控除は事業用資産でも申請可能?雑損控除を受ける条件や申請方法を解説
雑費とはどのような勘定科目でいつ使う?定義と使い方、消耗品費・交際費との違いなどを解説

(編集:創業手帳編集部)

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
無料冊子
創業手帳冊子版(無料) 補助金ガイド 創業手帳woman 飲食開業手帳