デキる営業マン養成講座|クロージングの確度を最大限まで上げるには
クロージングレターの効果的な活用方法とは
(2016/09/07更新)
◆デキる営業マン養成講座アーカイブ
第一回:自然と顧客が寄ってくる”営業レター”とは
第二回:塩漬けリスト開拓に効果絶大なある方法とは
第三回:足を動かさずに”攻め”の営業をする方法
第五回:商談にもPDCAを!営業スキルを底上げする「トーク設計図」とは
前回の記事では、「アプローチレター」と「レスポンスレター」についてお話してきました。詳細は上記の関連記事を御覧ください。
今回の「クロージングレター」は、商談をスタートしてから送る営業レターです。
お客様が商談にランクアップするまでは営業スタッフはあれこれと資料を送ります。他社の営業スタッフも「何とか話を聞いてもらいたい」と戦略を練っているため、手紙やチラシなどさまざま資料を送っています。
では、実際にクロージングするときには、どのようなアプローチが効果的なのでしょうか。みていきましょう。
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この記事の目次
クロージングレターのメリットとは
まず始めに、クロージングレターを送るメリットを5つにまとめてみます。
- お客様に商品をより理解してもらえる
- 商談の時間を最大限活用できる
- お客様のテンションを上げることができる
- 契約への不安を解消できる
- キャンセルを防ぎ、紹介が増える
どんなに頑張っても最後に契約にならなければ意味がありません。また契約したとしてもキャンセルされればすべてが水の泡になります。クロージングレターを出せは取りこぼしもなくなり、後に紹介が出ることだったあります。クロージングレターを出さない手はないですよね。
では、1つずつ見ていきましょう。
1:お客様に商品をより理解してもらえる
商談がスタートすると、今まで送っていたような資料を急に送らなくなってしまう営業スタッフが圧倒的に多いのです。商談がスタートすると「また、来週も会えるし、そのとき直接話をすればいい」という安心感からなのかおろそかになりがちです。しかし、この時期のお客様は情報を少しでも多く欲しいと思っている段階なのです。
先月までお話したアプローチレターやレスポンスレターに関して、お客様は必ずしも読んでくれているとは限りません。2回に1回、もしくは3回に1回読めばいい方です。しかし商談が始まれば異なります。興味がない会社とは商談しませんから、商談している会社からの手紙は必ず読むことでしょう。そのため商談まで進んでいるのに何も送らないというのは、とてももったいないのです。
もちろん商品の説明はお客様と会ったときにすればいいことです。しかし、一般のお客様は営業スタッフの長い説明に対して、半分も理解できませんし、長時間だと飽きてしまいます。営業側は毎回話をしていますから十分内容を理解していますが、お客様は初めて聞くことばかりなのです。ですからその不足分をクロージングレターで補足することが必要になってきます。
予備知識を事前に提供する
例えば、次にお会いするときに資金計画の話をするとします。そんなときは「資金計画の基礎知識」といったようなクロージングレターを送っておきます。これでお客様に予習してもらうわけです。もしくは商談後に「今日話したことをまとめて後日お送りしますから」と復習してもらってもいいでしょう。
勉強も一度ではなかなか頭に入ってこないのと同様、前もってお客様に商談に関連する資料を送って予習してもらうことと、商談後に復習してもらうことが大切なのです。
2:商談の時間を最大限活用できる
クロージングレターでお客様に予習、復習をしてもらうことは大切です。面談ときにダラダラと説明する営業スタッフとキチンと補足資料を送ってくれる営業スタッフではお客様が抱く印象が雲泥の差になります。
これだけで他の営業との差別化ができるのです。しかし、クロージングレターをお客様に送る目的はこれだけではありません。いろいろとメリットはありますが、一番のメリットはアポイントをすっぽかされないということです。
機会損失を防ぐ効果も
…約束していたお客様が来ない。こんなことはあなたも経験済みではないでしょうか?アポイントを取り、何日も前から必死に資料を用意したにもかかわらず、お客様は現れません。お客様のところへうかがった場合でも不在ということもありえます。
こちらの熱の入りようとは裏腹にすっぽかされてしまうということがあるのです。お客様は5日も、一週間も前にした約束を忘れてしまうという可能性も忘れてはいけないのです。
そうなると時間をかけて作った資料も使わないまま処分しなければなりません。せっかくつかんだチャンスにもかかわらずクロージングレターを送らないことでチャンスを逃がしてしまったなんてことにならないようにしたいですね。
時間を有意義に使うためにも有効
また、遅刻するお客様を待っている間の時間は物凄く長く感じるものです。胃をきりきりさせながら待つ時間ほど嫌なことはありません。クロージングレターはアポイントの途中に出しておくことにより、お客様は「そうだ〇〇日に△△会社と商談するのだった」と思い出してくれるきっかけにもなるのです。クロージングレターを出すことですっぽかしや遅刻を激減させることができるので、ぜひ活用してみてください。
3:お客様のテンションを上げることができる
お客様は営業スタッフと会って話をしているときはテンションが高いものです。購買意欲も徐々に上がっていきます。営業スタッフも「このお客様はイケる」と感じることでしょう。しかし、ここに落とし穴があります。
お客様は営業スタッフと別れた後、家もしくは会社に帰り一人になります。現実に帰ったとき、「本当に話を進めてもいいのかな?」と感じる場合も。お客様は多かれ少なかれ、営業スタッフと別れ一人になると冷静になり、テンションが下がってくるのです。その状態を営業スタッフとしてほっておいてはなりません。
そのままにしておけば購入意欲が下がり、「やっぱりやめた」ということになってしまうことも。そうならなうようにお客様のテンションが上がるようなクロージングレターを送ることが大切です。それを見たお客様は購入へのテンションが再び上がるのです。
購入するお客様が取る行動を宿題として出す
商談の途中でお客様のテンションを下げないようにクロージングレターを送る重要性は理解できたことでしょう。では、どんな内容を送ればよいのでしょうか?ひとことでいえば、購入するお客様が取る行動を宿題として出すということです。
住宅営業の例でお話すると、家を建てるお客様は必ず今の家で使っている家具の寸法を測り、新しい家に入るかを確かめます。ですから「新築の図面に必要な家具を配置しますから、家にある必要な家具を図ってください」といったようなクロージングレターを出します。
家や社内に帰ってテンションが下がったお客様も「どの家具を新しい家に持っていこうか」などと試行錯誤しているうちに再びテンションが上がるのです。お客様のテンションを下がりっぱなしにしてはなりません。テンションを上げてもらうためにもお客様に宿題を出しましょう。
クロージングレターの一例
【新築の家に持っていく家具の寸法を教えてください】
今お使いの家具などで、新築に入れる予定のものがあると思います。そこで、お使いになる予定の、家具や仏壇、冷蔵庫などの寸法を測っておいてください。それをすることによって、新築後に家具が入らなかったり、コンセントが使えなかったりなどの失敗を防ぐことができます。次回の打合せまでに、家具等を採寸、配置する場所を決定し、下記の表にご記入の上、お持ちください。
家具 |
巾cm |
奥行cm |
高さcm |
置き場所 |
購入○or× |
その他 |
1 |
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4:契約への不安を解消できる
商談も佳境に差し掛かるとお客様はこのように考えだします。「本当にここで決めてしまっていいのだろうか?」契約することに対しての不安が湧いてくるのです。高額になればなるほどその不安は大きくなります。不安を解消しないままクロージングしたらどうでしょうか?「もう少し考えさせてください」といわれ商談が頓挫するのが目に見えています。
不安を解消してからクロージングした方が、何倍もうまくいきます。ではどうすればよいのでしょうか?お客様の不安を解消するためには、その不安を先回りしていってあげなくてはなりません。
例えばお客様がこう質問してきたとします。
お客様「住んだ後もキチンとアフターメンテナンスしてくれますか?」
営業スタッフ「はい、定期的にメンテナンスいたしますから安心です」
このようにお客様から聞かれてから答えたのでは不安は解消されません。お客様から質問がある前にクロージングレターでその内容先回りして送ることで安心してもらえるのです。
5:キャンセルを防ぎ、紹介が増える
営業スタッフなら誰でも契約後には安心してしまいます。お客様に印鑑を押してもらうとマラソンでゴールテープを駆け抜けたように気が抜けるのです。「あ~よかった契約になって」などと飲みにいってしまうのは時期尚早です。油断をするとここでも落とし穴が待っています。お客様は購入後に少なからず後悔感が出てくるものです。
- 本当にこの選択でよかったのだろうか?
- もっと他にいいものがあったのでは?
高額商品はとくにこの傾向があります。だからこそ、契約後にはその次にお客様に行動してもらいたいことをクロージングレターで伝えるのです。
例えば「家にあるボイラーの機種番号を教えてください。もしかしたら使えるかも知れませんから」と何か行動してもらうようにします。お客様は自分で行動することによって、テンションは保たれ後悔感はなくなります。購入後、お客様を不安にさせないよう契約後もクロージングレターをうまく活用しましょう。
1回の商談で決まる商品であっても補足の資料を送ることにより、キャンセルを防ぐことができます。さらにご購入後にクロージングレターを送るとこにより、信頼度が上がり紹介も発生することもあります。
クロージングレターの流れ
最後にクロージングレターの流れについてお話したいと思います。クロージングレターとは商談と商談の間に出すものです。たとえは商談が金曜日で次の商談が一週間後の金曜日だとします。そのときは真ん中の火曜日か水曜日あたりにお客様のところへ届くように出すのがベストです。
これらかはお客様のことを考えてくれる営業スタッフが勝つ
営業の世界は一般的に、根性がありお客様に断られてもへこまない心臓に毛が生えているタイプの営業成績がいいといわれていました。逆におとなしくて繊細なタイプは営業成績がよくないとされていた時代もあります。
しかし、今の時代はそれが逆転しているのです。根性型営業スタッフが影をひそめ、繊細にタイプの方がトップ営業スタッフになるとケースが多くなると考えています。その理由は現代のお客様は買うものを自分のペースで考えたいと思っていますし、自分の判断で決めたいという人が圧倒的に増えているからです。
とくに若い方は売り込まれたり訪問されたりことに慣れていません。また説明されたから買うという習慣がないのです。そんなことをされれば欲しいものでさえ断ります。自分勝手で強引な営業スタッフは敬遠されるようになるのです。
だからこそお客様のプライベートを侵害しない【営業レター】でお客様へアプローチすることが適していると考えています。【営業レター】を活用することであなたもお客様から必要とされる営業スタッフになりましょう!
以上で「営業レター クロージングレター編」のお話は終わりになります。次回はお客様との接客、トークについてお話したいと思います。
(監修:営業サポート・コンサルティング(株)
代表取締役職 菊原智明(きくはら・ともあき) )
(編集:創業手帳編集部)