事業の継続と拡大に必要な税理士の支援

※このインタビュー内容は2016年05月に行われた取材時点のものです。

16年目を迎える株式会社アプロード・岩佐彰彦社長に
創業から拡大までの経緯と税理士の存在について聞く

アプロード様_3

(2016/05/09更新)

税務や経理はもちろん、創業時の資金調達など、税理士の支援を受けるメリットはさまざまです。では、それがTKC会員の税理士だった場合はどうなるのでしょうか。創業から16年間、TKC会員の支援を受けている株式会社アプロードの岩佐彰彦社長に、創業からの経緯や税理士の存在などについて話を伺いました。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

資金調達と顧客の獲得に苦戦 TKC会員の支援を受けて突破

ー事業内容について教えてください。

岩佐:柱となっているのはスポーツエントリー事業で、スポーツイベントへの参加申し込みサービス、イベントのPR、専用のICタグを利用したタイム測定、スポーツ・健康関連の商品の販売などを行っています。最近では、2月に開催された東京の青梅マラソンなども手掛けています。

当社は2000年に宮崎で開業しましたが、当時スポーツイベントに参加する方は参加費を郵便振替や現金書留で振り込んでいました。そこをインターネット経由に変えていこうと思ったのが起業のきっかけです。

国内に類似のサービスはありませんでしたが、アメリカには同様のサービスを手掛けている会社が2社あり、それらをヒントに現在のサービスを築いてきました。

ー創業当時、苦労したことは?

岩佐:資金調達が一番大変でした。家賃や人件費に加えて、システム開発の外注に多額の資金が必要になったためです。そこは自己資金に加えて、前職でお付き合いがあったデジタル放送事業会社などから出資を受けることでなんとか工面しました。

また、顧客の獲得については創業からしばらくは大変苦労しました。

顧客となるイベントの主催者にとって、我々が提供するサービスは前例がないため、話も聞いてもらえません。ようやく話を聞いてくれた方も、「海の物とも山の物ともつかない」といった疑心暗鬼の反応でした。”画期的なサービス”だと思っているのは我々だけで、前向きに捉えてくれる方はほとんどいません。

それに加えて、地方ではスポーツイベント自体が少ないため、会社が宮崎にある点でもハンディキャップを感じていました。「インターネットが普及すれば会社の所在地なんて関係ない」と言われますが、それはまったくの嘘です(笑)。

苦戦が続き、創業から4年間赤字が続きました。

ーそこで、宮崎から東京への進出を決意されたのですね。

岩佐:はい。運良く東京の出版社がマラソン雑誌を発行することになり、「一緒に何かできないか」と誘っていただきました。フロアも貸してくださるため家賃負担が格安ということも後押しし、思い切って上京することを決めました。

しかし上京後もしばらく苦戦が続き、いよいよ資金が底をつきそうになったことから、考え方を変え、思い切って資金の残り全てを営業活動に投下することに決めたのです。契約獲得までに資金が枯渇したら会社を畳むしかないとの決意で、必死に営業活動に専念しました。

これが功を奏し、お客さまが徐々に増え、5年目にしてやっと黒字への転換を図ることができました。

ー結果的に、東京への進出と営業活動への集中が転機となったわけですね。この間、税理士による支援は受けていたのでしょうか。

岩佐:はい。創業時から一貫してTKC会員の税理士に支援いただいています。

もちろんコスト負担は必要ですが、慣れない税務や経理は専門家の支援を受けることで本業に集中したいと考えていましたので、税理士を活用しないとの選択肢は頭にありませんでした。税理士の指導でTKCの財務会計システム『FX2』や『FX4クラウド』を利用し、業績の推移を詳細に把握することで問題を明らかにし、経営判断に役立ててきました。

TKC会員は毎月会社を訪問してくださいますので、業績の数字をもとに経営に関する打ち合わせをしたり、アドバイスを受けたりする時間を設けています。

私からも気軽にいろいろな相談ができますので、とても助かっています。

会社の成長で必要資金量も増大 大企業並みの低金利で調達

ー会社が創業期を乗り越えて成長期を迎え、どのような課題が生まれてきましたか?

岩佐:会社の成長に応じて必要とする資金の量も増えましたので、それに応じた円滑な資金調達が課題になりました。参加者数が1万名を超えるような大きなイベントを担当する場合に、参加者から徴収する参加費が入金されるより前に、我々から主催者へ支払いを求められる場合もあり、相応の余裕がないと資金がショートして立ちゆかなくなってしまいます。

そうした課題は、今後ますます大きくなっていくことと思います。

ー最近は、どのような手段で資金調達を行っているのでしょうか。

岩佐:金融機関からの借り入れです。

メーンバンクからの調達に加えて、昨年から大手都市銀行が提供するTKC会員の関与先企業向け(専用)融資商品を利用しています。この商品は、基本的な金利条件が低く抑えられている上、TKC会員の指導を受けることで銀行が提示したいくつかの条件をクリアすると、金利が1%を大きく割り込んだ大企業並みの好条件で貸していただけます。

余談ですが、メーンバンクにこの話をしたところ、即座に金利を同水準まで下げた新たな融資の提案をいただきました。

ー顧問税理士の岩崎隆昭先生(税理士法人レッドサポート)にお聞きします。金融機関は、なぜこうした低利の融資商品を提供できるのでしょうか。

岩崎税理士:TKC会員事務所では、毎月関与先企業を訪問して試算表の数字の正確性を確認します。TKC会員事務所の毎月の確認に基づき作成する決算書の信頼性は、金融機関から高く評価されています。

また、TKCの各地域会ではさまざまな金融機関との交流会を継続開催しており、相互の信頼関係が醸成されています。

決算書の信頼性や金融機関との連携が、金利等の優遇措置を可能としており、このような融資商品は全国の地方銀行や信用金庫、信用組合などにも広がっています。
(※編集部注:TKC会員の「関与先企業向け融資商品」の一覧はこちら

岩佐:こうした融資商品を利用できることは、TKC会員の支援を受ける大きなメリットだと感じます。

専門家の力も借りながらビジョンに向けて会社を進める

ー今後の抱負を教えてください。

岩佐:私たちが取り組んでいる事業は、誕生してからまだ十数年と日が浅く、前例のないことの連続です。従って、将来のビジョンをしっかりと描いた上で、社員全員がそれに向けて情熱を燃やしていくことが大事であり、会社が成長していくための生命線だと考えています。

これまでやってきたことを基軸に置いて今の場所に根を張り、枝葉を広げ、そして次の幹を作っていきたいと念願しています。

ー最後に、創業者に向けてメッセージをお願いします。

岩佐:「自分自身がどのようにしていきたいのか」というビジョンを持って事業に取り組んでいただきたいと思います。

企業を取り巻く環境は、世界情勢、人口構造、生活スタイルなど急速に変化しており、これに対応していくことが求められます。そこで必要なことは、社長が明確なビジョンを持ち、それを決してぶらさないことです。

税理士などの専門家の力をうまく活用しながら、ご自身のビジョンに向けて会社を着実に進めてほしいと思います。

TKC会員による創業支援の内容


岩佐社長に業績の数値を説明する岩崎隆昭税理士(税理士法人レッドサポート)
「岩佐社長が考える新しい戦略を実現するため、税理士として財務面のアドバイスをさせてもらっています」

バナー_0817
Banner01

【関連記事】
■税理士の支援を受け、資金繰りや業績を日々把握し、従業員全員で進むべき道を考えていく

(編集:創業手帳編集部)



この記事に関連するタグ
創業手帳 代表取締役 大久保幸世のプロフィールはこちら
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】