社会保険は「強制加入処分」を受ける前に正しく加入すべし!

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社労士直伝!人材配置の適正化や補助金を活用し、社会保険料を無理なく納付

(2016/12/13更新)

「社会保険」は、原則として事業を行う全ての法人に加入義務が課せられています。それにも関わらず、資金繰り等の理由から、未加入の中小企業も少なくありません。しかし、近年では社会保険未加入企業への取締りが年々厳しくなっています。今回は、社会保険の未加入リスクと、加入するべきタイミング、社会保険料を正しく納付するためのキャッシュフロー改善策についてお伝えします。

最も避けるべき「職権による強制加入」

法人ナンバー制度の導入や年金事務所の体質改善等により、近年では、社会保険未加入企業への加入勧奨事例が多くみられます。

加入勧奨から段階を経て、職権による強制加入となった場合、最大2年まで遡って社会保険に加入し、過去未加入分の保険料も納付しなければなりません

しかし、職権により強制加入をさせられる前に、企業が自主的に社会保険へ加入した場合、保険料は遡って請求されず、加入時から保険が適応されるという恩恵的な措置をとってもらえることがあります。(あくまでも実務上の運用であり、個々の事案によっても異なるので、一律にそうなるとはいえませんが)

そこで、まだ社会保険に加入していない中小企業は、「社会保険の遡及加入による潜在的なコストリスクを下げるためには、職権による強制加入させられる前に自主加入する」ということが現実的な選択肢になるでしょう。

自主加入を決断する際、企業にとってネックとなるのが、月々の社会保険料の支払い義務です。

社会保険料によるコストアップは、多くの企業にとって、社会保険に加入することを敬遠する要因となっています。

しかし、会社に社会保険が適用されたからといって、全ての役員や社員が社会保険の加入対象となるわけではありません。

役員は全員加入ではない

会社の役員は原則として、社会保険に加入する義務はありますが、以下の2つのケースでは加入の対象外となります。

第1は、役員報酬が出ていない場合です。社会保険料は、一定のルールに基づいて「標準報酬月額×保険料率」という計算式で求められますが、経営上の理由等で役員報酬を出していない場合は、社会保険料の対象とすべき標準報酬が0ですので、社会保険の適用除外となるのです。

第2は、報酬が出ている場合であっても、その役員が「非常勤」の場合です。中小企業では、社長の配偶者や子供、親族などが役員になっているケースも多いですが、「取締役会に出ているだけ」とか「週2,3日来て、アドバイスや経営の補助的なことをしてもらっている」というような実態であれば、社会通念上「非常勤」ですので、このような非常勤の役員まで社会保険の加入対象とする必要はありません。

適材適所な雇用形態

従業員については、正社員およびフルタイムの契約社員、正社員の概ね4分の3以上の勤務日数、勤務時間で働くパート・アルバイト社員を社会保険に加入させる義務があります。

例えば、週40時間勤務するフルタイムパートの方は、当然社会保険の加入対象となります。

しかし、「適材適所」という考え方に基づけば、誰にでもできる簡単な業務であれば、フルタイムパートの方を、週20時間勤務の短時間パート社員2名に置き換える選択肢があります。

会社としては、同じ40時間分の工数を確保し、社会保険料の負担はゼロになります。

助成金で社会保険料を賄う

誤解して頂きたくないのは、上記の方法の場合、決してフルタイムパートの方をリストラすることを推奨しているわけではない、ということです。

フルタイムパートの社員は、ある意味正社員に近い感覚で勤務されている方が多く、会社にとって頼もしい存在です。

ですから、より高度な仕事にチャレンジして頂き、正社員に転換することが現実的な選択肢となるでしょう。

その場合、「キャリアアップ助成金」という助成の対象になります。

この助成を申請した後、正社員になるための訓練としてOJT等を行った場合、1時間800円の時給が補助されます。

また、実際に正社員に転換した場合には、1人につき60万円の助成金が会社に支給されます。

まとめ

以上のように、社会保険の加入を逃れるのではなく、会社の実態を正しく把握した上で、年金事務所から職権で強制加入させられる前に、自主的に加入することが重要です。

また、助成金を上手に活用することで、キャッシュフローの改善が可能になることを覚えておいてください。

社会保険の加入準備や、助成金の申請については、是非短近な社会保険労務士に相談されることをお勧めします。

年金事務所も社会保険加入の手続きを教えてくれますが、あくまでも事務手続きの窓口としてのアドバイスですので、時間をかけてゆっくりと相談することは難しいかもしれません。

企業にとってベストな選択肢を提案し、アドバイスができる専門家、社会保険労務士に相談しながら、社会保険の加入を進めてください。

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(監修:特定社会保険労務士・CFP
あおいヒューマンリソースコンサルティング代表 榊裕葵(さかき ゆうき)
(編集:創業手帳編集部)

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