デメリットが減った?小規模企業共済法が改正されました!

資金調達手帳

『貯金のつもりで節税になる』『共済金は退職所得となる』制度がさらに手軽に


(執筆:渋谷税理士法人 中村剛士)

(2015/09/30更新)

以前の記事『起業家・個人事業主必見!知らなきゃ損する小規模企業共済』で紹介している小規模企業共済について、平成27年8月28日に改正があったことをご存じでしょうか?

加入者を増やすためにハードルを下げたり、手間を削減したりしているので、今まで『面倒くさい』『時間がない』『キャッシュが心配』と尻込みしていた創業期の起業家にとっても使い勝手がよくなっています。

今回は、改正の内容を中心に、小規模企業共済を再度確認しておきましょう。

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改正の内容

平成27年8月28日に「中小企業における経営の承継の円滑化に関する法律等の一部を改正する法律」が公布されたことに伴い、小規模企業共済法の一部が改正され以下の制度の見直しが行われます。

改正内容

  • 共済事由の引上げ
  • (1)以下の事由が準共済事由からA共済事由に見直しされます。
    ・個人事業主の「個人事業主が配偶者又は子への事業の譲渡」
    ・共同経営者の「個人事業主の配偶者又は子への事業の全部譲渡に伴い、配偶者又は子への事業(共同経営者の地位)を全部譲渡」

    (2)以下の事由が準共済事由からB共済事由に見直しされます。
    ・会社等役員の「会社等役員の退任(疾病・負傷・死亡・解散を除く)」のうち、会社等役員の退任日において65歳以上の場合

  • 共済金を受給できる遺族の範囲の拡大
  • 共済金を受給できる遺族に『共済契約者と生計維持関係がなかった「ひ孫」と「甥・姪」』が追加されます。

  • 分割共済金の支給回数の増加
  • 共済金の分割支給(分割共済金)が年4回から年6回(毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月)の支給になります。

  • 申込金の廃止
  • 「共済契約の申込み」と「増額の申込み」のお手続きの際に、申込金を添えていただく必要がなくなります。(現金による納付が必要ではなくなります。)

  • 掛金月額の減少(減額)の要件廃止
  • 掛金月額の減少を行う際の要件(減額要件)が廃止され、これまで必要だった「委託機関による減額理由の確認」が不要となります。

  • 掛金納付月数の通算事由を追加
  • 共同経営者が、いったんその地位を退いた場合でも、一定の条件に該当する場合は、1年以内に新たに経営者となり本共済の加入要件を満たすときは、掛金納付月数の通算ができるようになります。

  • やむを得ない掛金滞納に対する機構解約の例外を追加
  • 災害など契約者の責任ではない理由(やむを得ない理由)により生じた掛金の滞納については、共済契約を継続できることとなります。

出典:中小機構HPより

改正のポイント

上記が改正の全貌ですが、全体を通してみると、ポイントは下記の2つに集約されます。

  • 解約時の制限が緩和
  • 申込み時及び金額変更時の手間を削減

いずれも加入の間口を広げ、ハードルを下げている傾向が見て取れます。
それぞれのポイントごとに見ていきましょう。

1.解約時の制限が緩和

以前の記事では、詳細に触れていませんでしたが、小規模企業共済の解約にはその事由によって、いくつかの種類があります。

『A共済事由』『B共済事由』『準共済事由』『任意解約』の4種類がそれですが、どの事由によって解約するかに応じ、貰える共済金等の額が変動となります。

個人事業主の場合を例にみると、
A共済事由……事業を廃業した場合
B共済事由……老齢給付(65歳以上で180ヶ月以上納付)
準共済事由……配偶者や子に事業を譲渡した場合
となり、貰える共済金等の額は以下のようになります。

(例)掛金月額1万円で、平成16年4月以降に加入された場合

掛金
納付月数
掛金残高
(円)
共済金A
(円)
共済金B
(円)
準共済金
(円)
5年 600,000 621,400 614,600 600,000
10年 1,200,000 1,290,600 1,260,800 1,200,000
15年 1,800,000 2,011,000 1,940,400 1,800,000
20年 2,400,000 2,786,400 2,658,800 2,419,500
30年 3,600,000 4,348,000 4,211,800 3,832,740

※解約手当金は、掛金納付月数に応じて、掛金合計額の80%~120%相当額がお受け取りいただけます。掛金納付月数が、240ヶ月(20年)未満の場合は、掛金合計額を下回ります。

出典:中小機構HPより

詳細は中小機構のHPで確認していただきたいのですが、貰える共済金等の額は『A』>『B』>『準』となっています。

以前の記事では、デメリットとして掛金納付月数が240ヶ月(20年)未満の場合は、元本割れするということのみを紹介しましたが、実はこれは任意解約のケースで、A共済事由・B共済事由・準共済事由のように、理由の強弱はあれ、所謂『退職した』事実がある場合には、払い込んだ金額以上を共済金として受け取ることができます

今回の改正では、いままで『準共済事由』だったものを『A共済事由』『B共済事由』に引き上げているので、より多く貰える事由が増えているということになります。

また、共済金を受給できる遺族に『共済契約者と生計維持関係がなかった「ひ孫」と「甥・姪」』が追加されたり、共済金の分割支給(分割共済金)が年4回から年6回(毎年1月、3月、5月、7月、9月、11月)の支給になったりと、出口のハードルを下げているのが分かります。

2.申込み時及び金額変更時の手間を削減

今までは、新規申込時と増額申込時には現金納付が必要だったが、それが不要となったり、掛金の減額申込みの際に必要だった「委託機関による減額理由の確認」が不要となったりと、加入者が自身の状況によって臨機応変に掛け金を決定しやすくなっています。

改正によるメリット

出口のハードルが下がっていることとも大きいですが、何といっても、金額変更時の手間が無くなったことが大きいといえます。

これにより、掛金の金額を動かしやすくなったので、キャッシュの状況に応じて、素早い対応を取ることができるようになりました。

改正の背景

経営者の高齢化の進展に伴い、経営者の平均引退年齢も上昇傾向にあり、経営者の高齢化を背景として、休廃業・解散等件数が増加している現状があります。

そこで課題となるのが、引退後の生活資金の確保と事業承継の推進です。

今回の改正は、まさにこれらの課題に対して『準共済事由』だったものを『A共済事由』『B共済事由』に引き上げることで、加入や事業承継を促進するために行われたものと推察されます。

今後の展望

制度としては成熟しているので、運用に失敗しない限りはこのまま現状維持されると思われます。もっとも、高齢化はこれからも進んでいくので、老齢給付(現在65歳以上)の年齢引上げはあるかもしれません。

或いは、月額の限度額の上昇(現在は月7万円まで)くらいは検討される可能性もあります。

何にせよ、前回の記事でお伝えしたとおり、『貯金のつもりで節税になる』『共済金は退職所得となる』といったメリットがあるので、是非検討してください。

そもそも小規模企業共済って?という方はこちら
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(監修:渋谷税理士法人 中村剛士
(編集:創業手帳編集部)

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