【第一回】最年少で市長になった熊谷俊人・千葉市長が語る創業支援策

創業手帳
※このインタビュー内容は2015年11月に行われた取材時点のものです。

民間企業出身の37歳の若きリーダー熊谷俊人・千葉市長インタビュー(1/2)

(2015/10/22更新)

NTTコミュニケーションズから政界に転身し、31歳にして史上最年少首長として当選した千葉市の熊谷俊人市長。市長在職2期目だが、いまだに37歳という若さです。 千葉市は東京から少し離れている分、独自の経済圏・人材を持っており、創業の「穴場」だという。若きリーダーの創業支援のビジョンを独占インタビューで伺いました。

熊谷 俊人(くまがい としひと)
早稲田大学政治経済学部を卒業後、インターネットが社会を変えていくと考えNTTコミュニケーションズに入社。大前研一氏が主催する一新塾を経て、2007年に千葉市議選に出馬、トップ当選を果たす。2009年に千葉市長選挙に出馬し、31歳、全国最年少記録で市長に当選した。現在は2期目で、創業支援の他、インターネットやスマホも駆使した新しい政治のスタイルを展開している。

意外!首都圏政令市で人口あたりの「大学数1位」

ー千葉市の特色、千葉市のビジネスなどについてお伺いできればと思います。

熊谷:千葉市の特徴というのは人材供給力だと思います。市民一人あたりの大学、短大数というのは、実は横浜よりも多いです。首都圏政令市の中で我々が一番多いんですよ。

首都圏政令市のさいたま市、横浜市、川崎市、相模原市よりも我々千葉市のほうが大学が多い。そういう意味で我々は人材を供給できる能力がかなり高い。

もう一つは、千葉県の人たちというのは意外と千葉県の外に出て行かないというのもあって、人材確保はかなりしやすい。

地元志向の強い学生が相当人数ここで輩出されている街だというところが大きいと思います。千葉大学という巨大な大学も千葉市にはありますし。

それから成田と羽田のちょうど真ん中に位置するという地理的な特性ですね。(東海道沿いにある横浜や埼玉に比べると、千葉というのはどん詰まりに位置している県です。)

東京からの距離で、成田空港、羽田空港の間という地理的な優位性に比べて、地価が抑えられてますから、オフィスの環境も安価に確保しやすいです。

地価が安い分、千葉市の中心街のすぐ近くにも住めますので、東京で暮らすよりも可処分所得が高くなり、通勤時間も短くなる、非常に暮らしやすい、という部分があります。そのため、従業員も比較的、確保しやすい。

実際、千葉県は創業率が結構高いんですよ。全国では5番目、関東では2番目に高いです。 千葉市も創業などの支援をしていますし、なんといっても幕張新都心を抱えてますから。

幕張は千葉市って知っていました?

ー意外に幕張が千葉市だというイメージが無いですね。

熊谷:千葉市以外の人には意外に知られていないんですが、幕張新都心は千葉市なんです。

ZOZOTOWNを運営している㈱スタートトゥデイさんを含めて、新しいビジネスモデルをやる人もたくさんいる。

幕張メッセでドローン展があったり、産業見本市なども行われてます。

そういう意味で世界と出会ったり、全国でビジネスする環境としては比較的に恵まれているんではないかと思います。

意外に幕張は千葉市だと知らない、という方が多い。幕張メッセで、大規模な国際EXPOが盛んにおこなわれているので、最新の情報が入ってくる。

幕張メッセがあり、成田空港に近い、大学が多く住環境が良いので人材が豊富というのは千葉市の魅力です。

ー川崎、横浜は東京とつながってるイメージですが千葉市はどうなんでしょうか?

熊谷:千葉市はかなり東京から独立した独自の経済圏だと思います。

千葉市は東京から少し離れていて、かつ住みやすいこともあり、あまり千葉市から出ていかない。

転入、転出の傾向、市民の勤務地のデータにしても、千葉市は特殊です。川崎、横浜、さいたまは東京にかなり通勤している転入、転出もその1都2県でやりとりしています。

その点千葉市の場合は、57%が千葉市内で働いてます。東京に働きに行く方は22%だけです。千葉県の中心地という求心力を持っています。

ゲーム会社の社長とかに、なぜ千葉にオフィスを置くのか聞いたら、東京の近くに行ってしまうと東京の会社と人材の奪い合いになるけれども、ここだと地元志向の強いそれなりのランクの人材を比較的容易に確保できるので、とおっしゃっていました。

全国を牽引する支援制度

ー千葉市での起業は、先ほどの初期コスト、人材の面でも選択肢の一つでしょうし、別の都市に本社がある会社でも、千葉が独立経済圏であれば、支店を作るのも一つでしょうね。

熊谷:そうですね。我々も独特の企業立地促進制度を持っています。他の多くの自治体は大きい工場などを誘致すると、固定資産税減免というのが大体のパターン。

ですが、活きのいい企業というのは固定資産を持たない経営をやっている。そのため、今の固定資産を持たない経営をしている会社にとっては、固定資産税減免は効果が薄い。

千葉市では、法人市民税相当額を100%補助するような企業立地の制度を持っています。賃貸オフィスでの企業でもメリットがあるわけです。

東京の本社を持ってきてもいいし、支社でもそれなりのものを作っていただければ、企業立地の支援制度の対象になるということで、我々はかなり幅広い支援制度を持っています。

ー法人市民税を100%補助とは思い切った施策ですね。

熊谷:そうです。我々が全国で先鞭をつけたんです。

それから横浜市が追随して、今東京湾で、千葉市と横浜市で企業立地に関しては、熾烈な制度の改善競争をやっているという感じです。

ここ5年間で我々千葉市は、企業立地に関する戦略は相当前進しています。

実際にここ3年位は過去最高を記録しています。平成24、25、26年度とずっと過去最高の企業立地件数になっています。

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【第二回】「行政も競争!」最も若く市長になった熊谷・千葉市長インタビュー
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(取材協力:千葉市長 熊谷俊人
(編集:創業手帳編集部)

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