海外展開のときに知っておきたい! 「特許」と「商標」出願の注意点と助成金制度まとめ

創業手帳

知的財産を守るために押さえておこう!

(2017/4/27更新)

日本の企業が海外でも活躍している現代。
「自社の商品を、国内だけでなく海外でも展開していきたい!」と計画を立てている方もいるんじゃないでしょうか?

そして、この時に重要になるのが、大切な商品を守る「特許権」と「商標権」。
ですが、「日本で特許出願しているし、商標権も確保しているから海外でも大丈夫!」と思っていたら・・・思わぬ障害が待っているかもしれません。それはどうしてでしょうか?

そこで今回は、海外展開するときに注意したい「特許権」・「商標権」と、出願する際の助成金について相談できる機関についてご紹介します。

そもそも「特許権」と「商標権」ってどんなもの?

特許権とは発明を保護する制度で、特許権を受けるためには、特許庁に出願して審査をクリアする(特許査定される)必要があります。クリアした場合に特許権を取得でき、出願日から一定期間、当該発明の利用を独占することができます。

商標権とは、知的財産権の一つで、自社の商品と他社の標品を区別する文字・図形・記号・色彩などを独占して使用できる権利です。こちらも特許庁に出願・登録することで保護の対象となります。

なぜ海外での特許権・商標権に注意が必要?

例えば、中国で、類似の商標権を他社が先に登録してしまった場合、商標権侵害の可能性があります。その場合、中国では自社の商標が使用できなくなるかもしれません。

つまり、日本で特許権・商標権を確保していたとしても、中国や欧米諸国における特許権・商標権は、別途それぞれの国で出願、登録しなければならないのです。

海外への特許・商標登録に利用できる「助成金制度」

ですが、外国への出願・商標登録には多額の経費が掛かってしまいます。海外に事業を拡げようとすると、色々準備することがあり、頭の痛いところです。

そんなときには、様々な地域が行っている「助成金制度」を上手に活用してみてはいかがでしょうか?
そこで、特許権・商標権を扱っている施設を7か所ご紹介します。地域によっては助成金募集の期間が過ぎている場合がありますが、その際は次回の募集期間に向けて準備を進めていきましょう。

東京都知的財産総合センター

https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/shohyo/index.html ←商標
https://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/tokkyo/index.html ←特許
商標については調査料、出願に係る代理人手数料等、掛かった料金の半額まで助成可能で、60万円を限度として支援してくれます。但し、提出する書面等については複雑なところもあるので、担当者の相談を受けると良いかもしれません。

特許については、先行技術調査料、翻訳料、弁理士費用などを含めて、掛かった費用の半額まで助成可能で、300万を限度としています。

なお、商標・特許どちらも書類提出は事前予約制となっていますので、提出日を早めに予約しておきましょう。提出すべき書類も多く少し複雑なので、時間的には余裕を持って準備すると良いでしょう。

公益財団法人埼玉県産業振興公社

http://www.saitama-j.or.jp/chizai/
平成29年度の助成金については4月現在ではまだ記載されておりませんが、上記HP内にある「外国出願補助金」の項目に詳細が発表されます。

対象者は、埼玉県内に本社または事業所を有する中小企業者及び中小企業者のグループです。地域団体商標については、事業協同組合その他の特別の法律により設立された組合、商工会、商工会議所及びNPO法人(特定非営利活動法人)が対象となります。複数出願及び複数国指定も可能です。

対象の経費の半額まで、特許150万、実用新案・意匠・商標は60万円を限度として補助可能となっています。

公益財団法人 千葉県産業振興センター

http://www.ccjc-net.or.jp/category_list.php?frmCd=26-0-0-0-0
千葉県内に本社または事業所を有する中小企業者(「中小企業者には個人事業主も含みます)及びそれらの中小企業者で構成されるグループでグループ構成員のうち、中小企業者が3分の2以上を占め、中小企業者の利益となる事業を営むものに申請資格があります。

申請する段階で、日本特許庁に特許等の出願をしていること(意匠については例外あり)が条件です。その特許等を基に外国出願をすることが必要です。
また、同一の特許の出願のみ対象(類似のものは不可)となっていますので、注意が必要です。

公益財団法人ひょうご産業活性化センター 兵庫海外ビジネスセンター


http://www.hyogo-kaigai.jp/modules/none/#02
ジェトロ神戸、神戸市アジア進出センター、ひょうご海外ビジネスセンター(国・市・県)の機関が、一か所に集まっており、連携して県内企業の海外展開などの相談に対応してもらえるのが特徴です。
利用者は、各機関の支援サービス等を一カ所で受けられます

兵庫県内に本社を有する中小企業者(「みなし大企業」は対象外)、また、地域団体商標の外国出願については事業協同組合、商工会、商工会議所、NPO法人が助成対象となります。

限度額としては、1企業で300万円までで、各権利に関しては、特許150万円、実用新案・意匠・商標は60万円、商標の冒認対策出願については30万円が限度額となっています。

その他にも、海外展示会への出店販路開拓調査、拠点設立等に係る調査、生産・営業拠点等の設置を進める調査等に対する助成金制度等もあり、海外への進出には大変心強いです。

公益財団法人 みやぎ産業振興機構

http://www.joho-miyagi.or.jp/gaikoku-shienn
限度額は、特許は150万円以内、実用新案・意匠・商標出願はそれぞれ60万円以内、冒認対策商標は30万円以内です。なお、複数出願をする場合の1企業に対する補助金の上限額は300万円です。
中小企業者には法人資格を有しない個人で事業を営んでいる方(個人事業主)を含んでいるのが特徴です。

外国特許庁への出願業務を依頼する国内弁理士等の協力を得られる中小企業者であること。自ら出願対象国の現地代理人に直接依頼する場合は、弁理士と同等の書類を提出できることが条件です。
また、本事業実施後の状況調査に対し、積極的に協力できる中小企業者であることも条件となっています。

公益財団法人くまもと産業支援財団

http://www.kmt-ti.or.jp/archives/tag/%E5%8A%A9%E6%88%90%E9%87%91
限度額は、対象経費の2分の1以内(消費税分を除く)で1企業(グループ)あたりの上限額は300万円以内(特許と商標等複数案件の場合)となります。

各権利に関しては、特許出願は150万円以内、実用新案・意匠・商標登録出願は60万円以内、冒認対策商標出願は30万円以内を限度とします。

まとめ

上記の様に各地域での限度額等は殆ど同じですが、地域によって独自の選考方法・書類等もあります。
海外での展開を考えていたら、ぜひお近くの知財センターにご相談してみてください。

弁理士を100%活用するために知っておきたいこと
商標?特許?弁理士に依頼できる仕事や業務をまとめました

(監修:久門特許事務所 久門保子(くもんやすこ)
(編集:創業手帳編集部)

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