税務調査入門 -本当にあった怖い税務調査の話!

資金調達手帳

はじめて受ける税務調査の対応・準備・注意点は?

税務調査入門

(2014/2/9更新)

会社を経営していて、嫌なのが税務調査だ。突然やってきて、疑いの眼で会社の帳簿などを見て、税金をちゃんと納めているか確認していく。

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なにもやましいことはないのに、心が落ち着かない。税務署は(難癖をつけては)追加の税金を納めるように言ってくる。自分ではちゃんと納税をしているつもりでも、思わぬところで足をすくわれるのだ。

今回は、突然やってくる税務調査に恐れず自信をもって対応できるように、税務調査の準備や対応方法の注意点について、渋谷税理士法人中村剛士氏に話を聞く。

そして最後に、創業手帳編集部スタッフが過去に体験した恐怖の税務調査を振り返ってみよう。

税務調査とは?

税務調査とはそもそも何か?

我が国の税制は『申告納税方式』が採用されているものが多い。申告納税方式とは『自分で税金を計算し、納税すること』をいう。

自分で計算する以上、売上げの数字を少なくしてしまえば脱税は簡単にできてしまう。また、意図的でなくても勘違いや見間違いなどで数字にミスが出るのは仕方のないことだ。

以上のように、全ての会社が税金の金額を適正に計算しているとは限らない。したがって、会社が行う計算が法律に則って適正に申告されているかを税務署側で調査する必要がある。これが『税務調査』だ。

税務調査の対象

税務調査の対象は、事業を行っている限り総ての法人が対象となる。そして納税者には税務調査の受忍義務(取調べに応じるべき法的義務)があるため、税務調査を避けることはできない。

税務調査の対象期間

現状では、税務調査の証拠となる領収書や契約書は、原本を原則7年間保管する規制があり、保管が大変面倒だ。しかし、政府は規制を緩和してそれらの電子保管を容認する方向で動き出している。

税務調査で調査される期間は、通常は過去3年分だ。しかし、大きな問題が見つかると過去5年(一部の特別なケースでは7年あるいは9年)に遡って調査される。

領収書の電子保管を容認
企業の税務調査、来年にも規制を緩和

政府は税務調査の証拠となる領収書や契約書の原本を原則7年間保管するよう企業に義務付けた規制を2015年にも緩める方針だ。3万円以上の場合に紙のまま保管するよう求めていたが、スキャナーで読み取って画像データを保存すれば原本を捨てられるようにする。

(中略)

これまでも3万円未満の場合に限ってスキャナーで読み取れば原本の廃棄を認めている。ただ、3万円以上と別々に処理するのが面倒なため、すべての書類を紙のまま保管する企業が大半だ。

(中略)

領収書や契約書を受け取ってから速やかにスキャナーにかけることや読み取った日時がわかるように記録することなども求める。画像データは現在の紙の領収書などと同様に7年間の保存を義務付ける。

(後略)

(日本経済新聞 2014/11/5朝刊より引用)

規制が緩和されてデジタルデータでの保管が可能になれば、税務調査に備えて書類を保管する物理的スペースや手間が簡単になるだろう。

税務調査の種類と時期・期間

一般的に『税務調査』と呼ばれるものには2種類ある。『強制調査』と『任意調査』である。

強制調査の時期

強制調査イメージテレビドラマやニュースなどで何十人もの人間がいきなり会社に立ち入り、段ボールに資料を詰めて運び出していくシーンを見たことが無いだろうか?『税務調査』といえば、あのシーンを想像するかもしれないが、あれは『強制調査』である。

決まった時期や期間サイクルが無いので予測が難しいが、強制調査は多額の脱税をしていない限りは滅多にやってくるものではない。

任意調査の時期

これに対し、数年(一般的には3~4年)の期間サイクルでやってくるのが『任意調査』である。任意調査の場合は税務官が1人ないしは2人でやってくる場合が多い。また、強制調査と違い、事前に連絡があり、スケジュール調整することも可能だ。

仮に、事前連絡なしに調査官がやってきた場合には、次の質問をしよう。

「強制調査ですか?それとも任意調査ですか?」

強制調査だと言われた場合には、顧問税理士か顧問弁護士に連絡をとるくらいしかできることがない。

一方で、任意調査だと言われた場合には「スケジュール調整をしたうえで連絡するので、今日の所はお帰り下さい」と言ってしまって大丈夫だ。その場で、少しだけでも見せてくれないかと食い下がってくる場合もあるようだが、一旦全て拒否してしまってスケジュール調整してから調査を実施するのでも構わない。

税務調査の期間

税務調査は通常は2日程度かかる。受忍義務(取調べに応じるべき法的義務)があるため、税務調査そのものを避けることはできないが、任意調査であれば、スケジュール調整は可能なのである。

創業期に受ける税務調査の準備・対応と注意点

税務署は税金が安くなる方法を教えてくれますか?

創業したばかりのときは『やれることは自分でやる』といって営業から経理・総務まで一人でやってしまう経営者が多い。創業期は資金的にも不安で、なるべくコストカットしたいという気持ちがはたらくし、取引規模も小さく数字の把握も容易なため、税理士を付けずに自分でやることも可能かもしれない。

しかし、知識が不足した状態で作成した帳簿では、たとえ意図的に悪意がなくても様々な指摘を受け、泣く泣く追徴課税で税金を支払うような事態になりかねない。

税務署は税金が安くなる制度は教えてくれないが、税金を取ることには容赦がないのである。『コストカットのつもりが、かえって割高になってしまう』というリスクを認識しておかなければならない。

税務調査の準備や対応は顧問税理士とともに!

税務調査の準備や対応における顧問税理士のサポート多くの経営者は、本業に関しては大得意だが経理・総務といった裏方の仕事には疎いものだ。ましてや税金関係ともなると『本業に支障ないし、よく分からないから後でいいや』となってしまい、結局必要な手続きを失念しているケースがある。

【関連記事】会社を作ったら最初にやっておくべき税金・納税の申請手続き

これでは起業間もないキャッシュが厳しい時期に受けられる税金の優遇制度も受けられない上に、後年税務調査が入った場合にも自分で対応しなければならなくなる。

税理士を付けていれば、必要な手続きも適正な計算もやってもらえるのはもちろん、税務調査にも立会ってもらうことができる。不必要な税金を支払うことも防げるだろうし、専門家のサポートは税務調査のときに心強い。

このように、税務調査におけるリスク回避の意味でもコストカットの意味でも、創業期から顧問税理士を探しておくのがベストだろう。

実録!本当にあった怖い税務調査の話

いつかやってくる恐怖の税務調査。実は、創業手帳の編集部関係者にも以前の職場で任意調査の税務調査に立ち会った人間がいる。創業後のはじめての税務調査ではなかったが、税務調査の注意点を押さえておくために参考としてを紹介しておこう。

1. 任意調査の連絡がきてビビる

税務調査が入る旨の通知が税務署から来てからが大変だ。スケジュールを調整して、税務調査の日程を決める。

やましいことが無いはずだが、何となく心は穏やかではない。そうかと言って、いつまでもビビッている訳にはいかない。実際に税務調査がやってくる日まで、前回の税務調査から今回の税務調査までの全取引を経理と共に、全て見直していかなければならない。

2. 取引の証拠になる書類を揃えるためにウンザリする

取引の証拠になる書類を揃えるためにウンザリするイメージ税務調査で見られるのは、入出金が妥当なものであり(不正なものではないか)、調査員から取引に聞かれた場合、その説明ができるかどうかだ。また、その収益や経費が妥当な項目として決算に計上されているかもチェックされる。

そのため、お金の収支に対して、説明ができる文書が全てそろっていなければならない。少なくとも、契約書は必要になる。支出に関しては、さらに請求書とその契約に対して分かる成果物もある方が良いと言われる。収入に関しても、請求書のコピーと成果物のコピーがあると良いようだ。

これらの契約書や請求書には必要な金額の収入印紙が貼られていなければならないので、チェックも必要である。

これらの準備をするのにウンザリする。

3. 退職した前任スタッフが必要書類を残しておらず恐れオノノく

税務調査が入ると分かってから、経理と共に、必要な書類の有無を確認していったのだが、頭がくらくらすることが多数発覚する。経理で保管しているはずの請求書や契約書がない取引が多数見つかったのだ。すでに退職してしまった当時のプロジェクト担当者が経理に渡していなかったのだ。

4. 前任スタッフの残した書類をかき集めてゲッソリする

物流センターに通い、暑い物流センターで汗だくになりながら辞めた前任者が残していった書類などをすべて確認する羽目に・・・。

そこから契約書や成果物のコピーが発見できれば良い方だった。見つかるのは、仕事を請けたと思われるメールがプリントアウトされた紙(日付や差出人が書かれているので、あるだけマシ!)、最終提出前の成果物のコピーの山。

調査員に突っ込まれたら、なんとなく請けて、なんとなく成果物を出していたとしか答えられないものだらけ。

それでも、ないよりはマシということで、資料として用意をしておいた。

5. 結果としてはセーフ

そんな風が吹けば飛ぶような証拠を資料にして、税務調査当日を迎える。

結果は、追徴課税なしで切り抜けた。大きな契約については、契約書(収入印紙を慌てて張ったものがあったような)や成果物っぽいもの(最終報告手前のものを成果物と言い切った)などがそろっていたので、問題がなかったのかと思われる。

得られた教訓は、契約書、請求書、成果物は誰でもが分かるようにしておかないと、あとで痛い目に合うこと。この税務調査のときは、1週間ほど対応に付きっきりで、本業の仕事がほとんどできなかった。

取引が長く実績があって信頼のおける取引先だと、口約束で業務を請け負ってしまったり、仕事を発注してしまったりする。わざわざ契約書を結ぶのも面倒だと思ってしまう。しかし、それは絶対にしてはいけない。

このような業務委託や業務受託による入出金は、税務調査が入ったときに不正な契約ではないかと疑われてしまい、結果として追徴課税になってしまう可能性が高くなるのだ。

(監修:渋谷税理士法人 中村剛士
(編集:創業手帳編集部)

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