無名企業に取材が年100件!ベンチャー企業広報・PRの極意

創業手帳

ベンチャー企業がマスコミに取り上げてもらう効率的な方法とは?

(2014/10/22 update)

「自社の事業やサービスをできるだけ早く多くの人に知ってほしい」というのは多くの創業者の願望だろう。そのためには社会に多大な影響力をもつ「マスコミ露出」は必須となる。

今回取材したベンチャー広報株式会社代表の野澤氏は、ベンチャー企業に特化して広報・PR支援を行っている。野澤さんはコンサルタント系の会社を経て出版社に転職した。出版社に会社の広報やPR会社から大量のプレスリリースが送られてくるのを目の当りにした野澤氏は、「マスコミを動かしているのは実は“広報・PR会社”だ」ということに気づく。

まだ世間的に知名度の低い間もないベンチャー企業がマスコミに露出するために広報PRは具体的にどのようにすればよいか?野沢氏にその具体策を伺った。

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野澤直人 (のざわ なおと)
株式会社ベンチャー広報代表取締役
1971年生まれ。明治大学卒業後、中小企業向け経営情報サービス会社に入社。20代後半で出版社に転じ、ニュービジネス情報誌の編集責任者としてベンチャー経営者500人以上の取材を経験。その後、当時無名だった海外留学関連のベンチャー企業で広報部門をゼロから立ち上げ、半年間で日経新聞本誌朝刊をはじめ43件のメディア露出を実現。同社在籍中の8年間で朝日新聞、週刊ダイヤモンド、ワールドビジネスサテライトをはじめ毎年100~140件のマスコミ露出を通じてブランディングに貢献した。PR会社勤務を経て、ベンチャー広報を設立し現在に至る。

ベンチャー企業がマスコミに露出する3つの方法とは?

-ベンチャー企業がマスコミに露出するのは難しいのでしょうか?

野澤: 大手企業であればプレスリリースを書くだけで取材がくることも多々あります。しかし中小ベンチャー企業の場合、プレスリリースを書いてマスコミに送るだけでは難しいのが現実です。受け取る側にとって、プレスリリースというのはスパムのように大量に送られてきますから、ある程度名前が売れていないと認知すらしてもらえないのです。

ベンチャー企業がマスコミ露出をするためには3つの方法があります。第一に「競合他社を取材した記者にピンポイントにアプローチする」こと。第二に、これは考え方ですが「露出の質よりも量を重視する」こと。第三に「広報する内容を記者に直接尋ねてしまう」ことです。これらを実際に行っている広報の方はあまりいないのが現実です。

以下、それぞれ詳しくお話しします。
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競合他社に取材した記者にピンポイントにアプローチする

メディアに取り上げられることのよるPR効果は大きい

メディアに取り上げられる
ことのよるPR効果は大きい

野澤: 僕がよく経営者の方にお話しするのは「まず自社に興味を持ってくれそうな記者や編集者、テレビのディレクターを探してください」ということです。そしてその人にピンポイントでアプローチします。自社に興味をもってくれる記者や編集者と接触することができれば、露出する可能性はぐっと高まります。

記者や編集者やディレクターを探す方法は意外と簡単です。競合の会社が掲載されている記事や、自社に関わる内容の記事を見つけて、その末尾の名前をみればよいのです。記事には、大抵の場合、文の最後に署名があります。これを見れば自社に興味をもつ可能性のある記者を探すことができます。

記事を見つけるのが難しい場合は、競合他社のホームページなどに載っている「メディア掲載一覧」をみるとよいです。多くの会社は、いつ・どんな媒体に掲載されたのかということを記していますので、そこから記事を探すことができます。このようにして自社に興味をもってくれそうな記者をみつけます。

次に、名前を確認してアポイントをとります。例えば新聞社であれば「△△新聞の◯◯さんはいらっしゃいますか?」と電話をしてしまいます。記者というのは、なんらかの理由があってその記事を書いていますから、急に電話しても取り合ってくれないということはないでしょう。例えば、記事の内容が「留学」だった場合、記者が留学担当なのか、記者自身が個人的に留学に関心があるなどが考えられます。

まずは露出の「量」を重視する

野澤: 次に重要なことは、露出する媒体の「質」よりも「量」を重視することです。

よく経営者の方は「とにかく全国紙やテレビに出たい」とおっしゃりますが、創業直後の会社に大手メディアが取材にくることは珍しいのです。そこで「量」を重視することが大事なのです。

ここで「メディアの三角形」の説明をさせてください。

メディアの三角形

メディアの三角形:上にいくほど影響力が高いメディアで、下に行くほど取材してもらいやすいメディア。取材してもらいやすいメディアで話題になると、難易度の高いメディアでも取り上げてもらいやすくなる「報道の連鎖」が起こる。

最上段から、影響力の高いテレビ、全国紙、雑誌、Webや業界紙と続きます。中小ベンチャー企業の場合は、この図で言うと下の方、つまり「土台のメディア」からなるべくたくさん取材してもらうことが大切です。なぜなら、そこからたくさんの取材を受けると、自然と上のメディアからも取材が入りやすくなるからです。 その理由は、テレビや新聞などのメディアの人たちは、案外このようなWebメディアや機関誌など土台のメディアから情報を得て企画を考えているからです。

私はこの「下のメディアから多くの取材を受けると次第に上のメディアから取材がくるようになっていくこと」を勝手に「報道の連鎖」と名付けているのですが、この連鎖をいかに起こすかが重要です。報道の連鎖を起こすには、月3件は取材を受ける状態が続くとよいでしょう。

私は以前、立ち上げて3〜4年の海外留学のベンチャー企業で広報を行っていましたが、当初取材依頼がほぼゼロだった状態から、年間100件の取材がくるようになりました。このときも、始めはある程度「力技」で記者を見つけてお願いし一つずつ記事を増やしていきました。次第に情報の連鎖が起こり、取材依頼がどんどん来るようになりました。

マスコミの記者に直接尋ねてしまう

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野澤: 最後になりますが、よくあるお悩みで「マスコミが取材してくれるような面白いネタが無い」ことがあります。これは「面白いネタがない」のではなく「社会にとっては面白いのに自分のことだからそれがわからない」ことが問題だと思います。私はこのような場合、何がネタになるのかということをマスコミの人に直接聞いてしまうことをお勧めしています。

例えば、同じ海外留学という内容の記事を書いてもらう場合でも、それぞれの新聞社、雑誌社、web媒体によって「求めている情報」が違います。ですから、それぞれの記者や編集者に直接会って「どういう切り口・どういうネタだったら取材になりますか」とやんわり聞いてみるとよいです。

もちろん記事になりそうな自社のネタを持って行って下さい。会って提案したとき「こんなのダメだよ」と言われるかもしれませんが、すかさず「逆に、どんな感じだったら取材になりますかね?」と聞いてしまいます。するとアドバイスをもらうことができます。

つまり、直接会うことによってアドバイスがもらえ、PDCAを回すことができます。これを繰り返していくと、採用されるネタが次第にわかるようになり「取材される力」が向上します。これは“社会が求めていることを理解した上で自社をどのように社会に伝えるか”ということであり、広報・PRにおいて大事な過程だと思いますのでぜひ実践してみて下さい。

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(インタビュー・編集:創業手帳編集部)

ココ重要!
  • 競合他社を取材した新聞や雑誌の記者・編集者、テレビのディレクターにピンポイントにアプローチする。「競合の会社が掲載されているメディア記事や自社に関わる内容の記事」や「競合他社のホームページなどに載っている『メディア掲載一覧』」等の記事などから連絡先をチェックすることができる。
  • メディアへの露出の質よりも量を重視する。テレビや全国紙などの掲載難易度が高く影響力が大きいメディアも、Webメディアや業界紙などの掲載難易度は低く影響力も比較的小さい「土台のメディア」から情報を得て企画を考えていることも多い。まず「土台のメディア」からなるべくたくさん取材してもらうことが重要。
  • 「土台のメディア」から多くの取材を受けると次第に影響力の大きなメディアから取材依頼が入るようになっていく「報道の連鎖」が起こる。「報道の連鎖」を起こすためには月3件は取材を受ける状態が続くとよい。
  • 何が広報のネタになるのかということを逆に記者に直接聞くと、採用されやすいネタが次第にわかるようになり「取材される力」が向上するメリットがある。
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