結局、商標登録すると何ができるの?起業家のための3つの答え

創業手帳

攻めでも守りでも大活躍!商標権の使い道を知ろう

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(2015/06/04更新)

商標登録ってよく聞くけど、登録したからって何ができるの?という方もいらっしゃいます。
商標登録はただのお飾りではなく、実際のビジネスにおいていろんな面で役に立ってくれるスグレモノなんです。

今回は、その中でも起業家として知っておきたい代表的な三つの使い道をお伝えしたいと思います。

使い道1 自社の商標を真似する企業に警告状を送る!

自社の有する商標権の範囲内で同一・類似の商標を使用する企業が出てきたら、その使用を止めるよう警告状を送ることができます。

たとえば、商標登録してなかったがために、その他社の使用を野放しにしておいたとします。
そうすると、消費者のうち一部の人たちは貴社の商品だと勘違いしてその他社の商品を購入してしまうかもしれません。

また、その他社が粗悪な商品に貴社商標を付けて販売したら、クレームの電話が貴社にかかってきてしまう可能性もありますよね。

よって、商標登録をしておいて、自社商品の模倣をする企業が現れたら警告状を送るなどして自社の信用を守っていく必要があります。

【裏話】警告状の効果ってあるの?

警告状は、通常であれば普段目にしない内容証明郵便によって送付されます。

応じなければ損害賠償等を求めるべく訴訟を起こす可能性がある旨記載されており、さらには弁理士や弁護士の職印が押してあるので、安易な気持ちで模倣してしまっただけのような相手には効果があると考えていいと思います。

使い道2 ライセンス収入を得る!

取り扱う商品・サービスにもよるかと思いますが、他社にライセンスを与える対価としてライセンス収入を得ることができます。

これは商標登録がなければ成り立ちません。
なぜなら、商標登録があるからこそはじめてその商品名・サービス名を独占できるのであって、商標登録していなければわざわざ貴社に使用の許可を取る必要はないわけです。

つまり、商標登録していないと勝手に同一・類似の商品名を使われて、お客様を取られてしまうおそれがあります。

逆に言えば、どこかからライセンスを受ける場合には、その商品名・サービス名が商標登録されているのか必ずチェックする必要があります。そうでないと大きな事業リスクを抱えることとなります。

【裏話】ライセンス収入ってどのくらい入ってくるの?

これはケースバイケースではないでしょうか。

まず、一年間など期間を区切った固定額の場合もあれば、売り上げに応じてその数%という比例方式もあります。

ライセンス料の最低ラインを決めておくミニマムギャランティを設けることもあれば、生産量に応じてロイヤリティを下げるという段階的レートを用いる場合もあります。

もちろん、ブランドの価値によってライセンス料率や額が変わってくるのは当然です。

逆に言えば、ライセンス契約の場において交渉力及び戦略が問われるということでもあります。
ライセンス交渉・契約の際には、少しでも有利な契約条件を実現すべく、弁理士や弁護士などの専門家の助言を受けることをお勧めします。

使い道3 自社の使用を担保する!他社の登録を防ぐ!

積極的な使い道ではありませんが、商標権は独占排他権ですので、自社の商標権の範囲内であれば自社商標の使用を独占することができます。
つまり、誰からも文句を言われることなく使い続けることができるのです。

そのことにより、自社商標に信用・評判が蓄積され、名前だけでも売れる=ブランド化することになるのです。

また、自社が登録している商品・サービスの範囲内であれば、他社は同一・類似の商標を登録することができません。

したがって、同一の範囲は自社で独占使用できますし、類似の範囲も基本的には使うことができます(他の商標権の類似の範囲にもあたる場合には使用できません)。

【裏話】商標の取り消しに注意

継続して3年間日本国内において登録商標を使用していない場合、不使用取消審判という手続きにより登録が取り消されてしまう恐れがあります。

どうすれば「使用している」と言えるのかが気になるところですが、類似の範囲でいくら使っていても不使用とされてしまいます。

それを回避するためには、登録商標と完全に同一か社会通念上同一の範囲内で使用する必要があります。

ここの判断はやはり難しいので、登録商標と似ているけど異なる商標を使用していて気になる方は弁理士に相談してみることをお勧めします。

まとめ

以上のように、商標権があれば自社の大事なビジネスを守りつつ、ライセンスなどの形で攻めていくことも可能になります。

このような万能の武器兼防具が1年間1万円ちょっとの費用で手に入るのですから、まだ自社の商標を登録していない起業家の方は、信頼できる弁理士に相談して商標登録について検討してみることをお勧めします。

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(取材協力:「ベンチャー支援・外国商標・マドプロに強い商標専門事務所」
フルブルーム国際商標事務所
 髙橋伸也 弁理士)
(編集:創業手帳編集部)

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