経営革新計画にトライしてみよう

資金調達手帳

経営革新計画が認められれば、新規事業も一石三鳥!


(執筆:城西コンサルタントグループ理事 小野靖中小企業診断士)

(2015/09/27更新)

みなさんは「経営革新計画」をご存じですか? 創業手帳でも時々でてくるキーワードなので聞いたことくらいはあるかもしれません。

これは、東京都の産業労働局によると『中小企業が取り組む「新たな事業活動」について、「実現性がある数値目標」を具体的に定めた中期的な経営計画書です』とあり、都道府県に承認されるといろいろな支援が受けられるというメリットがあります。

今回は、新たな事業を立ち上げる際に便利な「経営革新計画」について、詳しく紹介します。

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経営革新計画とは

2015年9月3日創業手帳WEB版にアップされた募集「ものづくり競争力強化支援事業」の記事の中に、対象者は「経営革新計画」の認定を受けた高知県内の中小企業云々という記載があります。

「経営革新計画」承認企業を対象とした補助金の案内ですが、実は似たような案内は8月5日(福岡県)9月16日(島根県)にもアップされています。

さて、「経営革新計画」って何でしょう?

ざっくり言うと、中小企業が既存事業とは別に、新たな新事業を立ち上げるために、立案した中期的な計画が「経営革新計画」です。

各都道府県が計画の承認を行いますが、承認企業は、下記の支援策を利用することができます。

  • 政府系金融機関による低利融資制度
  • 信用保証の特例
  • 特許関係料金減免制度
  • 販路開拓コーディネート事業

日本政策金融公庫では、経営革新計画承認企業向けの貸出メニューがありますし、信用保証協会の保証枠が通常の限度額とは別枠で利用可能となるので、民間銀行からも借入しやすくなります。

また今年公募された新ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス革新補助金)では、申請書に経営革新計画の承認の有無をチェックする欄があり、承認企業にとっては補助金採択にプラスに働いたと推察されます。

但し、「経営革新計画」では、一つ注意しておく点があります。

それは、承認申請の条件です。

東京都の案内資料では、「直近3年間の経営実績がある方。ただし、創業3年未満の場合には、直近1年間の営業実績があり、この期間に決算(税務署に申告済み)を終了した方。」とあります。

残念ながら創業したばっかりの人は申請できません。最低でも1期の決算書が必要になります。

しかし、1期の決算書があれば、申請できますし、実際に承認された会社もあります。最後の章で実例を紹介しているので、参考にしてください。

経営革新計画のポイント

(1)新事業の4類型

経営革新計画で計画する新規事業は以下の4つのどれかに当てはまらなければなりません。

  • 新商品の開発又は生産
  • 新役務の開発又は提供
  • 商品の新たな生産又は販売の方式の導入
  • 役務の新たな提供の方式の導入その他の新たな事業活動

(2)数値目標

経営革新計画の期間は3年、4年、5年の3つで、それぞれの年数に応じて達成すべき目標数値があるので、これをクリアする計画を策定する必要があります。

計画終了時 「付加価値額」又は「一人当
り付加価値額」の伸び率
「経常利益」の伸び率
3年計画の場合 9%以上 3%以上
4年計画の場合 12%以上 4%以上
5年計画の場合 15%以上 5%以上

(3)実質要件としての新規性

新規事業なのだから経営革新事業と既存事業には明快な相違点がなければなりません。同時に世の中的にも余り類似なものは見当たらないというような革新的新規性のあるものが望ましいといえます。

(4)実質要件としての実現可能性

アイディア倒れで終わらないように、実現可能性が求められます。例えば、既存事業で培った技術の活用が見込める。テストマーケティングを実施してある程度の見通しを得ているなど、具体的な補強材料があると良いでしょう。

(5)数字の整合性

詳細は省きますが、承認申請書には、(別表1)、(別表3)、(別表3-2)と数字を用いる表が3つあるので、これらの整合性をきちんと取ることが大事です。

一粒で三度おいしかった経営革新計画の実例

A社は決算1期を終えたばかりでしたが、新規事業を計画、経営革新計画にトライしたいということで、計画書策定の支援を行いました。

2月に計画書を提出しましたが、既にこの時点で、本新規事業をテーマとした新ものづくり補助金を申請することも想定していました。

経営革新計画は無事3月末に承認通知書が届いたので、続いて新ものづくり補助金の1次公募に申し込みました。経営革新計画書の記載内容がほぼそのまま補助金の申請書にも使えたので、申請作業は非常に効率的に進みました。

そして補助金も無事採択されました。

その後、経営者の方から新規事業に関する資金付けの相談を受けたので、日本政策金融公庫に、経営革新計画書を持って相談に行ってみたらとアドバイスしたところ、こちらも経営革新承認企業向けの貸出メニューがあり、スムーズに融資が実行された次第です。

「経営革新計画」を策定する一番の目的は、企業経営にPDCAサイクルを導入することだと筆者は考えますが、活用できる支援策があるのならば、効率良く組み合わせましょう。

それで計画承認の効果は数倍にもなります。経営革新計画の申請も計画的に進めたいものです。

尚、経営革新計画並びに関連する補助金などの支援策については、中小企業診断士の専門分野なので、関心があれば、一度診断士に話を聞いてみることをお勧めします。

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(監修:城西コンサルタントグループ理事中小企業診断士 小野靖)
(編集:創業手帳編集部)

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