【第四回】異色の起業家・リモノ伊藤慎介社長 「日本の底力を活かせばイノベーションは起きる」

創業手帳

株式会社rimOnO(リモノ) 代表取締役社長 伊藤慎介氏インタビュー

【第三回】元役人の起業家が語る 「創業者が役所を効果的に活用する方法」

元経済産業省の官僚という異例の経歴をもつ伊藤慎介社長は、なぜ15年というキャリアを捨てて起業の道を選んだのでしょうか。そこには、国の未来に対する強い思いと、官僚ができることの限界がありました。「官僚もどんどん起業すればいいんですよ」。そう語る彼の目に、日本の未来はどう見えているのでしょうか。そして自動車はどう変わるべきでしょうか。お話を伺いました。(全四回)

前回を見逃した方はこちら>>
【第一回】「なぜ経産省を辞めて起業したのか?」リモノ伊藤社長の挑戦
【第二回】元官僚の起業家が描く未来の自動車社会 「今の自動車社会では高齢化時代に対応できない」
【第三回】元役人の起業家が語る 「創業者が役所を活用する方法」

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伊藤 慎介(いとう・しんすけ)
京都大学大学院修了後、通商産業省(現経済産業省)に入省。自動車、IT、航空機、などに関連する業務に従事。その後、省内でできることの限界や電気自動車の可能性を感じ、15年の勤務を経て同省を退官。2014年9月、工業デザイナーの根津孝太氏とともに株式会社rimOnO(リモノ)を設立。代表取締役社長に就き、新しいコンセプトの電気自動車開発に尽力している。

 第3回では、ベンチャー企業が社会を変えるためには公的機関や大企業との連携が不可欠であり、そのためにはステレオタイプでの見方をやめ人に注目しなければならないと語られた伊藤氏。

 最終回の今回では、今後、どのように社会を変えようとしているのか。そして、これからの日本でイノベーションは起きるのかについて伺いました。

「こんなにすごい部品を作ったんですが、何かに使えませんか?」

ー方向性としてはファブレス経営(※工場を所有せずに製造業を行う企業)になりますか?

伊藤:そうですね、ファブレスでやろうと思っています。

日本には優れたモノづくりの基盤がありますので、我々自身が工場を持たなくても、大手サプライヤーとか中小企業とか職人とか、いくらでも我々よりも優れたものを作れる人がたくさんいます。

むしろそういう人たちの力を活用した方がより魅力的な商品ができると思っています。

日本の中小企業の多くは大企業からの仕事さえあれば会社が経営できていましたが、徐々にそれでは成り立たなくなってきています。そのため新しいことに挑戦しなければならないという問題意識はあるのですが、何をやればよいのかと悩んでいるケースが多いように感じます。

そこで、我々の方からやってほしいことをお願いできないかと考えています。

多くの中小企業には優れた技術やノウハウがありますので、「こういうことをやりたい」「こういうものを作りたい」「あなたの会社の技術をこういう風に使いたい」と言えば、我々が想定していた以上のアウトプット出してくれると思います。

そこが日本の面白いところですね。お願いしたこっちが想像していたより良い物が出てくる国って、日本以外にはなかなかないと思いますよ。

3Dプリンターなどが出てきたこともあり、これからの時代は誰もが簡単に試作品を作ることができるようになります。

素人でも「こういう物を作りたい」というイメージをある程度具現化することができれば、メーカーとして起業することも夢ではないです。それをアメリカではメイカーズ・ムーブメントなんて言っています。

でも、仮に試作品ができたとしても、実際に量産して世の中に送り出すには、それを作ってくれる人が必要になりますよね。実はその時に日本のモノづくり基盤が活かせるのではないかというのが私の考えです。

新しい物の構想を持っている人と、それを実際に作ることができる人がコラボレーションしながら、世の中にはないけど消費者には面白いと思ってもらえるプロダクトを次々と世の中に送り出していく。

我々がやろうとしていることもそういうことです。そのための最初の取り組みが超小型の電気自動車なのです。

実際に、少し前に中京地域の中小企業の経営者がうちのオフィスに来られて、「自分たちの技術を磨いて、こんなにすごい部品を作ってみたんですけど。何かに使えませんか?…」と言われました。

相方の根津に見せたら、「この技術はすごく面白いですね! 何かに使えないか考えますよ」とワクワクしていました。

日本にはこういう会社がたくさんあるんですよね。そういう会社が業界や系列などの壁を越えてモノづくりができるようになると本当に日本は変わると思います。

例えば、東京都内でも、渋谷や六本木にあるITやアプリの会社が大田区のモノづくり系中小企業とコラボレーションするとすごいことが起こるんじゃないかと思います。あるいは墨田区でもいい。

でも、渋谷や六本木の人たちは「大田区は大田区で違う世界だよね」と見えてしまっているから、なかなか蒲田に行ってコラボしようということにならないわけです。

ところがシリコンバレーではこれからはモノづくりが面白いと言って、ITとかソフトウェアの分野で活躍していた人たちがこぞってモノづくりに挑戦し始めています。

でも、残念ながらシリコンバレーには大田区、墨田区、東大阪など想像を超えるアウトプットを出せるモノづくりの産業基盤がないので、日本と同じようなことはできないはずです。

ー日本は恵まれた環境なのでしょうか?

伊藤:とても恵まれていると思いますよ。Appleの部品なんてほとんど日本製じゃないですか。

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