「一緒に仕事がしたい!」と思わせるプレゼン術で「思い」を100%伝える

創業手帳
※このインタビュー内容は2014年12月に行われた取材時点のものです。

英語プレゼンの講師として活躍中のアーティスター代表 伊藤 ゆうさんインタビュー

グローバル化が進み、取引先が海外の企業であることも珍しくなくなった現代。英語で自社の商品やサービスの良さを的確にアピールできるとしたら、それは確実に海外との商機につながるのではないだろうか?英語が使えて当たり前の時代に、ビジネスマンに求められる更なる能力の一つに「プレゼンテーション能力」が挙げられる。ビジネスの成功のため、そして企業を率いていくトップとして、自社の魅力を他の人々へ伝えるということは最重要項目である。

英語プレゼンの講師として活躍中のアーティスター代表:伊藤 ゆう(いとう ゆう)さんより「思いを通わせるプレゼンテーション」についてのお話を伺った。

アーティスター代表:伊藤 ゆう

伊藤 優(いとう・ゆう)
高校時代に日本語教師を目指し、大学進学後は外国語学部日本語学科にて外国語指導法と異文化理解コミュニケーションを専攻。卒業後に渡米し、日本語教育に携わる。帰国後、大手英会話学校にて英会話講師として勤務。子どもから大人まで幅広い年齢層を指導。英会話講師として勤務する傍ら、自らJapan-America Building Bridgesを立ち上げる。地元貢献事業として、秋田県とアメリカをつなぐ国際交流プログラムコーディネーターとして活動。約10年間の外国語指導経験を経て2010年に独立し、アーティスターを設立。「12時間でできる!英語プレゼンテーション研修」をはじめ、「想いを世界に届ける」を軸に教育プログラムを提供。『ことばで人生が創られる』をモットーに、会社発展に貢献できる人材育成を心掛けている。

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「言葉=営業トーク」ではなく、「言葉=人生を動かすもの」

-英会話講師から英語プレゼンのコンサルタントへの転身のきっかけは?

伊藤:プレゼンそのものの魅力に気がついたのは、英会話スクールで講師をしていた時です。スクール講師在籍中に、ビジネス管理と教務部門を両方受け持つことになり、毎日沢山の生徒さんと更新についてや受講料についてといった営業トークのような話をしていました。

そこで、単なる営業トークではなく、自分が何を相手に伝えたいかといった「思いを通わせるトーク」が大切だということを感じました。「思いを通わせるトーク」がいかに重要か、「言葉で人生が変わる」ということを実感し、自分が発する言葉で相手とどう繋がるかということが全てを作っていくのだということを皆に分かってもらいたいなと思ったのが独立のきっかけでした。

相手にどれだけ分かってもらえるかを考えてプレゼンをする

-どのような事を教えていらっしゃるのですか?

伊藤:受講者には、「プレゼンはまず聞いてくれる相手ありき」ということを伝えています。いくらストラクチャーがあって、自分が伝えたいことをキャッチフレーズに乗せて上手に話したとしても、それを相手が受け入れるかどうか、聞きたいと思うかどうかは相手によるのです。

-つまり相手によって使い分けなければならないということですね。

伊藤:そうです。現場に行った時に、相手を見ようとしているか?どれだけ相手を見る力があるか?が大切なのです。ですから、「ロジック」の部分と「思いを伝える」という部分の両パターンを持つ事をお薦めします。聞き手がどっち派かによってを使い分け、相手に合わせて調整していける幅を持っているとよいと思います。

-他にポイントはありますか?

伊藤:話し手は、話す内容やその分野に関してはプロフェッショナルな訳ですが、聞き手は話し手ほどその事に関して詳しくはないという場面が多くあります。相手が理解できるかどうかということも含めて配慮しなくてはならないのです。講座ではプロフェッショナルな話を簡単に表現する練習なども行います。

プレゼンテーションの流れ

  • オープニング:つかみ 相手に興味を持ってもらう
  • ボディー:メインの内容 相手が理解できるように配慮して進める
  • クロージング:ポイントの繰り返し テーマの再確認 メッセージの発信

3つのスキルが必要とされる英語プレゼン

伊藤:英語のプレゼンは「英語力」と「プレゼン力」の2つのスキルを必要とします。うまくいかない場合は「英語力」か、「プレゼン力」か、人間的な「コミュニュケーション能力」の問題なのかこの3つのどこかで問題が起きている場合が多いです。

-どのような相談があるのですか?

伊藤:9割はグローバルを意識されたお客様です。顧客を海外に持ちたいとか、持っているけれど上手くコミュニュケーションをとれないという方が多いですね。残りの1割には、日本語でのトーク練習やプレゼン研修に参加したことがないという方もいらっしゃいます。

-プレゼン研修への参加は必要だと思いますか?

伊藤:守破離の法則で、守=形を学んで 破=それを壊して 離=自分流にしていくというのがありますが、守の部分だけを一回学んでおけば、後は現場に帰って自分流にしていけるのではないかと思います。講座の中でもよく話すのですが、形を学んでも、それが相手にとってこの形のままでは伝わらないと思う時は、順序を入れ替えたりする必要がありますね。

-英語のプレゼンの難しさはどのようなことですか?

伊藤:相手が外国人なので、話すトーンが違ったり、本題の内容に入る前のオープニングトークに圧倒されてしまったりするケースが多いようです。プレゼンするということは、初対面の方に何かを披露する場合が多いので、プレゼンテーションをする前の自己紹介のシーンでも注意が必要です。

プレゼンの印象で人間性を判断されている場合もあるので、講座の中では、部屋に入った瞬間からジャッジされているという事は伝えています。英語力以外にも立ち居振る舞いなどのノウハウが要求されています。

究極は資料なしでもOK!「思いを伝える」ことに力を注ぐ

-色々な方のプレゼンをご覧になって何か気づくことはありますか?

伊藤:会社概要とか、事業内容とか、売上報告などの数字だけの部分をスライドに出して熱心に伝える方がおられます。そのような事を見せる前に、対面で会えるプレゼンテーションの場でしたら、自分の言葉で「思いを伝える」ということがドッキングされていないともったいないと思います。「思いを伝える」と簡単に一言で言っていますが、そもそも「思い」を考えた事がないというようなケースもあります。

起業されている方のプレゼンの場合ですと、「あなたと一緒にどうしても働きたい!」と思ってもらわなければ、始まらないのです。ですから、本人そのものや商品やサービスに魅力があることが相手に分かったり、パッションがあるとか、プレゼンの内容はよくわからなくても面白そうだと思ってもらえるところから始まるのだと思います。

-伊藤さん自身も起業した時には会う人会う人に自分の思いを伝えて行ったと伺っていますが、その時のご苦労や経験はありますか?

伊藤:起業当初、資料等もない状態で、口頭だけで相手に伝えて、それがどれだけ相手に響くかというようなやり方をしていました。会議の場や時間を取ってもらってプレゼンをするという機会はまずありませんでした。なので、なぜ私が東京に来たかとか、なぜ私が起業したかとか、英会話の講師を辞めてまで起業しなくてはならなかったのか等を話していました。究極ですが、資料無しでプレゼンの練習をしたほうが、「思いを伝える」と言う意味ではイニシエーションになると思います。資料があると、ついついそれに頼ってしまいますしね…(笑)

準備は万全に 信念を持って臨む

-プレゼンの練習は必要ですか?

伊藤:はい。練習はとても重要です。練習の相手に、家族や友達や第三者(業界に携わっていない)に協力を仰いでみるのも良いと思います。
自分のプレゼンをビデオや動画や録音でチェックするのもお勧めです。声で何かを伝えると言うこと意外に、姿勢や目線とか声のトーンとか間の取り方を客観的にチェックできます。意外と自分では気がつかない癖等がある場合もあります。癖が始まってしまうと肝心なプレゼンの内容に集中して耳を傾けてもらえない場合も…

講座の中では本番前にいかに作り込むかということを話しています。準備して練習してリハーサルをして質疑応答までの想定をして本場に臨む体制を整えていきます。特に英語プレゼンは英語の練習もしなくてはなりませんので、準備に相当な労力を割く必要があります。

プレゼン上手になるポイント
  • プレゼンは場数が勝負!(回数をこなして)
  • 準備は入念に(質疑応答までを想定して行う)
  • 資料はシンプルに見やすく(一枚のスライドに情報を詰め込みすぎない)
  • 気が付かない癖に注意!(「えー」「あのー」等の口癖や立っているときの姿勢、貧乏ゆすり、大きすぎるジェスチャー)
  • エピソードで共感を誘う(失敗話や乗り越えたというような体験談)
  • 「信念」があるかどうかが人を説得できるかどうかのカギ
  • 対面の場を活かして自分の言葉で伝える

アーティスター代表伊藤ゆうと創業手帳

-創業手帳読者へのメッセージをお願いします。

伊藤:プレゼンは、単なる説明ではなく、「思いを伝える」ことが重要です。自分の信念をもっている人は考えている密度が濃いと思うし、「信念」や「思い」があるかどうかが結果として人を説得できるかどうかに繋がるのだと思います。入念な準備と練習も大切ですが、どうか怖がらずにどんどん現場に出て経験を重ね、「思いを伝えて」ください。自分が発する言葉で相手とどう繋がるかということはご自身の人生にも繋がっていくのです。

(創業手帳編集部)

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