資本金はお金じゃなくてもいい!?現物出資のポイントと注意点まとめ

資金調達手帳

資本金を現金で出資することが難しい経営者に朗報!

(2016/04/11更新)

創業する場合には多額の資本金が必要です。資本金と言うとお金をイメージしがちですが、実は、お金以外も資本金にできる「現物出資」という方法があります。
今回は現物出資の基礎、現物出資を行う流れ、ポイントや注意点についてご紹介します。

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現物出資とは

現物出資とは、会社設立の時などに「パソコン」「不動産」「車」「債券」「有価証券」などお金以外の物によって出資することをいいます。

現物出資は、裁判所が選任した検査役の調査が必要となります。ですが、検査役の調査を必要としないケースもあります。

検査役を選任することとなると多額の費用(数十万円~百万円ほど)と数ヶ月の期間が必要となるため検査役の調査が不要な下記の範囲で、現物出資することをおすすめします。

検査役が不要な場合って?

検査役の調査が不要となる対象について説明します。

基本的に「定款への記載が必須」となります。

現物対象資産が、
①定款に記載され、または記録された価額の総額が500万円を超えない場合
②市場価格のある有価証券について定款に記載され、または記録された価額が当該有価証券の市場価格を超えない場合
③定款に記載され、または記録された価額が相当であることについて弁護士等の証明(現物出資財産が不動産である場合にあっては、当該証明及び不動産鑑定士の鑑定評価)を受けた場合
となります。

現物出資の流れ

続いて、現物出資で会社を設立する場合の流れを説明します。

①出資する現物の時価を取締役が調査します。
②定款に「出資者の名前、その財産、その価額、出資者に対して割り当てる設立時発行株式の数」を記載します。現物出資は、発起人しかできません。
③現物価格が相当であると取締役が証明する「調査報告書」を作成します。
④出資者からの財産の「財産引継書」を作成します。

上記①の調査について

現物出資の対象となる財産が引き渡されたとき、設立時取締役(監査役設置会社であるときは設立時取締役及び設立時監査役)は、その選任後遅滞なく、現物出資の対象となる財産について、定款に記載されている価額が相当であるか調査しなければなりません(会社法第46条第1項)。

上記②現物出資をする場合の定款記載例は下記のとおりとなります。

定款に記載しなければ、現物出資の効力は生じません。(会社法第28条第1号))
(現物出資)

第○条 当会社の設立に際して現物出資をする者の氏名、出資の目的である財産、その価額及びこれに対して割り当てる株式の数は、次のとおりである。

(1)出資者 発起人 創業太郎
(2)出資財産及びその価額
パーソナルコンピューター(○○株式会社平成27年製、製造番号○○○) 1台 金10万円

(3)割り当てる株式の数 10株

上記③調査報告書を作成について

現物出資の物が引渡されたときは、会社設立時の取締役が、価額が相当か調査します。

(上記①により)その結果が妥当である場合、その設立時取締役の調査報告書が、株式会社設立登記申請書の添付書類となります。(商業登記法第47条第2項第3項イ)

上記④財産引継書を作成について

現物出資する発起人は、設立時の発行株式を引受後、遅滞なく現物出資の対象となっている物を会社に納めます。

その時、現物出資の対象となっている物が引渡されたときは、財産引継書を作成し、設立時取締役の「調査報告書の附属書類」として、設立登記申請書に添付し法務局に提出する必要が有ります。

複数の現物出資者がいる場合は、出資者ごとに財産引継書を作成します。

現物出資をする発起人は、設立時発行株式の引受け後遅滞なく、現物出資の対象となる財産全部を給付しなければなりません(会社法第34条第1項)。

これら③④は、検査役の検査が不要である場合にも作成する必要があります。

会計帳簿の仕訳

現物出資での会計帳簿の仕訳は下記のとおりです。

現金100,000円の他に200,000円のパソコンを現物出資した場合
(借方)現金及び預金 100,000備品 200,000/(貸方)資本金 300,000

現物出資に関わる税金

現物出資に関連して発生する可能性のある税金を列挙します。

消費税

消費税は、国内において事業者が事業として対価を得て行われる取引に課税されます。

この「対価を得て行われる」とは、資産の譲渡、資産の貸付け及び役務の提供に対して反対給付を受け取ることをいいます。

現物出資のように金銭の支払を伴わない資産の引渡しでも、何らかの反対給付があるものは、対価を得て行われる取引になりますので課税の対象となります。

もちろん、土地等の場合は元来非課税取引のため非課税取引に該当します。

印紙税

法人などに対する現物出資は、」出資金額を課税標準として課税されます。

譲渡所得税

法人に不動産を現物出資した場合も資産の譲渡になり、所得税の課税対象とされます。

この場合の譲渡収入金額は、出資した不動産の時価ではなく、現物出資により取得した株式や出資持分の時価となります。

ただし、その価額が出資した不動産の時価の2分の1未満の場合は、出資した不動産の時価が収入金額とみなされます。

また不動産の場合は所有権移転登記を行いますので、登録免許税が必要になります。そして不動産を取得した法人は不動産取得税や固定資産税がかかります。

不動産を現物出資して会社を設立する場合には、譲渡所得税が課せられることになります。

法人に対する現物出資も資産の譲渡に含まれ、その場合の譲渡所得の収入金額は、その取得した株式の時価により計算します。

株式の時価とは、現物出資後のその会社の1株当たりの純資産価額をいいます。

その他、譲渡所得の対象となる資産としては、土地、建物、機械器具、ゴルフ会員権、特許権、著作権、特定の有価証券などがあります。

贈与税

法人が不動産の受入価額を低くしたりして、譲渡収入金額(譲渡対価としての株式の価額)が、現物出資財産の時価の2分の1未満となった場合には、低額譲渡となり、時価により譲渡したものとみなして課税される(みなし譲渡課税)こととなっていますので注意が必要となり、低額譲渡により、会社の株式の価額が上がった場合には、現物出資した者から現物出資した者以外の株主に対して贈与があったものとして取り扱われることとなっていますので注意が必要です。

まとめ

以前は、金銭以外の財産を現物出資する際に、様々な規制がありましたが、会社法の施行により現物出資の方法が大幅に緩和されています。

資本金を現金で出資することが難しい場合に有効に利用できる手段となります。

ただし、資本金に条件がある許認可の取得(一般建設業・一般労働者派遣事業・有料職業紹介事業等)をお考えの場合は、金銭要件のからみもありますので、現物出資の上限に注意して資本金額を決定して下さい。 

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(監修:眞喜屋朱里税理士事務所 代表 眞喜屋 朱里(まきや あかり)
(編集:創業手帳編集部)

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