改善が上手くいかない原因は〇〇?改善提案制度を機能させる3つのポイント

創業手帳

スタートアップ必見!ビジネスを成功させる秘訣【第3回】

(2017/08/08更新)

一時日本が最先端を走っていた改善提案制度ですが、一方では「なかなか社内で改善が進まない」、「定着しない」、「間違った方向に進む」という声も聞かれます。私はかつて勤めていた住宅メーカーで、改善制度を推進する提案推進室という部署で1年半ほど仕事をしていましたが、あまり成果があがらず部署が閉鎖されてしまいました。その時の失敗体験を踏まえて、提案改善制度を円滑に導入するノウハウ、成果を確実に出して定着させる方法をご紹介しましょう。

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松本全司
大学卒業後、マーケティング会社に入社、3年目にマーケティングコンサルタントとしてNo.1の業績をあげた。その業績を買われて住宅メーカー(ミサワホーム)に入社、市場調査部門、営業部門、アパート事業部門などを担当後、販売教育部門の責任者として12年間営業部門の教育を担当し、新卒から管理職までの研修体系を構築した。その後、元上司が創業したコンサルティング会社「サクセスウェイ」のマネージャーに就任し、リーダーの養成や営業支援活動を担当

改善提案制度が上手くいかない2つの要因

改善提案制度が上手くいかない要因の1つは、制度を盛り上げるために「何でもいいから提案を!」というような呼びかけを行うことです。その結果、提案される改善内容が広範囲にわたり「ごった煮状態」になることです。改善提案を出す人も「とりあえず出しておこう」という感覚になってしまいます。

もう1つの失敗要因は「私提案する人、あなた実施する人」の提案が増えることです。改善提案制度をルールやテーマを決めないで始めると、「他部署への提案」が圧倒的に多くなります。「私提案する人、あなた実施する人」という提案は気軽に出せるからです。
この他部署への提案は、担当部署に回されますが、ほとんどが「検討中」に終わり、改善提案制度への不信感が生まれます。そして、提案した人は「せっかく提案したのに活用されない」という不満が残ります。

では、この2つの失敗要因を防ぐにはどうすれば良いのでしょうか?

改善提案制度は3つに分ける

その対策は改善提案制度を3つに分けて制度化を図ることです。「会社への提案」「他部署への提案」「自部門の改善」の3つです。各々に合ったルールを決めて、分離して対応することがポイントになります。改善提案は「混ぜればゴミ、分ければ資源」なのです。

それでは、それぞれの対応について解説していきましょう

会社への提案はテーマを絞り込め

会社への提案は「何でもいいからアイデアを出せ」というようなスタンスでは良い提案はでてきません。社員の意識を集中させるために、企業のビジョンやミッションに基づいた提案の方向づけとテーマの絞込みが必要でしょう。

そして、提案の判断・審査のプロセスを決めて視覚化し、担当をきちんと決めて制度の推進を図ることがポイントになります。模範的な事例として「小林製薬の提案制度」の概要を紹介しましょう。

小林製薬は「あったらいいなをカタチにする」という企業理念を掲げ、世の中にない商品でお客様の満足を得るモノづくりをすすめている会社です。小林製薬が提案制度によって社員に求めているものは、「あったらいいな」という商品のアイデアです。アイデアといっても単なる思いつきではなく、現場の顧客情報や社員の生活体験に根ざしたアイデアが生まれています。

例えば、「チンしてこんがり魚焼きパック」という商品は、若い一人暮らしの男性社員の「簡単に魚が焼ける方法の提案」から生み出されました。傷跡を目立たなくする塗り薬「アットノン」は、自転車で転んだ際のキズの治りが遅いのを気にした女性社員からの提案から開発が始まり実現した商品です。

小林製薬の提案制度は、このような「商品アイデアの提案」と「業務改善提案」の2つに絞り込まれ、約2900名の社員から、年間37,000件もの提案が出されています。

また、テーマを絞るとともに、社員から改善提案が出しやすいように工夫された仕組みづくりも特徴です。例えば、以下のようなものです。

①提案の採用、不採用のプロセスがすべてオープンにされていること
②提案は提案事務局で集計、内容によってポイントが付与されポイント獲得上位者には社長との会食などの特典が用意されていること
③優秀な提案には社長や幹部からホメホメメールが送られること
④年1回「全社員アイデア大会」が開催されること

このような提案活動の推進は、ヒット商品を生み出す原動力になるとともに、「社員ひとりひとりが主役である」という全社員経営参画意識を高める大きな効果をもたらしました

他部署への提案は「協力提案」に絞り込め

どこの会社でもいくつかの部門に分かれて仕事をしていますが、各部門が自部門の仕事しか考えない「セクショナリズム」に陥ると、部門間の協力や連携が行われず、仕事がスムーズに流れない現象が生まれます。

このような弊害も提案制度をうまく活用すれば解消することができます。その方法とは「他部署への提案を協力提案に絞り込むこと」です。

協力提案とは「〇〇の部署に対して、こんな手助けができますよ」という提案です。この提案活動を推進するためには、各部署で「どんなことに困っているのか?どんな課題があるのか?何が多忙の要因になっているのか?」といったことに関する情報共有が必要です。その情報共有は協力提案が生まれる大きなキッカケになります。

年間20,000件もの提案が生まれ、その提案によって毎年、増収増益を続けている「未来工業」という会社があります。この会社での改善提案活動の中心部門は営業部です。営業部員が住宅の建築現場を巡回して、工事担当者から電気設備の不満や不便を聞き出し、会社に商品の改善提案を行っています。
この営業部を支援して、建築現場の巡回を可能にしたのは業務課の支援でした。従来、営業部が行っていた商品への問合せ対応や商品の値引き交渉まで業務課員が実施することになったのです。業務課員が営業部員の多忙ぶりを見て支援を提案したからです。

このような「他部門への手助け提案」は、仕事の活性化を促進し業績向上に大きな貢献を果たすのです。

自部門の改善は小さな改善を多く行い、成果を見える化させよ

改善提案制度の中で、社員の仕事へのモチベーションを飛躍的に向上させるのは「自部門の仕事の改善」です。要は個人の仕事の改善活動です。この改善活動が各人の問題解決能力の向上をもたらし、仕事のやり甲斐づくりに大きな貢献をもたらすのです。

自部門の仕事の改善を推進するポイントは2つあります。1つは「何でもありで、どんどん改善を実施してもらうこと」です。「チマチマ改善」も「チョッとした改善」も「当たり前の改善」もOKです。小さな改善を推奨しましょう。大きな改善より小さな改善の方が何度も達成感を得ることができ、その度に改善意識を高められるからです。もちろん改善する際は上司の了解を取ることは必要ですが、上司には難しい改善でも「NOと言わない」で実現の方法を一緒に考えるくらいの姿勢が求められます。

もう1つのポイントは「改善を実施して効果があれば報告すること」です。改善の状況や改善の成果を見える化し、会社内で情報共有を図るためです。一人ひとりの改善実施成果を蓄積すれば、会社として大きな財産になるでしょう。

改善提案活動に取り組まれている方へのメッセージ

いかがでしたか?「会社への提案」「他部署への提案」「自部署の改善」について解説しましたが、この3つの改善提案活動を推進すれば、すごいパワーを会社内に生み出すことができます。

会社へのテーマを絞った改善提案制度は社員の経営参画意識を高め、他部署への協力提案はセクショナリズムを排除して部門間の協力と連携を強め、自部門の改善活動は社員のモチベーションを飛躍的に向上させるのです。是非ポイントを掴んだ改善提案制度づくりに取り組んでください。

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(監修:株式会社サクセスウェイ 松本全司
(編集:創業手帳編集部)

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