雛形でチェックする売買契約書作成のポイント

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雛形で学ぶ!売買契約書入門

baibai

(2015/10/24更新)

コンビニで何かを買う。家を買う。
程度は様々であれ、日常の中では多くの売買契約が成立しています。これはビジネスの場合でも同様です。

しかし、「振り込みが完了していない」「商品に不具合がある」「商品が届いていない」このようなトラブルが発生した場合はどうなるでしょうか。

互いの信用を確保するために、迅速な解決が必要となります。この時に、強い証拠能力となるものが売買契約書です。

つまり、ビジネスを安心して行うためには、充分な中身と適切な形式が備わっている売買契約書が必須となります。

以下、実際に雛形として使用しているサンプルを見ながら、確認していきましょう。

※下記リンクから売買契約書の雛形をダウンロードしてください。

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売買契約とは?

売買契約とは、物等の売り買いについての契約のことになります。コンビニでちょっとした買い物をすることから、マンションや土地等の不動産を購入することも売買契約といえます。

売買契約とは日常生活で最も目にすることが多い契約のひとつですが、それだけに、企業にとっても日々の活動を支える重要な契約となることが多いです。そのため、企業として締結する売買契約には一層の注意を払う必要があります。

売買契約が必要な場合とは?

売買契約は日常的な契約ですが、特に企業として売買契約を締結する場合では、たとえばオフィスに設置する机や椅子等の備品の購入や、事業活動に必要な物品の仕入れ等、多くの売買契約が想定されます。

また、企業の売買契約は、個人が行う売買契約に比べて、特定の取引先を相手に継続的な売買契約をすることが多く、取引金額が高額となることが多いのも特徴的です。

売買契約を締結する時に注意すること

売買契約をはじめ、それ以外の契約においても、締結する際に注意すべきことは契約として必要な形式を備えることです。売買契約では、売買目的物が何なのか、及び代金がいくらなのかを定めることが、形式として必須となります。

また、トラブルが発生した場合に契約当事者間でどのような解決をするのかについて予め定めておくことも重要です。

企業同士の契約となると、信用関係について特に慎重にならなければならないため未然にトラブルを防止する為の措置をできる限り用意することによって、安全な事業活動を確保することができます。

契約するに際して上記の注意をしないとどうなるのか

まず、売買契約としての形式を備えていなければ、相手に義務の履行を求めることさえ難しくなる可能性があります。売買目的物を渡す義務も、代金を支払う義務も、売買契約が有効に成立しているからこそ生じる義務です。義務を履行する前提としての売買契約が成り立っていなければ、全てが水泡に帰す可能性があります。

また、「代金支払期日になっているのに振込がなされていない」「商品に不具合がある」このようなトラブルに際して、迅速かつ円滑な解決を導くのは事前の契約条項、つまり契約書に何が書かれていたかということになります。特に、継続的に取引を行う相手との関係では、なるべくトラブルが深化する前に解決し禍根を残さないようにすべきです。

そのため、売買契約書内容の充実というのは極めて重要な要素になります。

このような準備を何もしないまま売買契約を行ってしまうと、トラブルの対応に苦しむことになりかねません。トラブルが発生する前であれば、互いに妥協点を探りつつ理性的な取り決めもできますが、トラブルが発生した後の責任の所在をめぐる話し合いはそう簡単には落ち着きません。

売買契約を締結するにあたっては形式とトラブルを未然に防ぐ取り決めを定めた書面の作成が重要になります。

そこで、これから売買契約書の雛形を用いながら基本的な売買契約書について説明していきます。今回は継続的に売買契約を行う企業間での契約書を想定して行います。

いよいよ詳細を解説します!

(基本契約)
第1条 乙は、以後継続的に甲が販売する商品を買受けるものとし、個別売買契約において特約のない限り、その他の定めはこの契約によるものとする。

まず、基本契約において今後想定する継続的な売買契約の骨格的部分を取り決める旨を定める必要があります。

これは、継続的に売買する以上、その都度の売買で変動する可能性のない内容については、基本契約という形で定めることによって、その都度発生する売買についての処理を簡単にするためのものです。

(個別売買契約)
第2条 個別売買契約は、乙の提出する注文書と甲の交付する注文請書の交換によって成立する。

第1条で定めた売買基本契約に対応する、個別的な契約について定めます。個別売買契約では、別途用意する注文書に求める商品と個数を記載し、それらの代金が記載された注文請書の交換によって契約を成立させ、その他の細々とした売買契約上の取り決めを省略することができます。

この場合の注文書、注文請書の形式として、商品が何なのか、個数はいくつか、代金がいくらなのかについて記載がなされていれば、それ以外は比較的自由な形式で作成して差し支えありません。

(引渡し)
第3条 甲は、乙の指定に基づき商品を送付して乙に引渡すものとし、引渡に要する運賃その他費用は、甲の負担とする。

第3条では、商品の引渡方法について定めています。一般的な商品の引渡し方法は運送によるものと思われますが、商品の特性に応じて改変することが求められます。

また、運送の方法を引渡方法として採用する場合であっても、その都度発生する運賃等の費用負担については協議の上定めることが好ましいといえます。今回は売主である甲の負担として記載しましたが、買主の負担とすることもあり得ます。

(検品)
第4条 乙は、甲より本商品の引渡を受けた後、本商品に数量不足又は直ちに発見できる瑕疵がある場合には、速やかに甲に通知するものとする。

これは商法526条の規定を具体化した条項となります。この規定は特に売主にとって重要な規定となりますので、より具体化できるようであれば改変することが望まれます。

この規定は商品を受け取った買主が、商品の数量や不備について速やかにチェックし、該当事由がある場合は売主への報告義務があることを定め、報告がなされない場合、買主は該当事由を理由とした返品、交換、損害賠償等の請求ができないとするものです。

そのため、速やかに通知するにあたってどの程度の期間の間に通知すればよいのか。また、買主が購入した複数商品のうち無作為に抽出した数個について検品することによってチェックを行っていた場合、そのチェックによって発見できずに通知が遅れてしまったような場合についての対応等、当事者で協議が行える場合は契約条項として追加すべきといえます。

(危険負担)
第5条 商品の引渡完了以前に生じた商品の滅失、毀損、その他の一切の損害は、甲の責に帰すべきものを除き乙の負担とする。

これは民法534条の規定を具体化した条項となります。

例えば、商品を運送中に運送トラックが事故で大破し、中の商品も滅失してしまったような場合、売主甲に帰責性がない限り買主乙は代替の要求ができないことを定めています。これは民法の原則規定ですが、買主の立場からすればいささか厳しい規定といえるため、当事者と協議の上本条項を削除することもあり得ます。

(返品)
第6条 甲は、乙の設定する品質規格基準等に基づき不合格となった商品、契約数量を超過した商品及びその他個別契約等により返品できる商品を、甲の費用をもって、甲の通知受領後1週間以内に引取るものとする。乙は、甲の費用をもって当該商品を返送する。

第4条とリンクするものですが、返品の必要が生じた場合どのようにして返品作業を実行し、そのために発生した費用をいずれが負担するかを定めるものです。通常、返品の事態が生じるケースでは、売主の不手際等が想定されますので、今回は費用負担を売主甲に設定しております。

(代金支払方法)
第7条 乙が甲から買受けた本商品の代金は、毎月月末締切の翌々月○○日に現金にて甲に支払う。
    2 前項の代金の支払を遅延したときは、商品代金に年〇〇%の計算による遅延損害金を支払うものとする。
    3 乙は、甲が毎月発行する請求書を受領したとき、速やかにその正否を照合し、差異がある場合は、直ちに具体的事由を記載した書面を添えて甲に通知することとする。

代金の支払方法については、現金、振込、小切手等様々な方法がありますが、今回はもっともオーソドックスな現金払いについて定めました。仮に振込払い等を選択する場合は、振込先の口座についての項を追加すべきです。

また、継続的売買契約の場合何日までに成立した契約について、何日までに代金を支払う必要があるかという、締め日と支払日について欠かすことなく定める必要があります。

そして、支払日を過ぎても支払いがなされない場合は利息制限法を踏まえつつ、利息の支払いを別途請求することとなります。一般には、年10%以上の定めがなされていることが多いですが、元金の金額によって利息の設定には上限があるため、気をつけるようにしましょう。

(契約の解除)
第8条 乙が、次の各号の一つに該当する場合、期限の利益を失い、甲は乙に対し催告をしないで、直ちにこの契約及び個別契約を解除できる。
    1 この契約あるいは個別契約の条項に違反したとき
    2 監督官庁より営業取消又は停止等の処分を受けたとき
    3 銀行取引停止処分を受けたとき
    4 第三者から強制執行、差押、仮差押、仮処分等保全手続を受けたとき
    5 破産、民事再生、会社更生あるいは特別清算の申立を受けたとき
    6 信用状態悪化等あるいはその他契約の解除につき、相当の事由が認められるとき

この規定は取引の相手方に経営上の不審点がみられる場合、代金について支払期日を待たずして請求ができ、また直ちに契約の解除ができる旨を定めています。

相手方が各項に該当するような状況に陥っている場合、売買契約を維持していても代金を支払ってもらえない状況になる可能性が極めて高いです。また現在発生している代金も、悠長に支払期日まで待っていては満足に回収できなくなる可能性がなくなるため、このような規定を設けることによって早急な対応が図れるようにしています。

(有効期間)
第9条 本契約の有効期間は、平成○○年○○月○○日より満1年とする。ただし、期間満了の○ヶ月前までに、当事者の一方又は双方より、書面による契約条項の変更又は解約の申入れがなされない場合は、同一の条件にてさらに満1年自動的に更新されるものとし、以後も同様とする。
    2 本契約の有効期間中であっても、甲又は乙は、相手方に対し〇〇ヶ月の予告期間をおいて、本契約を終了することができるものとし、この場合、損害賠償義務は生じないものとする。

いくら継続的な売買契約を定めたとしても、定期的に契約を更新するかどうかの意思確認の機会を設ける必要があります。そのため、契約の有効期間を1年と定め、満了一定期間前までに何らかの申入れをしない場合は、自動的に更新する旨と定めています。

もっとも、何らかの利益状況の変化で契約を終了する必要が生じた時のために、一定期間の予告期間を相手に通知すれば契約を終了することができるとしています。

(連帯保証人)
第10条 丙は、本契約に基づき乙が甲に対して負担する一切の債務の履行について、乙と連帯して保証の責めに任ずるものとする。

売買契約の売主としては、代金を無事回収することが最も重要な事柄ですから、取引の相手方が売買代金を支払えなくなったような場合のための保証人の定めを設けています。企業間の契約の場合、買主側企業の代表取締役を連帯保証人にすることが一般的です。

もっとも、売買代金が高額に及ぶような場合保証人だけでは、いざという場合の代金回収として不安が残るといった場合、別途担保設定についての条項を設けることが望ましいといえます。具体的には会社保有の不動産への根抵当権の設定等が考えられます。

(秘密保持)
第11条 甲又は乙は、本契約ならびに個別契約に基づく取引により得た機密事項を、相手方の事前の書面による承諾なくして第三者に開示又は漏洩しないものとする。

特に、取引の対象となっている商品に企業秘密等が含まれるような場合、買主を通じて他にその秘密が漏洩することを避ける必要がありますから、この条項によって当事者に契約によって知り得た相手方の秘密についての守秘義務を設けています。

(専属的合意管轄)
第12条 甲及び乙は、本契約および本契約に基づく個別契約に関して裁判上の紛争が生じた場合は、○○地方裁判所を第一審の専属的合意管轄裁判所とすることに合意する。

専属的合意管轄とは、契約当事者の間で裁判が避けられないような紛争状態が発生した場合に、一体どこの裁判所で裁判をするのかということについての取り決めになります。

日本全国津々浦々に裁判所があるわけですが、原則として義務の履行をしなければならない場所から最寄りの裁判所、あるいは、義務を履行しなければならない者の住所から最寄りの裁判所で裁判をすることとなります。

しかし、インターネットが普及した現在、遠隔地間の企業同士の取引も考えられるところ、わざわざ遠く離れた裁判所に足を運ばなくてはならないとなると、大変な労力となります。

そのため、予め紛争が発生した場合はこの裁判所で裁判をしようと取り決めをしておくことで、遠くの裁判所に出向くような労力を予め発生しないようにするものです。

(規定外事項)
第13条 この契約に定めのない事項又はこの契約の条項の解釈に疑義を生じたときは、甲乙協議の上定めるものとする。

契約の最中に、契約書に書かれていない内容についてトラブルが生じた場合、あるいは契約書の条項について、解釈の相違が生まれた場合、甲乙間で協議によって穏便的解決を探る旨定め、トラブルの深化をなるべく防ぐことができるよう定めています。

まとめ

このように、契約書の内容として定めるべき内容としては上記一連のものが挙げられますが、それ以外であっても売買契約における商品の性質や金額次第で柔軟に改変していくことが求められます。

売買契約というものは日常的で一般的なものだからこそ、この契約に基づくトラブルを事前に防ぐには、緻密な契約書内容を実現することが不可欠といえます。

そして、契約書の内容の充実が図れたら、最後に契約書としての形式をこぼすことがないように慎重にチェックをしましょう。

まず、契約日の記載を正確に行い、次に各甲乙丙の氏名を本人の手書きで記入し、最後に実印で押印をします。

簡単なようですが、この一連の流れを欠くと、どんなに立派な売買契約書もただの紙切れになりかねません。また、書類関係であれば全般的にそうであると思いますが、気になることがあれば専門家に相談しましょう。

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(監修:徳川綜合法務事務所 行政書士 石川裕也
(編集:創業手帳編集部)

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