両立支援等助成金とは?受給のメリットや助成額、2024年の新設コースも解説!
仕事と家庭の両立を推進する事業者のための両立支援等助成金
両立支援等助成金は、職業生活と家庭生活を両立できる雇用環境整備に取り組む事業主を支援するものです。育児や介護、不妊治療などを行う従業員が安心して仕事を続けられるよう、休業制度や業務代替体制を整え、かつ一定要件に該当したときに支給されます。
本記事では、両立支援等助成金の概要や受給のメリット、各コースの支給要件と支給額、申請の流れ、助成金を利用する場合の注意点などについて解説します。
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この記事の目次
両立支援等助成金の概要・対象について
共働きが一般的になった現代、働きながら育児や家族介護をする従業員が増えています。しかし仕事と育児・介護等の両立はなかなか難しく、離職を余儀なくされる従業員も少なくありません。
両立支援等助成金は、こうした育児等を理由とする離職を回避し、育児や介護などを行う従業員が継続して働ける体制づくりをする事業主を支援するものです。
男性の育児休業取得を促進する「出⽣時両⽴⽀援コース」、家族介護をする従業員が働き続けられる環境整備を支援する「介護離職防⽌⽀援コース」、育児休業の取得や復帰、代替体制を整えた場合の「育児休業等⽀援コース」など、現在5つのコースがあります。各コースの詳細については以下で詳しくご説明します。
助成金の対象となる中小事業主とは?
両立支援等助成金のほとんどのコースは「中小事業主のみ」を支給対象としています。この助成金における「中小事業主」の範囲は下表のとおりです。
業種 | 資本金 | 常時雇労働者数 | |
小売業(飲食店を含む) | 5,000万円以下 | または | 50人以下 |
サービス業 | 5,000万円以下 | 100人以下 | |
卸売業 | 1億円以下 | 100人以下 | |
その他 | 3億円以下 | 300人以下 |
出典:厚生労働省 令和5年度両立支援助成金支給申請の手引き
資本金や出資金のない事業主の場合は「常時雇用する労働者の数」のみで中小事業主かどうかを判断します。
なお、常時雇用する労働者とは「2ヶ月を超えて使用される労働者」で、かつ「1週間の所定労働時間がその事業主に雇用される通常の労働者と同じくらいの者」のことです。
両立支援等助成金を受給するメリット
両立支援等助成金をはじめとする雇用関連助成金は、金融機関からの融資と異なり、返済の必要がありません。また受給した助成金の使い道も自由です。
そして金銭的なこと以外にも、多くのメリットがあります。順にみていきましょう。
会社としての両立支援体制ができる
両立支援等助成金を受給するには、育児・介護等をしながら働き続けられる環境を整備しなければなりません。
環境整備には「自社の問題点を洗い出す」「自社に合った勤務体制や各種の制度を考え、選択する」「就業規則を作成・改定する」「従業員に周知する」など、しなければならないことが多数あり、実はなかなか大変です。
しかし、助成金受給に向けて一つ一つ条件をクリアしていくことで、徐々に仕事と家庭を両立できる自社の体制が構築され、最終的には従業員が長く働ける環境が整備されていきます。
従業員の定着につながる
育児や介護等に直面した従業員の多くは、仕事との両立に困難さを感じるものです。中には離職してしまう人もいます。
しかし、育児等と仕事の両立支援体制のある会社なら、周囲に過度な気遣いをすることなく休業や各種の制度を利用できます。その結果、仕事を続けられる可能性が高まり、会社も大切な戦力である従業員を失わずに済むでしょう。
また、すぐに育児や介護の予定がない従業員も、充実した両立支援体制があれば「この会社なら、育児等をしながら働き続けられる」と安心感を持つことができます。
優秀な人材を確保できる
会社に両立支援体制があることは、人材募集時の大きなアピールポイントです。ワークライフバランスが重視される現代、仕事と家庭を両立できる環境は、会社選びの重要なファクターだからです。
長い職業生活の中、育児や介護などで仕事を休む可能性は、誰にでもあります。そのため、休業体制や職場復帰体制、柔軟な勤務制度などが整えられていることは、求人応募者にとって大きな魅力となるでしょう。
【コース別】両立支援等助成金のコース別概要・助成額
両立支援等助成金には「出⽣時両⽴⽀援コース」「介護離職防⽌⽀援コース」「育児休業等⽀援コース」「不妊治療両⽴⽀援コース」、そして2024年から始まった「育休中等業務代替支援コース」があります。
ここでは、各コースの主な支給要件と支給額について説明します。
なお、詳細な支給要件等は、厚生労働省の令和5年度両立支援助成金支給申請の手引きをご参照ください。
出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
「出生時両立支援コース」は、男性従業員の育児休業取得を支援する助成金です。第1種と第2種があり、それぞれ1回限りの受給です。
第1種 男性労働者の育児休業取得
出⽣時両⽴⽀援コースの「第1種」は、男性従業員が育児休業を取りやすい雇用環境や休業中の業務代替体制を整えた会社において、実際に男性従業員が育児休業を取得した場合に支給されます。
- 育児休業法に定められた雇用環境整備の措置を複数行っている
- 休業取得者が担当していた業務の整理や引き継ぎ、代替者の業務負担軽減などについて規定を作り、業務代替体制を整えている
- 男性従業員が、子の出生後8週間以内に開始する連続5日以上の育児休業を取得した 等
なお、第1種には「代替要員加算」と「情報公表加算」があります。
代替要員加算は、休業中の業務を代替する者を新たに雇い入れた場合に、情報公表加算は、厚生労働省の「両立支援のひろば」に自社の育児休業等の利用状況を公開した場合に、それぞれ助成金に加算されます。
第2種 男性の育児休業取得率アップ
出⽣時両⽴⽀援コースの「第2種」は、第1種を受給した事業主が、一定期間内に育児休業取得率をアップさせたときの助成金です。
- 第1種を受給している
- 第1種を申請した事業年度の次年度から3年以内に、男性従業員の育児休業取得率が30%以上アップした、または一定の場合に2ヶ年連続で70%以上となった
- 第1種の申請後に、育児休業を取得した男性従業員が2人以上出現した 等
【出⽣時両⽴⽀援コース(⼦育てパパ⽀援助成⾦)の支給額】
種別 | 支給額 |
第1種 | 20万円 |
代替要員加算 20万円※代替要員を3人以上確保した場合は45万円 | |
情報公表加算 2万円 | |
第2種 | 1事業年度以内に30ポイント以上上昇 60万円 2事業年度以内に30ポイント以上上昇等 40万円 3事業年度以内に30ポイント以上上昇等 20万円 |
出典:厚生労働省 令和5年度両立支援助成金支給申請の手引き
介護離職防⽌⽀援コース
家族の介護に直面した従業員は、仕事との両立に悩み、離職してしまう人も少なくありません。介護離職防止支援コースは、介護をしながら働き続けられる雇用環境を整備した事業主に支給される助成金です。
介護休業取得時・職場復帰時
従業員が介護休業を取る際に、個別の「介護プラン」を作り、そのプランに基づいて介護休業を取得・復帰させた事業主に支給されます。
- 従業員が介護休業を取るときは「介護支援プラン」により介護休業の取得や職場復帰を支援する旨を、従業員に周知している
- 介護休業を取得する従業員と面談のうえ、個別の「介護プラン」を作成した
- 「介護プラン」どおりに業務の整理・引継ぎをした
- 当該従業員が合計5日以上の介護休業を取得した 等
介護休業(取得時)には「個別周知・環境整備加算」があります。これは、対象従業員に介護休業制度や両立支援制度についての個別周知をし、かつ仕事と介護の両立ができるような雇用環境の整備に取り組んだ場合に、助成金に加算されるものです。
- 職場復帰後に、介護休業取得者とフォロー面談をし、結果を記録した
- 休業前の職務等に復帰させた 等
介護休業(職場復帰時)には、次のいずれかに該当した場合に上乗せされる「業務代替支援加算」があります。
- 休業取得者の代替要員を新規に雇い入れた場合(新たな派遣の受け入れでも可)
- 代替要員を新規雇用せず、休業取得者の業務の見直し等を行い、周囲の従業員に手当等を支払って休業取得者の業務をカバーした 等
介護両立支援制度
介護両立支援制度は、介護をしながら働き続けられる柔軟な勤務制度等を導入し、実際に制度利用者が出たときに支給されます。
- 介護両立支援制度(所定外労働の制限制度、時差出勤制度、短時間勤務制度等)について、就業規則等に定めている
- 介護を行う従業員と面談したうえで、個別の「介護支援プラン」を作成した
- 実際に、対象従業員が介護両立支援制度を利用した 等
なお、介護両立支援制度にも「個別周知・環境整備加算」があります。
新型コロナウイルス感染症対応特例
新型コロナウイルス感染症の影響により、従業員が介護のための特別休暇を取得したときに支給されます。
- 新型コロナウイルス感染症への対応として、介護休業等とは別の特別休暇制度を20日以上設け、従業員に周知している
- 新型コロナウイルス感染症の影響で、通常利用している介護サービス等が使えない等の事情があり、仕事を休まざるを得ない従業員が特別休暇を5日以上取得した 等
【介護離職防⽌⽀援コースの支給額】
支給額 | 支給人数/回数 | |
休業取得時 | 30万円 | 1年度5人まで |
個別周知・環境整備加算 15万円 | ||
職場復帰時 | 30万円 | 休業取得時と同一の 対象労働者のみ対象 |
業務代替支援加算 新規雇用 20万円 業務代替支援加算 手当支給等 5万円 |
||
介護両立支援制度 | 30万円 | 1年度5人まで |
個別周知・環境整備加算 15万円 | ||
新型コロナウイルス 感染症対応特例 |
(1)休暇取得日数が合計5日以上10日未満 20万円 | (1)(2)合計で 1年度5人まで |
(2)休暇取得日数が合計10日以上 35万円 |
出典:厚生労働省 令和5年度両立支援助成金支給申請の手引き
育児休業等⽀援コース
育児休業の取得率が上がったとはいえ、まだ休業取得を躊躇する従業員はいるでしょう。また職場復帰後も、子の予防接種や通院などで頻繁に休まなければならないため、周囲に気を遣う従業員も少なくないようです。
育児休業等支援コースは、従業員が安心して育児休業を取り、休業終了後は元の職務に復帰して、無理なく働き続けられる体制を整えた場合に助成されます。
育休取得時・職場復帰時
育児休業を取る従業員のための「育休復帰支援プラン」を作り、それに基づいて育児休業を取得させた場合と、育児休業終了後に元の職務に職場復帰させた場合に、それぞれ支給されます。
- 従業員の育児休業取得を支援する方針を従業員に周知している
- 育児休業を取る従業員と面談等をしたうえで「育休支援プラン」を作成した
- 「育休復帰支援プラン」に基づき、業務の引き継ぎ等をした
- 対象従業員が、連続3ヶ月以上の育児休業を取得した 等
- 「育休復帰支援プラン」に基づき、対象従業員の復帰前に、業務データや月報、企画書などの情報を提供した
- 職場復帰前に、対象従業員と面談した
- 育児休業取得前の職務等に復帰させた 等
業務代替支援
育児休業を取った従業員が円滑に休業前の仕事に復帰できるよう、休業中の代替要員を確保した場合に助成されます。
業務代替支援には、代替者を新たに雇い入れた場合(新規雇用)と、周囲の従業員に代替させた場合(手当支給等)の2種類があります。
- 育児休業取得者を元の仕事に復帰させる旨を、就業規則等に定めている
- 休業取得者が担当していた仕事を、新たに雇い入れた者に代替させた
- 連続1ヶ月以上の育児休業を合計3ヶ月以上取得させ、元の仕事に復帰させた 等
- 休業取得者が担当していた仕事を、周囲の従業員に代替させた
- 代替にあたり、業務の見直しや効率化等の取り組みをした
- 代替業務についての賃金制度を規定化し、手当を代替者に支払った
- 対象従業員に、連続1ヶ月以上の育児休業を合計3ヶ月以上取得させ、元の仕事に復帰させた 等
職場復帰支援
育児休業から復帰した後も、子供には何かと世話がかかるものです。職場復帰支援は、そうした従業員のための制度を整備した事業主に助成されます。
なお、職場復帰支援には「子の看護休暇制度」「保育サービス費用補助制度」の2種類があります。
- 法律を上回る子の看護休暇制度を整備している
- 育児休業から復帰した従業員が、職場復帰後6ヶ月以内に、子の看護休暇を10時間以上取得した 等
- 保育サービス費用を補助する制度を整備している
- 従業員が、職場復帰から6ヶ月以内に、3万円以上の保育サービス費用の補助を受けた 等
「保育サービス費用」とは、ベビーシッター、一時預かり、家事支援サービスなどの費用のことです。
新型コロナウイルス感染症対応特例
新型コロナウイルス感染症の影響で小学校等が臨時休校になると、子供の世話をしなければならない従業員がいます。そうした従業員のための特別な有給休暇制度を設け、実際に休暇利用者が出たときに助成されます。
- 新型コロナウイルス感染症に対応した特別な有給休暇制度を整備している
- 小学校が臨時休校等した場合でも勤務できる両立支援制度を設け、社内周知している
- 従業員が、特別な有給休暇制度を1日以上取得した 等
【育児休業等支援コースの支給額】
支給額 | 支給人数/回数 | ||
育休取得時 | 30万円 | 1事業主2回まで(無期雇用労働者・有期雇用労働者各1回) | |
職場復帰時 | 30万円 | 1事業主2回まで(無期雇用労働者・有期雇用労働者各1回) | |
業務代替支援 | A 新規雇用 | 50万円 | AB合わせて1年度延べ10人、5年間(くるみん認定※を受けた事業主は2027年度まで延べ50人を限度とする) |
B 手当支給等 | 10万円 | ||
有期雇用労働者加算 | 10万円 | ||
職場復帰支援 | 子の看護休暇制度 | 制度導入時 30万円 | 1事業主1回 |
制度利用時 1000円×時間 | 1事業主5人まで (1年度200時間まで) |
||
保育サービス費用補助制度 | 制度導入時 30万円 | 1事業主1回 | |
事業主負担額の2/3 | 1事業主5人まで (1年度20万円まで) |
||
新型コロナウイルス感染症対応特例 | 10万円 | 1事業主延べ10人まで (上限100万円) |
|
情報公表加算 | 2万円 | 1事業主1回 |
※「くるみん認定」とは、子育てサポート企業であることの厚生労働省の認定制度です
出典:厚生労働省 令和5年度度両立支援助成金支給申請の手引き
不妊治療両⽴⽀援コース
不妊治療は通院回数などが多いことから、仕事との両立が難しくなることがあります。不妊治療両立支援コースは、そうした従業員が仕事を続けられるような職場環境を整えた場合や、不妊治療のための長期休暇を与えた場合に助成されるものです。
このコースには「環境整備、休暇の取得等」と「長期休暇の加算」があります。なお、対象従業員の性別は問いません。
環境整備、休暇の取得等
従業員が不妊治療のための休暇制度や両立支援制度を合計5日(5回)以上利用したときに支給されます。
- 不妊治療等について会社が支援する旨を社内周知している
- 「不妊治療両立支援プラン」を作成した
- プランに基づき、対象従業員が不妊治療休暇制度または両立支援制度を、1年度内に合計5日(5回)以上利用した 等
不妊治療のための両立支援制度とは「時差出勤制度」「フレックスタイム制度」「テレワーク制度」など、不妊治療と仕事を両立しやすくする雇用制度をいいます。
長期休暇の加算
環境整備、休暇の取得等を受給した事業主が、従業員に不妊治療のための長期休暇を取得させ、かつ職場復帰させた場合に支給されます。
- 「環境整備、休暇の取得等」を受給した事業主が、1年度内に連続20日以上の不妊治療休暇を対象労働者に取得させた 等
【不妊治療両⽴⽀援コースの支給額】
支給額 | |
(1)環境整備、休暇の取得等 | 30万円 |
(2)長期休暇の加算 | 30万円 |
出典:厚生労働省 令和5年度両立支援助成金支給申請の手引き
【2024年度新設】育休中等業務代替支援コース
育児休業等を取得する従業員が出ると、休業取得者の担当していた業務の割り振りや引き継ぎが大変です。場合によっては周囲の従業員の業務負担が不相応に重くなり、モチベーションが低下することもあるでしょう。
2024年1月から始まった「育休中等業務代替支援コース」は、休業取得者の業務のスムーズな引き継ぎを支援する助成金です。このコースには「手当支給等」と「新規雇用」があります。
手当支給等
育児休業取得者や育児短時間勤務制度の利用者が担当していた業務を、社内の他の従業員に手当等を支払い、代替させた場合に助成されます。
- 休業取得者や業務代替者の業務の見直し・効率化を行った
- 休業取得者が7日以上の育児休業を取得し、その間、他の従業員に業務を代替させた
- 業務代替について、手当等による賃金増額をした
- 休業取得者を元の仕事等に復帰させた 等
「手当支給等(育児休業)」には、有期雇用労働者加算と情報公表加算があります。
「有期雇用労働者加算」は休業取得者が有期雇用労働者の場合に、「情報公表加算」は、厚生労働省のサイト「両立支援のひろば」に自社の育児休業取得状況等を公表した場合に、それぞれ助成金に加算されます。
- 短時間勤務制度の利用者や業務代替者の業務の見直し・効率化を行った
- 短時間勤務制度を、制度利用者が1ヶ月以上利用した
- 業務を代替した従業員に、手当等による賃金増額をした 等
新規雇用
育児休業取得者の業務を代わりに行う従業員を、新たに雇い入れた場合に支給されます。
- 代替従業員を新規雇用した(または新たな派遣労働者を受け入れた)
- 休業取得者が7日以上の育児休業を取得し、その間、代替者が業務を代替した 等
なお、新規雇用(育児休業)にも、有期雇用労働者加算と情報公表加算があります。
【育休中等業務代替支援コースの支給額】
支給額 | |
手当支給等 (育児休業) |
業務代替整備経費 休業取得者1名あたり5万円 (1ヶ月未満のときは2万円) |
業務代替手当 支給した手当総額の3/4 (プラチナくるみん認定事業主は4/5) |
|
有期雇用労働者加算 10万円/1人 | |
情報公表加算 2万円 | |
手当支給等 (短時間勤務) |
業務代替整備経費 休業取得者1名あたり2万円 |
業務代替手当 支給した手当総額の3/4 | |
有期雇用労働者加算 10万円/1人 | |
情報公表加算 2万円 | |
新規雇用 (育児休業) |
育児休業取得者1名につき、代替期間に応じ9万円~67万5000円 (プラチナくるみん※認定事業主は11万円~82万5000円) |
有期雇用労働者加算 10万円/1人 | |
情報公表加算 2万円 |
※「プラチナくるみん認定」とは、より高い水準の子育てサポート企業としての厚生労働省の認定制度です
出典:厚生労働省・都道府県労働局 両立支援等助成金(育休中等業務代替支援コース)支給申請の手引き(令和6(2024)年1月版)
両立支援等助成金の準備・申請の流れ
両立支援等助成金申請前に準備すべきこと
まずは申請前に準備すべきことがあります。以下の流れに沿って取り組んでみましょう。
-
- 自社の現状を調べ、問題点を把握する
- 自社の状況に合致する休業制度や両立支援制度等を設け、就業規則等に明記、従業員に周知する
- 各コースの措置(個別プランの作成、育児休業等の取得など)を実施する
- 支給申請する
なお、コースによっては「一般事業主行動計画※」を策定し、労働局へ届け出ておく必要があります。
※一般事業主行動計画とは、仕事と育児が両立できる環境づくり等に会社がどのように取り組むかの計画のことです。現在、従業員数100人以上の会社には、一般事業主行動計画の策定・届出・従業員への周知が義務付けられています。
両立支援等助成金申請のおおまかな流れ
両立支援等助成金を申請する流れを「育児休業等支援コース(育休取得時)」の例で説明します。
出典:厚生労働省 令和5年度両立支援助成金支給申請の手引き
-
- まず、育児休業制度等について、就業規則に規定し、所轄労働基準監督署に届け出ます。従業員への周知も忘れてはいけません。
- 次に、育児休業を取得する従業員と面談したうえで、個別プランを作ります。そして、休業予定の従業員が担当していた業務について、プランに基づく引き継ぎをします。
- その後、従業員に3ヶ月以上の育児休業を取得させ、支給申請を行います。
以上が「育児休業等支援コース(育休取得時)」の例ですが、他のコースも概ね同じ流れになります。
両立支援等助成金申請時受給の注意点
両立支援等助成金を申請するときには、注意する点や意識しておいた方がよい点があります。
普段から適切な労務管理を心がける
両立支援等助成金をはじめとする雇用関連助成金の申請には、多くの添付書類が必要です。よく添付する書類には、出勤簿(タイムカード)、労働者名簿、賃金台帳、労働条件通知書などがあります。
このような書類は、日頃から几帳面に調整し、保存しておくことが大切です。法令で記載事項が定められている書類については、正しいフォーマットを使って整備しましょう。
また、就業規則は法令に沿った内容にしておかなければなりません。両立支援等助成金に関係の深い「育児介護休業法」は改正が多いため、時おり改正をチェックし、最新の状態に整備する必要があります。
従業員に周知する
従業員の育児・介護等に対応する会社の姿勢を整え、休業制度や短時間勤務制度、費用補助制度などを作っても、従業員に公開しなければ意味がありません。また従業員への適切な周知は、両立支援等助成金の受給要件でもあります。
周知の方法は、社内回覧や書類の配布、メール添付での送信、イントラネットへのアップなど、自社に合った方法で構いません。せっかく作った制度を従業員に知らせ、必要に応じて活用してもらいましょう。
なお、周知した旨やその日付がわかるよう、記録を取っておくことも重要です。社内に配布する書類には必ず日付を記入するなど、普段から心掛けておきましょう。
助成金受給までにはタイムラグがあるためは早めの準備が肝心
両立支援等助成金は、準備開始から助成金の受給まで、長い時間がかかります。
育児休業等支援コースを例に取ると、女性従業員が子の1歳到達まで育児休業を取った場合には、出産から支給申請まで少なくとも1年3ヶ月の期間を要します。
そして支給申請をしても、審査期間があるため、すぐに助成金が振り込まれることはありません。また、不支給になる可能性もゼロとは言い切れません。
そのため、助成金が必ず受給できると考えないことも、一つのリスク管理でしょう。
そして「うちの会社では、今のところ育児休業を取りそうな従業員はいないな」と思うときでも、各種労務書類の整備などは始められるものです。
いざ育児休業取得予定者等が出現すると、急に予定が立て込んでくるため、普段から意識して制度や書類の管理をしておきましょう。
まとめ・中小企業こそ従業員の働きやすい環境整備に両立支援等助成金を活用しよう!
両立支援等助成金は、育児や介護、不妊治療等に直面した従業員が継続して働けるよう、雇用環境を整備した事業主に支給されるものです。
2024年1月現在、出⽣時両⽴⽀援コース・介護離職防⽌⽀援コース・育児休業等支援コース・不妊治療両立支援コース・育休中等代替支援コースの5つがあります。
両立支援助成金の申請をするメリットの一つはもちろん助成金受給ですが、受給に向けて制度づくり等をしていくことで、従業員の定着率アップや優秀な人材確保といった更に素晴らしいメリットも得られます。特に中小企業のみ対象である助成金は、比較的受給しやす傾向にあります。
ただ、両立支援等助成金の受給は必ずしも容易ではなく、様々な条件をクリアしなければなりません。しかし各種の休業・休暇制度や代替要員の整備体制などを調整していくことで、結果的に従業員が安心して働ける雇用環境が構築されるでしょう。
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(編集:創業手帳編集部)
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