フリーランスが知るべきお金の管理術!収支把握から節税までやさしく解説

創業手帳

事業の安定化にはお金の管理が重要


フリーランスになった時には、収支管理や入金の会計処理までお金の管理全般を自分で行わなければいけません。
会社員であれば、税務や管理は担当者がしているところがほとんどでしょう。
しかし、フリーランスになれば専門知識が必要なお金の管理まで自分で行うことになります。
事業は売上げがあれば安定するとは限りません。慎重にお金を管理して事業資金が枯渇しないようにすることが重要です。

ここではフリーランスのお金の管理方法や節税までまとめました。

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フリーランスがお金の管理をするためのコツ


フリーランスになると、事業に関わるお金の管理は自分で行います。しかし、今までビジネスでお金の管理をしたことがない人にとっては不安もあるかもしれません。

ここでは、フリーランスがお金の管理をする時のコツをまとめました。

事業用の銀行口座開設

フリーランスとして事業用のお金を扱う時には、必ず事業用とプライベート用のお金を明確に分けなければいけません
プライベートで使っている口座や財布をそのまま事業用にしてしまうとビジネスとプライベートのお金が混在して会計処理のミスが起きやすくなります。

会計処理の手間を減らすためにも、フリーランスになった時には事業用として屋号の口座を開設すると便利です。
事業用の銀行口座を用意すれば事業での入出金が一目でわかり間違えにくくなります。

事業用のクレジットカード作成

フリーランスになると、経費での支払いが増えます。プライベートの支払いと事業の支払いを分けるには事業用のクレジットカードを作成してください。
会計処理や確定申告をする時には、プライベートと事業の支出が混ざっていると会計処理の前に両者を区分けする手間がかかってしまいます。

ビジネス用のクレジットカードは、個人向けのクレジットカードよりも限度額が大きく設定されるケースがあります。
審査に不安がある場合には、フリーランスや小規模事業者向けとされているカードを検討してください。
事業に役立つ付帯サービスが利用できることもあるので、どういったサービスが利用できるかチェックしておくようにすると良いでしょう。

会計ソフト・会計アプリの導入

フリーランスは、本業だけでなく経理や税務の仕事もしなければいけません。会計処理を効率化、自動化するのであれば、会計ソフト・会計アプリを導入してください。

会計ソフト・会計アプリの主な機能は、領収書のスキャンや自動仕分け、クレジットカード連携のほか、確定申告書類の自動作成があります。
日々の収支入力が問題なければ、データを使って自動で集計と計算をしてくれるため、転記や計算のミスも発生しません。

さらに経営や資金の流れの記録をデータ化でき、リアルタイムで収益の状態を確認できます。
赤字や黒字がどれだけあるのかキャッシュフローの状態をすぐに把握できるので、経営判断もスピーディーになります。
確定申告だけでなく毎日の経営判断にも役立つツールです。

請求書や領収書は必ず保管する

お金の管理の基本として、請求書や領収書といった書類は必ず保管しておきます。特に領収書は原則7年間は保管するように義務付けられています。
保管が適切でないと税務調査で指摘される可能性があるので、保管方法や場所をあらかじめ決めておくようにしてください。

請求書や領収書がそこまで多くないのであれば、専用のノートやファイルに年度別、月別にまとめておく方法があります。しかし、保管場所の問題も考えなければいけません。
スキャンしてデータとして保管することも認められているので、自分がやりやすい方法を選んでください。

経費はわかりやすいように記録する

正しく会計処理をしたり、節税をするためには、その経費がどういったものかわかりやすいように記録してください。
領収書に経費の内容が記載されている場合は問題ありませんが、そうでない時には何の費用であるかを書き込んでおきます。
打ち合わせで飲食費を計上した場合には、誰とどういった目的で打ち合わせしたかまで記載しておくようにしましょう。

また、領収証が増えてきた時には、勘定科目別や取引き先別など後からわかりやすいように区分けしておくと便利です。

収入変動に備えて予算を設計する

フリーランスは月ごとの収入差が大きいため、黒字の月でも使いすぎず、赤字月に備える予算管理が大切です。ここでは予算設計の方法をステップ別に紹介します。

【ステップ1:固定費と変動費を分ける】
経費は、家賃や保険料といった毎月必ずかかる固定費と、交際費・広告費などの変動費に分けられます。
その上で、まずは固定費+最低限の生活費を必要最低ラインとして把握してください。

【ステップ2:最低限必要な月間支出を明確にする】
貯蓄や売上管理のコツは、「毎月◯万円あれば生きていける」というラインを設定し、それを下回らないようにすることです。
フリーランスになる前には、生活費と事業費を合わせた「月◯万円×3カ月分」のように余裕をもって生活防衛資金を用意しておいてください。

【ステップ3:黒字月には貯蓄・投資に回す】
黒字月だとしても、無駄に使っていいわけではありません。売上げが好調な月も全額を使わずに余剰分は貯蓄や将来投資(学習・設備)に充てるようにします。
フリーランスは、不安定な収入を前提にして収入が低い月に合わせた生活設計と余裕がある月に備える仕組みを作っておくことが安心経営のカギといえます。

フリーランスがお金の管理をする必要性


会社員であれば、会社側が金銭管理をしてくれるため金銭管理が必要ないかもしれません。しかし、フリーランスになれば会社のお金も自分で管理します。
会社員は毎月定額の給与を受け取りますが、フリーランスにはそれもありません。
フリーランスの収入が変動がある上、定期的な支払いが発生するため、長期目線での管理が必要です。
ここでは、フリーランスがなぜお金を管理しなければいけないかを説明します。

収支を把握するため

適切にお金の管理をしていると、収入や手取りも把握しやすくなります。生活費以外に発生する支出として、税金と保険料があります。
税金や社会保険料は収入に応じて高くなるため、売上げが大きくなったからといって手取り額がそれだけ大きくなるとは限りません。
フリーランスとして働くのであれば、入ってくるお金と出ていくお金のスケジュールと収支を把握しておくようにしてください。

フリーランスは仕事の量で収入が増減し、複数の案件があれば、どの案件からいつ収入があるのか、いつ入金されるかわからなくなるかもしれません。
収支の変動や急な出費に備えるためにも、現在収支がどれだけあって、どれだけ資金に余裕があるのか把握しておくようにしてください。

生活の安定化を図るため

会社員は、会社から毎月給料を受け取ります。会社員であれば銀行に振り込まれた額で手取り額が把握できます。
しかし、フリーランスではそうではありません。まず、事業の売上げから経費を差し引いて、そこから保険料と税金を支払った残りを自分で計算します。

フリーランスをはじめたばかりのうちは、売上げに対してどれだけ自分のお金が残るか感覚として掴めません。
フリーランスになると売上げが変動する可能性もあるため、会社員の時よりも節約して過ごすようにおすすめします。

資金不足に対処するため

フリーランスとして働きはじめた時には、どんぶり勘定でもどうにかなると思っているかもしれません。
しかし、毎月の売上げや経費を把握していないと気が付かないうちに赤字になっている可能性があります。

仕入れや費用の支払いの時に初めてお金がなくなっていることに気づくような状態は絶対避けなければいけません。
入ってくるお金と出ていくお金を把握しておけば収支がわかりやすく資金不足にも対応しやすくなります。
事業や家計の資金管理はその場しのぎではなく、長期的な計画に基づいて実施するようにしてください。

確定申告をスムーズに行うため

フリーランスになれば、確定申告も自分でしなければいけません。確定申告の時期になって1年分の領収書や取引き記録を遡って会計処理するのは大変です。
確定申告をスムーズに進めるためには、定期的に帳簿をつけて資金管理しておくようにおすすめします。

確定申告は、間違いや漏れがあれば税務調査で指摘される可能性があります。確定申告の時期になって慌てないためにも資金管理が重要です。

フリーランスになる前に必要なお金管理の基礎知識


お金の管理を身につけると簡単にいっても、具体的に何をすればいいのかわからない人もいるかもしれません。ここからは、すぐにはじめられるお金管理をまとめました。
身近なお金からスタートして事業に困らない知識を身に付けるまでを紹介します。

生活費や事業に関わるお金の把握

フリーランスとしてのお金の知識を身に着けるには、まず身の回りのお金を把握してください。
生活費、事業費としてどれだけの費用が発生しているのか把握していない人もいるでしょう。

会社員は受け取った給与をそのまま生活費としても問題はありません。しかし、フリーランスは手元の資金から必要経費を支払って社会保険料や税金を納付します。
すべての支払いを終わらせた上で残った分から生活費を捻出します。

会社員は、通勤や出張の交通費も会社負担ですが、フリーランスになれば全額負担です。事業のお金の支払いを意識していないと想定以上の支出に驚いてしまうかもしれません。
どの程度の事業費が発生するのかを記録して、生活費についても家計簿を付けて把握しておくようにしてください。

必要な貯金額の把握

フリーランスの仕事のサイクルは、仕事を受注してから納品、請求書を送付してからの支払いといった形が一般的です。
つまり、仕事を受注してからその報酬が手元に入るまでにはタイムラグがあります。
受注して作業をするにも費用が必要になるため、報酬を受け取るまでの事業資金は事前に用意しなければいけません。

さらに、フリーランスとして収入が安定するまでのランニングコストも必要です。
急に働けなくなった時に備えて3カ月分程度は事業用と生活用の資金として貯金しておくことをおすすめします。

帳簿付けの方法

帳簿付けとは、確定申告の時に正確な納税額を算出できるように、事業に関わる入出金を帳簿に記入する作業のことです。
フリーランスになる前に、どのように帳簿付けするかは決めておくようにします。
帳簿は表計算ソフトやノートでも問題はありませんが、手軽に入力するのであれば会計ソフトが便利です。
青色申告を選択するのであれば、青色申告に対応した会計ソフトで備え付け帳簿をまとめて作成できます。

帳簿付けは慣れるまでは毎日、もしくは取引きの都度記帳することが大切です。
帳簿付けを継続していくことで、どの費用が大きくなってしまっているのか、どれだけの資産があるのかなどがはっきりとわかります。
帳簿付けは適切に経営判断するために役立ちます。

確定申告に関する知識

フリーランスになると、自分で確定申告をしなければいけません。確定申告は、1月1日~12月31日までの所得に対して税額を算出して納税する手続きです。
例年、2月半ばから3月半ばまでが確定申告の期限です。
その年の確定申告の期限は国税庁のホームページで確認できます。余裕をもって確定申告をするのであれば2月ごろから会計処理や確定申告書類の準備を進めます。

確定申告には、青色申告と白色申告があり、いずれかを選択しなければいけません。青色申告は65万円の青色申告特別控除などの税制優遇が受けられます。
青色申告を選択するには、青色申告承認申請書を提出します。開業届とまとめて提出もできるので開業時に検討しておいてください。

税金に関する知識

フリーランスの収入は、税務上事業所得となり、所得税と住民税が発生します。さらに消費税や個人事業税が発生するケースもあります。
会計処理に慣れてきたら、税金に関する知識を勉強しておくと役に立つでしょう。

税金はそれぞれ納税方法や納税時期が違います。さらに個人事業税は、定められた法定業種に該当する事業者が支払う地方税です。
個人事業税は、年間の所得が290万を超えた場合に対象となります。消費税は、前々年度の課税売上高が1,000万円を超えると発生します。
自分がどの税金の対象となって、いつ支払いが生じるかを調べて支払いの準備をしておくようにしてください。

節税対策に関する知識

税金が高すぎると感じた時には、節税できる部分がないかチェックします。
例えば、所得税は所得が増えるほど税率も上がる仕組みであり、適切に経費を計上して課税所得を抑えることで節税効果が高まります。
どういったものを経費にできるかを把握して事業に関するものは漏れなく経費として計上してください。

さらに青色申告特別控除や所得控除といった控除を活用した節税も可能です。
小規模企業共済やiDeCoのように掛け金や積み立てを所得控除にできる制度を利用して節税対策ができます。

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まとめ・お金をしっかりと管理して活躍を目指そう

フリーランスは、税金やお金の管理がおろそかになりがちです。接客や打ち合わせといった事業経営とともに税務やお金の管理もしなければいけません。
そのため、お金の管理はしなければならないと理解していても余裕がなくて後回しになりがちです。
しかし、フリーランスとして働き続けるためにはお金を管理して安定して事業を続けられる状態を保つことが肝心です。
お金を管理することで生活を安定させるとともに、事業での活躍も目指してください。

税金とあわせて覚えておいてもらいたいのが「経費」に関すること。経費は「そもそもの使い方に無駄がないか」ということと「使ったものをきちんと処理できているか」という2つの側面で、考えることが必要です。それについて具体的にまとめた「経費で損しないためのチェックリスト」も無料でお配りしています。ぜひご活用ください。


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(編集:創業手帳編集部)

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