「投資を決める、9つのサムライ魂」 女性VCから見た、絶対投資したくなる起業家の特徴とは?

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女性VC サムライインキュベート 矢澤麻里子さんインタビュー
女性VCから見た、絶対投資したくなる起業家の特徴とは?

(2015/11/30更新)

会社を創業する際、資金を調達する方法のひとつとしてベンチャーキャピタル(VC)からの出資があります。自身でサービスの立ち上げを行ったり、海外のVCに勤めたりした経験もある矢澤さんに、サムライインキュベートの特徴と、絶対投資したくなる起業家とはどんな人物なのかについて、お話を伺いました。

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矢澤 麻里子(やざわ まりこ)
Samurai Incubate インキュベーター。
1983年生まれ神奈川県出身。大学を卒業後に、BI・ERPソフトウェアのベンダーにてコンサルタント/エンジニアとして従事。日本国内外企業の信用調査・リスクマネジメント・消費者金融与信管理モデルの構築など、幅広い経験を経て渡米。シリコンバレーVCにてファンドレイズ、グローバルなスタートアップのデューデリジェンスに携わる。
2013年に、サムライインキュベートに参画し、投資先の発掘・選定、メンタリング・支援先バリューアップを担当。

IT×VCの経験からサムライへ

ー矢澤さんが今の仕事にいたるまでの経歴をお話いただけますか?

矢澤:ニューヨークの州立大学を卒業後、帰国してBIとERPのコンサルタント及エンジニアをやりました。

その後、信用調査会社にて個人や企業の与信調査に携わりました。

その中で自分の本当のキャリアを考えたとき、これからの未来を支えるのは今のスタートアップであり、良いベンチャーをたくさん作りたい、世界をもっと良くするような会社・そしてそれを作る人を応援したい、という想いが強く、自分でのサービス立ち上げ経験や、昔からITにふれていたことを活かしベンチャーキャピタル(VC)として生きたいと思いました。

そこで渡米してアメリカのVCに入り、幅広く知見を深め、株式会社サムライインキュベートに入社したという経緯です。

ーサムライではどのような仕事をやっているのでしょうか?

矢澤:ベンチャーキャピタリストとして、創業期の企業に対する出資とインキュベーション(育成)をやっています。

サムライの投資領域はITですので、ITに絡んでいるものは基本的に何でも投資対象となります。

最先端の分野、例えばIoT(Internet of Things)等にも投資をしつつ、第一次産業でまだIT化されていない分野や誰もやっていないニッチな領域への投資もしています。

ーサムライインキュベートの特徴を教えていただけますか?

矢澤:イスラエルと日本への投資が主軸ですが、世界の起業環境を盛り上げようと、イベントなどのとりくみを行なっています。

と言っても世界ばかりを見ているわけでもなく、地方にも目を向けていて、全国を回って地方の起業環境の構築に寄与しています。

見ているのは、「人」

ーイスラエルへも進出しているのですね!国内外問わず投資する際に重要視していることは何なのでしょうか?

矢澤:サムライには、行動規範にしている九つの「サムライ魂」があります。

誰に対しても誠実であるべき「誠」とか、困っている人は誰でも助ける「仁」、高みに目標を置く「挑」といった魂があり、それに準じて活動しています。

例えば、起業家にはリーダーシップをとるのが苦手な人も多いと思います。

でも、人が嫌がることを率先してやっていくと必然的に人がついてくるということもあり、そうすると勝手にリーダーシップも培われていきます。

ですので、リーダーシップをとるのが苦手という人には、人の嫌がることをどんどんやることをオススメしていますね。

「サムライ魂」に則ることで人は成長していけると確信しているので、「サムライ魂」を持って頑張れる起業家を育成したいと思っています。

ー「人」が判断基準の最上位に来るのですね。

矢澤:そうですね。やはり起業というのは「人」が軸だと思います。

シード期だと事業内容が変わりやすいので、サービスを別のものに作り変えることもあります。

その時に「人」が良ければいかようにもピボット(方針転換)できます。ですので「人」に対して強く意識を置いて投資しています。

年2回の、「サムライ軍団総会」

ー起業家どうしの横のつながりを大事にされているようですが?

矢澤:すでに100社以上に投資をしているので、先輩の起業家が後輩の起業家に教える、みんなで助け合うコミュニティー作りを意識しています。

ー具体的な取り組みは何かありますか?

矢澤:年に2回、サムライ軍団総会というサムライの投資先全社のCxOクラスの人が集まる会をやっています。

あと、これから始めるのですが、各分野の起業家の皆さんの専門分野を活かした勉強会をやっていきます。

例えばブログやメディアでPVが伸びている会社のCEOを呼んで、メディア施策の成功・失敗例を語ってもらったり、Exit経験あるCEOに、成功への道筋や失敗した時の対処等を話してもらったり。

さらに横のつながりを活性化させていきたいと思っています。

ー失敗したときの対処法は経験しないと得られないので、起業家は聞きたいですよね。これは支援先限定のイベントなのでしょうか?

矢澤:はい。実はサムライインキュベートは、オープンに様々な起業に関するイベントを開いています。

これまで沢山の起業家・VC・専門家を集めて実施してきました。

こうしたオープンなイベントに加え、クローズドの勉強会をやるというのも支援先のコミュニケーションの活性化の一つだと思うので、10月から支援先限定で始める予定です。

出資と融資の違いは「ポテンシャル」

ーサムライさんは、相談を受けた会社のどこを見て出資を決定するのでしょうか。合わせて出資と融資の違いもお話しいただけますか?

矢澤:まず出資と融資の違いです。

出資は、株式を渡すので自社の一部を切り出すことになりますが、VCが持つナレッジや事業の育て方、事業の作り方を学べるというメリットがあります。

そしてVCが目を付けるのは、目の前の売上げがではなく、「この会社、将来必ず伸びるよね」というポテンシャルの部分です。

それに対して融資は、資金を貸しつけてしっかり回収するモデルなので、そこまで爆発的にスケールしなくてもちゃんと売り上げが上がっていく堅いモデルに対して資金を貸し出しいます。

リスクの取り方が違う、というか。例えば、一店舗ネイルサロンを開業するので、定期的な収益が入るという会社ですと、融資のほうが向いているのかもしれません。

この会社は伸びそう、でも今はそれを仮説検証で証明できない、売上がないという場合は、VCからの出資が性質に合っていると思います。

ー堅調な収益が見込める会社とポテンシャルを見る会社で違いがあるのですね。

矢澤:その通りです。サムライとしては、未来を変える、人が困っているところを解決するような社会的意義の高い事業に対して投資していきたいと思っています。

それがニッチな分野であっても、VCのナレッジがあれば、いかようにも事業展開ができます。そこに課題解決があって、人のためになるものであれば投資していきたいと思っています。

ーサムライさんらしいです。

矢澤:あとは、誰の課題をどのように解決するのかという中の「どのような」の部分にイノベーティブ感があるかどうかも見ます。

例えば第一次産業のような業界構造や商慣習の強い業界の構造がひっくり返るようなサービスであれば、すごく投資したいなと思っています。

女性の強みはバランスとコミュニケーション力

ー女性の起業家に対して、女性だからこそ注目しているポイントはありますか?

矢澤:やっぱり男性に比べて体力の面で劣る部分はあります。

けれども、バランスの良さやコミュニケーションの上手さという要素は、圧倒的に女性のほうが優れていると感じています。

たとえばチーム内で揉めても、女性が入ることでやんわり回していくことができます。

米国では、大企業でも一度業績が落ちてそこから復活した例で、CEOが女性のケースも結構多いらしいのです。

米国ゼロックスさんとかYahoo!さんとかもそうだと思います。CEOではないですけれども、Facebookもシェリル・サンドバーグが入ったことで、まとまるようになったと言われています。

ゴリゴリ事業を進める部分と繊細な部分のバランスが取ることが、女性の得意な部分だと思います。

ー起業家に投資を決める段階で、女性に対して必ず聞く質問ってありますか?

矢澤:過去の挫折経験は、女性起業家に限らず必ず聞きます。

挫折をどういうふうに乗り越えて、次にどうつながったのか、そこをロジカルに話してもらえると、「乗り越えたんだな」というのが分かります。

そこで、ちょっと言葉が曖昧になったり目を伏せてしまうと、まだ引きずってるのかなと感じます。

あとは、起業家は自分で仕事を作って、タスクを自ら増やしていかなければいけないので、課題解決が得意かどうかとも見ます。

女性だから特に聞くことというのはありません。

ー女性だと出産や育児がありますが、そういう部分も見ていますか?

矢澤:正直、そこはあまり考えないようにしています。

出産や育児で仕事がストップすることが仮にあったとしても、それも受け入れて、その経験があったからこそ次に活かせたみたいなものを作ってほしいと思っています。

やろうと思ったら何でも出来ます。

女性起業家にメッセージ

ー最後に女性起業家に向けて一言お願いします。

矢澤:わりときめ細やかな課題に対して解決するサービスを気付く女性の起業家は多いのですが、一方でGoogleを超えよう、時価総額1兆円を目指そうと考える方は少ないんですね。

家庭や子育てもあると思いますが、やりようによってはできると思うので、バランスを取りながら大きな夢の実現に向けて頑張ってほしいと思います。

(編集:創業手帳編集部)

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