販売する前の大事な作業!商品開発に役立つ テストマーケティングのやり方

創業手帳

スタートアップ必見!ビジネス成功の秘訣【第4回】

商品開発が終わった後、販売するまでに欠かせない大事なこと、それはテストマーケティングです。今回はすぐに使える効果的なテストマーケティングの手法を披露しましょう。
6回にわたってお送りする「起業家のためのビジネスを成功させる秘訣」。第4回目のテーマは「商品開発に役立つテストマーケティングの仕方」です

松本全司
大学卒業後、マーケティング会社に入社、3年目にマーケティングコンサルタントとしてNo.1の業績をあげた。その業績を買われて住宅メーカー(ミサワホーム)に入社、市場調査部門、営業部門、アパート事業部門などを担当後、販売教育部門の責任者として12年間営業部門の教育を担当し、新卒から管理職までの研修体系を構築した。その後、元上司が創業したコンサルティング会社「サクセスウェイ」のマネージャーに就任し、リーダーの養成や営業支援活動を担当

テストマーケティングを行う3つの目的とは

テストマーケティングとは「新しい商品やサービスを販売する前に、リサーチや少量のテスト販売やモニターテストによって消費者の評価や反応を収集する手法」です。

目的は3つあります。1つ目は販売のリスクを最小化すること。商品開発者には「この商品なら売れる」というプラス思考に偏った思い込みがあります。そんな思い込みを原点から見直すことがテストマーケティングの大きな目的です。売れる要因を見極めてさらに強化するとともに、売れない要因を排除するためにテストマーケティングが必要です。

2つ目は販売のターゲットを明確にすることです。テストマーケティングは思い込みによるターゲットの間違いを修正してくれます。どんなお客様にも売れる商品というのは存在しません。事業成功のためには、ターゲットを明確にすることが必要です。
3つ目はどのようなプロモーションをすれば良いかを判断することです。広告の反応を高めるためには、何を訴求すればよいのか?どんなネーミングが効果的なのか?広告媒体は何が適切なのか?を見極めることが重要です。

効果的なテストマーケティングを行うためには、この3つの目的を頭にいれて、目的が達成されるような方法を実施しましょう。

様々なテストマーケティングの手法

商品の強みや改善点を見つける「新商品サービスの評価リサーチ」

既存客や見込み客のリスト(メールアドレスのわかるリスト)があれば、そのお客様への「新商品サービスの評価リサーチ」をネットで実施してみましょう。
新商品サービスの評価リサーチとは、新商品サービスの特徴や形デザイン等を文章と画像で提示し、評価や購入意向等を調べる手法です。
具体的には、以下の7つがリサーチ項目になるでしょう。

①新商品サービスの特徴に対する評価と好感度
②新商品サービスのバリエーションへの評価
③購入意向とその理由
④非購入意向者の購入を躊躇する理由
⑤新商品サービスの価格への評価(ねごろ感)
⑥新商品サービスについてよくわからなかった点
⑦回答者の属性(性別、年齢、職業、趣味、嗜好)

このリサーチによって、新商品サービスの何が強みで何がマイナス要因なのか?の目星をつけることだけでなく、新商品サービスの改善点を見出すこともできます。

さらに、回答者の年齢や性別といった属性も集計をすれば、どんな客層がメインになるのかという「ターゲット像」も概ね明確になってくるでしょう。既存客や見込み客のリストがない場合は、ネットリサーチ会社の活用も考えてみましょう。

本格的な販売を前に行う「モニターテスト」と「テスト販売」

モニターテスト

「モニターテスト」とは、モニターによる使用テストのことです。モニターは通常、ネットなどで募集して集めますが、募集をしないで既存客や友人や知人や社員をモニターにする方法もあります。

モニターテストの主目的は「新商品サービスの欠点や問題を発見し改善すること」です。
新商品サービスを部品や機能に分解し、気に入らない点や不具合を細かく根掘り葉掘り聞き出しましょう。

モニターテストは2段階で行うことが必要です。最初のテストは「試作品の使用テスト」です。欠点や改善点を発見するためのテストです。次のテストは「完成品の使用テスト」です。改善点の確認、商品価値と価格の確認のためのテストです。

テスト販売

対して「テスト販売」は、本格的な販売を行う前に、小ロットで地域と販売店を限定して販売する方法です。
テスト販売のポイントは2つあります。1つ目は、販売店の協力を得ることです。通常、販売実績のない新商品サービスは販売店では取り扱ってくれないケースも多く、テスト販売に協力してもらう対策が必要になります

例えば、販売店の周辺に販売店名入りのチラシを配布したり、販売店の顧客リストへ販売店名でDMを発送するなどの販促支援を考えてみましょう。売れた場合は自社のマージンは販売店に差し出すくらいの対応が必要でしょう。このような支援やサービスが、本格販売の販促に結びつくこともあります。

2つ目は、販売店から提供してもらう情報を明確にしておくことです。
例えば新商品サービスのバリエーション(デザインやサイズなど)別の販売状況や、新商品サービスを購入いただいたお客様から得た質問や反響などの情報、性別・年齢といったお客様の属性などの情報は、本格販売の対策を立てるのに貴重な情報になるでしょう。

集客効果や広告効果のスピーディな判断ができる「ABテスト」

ABテストとは、集客効果や広告効果を判断するために、AとBの2つの方法を比較するテストです。ダイレクトメールやチラシやウェブサイトなどの広告と集客の訴求効果を検証する方法です。
キャッチコピーや商品名といった重要な箇所を1箇所だけ変えてAB2つのパターンで反応を見る方法です。もちろん、2つのパターンではなく3つ以上のパターンでもOKですが、変更する箇所は1箇所だけにします。2箇所以上変更すると効果がわからなくなるからです。

例えば、にんにく卵黄で有名な「やずや」は12年で約100倍の売上460億円を達成した通販会社です。その社長(西野博道氏)は顧客管理の第一人者と呼ばれていますが、頻繁にチラシによるABテストを実施しています。西野社長の手法は以下の3段階でした。

①チラシを5~6種類1万部位印刷して折り込む(キャッチコピー等1箇所のみ変更)
②チラシの集客効果をその日の電話注文数で判定(チラシ毎に注文番号を変えることで判定)
③最大の効果があがったチラシを大量に印刷して折込する

このABテストのスピードと判断の正確さが、他社と違う理由だそうです。

テストマーケティングに取り組まれている方へ

テストマーケティングというのは、一言で表現すれば「売れるかどうかがわかってから作る手法」です。小さくテストして大きく事業を展開することができますので、是非テストマーケティングに真摯に取り組んでください

スタートアップ必見!ビジネス成功の秘訣【第3回】
改善が上手くいかない原因は〇〇?改善提案制度を機能させる3つのポイント

(監修:株式会社サクセスウェイ 松本全司
(編集:創業手帳編集部)

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