攻めも守りも!無印良品をV字回復させた、みるみる業績が上がる「戦略」マニュアルの作り方

創業手帳

業績・採用の悩み、マニュアルで解決できます

(2017/06/27更新)

会社ができ組織ができると、まず必要なのが「マニュアル」。マニュアルというと、「マニュアル人間」という言い方などで、少しマイナスなイメージがありますが、一方で世界的な企業では業務標準があるのは当たり前で、日本でも多くの企業では、マニュアルによる標準化と、改善が繰り返されています。
例えば、マニュアル無きホスピタリティ企業として名高い会社(スターバックスなど)でも、接客マニュアルは「臨機応変にするべき」という理由で作られていませんが、業務マニュアルは詳細なものがある、というケースが多くあります。マニュアルがあることで、会社の業務の改善が進み、売り上げアップと、コスト削減・組織強化・リスクヘッジなど守りも強化されます。日本企業ではまだまだ進んでいないマニュアル化、だまされたと思って、やってみてはどうでしょうか?

今回は、多数の会社のマニュアル作成に関わっているマニュアル作りの専門家、株式会社2.1(にてんいち)の中山社長にお話を伺いました。

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中山 亮(なかやま りょう)
 
株式会社2.1 代表取締役
長崎大学大学院修了後、株式会社アルファシステムズに入社。SEとしてシステム開発に従事。
その後、株式会社リクルートに入社。住宅情報誌の提案営業に従事しMVP受賞。
ヘッドハンティングにてプルデンシャル生命保険株式会社に入社。
業界上位1%の営業マンに贈られるMDRTの称号を獲得、営業所長に就任。

キャリアをとおして、完成されたマニュアル・教育の仕組みを学ぶが、多くの企業に戦略的なマニュアルが無いことに気づき、2014年、マニュアル整備により企業のマネジメント支援をおこなう合同会社2.1(現 株式会社2.1)を創業。

リクルート、プルデンシャルはなぜ強いのか?秘密はマニュアルの徹底的な運用にあり

自分は今、株式会社2.1の代表をしています。組織の徹底的なルール化と知識共有の仕組み化で、企業の組織マネジメントを支援する会社です。

起業前に様々な企業で働いていましたが、その中でも人材のトップ企業であるリクルート、北米最大級の保険会社であるプルデンシャル生命では、「ここまでマニュアルが使われているのか」と思い、その効果と運用のコツを実感してきました。

リクルートもプルデンシャルも徹底的なマニュアル化をします。
それが成長、利益を支えている仕組みの一つだと思います。

マニュアルと聞くと、アルバイトの単純作業を思われがちです。ですが、我々がやっているのは、経営コンサルや広告代理店、コンサルなどの知的産業。今まで日本では、マニュアル化が無理と思われているような、コンサルのマニュアルなど属人性が高くて無理そうな領域のマニュアルを多数作っています。

つまり、マニュアル=単純労働ではなく、高度で知的な産業にもマニュアルによる標準化が必要な時代になってきているのです。

無印良品をV字回復させた松井名誉顧問から学んだこと

業務上の経験では、無印良品の松井名誉顧問からマニュアル作りを直接教わり、大きな勉強をさせて頂きました。

無印良品の松井名誉顧問は、もともと人事畑の方です。つまり業務の標準化や店舗の違いに敏感なポジションにいました。
社長に就任した直後にやったのは店舗でバラバラだった運用をマニュアルにし、徹底的な仕組み化と改善をすることでした。

その結果、見事な業績V字回復を果たしました。
マニュアル、そしてマニュアルを元にした業務の改善がその復活を成し遂げた原動力と言えるでしょう。

なぜ無印がV字回復できたのか?成功するマニュアルの運用法

経営で議論されても、なかなかマニュアルが実現しない、浸透しない、ということが起こります。
それはなぜでしょうか。
それは下記のような問題に集約されます。

よくあるマニュアルの問題
  • 会社を辞める前に離職者が作る
  • 形式上必要
  • そもそも作成されていない
  • 作ったが使われていない

よく会社を辞める直前に引き継ぎ書的に作る、というケースがあります。でも、それで良いマニュアルができると思いますか?

結局、マニュアルはノウハウを持っている一番忙しい人、そして改善をしていく、これから会社を良くしていく、という前向きな「熱」を持った人がやらないと良いものは作れないと思います。

そのため、マニュアルはその会社で、一番ノウハウを持っている人が主導して書いていくことが求められ、それは経営側のコミットや現場の理解が必要です。

そして「マニュアルが上手くいかない」理由を①作成と、②運用の問題に分けて考えて見ましょう。

マニュアルの問題・その1・作成が上手くいかない理由
  • 必要性を感じていない
  • 作っている場合じゃない
  • 作り方が分からない

まず「必要性を感じていない」ですがマニュアルが必要でなかったとしても、こう考えてみましょう。

利益や成長は必要ですよね?継続的な利益や成長は何からもたらされますか?それは、仕組み化と改善です。
仕組み化と改善にマニュアルは不可欠ですよね。
そう説得してはどうでしょう。

そして、多いのは「忙しい、作っている場合ではない」という声です。
もっともらしく聞こえますが、マニュアルが無ければ効率化が進まず、分権も進まないので、いつまでたっても忙しいでしょう。
どこかでマニュアル作成と改善を進めないといけないのです。

マニュアルの問題・その2・運用がうまくいかない理由
  • 作ったが行動に移せない
  • 使わなくても怒られない。運用されない。
  • 内容が古い。ゆえに使われない

マニュアルの問題は「作ったけれども活用されない」ということが往々にして起こります。
そして更新がされないと古くなりますます使われなくなる、という悪循環に陥ります。
マニュアルで重要なのは、運用がトップのコミットと現場の理解のもと、徹底的に、定期的に更新していく運用の部分です。

伝わるマニュアルを作るために

マニュアルを作らないと個人の常識に頼った運用になります。
常識は個々に違います。立場、経験、育ち方が違うからです。

「常識とは18歳までに身につけた偏見のコレクションである。」とはアインシュタインの名言です。

集団で仕事をする以上、個人に依存した常識だけで仕事はできません。共通項があるべきです。
個々人の常識を統合するのがマニュアルともいえるでしょう。

そして、マニュアルが「伝わる」とは「再現できる」状態にすることでもあります。
往々にして、詳細だけ書いて、目的が無いと全くおかしなことになるケースもあります。

マニュアルには5大要素として、

①目的(心得)
②結果の期限
③結果の状態
④行動(手順)
⑤行動(詳細)

などがあります。
これらの項目をフォーマット化して、網羅することで、より「伝わる」「再現できる」マニュアルになっていきます。

マニュアルの定義とは、「目的に応じた行動が明示され」「求められる結果を、誰もが再現できる」ルール、ツールと言えるでしょう。

マニュアルの効果としては、

①工夫の共有
②正確な習得と検証
③業務のグーグルになる
③ムリムダムラに気づく。改善効果
④思い込みに気づく
⑤現場力が鍛えられる
⑥経営の思想や期待の共有

などの効果があります。その効果があるマニュアル作りと運用はやらない手はないはずです。

無印良品のマニュアルはココが凄い

無印良品は、もともと他にないコンセプトで大躍進しました。
しかし、好調だったのがある時大赤字に。異変に対して指揮を執ったのが、松井忠三社長(当時)。人事畑からの昇格でした。
社内を人事の目で見て、課題を把握していた松井社長が、まずやったのはマニュアル化です。
松井社長の就任前、各店舗は店長のやり方でやっていたのでバラバラでした。それを無印良品は徹底的に統一したのです。

無印良品のマニュアルの内容は、

・店舗で使う muji gram(2000ページ)
・店舗開発や本社などで使用 業務標準書(8000ページ)

に分かれます。
これらのマニュアルを徹底的に運用して、改善をし、無印良品は見事なV字回復を果たしたのです。

マニュアル整備のねらい

マニュアル整備の狙いとしては、

①あらゆる仕事のうまくいく法則をみつけ標準を共有
②商品のネーミングを説明することで会社の理念を共有
③仕事の迷いを減らし、効率化。
④印象や勘で判断するのを防ぐ。勝ち続ける判断基準を共有。

があります。
無印良品では、毎月、mujigram化し、月末に業務連絡を発行。改善、報告、経営で承認、というルーティンを繰り返しています。

無印のケースでは、どのような効果があったのでしょう?

経営面
  • 大赤字から、わずか1年で増益に転じる
  • 2005年には経常利益、過去最高。
現場
  • 問題や改善点が毎日発見される
  • 毎月改善、印刷配布は年4回
  • 仕事の進め方がブラッシュアップされる
  • 改善点が無いか、社員が常時探す状態になる

これだけの成果が出たわけです。標準があるから改善できる、ということですね。

採用、人材開発でもマニュアルは役立つ

いまはなかなか優秀な人材が集まらない、辞めていく、ということが大手企業でさえも起こります。
中小企業、ベンチャーはなおさらです。
また、教育は簡単ではなく「言えばわかる」、「勝手に成長する」ということはないです。
よく、上に上がっていくのは2割、8割の社員は変わっていかない、ということも言われます。

人を育てる、動かす仕組み、勝てる法則を浸透させるのがマニュアルです。
なので、マニュアルで、普通の人材に、優れた仕事をしてもらう、早期に戦力化する、そして、採用の仕組みとしてのマニュアルがあることで、人材育成が整った会社、とみなされて採用がしやすくなる傾向があります。

マニュアルでできること
  • 業務の整理:共有、引継ぎ、ミスゼロ、無理無駄ムラの削減
  • 人材採用育成:基礎習得、レベルアップ、早期戦力化、採用、採用のPR(教育のPR。育てる仕組み)→内定辞退率下がる
  • 規模拡大:運営のシンプル化、FC展開、代理店
  • 企業文化の醸成:理念浸透、愛社精神、人事評価、PDCA

などがあります。

マニュアル導入のコツと流れ

マニュアル導入の流れは、

作成 ルールの見える化・ルール化

活用 共有の仕組化

更新 改善の習慣化

になります。
マニュアル整備のコツは、スケジュールが一番大事。
絶対ではないため、ノンコア業務のため後回しにされることが多く、スケジュールを切ることが成功の上では重要です。

毎日札束を捨てている!?マニュアルを作らないのはノウハウという財産を捨てている

自分はリクルートにいましたが、よく営業系の会社で多いのが、「今日の提案は刺さったな~」というシーン。
でも、そんなときでも、その刺さった提案を、メモしている人は少ないです。

もし、個人的にやっていたら優秀な方でしょう。でも普通は多くの人は記録しないのです。
そしてマニュアル化されずに、ノウハウという貴重な知的財産が捨てられていくのです。

メモを取る(やっていたら良い方)

マニュアル化する ほとんどいない(やっていたらかなり優秀な人)

マニュアルを何度も読み返す (このあたりから皆無。)

マニュアルを常時、全員で更新して、徹底する

会社の知的財産として形成していく

というように、マニュアル活用の度合いが進んだ会社になりたいものです。
やらないと知的財産を捨てているわけですから。

また、事業承継でマニュアルを守らない人がいる、とよく相談を受けることもあります。
それは、マニュアルの問題ではなく、経営の問題で、それで経営大丈夫ですか?と言いたくなります。
後輩がマニュアルについて先輩に聞いて、守らなければ、守らない人に引っ張られます。
そうなると組織は崩れていきます。

保険会社でも売れる営業、売れない営業だと9:1ぐらい成果が違うのですが、売れる営業マンが従わないということがよく起こります。そういうのも上から、根気よく浸透させていく、ということが必要です。
プルデンシャルのようにマニュアル検定を定期的に課すという方法もあります。

内定辞退も減らすことができるマニュアル整備

ここで、弊社のクライアントの成功事例をお話ししましょう。
その会社は社員、数十人の不動産会社です。課題は、離職率の低下と、新卒教育でした。
なにしろ、新卒で内定を出しても、敬遠されて、多くが内定辞退になってしまう。

その状況に対して、
①初期教育マニュアル
②営業マニュアル(市場状況、スキル、顧客種別、システム利用方法、TELアポから契約までの心理フロー、書類記入例など)
③理念、クレド、行動指針
の整備をお手伝いしました。

業務、業績の改善はもちろんされましたが、大きかったのは、長年の悩みだった内定辞退が大幅に低下した事。
きっちり教育ができる体制にある会社であることをPRしたのが功を奏しました。
採用費用や、売上上がらない事、無理やりコストを減らすぐらいであれば、まずはマニュアル作りと運営、そして本当の目的である改善や教育に着手してはどうでしょうか?

ベンチャーがマニュアル作りで注意するポイント

「マニュアルを作る段階ではない」という話をする方がいます。例えば、営業マニュアルは欲しいけどまだ成約率に改善の余地があるから、マニュアルにするのは早い、と。まだ基盤が固まっていないベンチャーの方に多いのかもしれません。

正確な改善するのに必要なのが、見える化とルール化=マニュアル化です。
マニュアル化して、その通りにやってみて、もっと改善するにはどうしたらいいか?という検証は、マニュアル化するからこそ正確にできるんです。

さらに、従業員数が増えると個人に任せるものが増えていき、ルール化しにくいという傾向があります。
マニュアルを作るなら、より早く、より人数が少ない時に行いましょう。

社員の数とトラブルの数は比例する

弊社には、上場直前期の企業や大手企業からのマニュアル整備を依頼いただきますが、皆様口をそろえて「早めにしておけばよかった・・・」とおっしゃいます。
また、一見勢いがあって上り調子に見える会社でも、屋台骨が弱く、たとえ売上があがっていても押せば倒れそうな組織と、我々は立場上非常に多く出会います。

社員の数とトラブルの数は比例します。
組織にとっても社員にとっても働きやすい就業環境はルール化(マニュアル化)で実現できます。そのマニュアルがトラブル回避に大いに役立つのです。
是非一度、自社の足元を見つめる機会を作られることをお勧めいたします。

(監修:株式会社2.1 代表取締役 中山 亮(なかやま りょう))
(編集:創業手帳編集部)

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