説得力のある事業計画【美容室・サロンの開業手帳 ~3.事業計画を作る~】

資金調達手帳

数字に裏打ちされた事業計画書で説得力up!

(2015/12/25更新)

「キレイになって喜んでもらいたい」「美しくなって夢を叶えたい人をサポートしたい」という想いだけでは生き残れないのが、美容業界。

業界規模は、約2兆円ですが、美容室の数はコンビニの約4倍と言われ、非常に競争の激しい業界です。

また、近年増えているサロンですが、廃業率は1年以内が6割、3年以内が9割と言われています。

美容室・サロンは、店舗の固定費がかかるため、開業前に廃業するかしないかが決まっていると言っても過言ではありません。

開業前に情報を集め、きちんと準備をして、必ず成功させましょう!

美容室・サロンの開業前から開業後までを、ゼロから解説する、開業手帳シリーズ。今回は、「3.事業計画を作る」です。

本文を読む

この記事の目次

事業計画書とは?

事業計画書とは、数字と言葉を使ってあなたの経営計画を具体化した文書のことです。

この計画書を作ることで、金銭面を含み事業そのものを客観的に眺めることができ、夢を実現するためには何をしなければいけないか明確化されます。

事業計画書は、融資や補助金を受ける際に金融機関に提出するために書く重要書類ですが、それだけではありません。

コンセプトシートにもとづいてサロンの形を具体化していき、売上高や利益、経費、資金繰りなどの収支計画まで、詳細をこの事業計画書に記載します。

ビジネスパートナーや協力先への強力な説得材料となり、資金計画の叩き案にもなる根拠資料なのです。

事業計画書で重要な3つの要素

初めて事業計画書を書く場合、その記載項目の多さに面食らってしまうかもしれません。

「創業の動機」に始まり、「取扱商品・サービス」「取引先・取引関係」「従業員」「お借り入れの状況」など、それぞれ詳細を記入しなければなりません。

※ここでは、最も代表的な事業計画書、日本政策金融公庫の創業計画書に記載されている表記で解説します。

中でも融資審査の命運をわけると言われているのは、以下の3つです。

  • 経営者の略歴等
  • 必要な資金と調達方法
  • 事業の見通し

というのも、審査をする側の視点で重要なのが「本当に返済できるか」です。

事業を軌道にのせるのに必要なスキルや経験があるか、開業するために地道にコツコツと自己資金をためる努力をしてきたか、資金繰りなどを具体的かつ現実的に考えられているか、などに関して、この事業計画書を通して判断されるのです。

今回は、この3つのポイントを詳しく解説していきます。最後まで頑張りましょう!

1.経営者の略歴等

融資に影響する「経歴書」の制作は慎重に

融資審査をする際、金融機関の担当者が最初に確認するのが申込者の「経歴」です。

ここで、申込者が経営者になれるだけのキャリアと実力を持っているかどうかを判断します。

この段階で、経営者になるための実績が足りないと判断されると後の融資審査へ大きな影響を与えます。

絶対に融資が必要という方は、まずは細かな配慮をもって経歴書を執筆しましょう。

金融機関は大きな資金を融資しますので、サロンコンセプトや収支計画等はもちろんのこと、そもそも申込者であるオーナーがどこまで自己責任を持って心を決め、開業しようとしているのかも確認しようとするでしょう。

「経歴書」作成のポイント

これは企業や会社に一個人が履歴書を書いて送る行動に似ています。

経歴書はオーナーとなる自身の過去の正しい実績であり、第一に真実でなくてはなりません。記入内容として、以下が不可欠です。

確かな「技術力」を有していること

サロンの商品はスタッフによる技術力です。つまりサロンが成功するかどうかを予測する判断材料のひとつが、この実力、技術力をあなたが有しているかどうかになります。

いかに高い技術力を持っているかをアピールすることが審査において大きな影響を与えるのです。

これまでの技術売上、リピート率、指名率等の数字・コンクール等の受賞歴・技術者として経験年数などがあれば、細かくしかも正しく記載しましょう。

また、サロンとはお客様が継続して利用されることによって存続できる店ですので、リピート率や指名率等の数字、接客についての講習会や勉強会等への出席経験なども加筆しましょう。

経営のための「マネジメント力」を有していること

開業するということは、経営者になるということです。

そして経営するということは一瞬の行為ではなく、延々と継続していくということですので、技術力やセンスだけでなく、一つの組織を運営するためのトータルな、「マネジメント力」をアピールすることが融資を受ける際に重要になります。

具体的には、店長経験やスタッフ教育経験など、これまでサロンの運営、経営に携わった経験があることを漏れなく記入しましょう。

また人材の育成や組織存続のためのスキルやマネジメントに関わる資格などを持っている場合は、そのことも記載したいものです。以下はそのサンプルです。

2.必要な資金と調達方法

開業に必要な資金はどうやって集めるか?

開業するにあたって、最初の難関となるのが資金調達です。

開業には多額の資金が必要になります。ここで用意できる資金がお店の規模を左右する事になるので自己資金と融資などを上手に使い分けた計画的な資金調達が必要です。

自己資金は、総開業資金の30%以上が目標です。融資を受けることも視野に入れると、総開業資金の30%は自己資金として用意しておきたいものです。

融資機関からの借り入れについては「日本政策金融公庫」「自治体の制度融資」「銀行」「各種リース ファイナンス」などがあります。

最も有名な融資機関は、最初の「日本政策金融公庫」でしょう。サロンの機材、器具に関してはリース利用が多いようです。

融資を申し込む際には担保や保証人の有無などにより借入れ条件が変わってきますので注意してください。

なお、受けられる融資の金額は、前述の経営者の経歴や自己資金などによって変わってきます。

審査が通らなくておさえていた物件が借りられずに人手に渡ってしまうことなどないように、専門家に相談することをお勧めします。

初期費用・資金計画(記入例)

開業に不可欠な「費用」は正確に把握すること

広告宣伝費から人材採用費、ハードとなる物件の取得費用など、サロンの開業には様々な費用がかかります。

まずはサロンをオープンさせるまでにどのような項目の費用がかかるのかを明確化し、漏れなく初期費用を算出しましょう。

ただ、前述の資金調達計画の合計と同額になる必要があります。調達できうる金額の範疇で上手く調整しましょう。

  • 物件取得費用(保証金・仲介手数料・礼金・前家賃・保証料)
  • 工事・店舗設計デザイン費用
  • 人材採用費
  • 美容器具費用(セット椅子・シャンプー台・ネイル台・ベッド)
  • 設備費用(洗濯機・冷蔵庫・電子レンジなど)
  • 開業材料費(消耗品一式、シャンプー・カラー剤・化粧品)
  • 広告宣伝費(ポスターチラシ等各種印刷物・ホームページ)
  • その他諸経費、運転資金

初期費用・資金計画(記入例)

初期にかかる外注費用算出は、慎重に進めましょう。業者からできる限り誤差のない見積りを作成してもらうことをお薦めします。

これは箱モノとも呼ばれる、店舗を経営するすべての商売に当てはまることですが、ざっくりとした計算をしてはいけません。

店舗運営に慣れたキャリアのある経営者であれば、ざっくりとした計算で現場が始まってから数字を調整することができます。

しかしはじめての業種やはじめての経営の場合、徹底的に石橋をたたいて渡るくらいの慎重さが成功を分けるのです。

だいたいこれ位だろうという概算で進めていくと、必ずといっていいほど途中で想定外の出費が嵩みトラブルになります。

3.事業の見通し

サロン経営を存続させるための収支シミュレーション

融資審査の観点からすると、最も重視される項目は「収支計画」です。

もちろん経営者自身にとっても、これを作らない限り資金計画や売上・利益計画、返済計画などが立てられません。

これまで働いてきたサロンでの実績などを参考にシミュレーションを作成してみましょう。

あくまでも予測的数値ですが、この数値を目標としてサロン運営を行います。非現実的な数字ではなく、できる限りの裏付け資料を準備し作成しましょう。

収支シミュレーションを作成するには、以下の3つの手順が必要です。それぞれの設定の仕方を詳しく説明していきます。

その1・売上高の設定

まずは、売上高の設定をしましょう。この売上高は「客数×客単価」で計算できます。では、「客数」と「客単価」はどのように決めていけばいいのでしょうか。

売上高=客数×客単価

①客数を設定する

客数の設定をしましょう。まずはサロン規模(スタッフ構成など)を決めます。

どれくらいの規模のサロンを開業するのか、スタッフ数セット面(ベッド数)坪数を基準にサロン規模を決めます。以下の図はその一例です。

技術客数の算出方法はいくつか方法がありますが、ここでは2通りの方法を例にし算出してみます。

一つ目は、技術者ひとりあたりの月間技術客数から算出する方法です。

月間技術客数 = 
技術者数 × 技術者一人あたりの月間施術客数

技術者一人が施術できる人数は、その技術者のスキルや時間の使い方、アシスタントの数などによって変化します。

自分の店の状況を客観的に眺め、技術者ひとりあたりの施術客数を割り出し、そして客数を算出していきましょう。

続いて二つ目の算出方法です。二つ目は、 セット面(ベッド数等)から月間技術客数を算出する方法です。

月間技術客数 = 
セット面数 × セット面1台あたりの月間稼働数

店販客数の算出方法は、店販購入率から月間店販客数を算出していきます。

サロン内での店販購入は、技術を受けたお客様が購入されるのが一般的です。

ここでは、技術を受けられたお客様の内、何%のお客様が店販を購入されたのかをもとに算出します。

月間店販客数 = 月間技術客数 × 店販購入率

②客単価を設定する

「技術単価」

技術単価を決めるためには、まずメニュー設定をする必要があります。

どんな施術を行うのか、そのメニュー内容・価格・利用比率を設定しましょう。

利用比率とは、そのメニューをどれくらいのお客様が利用するかという確率です。

メニュー毎技術単価 = メニュー金額 × 利用比率
     ↓
技術単価(合計) = メニュー毎技術単価の合算

「店販単価」
 
サロンで販売する商品内容・価格・購入比率から店販単価を算出します。

店販単価を決めるには、まず取り扱いをする商品(店販)を決める必要があります。

どんな商品を取り扱うのか、その商品内容・価格・購入率を設定しましょう。

ここで言う購入率とは、店販を購入されるお客様のうち、その商品をどれくらい購入するかという確率のことです。
 
商品毎店販単価 = 商品毎単価 × 購入率
     ↓
店販単価(合計) = 商品毎店販単価の合算

③売上高の算出

上の①客数の設定と②客単価の設定が完了したらサロンの売上高を算出します。

技術売上 = 技術客数 × 技術単価
店販売上 = 店販購入客数 × 店販単価

その2・粗利(売上総利益)の設定

売上高の設定が終わったら、次は粗利(売上総利益)の設定です。

粗利とは、読んで字のごとく、ざっくりとした利益のことです。総売上から原価や外注費など、経費としてかかったものを差し引いた残りが、粗利となります。

粗利(売上総利益) = 売上高 ー 仕入高(売上原価)

➀技術原価を設定する

技術原価率 = 技術原価(合計) ÷ 技術単価(合計)

技術原価を設定するために、まず技術原価率を算出します。

技術原価率とは技術サービスを実施するのに、一体どれくらいの材料費(技術原価)をかけたかという指数です。

一般的に、技術原価率の数値安は「技術売上の9〜12%程度」と言われますが、サロン規模によりこの数値は変動します。

たとえば全国各地に多店舗展開しているサロンでは、全店舗で使用する材料の量は膨大なものになります。

とうぜん、そのスケールの大きさを活かしメーカーやディーラーと交渉し仕入値を安く抑えているケースも多いのです。

一店舗展開している店と、多店舗展開している店の違いが、この辺りにも出てきます。

メニュー毎技術原価 = メニュー毎材料費 × 利用比率
          ↓
技術原価(合計) = メニュー毎技術原価の合計

②店販原価を設定する

店販原価を設定するために、店販原価率を算出します。

店販原価率とは、販売する商品の仕入値はどれくらいかかるのかという指数です。

販売予定の商品の仕入値を、各メーカーやディーラーに確認しましょう。店販原価率の一般的な数値安目安は「店販売上の60%〜70%程度」です。

この店販原価についても先ほどの技術原価率同様に、サロンの店舗数や規模により数値は変動します。
 
店販原価率 = 店販原価(合計) ÷ 店販単価(合計)

➂仕入れ高(売上原価)を算出

上記の①(技術原価)と②(店販原価)の設定が完了したらサロンの仕入高(売上原価)を算出します。

売上原価とは、「売れた分に対しての原価」のこと。サロンでは業者から材料を仕入れますが、その全てが売上原価にはなりません。

使った分、店販で売れた分だけが売上原価となります。ちなみに仕入れたがまだ使用していない未使用分は「資産」といいます。
 
技術原価 = 技術売上 × 技術原価率
店販原価 = 店販売上 × 店販原価率
仕入高 = 技術原価 + 店販原価
 

(売上原価の計算式)
売上原価 = 期首在庫 + 当期仕入 - 期末在庫

④粗利(売上総利益)を算出

上記の③仕入高の設定が完了したら、ようやく粗利(売上総利益)が算出されるのです。

粗利(売上総利益) = 売上高 - 仕入高

その3・営業利益の設定

売上総利益(粗利)の設定まで完了しました。次は営業利益を設定していきます。

営業利益とは、売上総利益から販売費及び、一般管理費(販管費)を差し引いたものをいいます。

営業利益=売上総利益(粗利)ー販売費及び一般管理費(販管費)

①販売費および一般管理費(販管費)とは何か

販売費とは、ものを販売する活動すべてにおいて必要とした費用のことです。

例えばホームページを制作する、コマーシャルを流すなどの広告宣伝費や、イベントに受付として参加した営業社員の人件費などがここに入ります。

また一般管理費とは、その会社本体、その企業を運営するために不可欠な費用のことを指し、例えばテナントとして入っているビルの家賃や水道光熱費、福利厚生費、研修費、間接部門の人件費、法定福利費、通信費、消耗品費、租税公課、減価償却費、保険料などがここに入ります。

➁販管費の設定基準はどこに置くべきか

販管費は何を基準に設定すればいいのでしょうか。それまで働いていたサロンの数値を参考にするのもひとつの方法です。

メニュー内容・使用する材料・出店エリア等に、あなたが経営する店と大きな違いがなければ、その数値は参考にできるでしょう。

またいわゆる一般的な平均値とされるものを基準に考えることもできます。以下は一般的なサロンの販管費の数値目安です。

  • 人件費は、売上高の50%以下
  • 水道光熱費は売上高の5%以下
  • 家賃は売上高の10%以下

月次、年次シミュレーション

運転資金が残っているうちに、サロンを軌道に乗せる

月次収支シミュレーションが完成したら、次はその目標数値をもとに、一年間の収支シミュレーションを作成しましょう。

設定した目標数値をどれくらいの期間をかけて達成するのかを考えます。

サロン経営がまだ安定せず、利益が出せない間は、運転資金を使用しサロンをまわさなければなりません。

そして運転資金が残っている間にサロンを軌道に乗せなくてはならないのです。

スタッフごとにどれくらいの指名客がいるか把握しよう

多くの指名客を持っているスタッフがいる場合は、売上予測も立てやすくなりますので、スタッフごとにどれくらいの指名客がいるのかを把握し、軌道に乗るまでの期間を計画しましょう。

指名客がなく新規に集客する必要がある場合は、集客プロモーションの効果予測をし、予想集客数から期間を設定しましょう。

といっても永遠不変の指名客などは存在しません。

サロン場所が変わったりメニュー内容が変更することで失客の可能性も高まりますので、スタッフが持っている指名客は、新店舗に本当に誘導することができるのかを厳しく検証したいものです。

多額の費用をかけてつくったサロンは、その初期費用を回収するためにもスタッフを安定して雇用するためにも複数年継続してサロン経営をしなければなりません。

作成した月次収支シミュレーションをもとに、年次の収支シミュレーションを作成しましょう。

集客シミュレーション

サロンは積み上げ式のビジネスとよく言われ、リピート客数とリピート率が上がらないと、そのサロンは永続的に新規客を獲得していかなければいけません。

新規客獲得には広告宣伝費も多くかかりますのでリピート客数とリピート率が上がらないとサロン経営は安定しないのです。

ここで登場した「リピート客数」や「新規客数」といった用語について、以下の意味を把握しましょう。

「新規客数」と「新規再来率」

サロンの開業における最重要管理指標のひとつであり、「新規客」とはサロンに初めて来店するお客様のことです。

そして「新規再来率」とは初めてサロンに来店したお客様がもう一度(2回目として)サロンを利用する確率のことなのです。

この「新規客数」と「新規再来率」はサロン開業において最重要管理指標のひとつです。

とうぜんサロン開業時にはまだ顧客はゼロの状態ですので、ここで設定した客数を獲得できなければ、目標売上は達成することはできません。

「リピート客数」と「リピート率」

多くのお客様に継続してサロンを利用してもらう「リピート客数」とは、再来店したお客様の数のことです。

「リピート率」とは、お客様が再来店する確率のことです。

一般的には、新規客が再来店した場合には「新規再来率」と言い、3回目以降の再来店をした確率を「リピート率」と表現します。

客数施策

何もしなければお客様は誰も来てくれません。スタートダッシュを決め、サロンを成功・繁盛へ導く第一歩として新規客の獲得施策を考えましょう。

新規集客のための五大要素を把握する

新規客数アップのためには、客の要素を把握することが必要です。

この図のように五つの大きな客の要素があるのです。それぞれの要素に対してどんな施策をするか考えて、目標とする集客数を設定しましょう。

このように目標を設定し、目標人数を達成するための施策をそれぞれ考えていきましょう。

細かな施策を考えることを曖昧にしてしまい、新規オープンだからと急いでホームページを作ったり、DMやチラシを何万部も印刷したり、地元のタウン誌に金額の大きな広告を出したり、とあまり考えずに実行するとすべてが裏目に出ます。

想定していない客層が集まってしまい対応ができなくなったり、ターゲットの求めていないサービスが表に出てしまって変なイメージがついてしまったり、全く人が来なくなったりといった想定外の事件が起こってしまうのです。

店舗デザインやメニュー価格は、あくまでもターゲットを想定して設定されていることを忘れないでください。

来店してほしい層のお客様を呼び寄せ、彼らに満足してリピーターになって頂くためにも、ターゲットへの施策を一つ一つ考えていくことが重要なのです。

広告宣伝は、外注先から必ずデータを収集すること

サロンを多くクライアントに持つ業者には、膨大な過去実績から抽出したノウハウや経験値がデータ化されています。

クーポン誌ならその雑誌を発行している会社に、チラシならチラシを制作した業者に、大体どれくらいの効果が見込めるのかを事前に確認しましょう。

数字を使ったデータをきちんと保有しているような業者は少ないのですが、そういった業者に出会えると確立の高い広告宣伝を打つことができます。

業者選定の際には、営業マンへ「過去の具体的な数字サンプルをください」と尋ねることを忘れてはいけません。

この時に曖昧な受け答えをする営業マンには注意してください。

もちろん、各業者は集客数を保証することはできません。

特に新規開業サロンに対して正確な予測はできませんので、収集したデータはあくまでも参考数値だと思ってください。

当然のことですが、施策にかかる費用を事前に計算しましょう。

クーポン誌なら掲載料がいくらなのか、チラシなら制作費用はいくらなのか、各業者から正確な見積もりを出してもらい確認しましょう。

この費用の合計が、事業計画書で作成した収支シミュレーション内の広告宣伝費用を超えていた場合は、予算を上げるのか施策変更するのか再考しましょう。

費用対効果を必ず計算すること

実行する施策とその効果予測ができたら、費用対効果を確認します。
一人あたり集客費用と施策反応率を計算してみましょう。

<費用対効果 例>
手配りチラシの場合
●一人あたり集客費用
50,000円(費用) ÷ 50名(予想集客数) = 1,000円(一人あたりの集客費用)

●反応率
50名(予想集客数) ÷ 1,000部(配布数) = 5%(反応率)

費用対効果の計算ができたら、その費用対効果が適正かどうか検証します。

収益を上げることを考えると、サロン規模に応じて広告宣伝にかけられる予算も決まってきます。

収支シミュレーションで作成した広告宣伝費の予算におさまっているか確認しましょう。

サロンは積み上げ式のビジネスです。経営を安定させるためにはリピート客(固定客)を積み上げていく必要があります。

新規のお客様がリピートしないサロンでは、永続的に広告宣費をかけて新規客を獲得し続けなければいけないのです。

リピート客数アップの4大要素を掴むこと

リピート客を増やすためには何をすべきなのか、要素を細分化して各項目にそった施策を考えましょう。

リピート客獲得をする際には以下の4大要素を把握した上で考えることが重要です。

このようにリピート客獲得には4種類の方法があります。それぞれの要素に対しどんな施策をするか考えていく訳ですが、まずは目標とする数値を設定しましょう。

リピート率とは、来店したお客様が再度来店される確率のことです。

お客様はどのようにすればサロンを何度もご利用頂けるのか、その要素を考えていきます。

まずやらなければいけないのが不満足要素の排除です。不満足の排除を最初にする理由は、ひとつの不満が満足や感動を帳消しにしてしまうからです。

お客様がサロンに来店されてから退店されるまでに、不満に思う可能性のある箇所をリストアップします。

不満足要因のリストアップができたら次はその不満足要因をどのように排除するのかという対策立案になります。

言うまでもなく、サロンは接客商売です。技術ももちろん重要ですが、スタッフとの相性も非常に重要になります。

美容室の場合、お客様は来店されると数時間滞在し、その間スタッフたちと密度の濃いコミュニケーションをとり続けることにあります。

定期的に来店くださるお客様には、その際のコミュニケーションが快適であるという条件下で実現するのです。

また、当然すべてのお客様はサロンへ毎日通うことはできません。そのサロンへ来れない期間は、お客様はホームケアをすることとなります。

このホームケアで使用されるのが、サロンの薦めるヘアケア商品や化粧品です。お客様に繰り返しサロンを利用して頂くためには、お客様のニーズに合った満足度の高い商品を取り揃える必要があり、適切なコミュニケーション力でその商品を売り込む力も必要になるのです。

お客様に満足頂けるサロンづくりができたら、より確実にお客様に再来店して頂くための施策を考えていきましょう。

継続してサロンを利用して頂けるお客様は、サロンにとっても非常に重要なお客様(ロイヤルカスタマー)ですので、わかりやすい方法でサロンの気持ち伝えてみましょう。

例えば、ロイヤルカスタマー向けの明確に差別化されたVIP会員制度があることや、次回ご利用クーポンの配布、繁忙期の最優先予約などがそれに該当します。

リターン客とは、しばらく来店されていないお客様や失客の可能性のあるお客様を呼び戻すことです。

サロンから離れてしまったお客様を呼び戻すには、どのような方法をとればよいのか考えましょう。

失客の理由は実に様々であり、必ずしもサロンに原因があるわけでもありません。サロンへの不満が理由で失客されるケースもありますが、特定の理由もなく何となく失客してしまうお客様も多くいるのです。

まずはお客様へコンタクトをとることが重要です。サロンを再認知してもらうのです。メールやDM送付から、最近ではSNS(フェイスブック等)から情報発信も有益でしょう。

一定期間来店されていないお客様を呼び戻すことは簡単なことではありません。

再認知に加え、再来することの明確な特典をつくるのもひとつの策です。クーポン付きのDMやメール送付はその一例です。
 
来店スパンとは、お客様の来店サイクルの間隔のことです。

この来店スパンも、サロン売上に大きな影響を与えるひとつの要素です。お客様にとって最適な来店スパンでサロンをご利用頂くためには、サロン側も最適なスパンを説明し、そのスパンで来店できるようサポートする必要があります。

この来店スパンの施策については、上のリピート率の施策と重複するでしょう。
 
最後の回転率とは、サロンの稼働率をみるためのひとつの指標です。

セット面毎客数・時間帯別客数・曜日別客数からその指数をみていきます。閑散・繁忙のバランスをとり、サロンの稼働率を高めるためにはどうすればいいのか、その要素を考えていきます。

まず、セット面毎回転率が向上することにより、サロンで施術を行うことのできる客数の母数を上げることができます。施術可能な客数が増えればリピートのお客様もより多く施術することができ、機会ロスを減らすことができます。

方法としては、スタッフ技術レベルの向上や施術工程の効率化、スタッフの人員配置の改善などが挙げられます。

また、設定しているターゲットにより、閑散する時間帯と繁忙する時間帯が分かれる場合があります。

この閑散と繁忙のバランスをとり、どの時間帯でも安定的な客数を獲得することができれば、サロンの売上は向上、安定させることができます。

曜日も同じことです。時間帯別客数と同様に、設定しているターゲットにより、閑散・繁忙する曜日が分かれる場合があります。

この閑散と繁忙のバランスをとり、どの曜日でも安定的な客数を獲得することができれば、サロンの売上は向上・安定させることができます。

曜日別にターゲットをわける、閑散する曜日に特典をつける、閑散曜日を定休し人件費を下げるなどで調整が可能です。

客単価施策

サロン売上は、「客数×客単価」で算出されます。

サロン経営をより安定させるためには、この客単価を目標通り達成し続けることが重要です。

以下の図をご覧ください。技術単価を決めるにはメニュー設定をしなくてはなりません。

どんな施術を行うのか、そのメニュー内容・価格・利用比率を設定しましょう。

ここで言う利用比率とは、そのメニューをどれくらいのお客様が利用するかという確率のことです。
 
メニュー毎技術単価 = メニュー金額 × 利用比率
          ↓
技術単価(合計) = メニュー毎技術単価の合算

次の図は、店販単価に関するものです。

天販単価を決めるには、まず取り扱いをする商品(店販)を決める必要があります。

どんな商品を取り扱うのか、その商品内容・価格・購入率を設定しましょう。

ここに登場する購入率とは、店販を購入されるお客様のうち、その商品をどれくらい購入するかという確率のことです。
 
商品毎店販単価 = 商品毎単価 × 購入率
          ↓
店販単価(合計) = 商品毎店販単価の合算

金額以上のサービスという認識こそが、リピートにつながる

お客様は払った金額以上のサービスを受けられなかったと思えば、リピートすることはありません。

単価施策とは、お客様から頂く金額以上に価値のあるサービスを行うための戦略づくりです。

例えば、メニュー毎に施術工程を作ってみましょう。ターゲットにとって満足(感動)頂けるものになっているか確認していくのです。

お客様にとって価値あるサービスになっているかどうかの確認は、実際にターゲットのお客様に施術を体験してもらうことが一番です。

オープン前に検証を繰り返し実施したいものです。また、お客様に価値を感じてもらうためには、強くアピールすることも重要です。

例えば、海外から輸入した上質なオーガニックシャンプーを使用していたとしても、説明をしなければお客様はその価値に気付くことはできないのです。

まずは、美容室開業のための情報のいろはを知ろう!
美容室の開業手帳
美容室創業のネックを知り、解決策を探る
理美容室の創業融資(公庫)に絶対に必要な3つのハードル
早期の黒字化のためにも、既存顧客に重点を置いた効果的な集客を!
美容室の集客方法とは?

(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)

資金調達手帳

カテゴリーから記事を探す