資金調達の奥の手「私募債」って何?ベンチャーでも使える私募債とは?

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ボストン法律経済事務所・小幡靖弥弁護士が教える「私募債」活用法

(2015/08/17更新)

スタートアップにとって資金調達は重要課題です。
実績のない創業期には公庫融資、制度融資、クラウドファンディングなど選択肢が限られます。

しかし、資金調達の奥の手で、ほとんどのベンチャー企業が使っていない奥の手に「私募債」があります。

私募債」のやり方、メリット、活用法についてを、創業支援に注力しているボストン法律経済事務所の小幡弁護士に伺いました。

小幡弁護士

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小幡 靖弥(おばた せいや)
弁護士。同志社大学 / 法科大学院 司法研究科を卒業した後、保険会社指定代理人として、保険実務を数多くこなすとともに、その他、企業法務、一般民事事件を担当し、交渉、訴訟を行ってきた。ボストン法律経済事務所の柔軟、しなやか機動力を活かした、法律/経営支援の姿勢・体制に共感し、平成26年7月、代表弁護士井上の呼びかけに応じ、同所に参画した。

私募債ってなに?小幡先生、わかりやすく教えて!

ーベンチャー企業では資金調達が課題の会社も多いです。私募債は、あまり馴染みがない調達方法ですが、私募債とはなんでしょうか?わかりやすく教えてください!

小幡:今回ご紹介する私募債とは、少人数私募債です。

少人数私募債(以下、「私募債」といいます。)とは募集人数50人以下の少人数に発行される社債(借入)のことで、金額合計で1億円以下が想定されています。

つまり小規模な社債のことですね。

大規模に社債を資金調達する場合は、取引所を経由して社債を発行するなど、手続きが複雑です。

私募債の場合は、小規模な社債なので、公募の社債に比べると手続きが簡略化されています。ベンチャーや小規模企業でも実施可能です。

したがって社債を買っていただく対象は身内、知り合い、取引先といった起業家に関係がある方々が中心になります

私募債が銀行からの借入と大きく異なる点は、通常は利息のみでの償還ということです。利息を毎月返していき、償還期限で元本を返還する方式です

償還期限での負担は大きいですが、当面の毎月の負担は下がるということが特徴です。最初に投資をして、収益を後で回収するような業種には向いています。

私募債の特徴って?メリット・デメリットを教えてください!

ー私募債の利点にはどんなものがありますか?

小幡:まず大きな利点としてはコストを安く抑えられることが挙げられます。

私募債は公募債と比較して規模が小さく、監督機関への申請や証券会社への依頼という工程を必要としない直接的な募集になるので、コストを削減出来ます。

直接的な募集であるために償還期限や方法などを交渉することも出来る柔軟性も魅力ですね。

また利点として一定の契約・条件のフォーマットに沿って行うため貸す側、借りる側双方が安心感を得られることも挙げられます。

貸す側は一から金銭貸借契約書を作成していく手間を省くことが出来ますし、借りる側も契約書に極度に不利になるような文言がないか注意する負担が軽減されます。

ですから私募債は個人の貸付と実質は変わらないですが、より一つ一つの取引は簡単になり、1対1の借入に比べると、複数の人が同じ条件で借りる分、借りる方・貸す方双方にとって極端におかしな条件は排除されやすい、とはいえます。

ー私募債の注意点はどんなものがありますか?

小幡:注意点としてはやはり基本的に2年から7年で償還期限が来るという点ですね。
そのため2年から7年で償還する際に何かしらお金がポンと入ってくる、成功して徐々にでもキャッシュフローがよくなるという状況を見込んでの社債発行でないと償還出来ずに問題となってしまいます。

ですから私募債は運転資金や現在のキャッシュフロー良くするためのものではなくて、基本としては開発資金といった将来への投資という意味でのご利用が一番適していると思います。

どう使えばいいんですか?

ー私募債にトライしたい場合はどうしたら良いんでしょう?

小幡:銀行借り入れと同じく、取締役会を開きます。こういう形でキャッシュフローを回すという事業計画を出して、お金を貸してくださいという形になります。税理士や弁護士に関わってもらうこともありますが、総務で十分なケースも多いです。

私募債の発行において一番重要なものは事業計画なので事業計画の策定ですね。

なぜなら融資者に対して募集したお金を何に使って、償還期限にどういうキャッシュの流れで返還できるようになるのかを説明し、納得していただかないとお金は出して貰えません。

また事業計画を他人に見てもらうという機会はほとんどないので、こうした機会に外部の方から指摘などを受け、より事業計画を練りこんでいくのが良いのではないでしょうか。

また、私募債には経営を助けていただくという側面もあると思います。債券を買っていただく方に応援していただける信頼関係が築ければベストですね。

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(取材協力:弁護士法人ボストン法律経済事務所/小幡 靖弥
(編集:創業手帳編集部)

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