ロジカルシンキングを鍛えて”脱・残業” スウェーデン流マルチタスク仕事術

創業手帳

「木も見て、森も見る」!? 徹底的に無駄を省くための論理的・合理的な考え方

sweden-multi-tasking

(2017/03/14更新)

◆連載 “スウェーデンから学ぶ 成功への道” アーカイブ
第1回:残業ゼロ、仕事より家族第一の「スウェーデン」は、なぜ世界的イノベーション大国なのか?
第2回:世界屈指の人材輩出国スウェーデンは、なぜ少数精鋭の組織を創れるのか?

第1回目の記事で少しふれましたが、スウェーデン人は何より家族を大事にします。夫婦が共に働く中で、仕事と子育てや家事を両立する為、彼らは状況に応じて助け合いながら対応しています。
つまり、とても忙しいのです。

例えば、「今日は僕がPTAの会合に参加しないといけないとか、今週は私が子供のお迎えの当番だから15時には退社しなければいけない」といった具合です。

家庭の事は勿論ですが、仕事もしっかりこなします。この書類を14時までに提出して、明日の会議の準備をして、○○さんとも事前に打ち合わせをしておかなければ・・と。

それでは、本来ストレスいっぱいであろう、このマルチタスク状態を、どの様にして対応しているのでしょうか、さっそく見ていきましょう。

本文を読む

マルチタスク仕事術① 優先順位をつねに考えて行動

あなたは、「やる事が多すぎて、考える時間がない」という経験は有りませんか?そして、目の前の事をこなす為に夜遅くまで会社で残業するというパターンに陥ってはいませんか?

実は、日本で働いている時の私がそうでした。

一日の会議の数は、多い時は7つ、8つ。メールの数は200通を超えるなど。そして、一日を振り返った時、私は一体今日何を達成したのだろう、と空虚感に襲われることも有ました。

夜20時に会社を退社出来る日が有ると、「今日は早い帰宅だ!」と思ったものです。定時は17時30分ですから20時でも「遅い」と感じなければならないはずなのに「早い」と感じてしまうこの″感覚”、完全に麻痺していました。

環境とは恐ろしいもので、私の同僚の多くもそうであったように思います。
つまり、残業をして仕事を終わらせるのは当たり前、というマインドセットになっていました。

ところがスウェーデンでは、残業に対する考え方が日本とは全く異なります。基本的に、「残業はするべきではない」とされていますので、残業を許しているマネージャーは、部下の管理能力が無いとみなされます。

ですから、本人もマネージャーもいかに効率的・効果的に仕事をこなせるかをいつも考えているのです。

そこで、登場するのが優先順位づけです。
個人レベルで、仕事の優先順位を決めるときによく使うのは、時間管理マトリックスです。(下記参照)。

時間管理マトリックス

参照: スティーブン・R・コヴィー 「7つの習慣」

第一領域(消費の時間)
仕事の大半を支配されるが、必要な時間

  • 締め切りの迫った仕事
  • 顧客からのクレーム
  • 重要・緊急な会議
  • 病気・事故・災害対応

取るべき行動:すぐやる

第二領域(未来への時間)
すぐに成果は出ないが、将来への投資

  • 大きな目標の実現に向けた活動、戦略
  • 予防、準備、計画
  • 豊かな人間関係づくり、組織づくり
  • 自己啓発、リーダーシップ、トレーニング
  • 健康管理(睡眠も)、休暇

取るべき行動:予定する

第三領域(錯覚の時間)

すぐに成果が出るため、仕事をした気になる、他人から評価されて嬉しい

  • 形式的な会議や報告書
  • 無意味な接待や来訪
  • 重要でないメール・電話対応
  • 頼まれごと・雑用

取るべき行動:任せる

第四領域(無駄な時間)
非効率的な仕事、成果はほぼ無い

  • インターネットのしすぎ
  • 暇つぶし、噂話
  • 待ち時間
  • 意味のない行動

取るべき行動:排除する

ロジカルシンキングで必要性・重要性・緊急度をはかり、優先順位をつける

よく日本人が陥る罠は「緊急×重要でない」に時間を使ってしまうことです。また、「緊急×重要」であったとしても、締切の期日のつけ方で自分の首を絞めてしまうことがあります。

なぜなら、緊急であるということは、誰かが「あなたからの返答を待っている」ということです。
人は、誰かに催促されたり対応を求められると、すぐに返信しなければと考え行動に移します。でも、それが、今すぐにやらなければいけない事なのか、さらには本当に必要なことなのかを考えずに行動しがちです。

スウェーデンの私の同僚は、何時も私にこんな質問を投げかけてくれました。
「どうして、それをやらなければいけないの?」
「それをやると、会社にとってどんなメリットが有るの?」

「今それをやったって、来週には変更がかかるかもしれないから、少し待ったほうが良いんじゃない?」と。

そうなのです、スウェーデンでは、マネージャーだけではなくスタッフレベルでも、「何故それが必要なのか、会社にとってどの様なプラスの要素があるのか」を常に意識しています。徹底的にロジカルに考えて、時には「やらない」という選択肢を取ることも多々あります。

その様にして自分のタスクのビジネスにおける必要性・重要性・緊急度をはかり優先順位をつけているのですよ。

マルチタスク仕事術② ボスにも「ノー」といえる勇気

でも、いくら優先順位をつけても、実際にはやらなければいけない事が、沢山有りますよね。

1週間などと限定されたものではなく、何か月も長時間残業を強いられるような状況の場合、スタッフはマネージャーにサポートを求めることが出来ます。

たとえば「誰か一人補佐につけてほしい」「このタスクを誰かにやってもらえないか」というように。
全てを自分一人で抱え込み、パニック状態でボロボロに擦り切れるまで働く必要はないのです。

スウェーデンでは、マネージャーの重要な役割の一つが、スタッフの労働環境・時間を管理することです。ですから、自分が一人で対応出来無いような業務量だと思ったら、遠慮なくマネージャーと相談し解決策を一緒に考えます。

マネージャーから新しい仕事を依頼された時も、自分が現在手一杯の状況であれば、「ノー」と言って、他の人に頼むよう伝えることは普通なのです。

リソース不足を恐れない。会社にとって効果が大きいものは何か?とロジカルに考える

では、人が足りなくて、他に頼める人がいなかった時はどの様に対応するのでしょう?
その時は、先ほどの優先順位の活用です。

いろいろあるタスクの中で、会社にとって一番重要となるものを「ビジネス・ディシジョン」として決定します。この決定は、担当マネージャーレベルで決められる場合も有れば、その上のリーダーシップチームレベルで決める場合も有ります。

この様にして決められた優先順位に基づいて業務を進めます。
その場合、それ以外の業務に「スケジュール遅延」などの影響がでることもあります。
でも、それはそれ。

リソースは限られています。
優先順位をつけないことですべてに遅れが出るよりも、影響を最小限に止めて、確実に大きな利益が出るもの、将来の為になるものにフォーカスをします。

正直、初めはこの手法にかなり抵抗がありました。時には、遅延を伝えた相手から、エスカレーション(担当を上司へ引き継ぐこと)を受けることも有りました。しかしそんな時は、マネージャー・組織がサポートしてくれます。それがビジネスとしての決定事項ですから。

全て自分で回しきれない時に「ノー」といえる勇気、あなたはもっていますか?
そして、あなたのスタッフにそう言われたら、あなたはサポートできますか?

マルチタスク仕事術③ 会議は少人数で、建設的に

スウェーデン人の多くはとても論理的です。
初めの頃は時々イライラすることもありました。なぜなら、議論になったとき、論理的過ぎて、なかなか勝てないからです。

先ほどの優先順位の付け方からもわかるように、日本人のように感情論・根性論では動きません。至ってシンプルで合理的に考えます。

ですから、会議もきちんとした「目的」のもと行います。議題や会議のゴールを記載せずに、インビテーション(招集案内)を送ろうものなら、すぐさま「何の為にやるのか」と問い合わせが入ります。

ゴールが明確でないと参加者も準備が出来ない為「時間の無駄」と見なされるからです。

そして、少人数での会議を好む傾向にあります。それは、本当に必要な人だけで議論をしたほうが、正しい決定が迅速に出来るからというものです。

外野からの様々な意見はもちろん貴重ですが、それは会議の前の準備段階でインプットしておくべきもので、会議の中で話すべき内容ではないと言うことです。

そして、私は会議の中で突然怒鳴りだしたり、誰かを責め立てたりしている姿を見たことがありません。(時々、とても腹を立てて、席を立つ人はいましたが・・・)

何時でも、彼らはとてもプロフェッショナルな態度で会議に参加していました。何か問題が起きても、「では、どの様に対応したら良いか?」に焦点をあて、建設的な議論ができる雰囲気がありました。

常に目的意識を持ち無駄な会議をしないというマインドセットがそこには根付いていたため、活発な議論のもと会議を効率的に進められましたよ!

まずは「ロジカルに考える」ための時間を予定に組み込んでみる

「木を見て森をみず」という言葉がありますが、スウェーデンでは「木も森も」両方みています。
実際、スウェーデンの森に行くと、木が伐採されたエリアを目にすることがあります。でも、そこには小さな苗木が植えられていました。

木を切ったら次の世代のために新しい苗木を植えておく。そして環境を極力壊さないように、必要な分だけ伐採する。この様にいつでも大きな心でその先を見据えた政策をとっています。それと同時に「何故それが必要なのか」「何の為にやるのか」という、根本的な理由を問いながら。

私たちは、日々の仕事に追われているとなかなか「考える」時間がとれません。ぜひ、あなたのカレンダーに、「考える」時間を予約してみては如何でしょうか?
そうすると、何を本当に「やらなければいけないか」「やらなくてもよいか」が見えてくるかも知れませんよ!

社員のモチベーションを維持し、適材適所に配置する仕組みとは
世界屈指の人材輩出国スウェーデンは、なぜ少数精鋭の組織を創れるのか?

(監修:ソルローズ株式会社 正木 美奈子
(編集:創業手帳編集部)

この記事に関連する記事

創業手帳

創業時に役立つツール特集

カテゴリーから記事を探す