青色申告と白色申告の違い、それぞれのメリット・デメリットとは。

資金調達手帳

青色承認申請書を提出しメリットを最大限に享受しよう!

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個人事業者であれ、法人であれ、事業を行う以上は避けて通れないのが「確定申告」だ。

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この確定申告には2種類ある。起業家であれば「『青色申告』と『白色申告』くらい知っている!」という人がほとんどだろうが、これら2つの違いを詳しく説明できる人となると、一気に人数が減ってしまうのではないだろうか?

今回は、青色申告と白色申告の基本的な違いをまとめ、それぞれのメリットとデメリットを解説する。

そして、あえて冒頭で早々と宣言しておくが、創業手帳編集部としては「青色申告」を断然オススメする。

青色申告・白色申告の違いとは

正確に言うと「青色」と「青色じゃない」という区分になるのだが、この「青色じゃない」を「白色」と呼んでいる。これらの2つの違いは何だろうか?

答えは簡単で、「青色申告承認申請書」を税務署に提出し、承認を受けていれば「青色」であり、提出していなければ「白色」ということになる。

「青色」になるためには、税務署に対し「青色申告したいのですが…」とお伺いをたて、その後税務署から「青色申告でOKです」と、承認を頂かなければならないのだ。

当然、この承認申請には要件がある。それは「一定水準の記帳を行い、それに基づいて正しい申告をすること」である。

我が国の所得税・法人税等については、申告納税方式が採用されている。申告納税方式とは、納税者が自ら税金の計算を行い、その税金を納める方式である。

つまり「日々の取引を正確に記帳し、それに基づいて正しい申告をおこないます!」ということを税務署にアピールするのが青色申告承認申請ということになる。

ざっくりとしたイメージになるが、「几帳面に帳簿つける=青色」、「どんぶり勘定=白色」と考えると、イメージしやすいだろう。

青色申告書の承認の申請

青色申告書の承認の申請|国税庁のHP


青色申告と白色申告のメリット・デメリット

青色申告のメリット・デメリット

青色申告の承認を受けている場合、白色申告の場合に比べて、税務上様々な特典を受けることができる。この「税務上のおまけ」を受けられることが、青色申告の最大のメリットである。

では、デメリットは何か?

「実は・・・ありません!」

確かに「日々の取引を正確に記帳する」という点で、どんぶり勘定でOKな白色申告よりも大変なので、これがデメリットと言えなくもない。しかし、正確な帳簿を求めてくるのは何も税務署だけではない。

例えば、銀行で融資を受ける際には必ず財務諸表(損益計算書、貸借対照表など)又は試算表の提出を求められる。これらを作成するには日々の記帳の集計が必要であり、土台がどんぶり勘定では融資を受けることが難しい。

起業直後は、銀行融資を受けることは根本的に厳しいため、関係が無いと感じるかもしれない。しかし、ある程度事業が軌道に乗って銀行融資を検討するにしても、あらためて財務諸表を作ろうとすると、過去の「どんぶり勘定」の帳簿では役に立たない可能性が高い。

また、スタートアップ企業は、大手の企業と新規取引を開始する際も、信用調査のため財務諸表等を求められることも多い。やはり土台がどんぶり勘定では、あまりよい印象を与えることができない。

結局のところ、正確な記帳に基づく書類整備は、税務申告だけではなく、事業を行う上で必須の条件となる。「どうせ正確な記帳が必要になるのだから、ついでに青色申告の承認も出しておこう」という感覚で税務上の特典制度を利用できると考えれば、青色申告をやらない手はないと言える。
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白色申告のメリット・デメリット

一方で、白色申告のメリットは、青色申告と相対的に「日々の取引を正確に記帳する」作業の手間が省けるということだが、それ以上の積極的なメリットは皆無だ。

平成26年1月より、白色であっても青色と同レベルの記帳と帳簿保存が必要とされたため、どんぶり勘定も厳しくなっている。

では、デメリットはというと、「青色の特典制度の適用を受けられないこと」に尽きる。

青色申告の特典制度について代表的なものは後述するが、ここで一つエピソードを紹介したい。

ご夫婦2人で経営している蕎麦屋。繁盛していたが、シンプルな現金商売で、レジに入力していなければ売上を簡単に誤魔化せてしまう。ご主人は、売上を誤魔化して申告した。

後日、税務署が調査にやって来て、割りばしの数をカウントし、こう言った「仕入れた割り箸から、残っている割りばしを引くと〇〇食の売上があったと推計される。これに基づき□□円の売上があったと推計されるので、△△円の税金を納めなさい。」

 
青色申告の特典の一つに「推計課税の禁止」というものがある。青色申告する人は正確な記帳を行わなければならないので、基本的に「誤魔化す」ことはできないという前提に立っている。よって、税務署が勝手に税金を計算してはいけないということになっている。

一方で、白色申告の場合には、「どんぶり勘定」のリスク対策として、推計課税が禁止されていない。すなわち、白色申告は性悪説的に「誤魔化し」の可能性を前提としているのである。よって、税務署が調査にしたがって税金を再計算する場合があるということになる。

当然のことだが、申告方法によらず「脱税、ダメ、絶対!」であるが、「白色申告だったら税務に関していい加減に調整ができる!」と勘違いされている人も時々見かけるので、念のため。

ちなみに、このように意図的に売上を隠した脱税が露見すると、本税の他に「重加算税」という罰金を徴収される。また、申告してから露見するまでの期間に応じた「延滞税」という利息も徴収される。

青色申告でトクする特典(個人事業主編)

青色申告のメリットとして、ここでは代表的な特典を紹介していこう。

青色申告特別控除

青色申告特別控除

青色申告特別控除|国税庁のHP

いろいろな要件が設定されているが、真面目に記帳していれば、10万円又は65万円を利益から引くことができる。

ちなみに65万円を引くためには、真面目な記帳に基づいた貸借対照表と損益計算書を確定申告書に添付し、その確定申告書を提出期限(3月15日)までに提出することが必要である。

青色事業専従者給与

青色申告者の専従者給与

青色申告者の専従者給与|国税庁のHP

こちらも色々な要件が設定されているが、事業を手伝っている配偶者などの親族に対する給与が経費として認められる。

逆に言うと、要件を満たさないと経費として認められる額が大幅に減少するため、注意が必要である。

青色申告で得する特典(個人・法人共通編)

欠損金の繰越控除:損失を繰越しにできる

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除

青色申告書を提出した事業年度の欠損金の繰越控除|国税庁のHP

青色申告では、事業が赤字になってしまった場合、個人の場合は3年間、法人の場合は9年間赤字を繰り越すことができる。そして、翌年以降黒字になった場合には、これらを相殺することができる。これが「欠損金の繰越控除」である。

欠損金の繰越控除
 
申告方法によらず、税金計算上、赤字は切捨てとなり課税されない。一方で、翌年以降に赤字分を繰り越して翌年以降の黒字分と相殺できるかできないかで、翌年以降に負担する税金が大きく変わる。

表を見て欲しい。4年スパンで比較すると、利益の合計は同じでも、青色申告の方が税金の合計が1,275万円(= 4,335万円 – 3,060万円)少なくなるのがわかるだろう。

欠損金の繰戻還付:損失を繰戻しできる

欠損金の繰戻しによる還付

欠損金の繰戻しによる還付|国税庁のHP

赤字の場合のもう一つの特典制度が「欠損金の繰戻還付」だ。繰越控除は翌年以降の黒字と相殺することで税金を減額することができたが、逆に繰戻還付は、前年の黒字と相殺し、前年に収めた税金を返してもらう(還付を受ける)制度である。

先ほどの表の例では、1年目に納付した2,550万円のうち、2年目の赤字5,000万円に対応する金額の1,275万円(= 5,000万円 × 25.5%)の還付を受けることができる。

当然、前年が黒字であることが必要となるが、多少なりともキャッシュが戻ってくるので、該当する場合は検討してみる価値はあるだろう。

少額減価償却資産の経費処理

減価償却資産とは?

事業を始めるに当たり、机・棚・PC・車など、様々な備品(資産)を購入する場合が多いだろう。これらについては、買った時に経費にはならない。「時の経過にしたがって」徐々に経費になっていくのだ。すなわち、買った時に全額経費になるのではなく、何年かに渡り少しずつ経費にしていく。

このように、何年かに渡って経費化していくことを「減価償却」といい、減価償却の対象となるものを「減価償却資産」という。

例えば、車の場合、6年で経費化されるのが一般的である(新車の場合。使用目的や新車・中古車で年数が変化する)。

しかし、金額が小さいものを1つ1つ計算していくと手間がかかる。よって「単価10万円未満」のものについては購入時の経費としてよいことになっている。注意すべきは「単価」なので、9万円の机を20台購入し、180万円を支払ったとしても、全額経費としてもOKだ。

この10万円制度については、青色申告と白色申告で違いはない。また、大企業・中小企業も関係なく、全ての事業者が適用することができる。

少額減価償却資産の経費計上の特例

減価償却のあらまし

減価償却のあらまし|国税庁のHP

青色申告の場合、個人事業主と資本金1億円以下の法人限定だが、追加の特典として「単価30万円未満」のものについては購入時の経費として計上できるのだ。

ほとんどのスタートアップベンチャー企業にとって、創業時に購入するもので単価が30万円以上のものはそれほど多くある訳ではないだろう。よって減価償却をほとんど気にせず、「購入した資産 ≒ 経費」となるので、減価償却の処理を行う必要もなく、シンプルでスッキリする。

ただし、1点だけ注意がある。それはこの制度を使えるのは「年間300万円に達するまで」という制約がついていることだ。

例えば、単価29万円のものを11個購入すると319万円となるが、このうち300万円が経費となる訳ではなく、300万円に達する手前の10個分290万円が経費となることとなり、残りの1個については減価償却していかなければならない。

また、年間300万円なので、年の中途で開業した場合などは月割り計算なので、注意が必要だ。

例えば、9月創業なら、9~12月の4ヶ月間で、300万円 × 4ヶ月/12ヶ月 = 100万円までが経費として処理できる、といった具合である。

確定申告

青色申告承認申請書はいつまでに提出するの?

個人の場合

原則として適用を受けたい年の3月15日まで、新規開業の場合は開業後2カ月以内に提出しなければならない。

法人の場合

原則として適用を受けたい年度の事業年度開始の日の前日が提出期限となる。事業年度が4/1~3/31の場合には、前年度の3/31までに提出しなければならない。

設立事業年度の場合には、設立後3カ月または設立事業年度終了の日のいずれか早い日が提出期限となり、この場合は設立から青色申告することができる。

まとめ

今回は、青色申告と白色申告のメリット・デメリットを比較し、青色申告についてはスタートアップベンチャー企業には嬉しい様々な特典について話をしてきた。青色申告の特典を考慮すると、青色申告の申請は「出しておくに越したことはない」というのが「創業手帳」編集部の意見だ。

青色申告の申請手続き自体は簡単だが、会社設立時には青色の申請のみならず、様々な届け出を税務署や都道府県、市区町村に提出しなければならない。

よって、これらとあわせて効率的に青色申告の申請を行うためには、税理士に相談しながら進めていくのが確実な方法だろう。

(監修:渋谷税理士法人 中村剛士
(創業手帳編集部)

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