『割増賃金』と『ノーワーク・ノーペイの原則』とは?

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残業代ちゃんと払ってる?! 社員の給料入門 ~時間外労働・深夜残業などの割増賃金の支払いとノーワーク・ノーペイの原則

社員の給料入門|時間外労働・深夜残業などの割増賃金の支払いとノーワーク・ノーペイの原則
会社を経営していると、人手が足りないのに仕事量が一時的に増えた場合は、社員に所定時間よりも働いてもらう必要がでてくる。その場合は、当然のことながら割増賃金、いわゆる残業代が必要となる。逆に、社員が遅刻や欠勤などで所定時間よりも働かなかった場合もあり得るだろう。

今回は、時間外労働、休日労働や深夜残業などの割増賃金の支払い、いわゆる残業代支払いについてのルールと、給料の割増や逆に差し引く場合、ベースとなる考え方「ノーワーク・ノーペイの原則についてまとめた。

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割増賃金の支払い

労働基準法第37条では、「時間外又は休日労働及び深夜労働をさせた場合、一定の割増賃金を支払わなければならない」と定めている。時間外労働、休日労働、そして深夜労働について、それぞれ見ていこう。

時間外労働と割増賃金

時間外労働とは、世間一般にいう「残業」のことである。これには法定外時間外労働と法定内時間外労働がある。会社が定めた所定労働時間が、労働基準法が定めた法定労働時間より短い会社では、両方が存在することになる。

労働基準法では、あくまで法定労働時間を超えて労働させた場合に、割増賃金の支払い(いわゆる「残業代の支払い」)を義務付けている。1週間について40時間(特例事業場は44時間)、もしくは1日8時間を超える労働が法定外時間外労働となり、割増賃金の支払いが必要になる。

所定労働時間を超えていても、法定労働時間を超えていなければ、割増賃金の支払い義務はない。

休日労働と割増賃金

休日労働と割増賃金
休日労働も時間外労働と同じように法定外休日と法定内休日がある。一般的に「休日出勤」という場合には、会社の休日に労働することを指すことが多いが、厳密には「所定休日の労働」と「法定休日の労働」の二つがある。

労働基準法で定める「休日労働」とは1週間に1回の休日に労働することをいう。会社が定めた所定休日に労働した場合には「時間外労働」となり、法定休日(労働基準法で定める1週間に1回の休日)に労働した場合には「休日労働」になる。それぞれ割増賃金率が異なってくるので注意しよう。

週休2日制を採用している会社では、所定休日と法定休日を明確にしておくことが望ましいという通達が出ている(基発第0529001号通達 H21.5.29)。

深夜労働と割増賃金

深夜労働とは、午後10時から午前5時まで(厚生労働大臣が必要であると認める場合は、その定める地域または期間については午後11時から午前6時まで)の間にさせた労働のことをいう。

労働基準法第41条に該当する「管理監督者」も、深夜業については適用される。つまり、管理監督者であっても、深夜残業させた場合は、深夜労働の割増賃金の支払いが必要となる。

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割増賃金率とは?

時間外労働や休日労働、深夜労働をさせた場合は、割増賃金を支払う必要がある。割増賃金率は次の通り。

項 目 割増賃金率
時間外労働 2割5分以上
時間外労働が深夜に及ぶ場合 5割以上(2割5分+2割5分)
休日労働 3割5分以上
休日労働が深夜に及ぶ場合 6割以上(3割5分+2割5分)
深夜労働 2割5分以上

1か月60時間を超える時間外労働については、さらに割増賃金が発生する。その超えた労働時間について5割以上の割増賃金率となる。

ただし、2割5分を超えて加算された割増賃金部分については、代替休暇を取得できるように、労使協定を締結することが可能だ。その代替休暇を取得した部分の割増賃金の支払いは不要となる。

ただし、労働基準法138条に規定する中小企業は、当分の間、この1か月60時間を超える時間外労働の割増賃金は、適用が猶予されている。

割増賃金の計算方法

割増賃金を計算するには、まず通常の労働時間または労働日の1時間当たりの単価(「割増賃金の基礎となる賃金」)を算出する必要がある。算出方法は、賃金の支払い形態に応じて次のように定められている。

主な賃金支払い形態における1時間当たりの賃金単価は以下の通りである。

賃金の支払い形態 1時間当たりの単価
①時間給 1時間当たりの金額
②日給 日給÷1日の所定労働時間数(日によって異なる場合は、1週間における1日平均の所定労働時間数)
③週給 週給÷週の所定労働時間数(週によって異なる場合は、4週間における1週平均の所定労働時間数)
④月給 月給÷月の所定労働時間数(月によって異なる場合は、1年間における1月平均の所定労働時間数)
出来高払い制その他請負制によって定められた賃金 賃金算定期間に計算された賃金総額÷この賃金算定期間における総労働時間数

表のようにして算出された「割増賃金の基礎となる賃金」に、前述した割増賃金率を適用した額が割増賃金になる。

なお、「割増賃金の基礎となる賃金」から除かれる手当があるので、注意が必要だ。

「割増賃金の基礎となる賃金」から除かれる手当

  • 家族手当
  • 家族手当
  • 通勤手当
  • 別居手当
  • 子女養育手当
  • 住宅手当
  • 臨時に支払われた賃金
  • 1か月を超える期間ごとに支払われる賃金(ボーナスなど)

ノーワーク・ノーペイの原則とは?

ノーワーク・ノーペイの原則
これまで残業代のように割増賃金の話をしてきた。逆に、社員が欠勤や遅刻で働かなかった場合はどうなるのだろうか?

社員が欠勤や遅刻をした場合、社員はその時間働いていないことになる。難しく言うと「労務」を提供していない。「ノーワーク・ノーペイの原則」で、会社はこの部分についての給料を支払う義務はないとされている。

「ノーワーク・ノーペイの原則」とは、仕事をしなければ賃金を支払う必要がないということだ。いわば、「働かざるもの、支払うべからず」なのである。

しかし、労働基準法でも、欠勤や遅刻をした分を給料から控除することについて定めがない。従って、ノーワーク・ノーペイの原則を適用して、不就労部分に応じた給料を控除する場合には、差し引く「条件」と「賃金の内容をあらかじめ労働協約・就業規則・雇用契約書などで明示しておかなければならない。

減給との違いに気を付けよう

ただし、「遅刻をしたら1回につき〇〇円賃金を差し引く」といった定めは、ノーワーク・ノーペイではなく、労働基準法第91条に規定する減給の制裁にあたる。その場合、あくまで1時間の遅刻であれば、1時間分の減額というように、「提供すべき労務の提供がなかった時間に応じた減額」でなくてはならないので、注意が必要である。

(監修:社会保険労務士事務所ALLROUND東京北 北條利男 社労士)
(編集:創業手帳編集部)
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