開業手帳2015年9月17日
コーヒーショップの開業手帳
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- コーヒーショップは味と店格が勝負になりますので、経営者自身の知識や接客対応が重要になります。顧客に味を認めて頂く為には、自家焙煎など、オリジナル風味を打ち出す必要があります。
- 経営者の中には、FCショップとして低価格のコーヒーを提供しているところもありますが、業界的には新規は参入店と比べて撤退店が多くなっているのが実情です。
- コーヒーショップの顧客は二極化しており、低価格のスタンドコーヒーを好む者、また独特の雰囲気を味わうために高級専門店を好む者に分類できます。その為、中間店は撤退するところが多くなっています。
- 最近の女性や若者層の中には、お店の選択に流動的な人が多くなっています。その中にはカフェ店といった、オシャレなお店を選ぶ人もいます。その為、顧客のニーズを事前に把握しておくことも大切です。
- 開業については、人通りの多い立地が条件になりますが、必要経費もかかってきますので事前に良く検討しておく必要があります。
この記事の目次
1.開業に必要な手続き
飲食店の開業手続き
所轄の保健所、食品衛生課に営業許可の申請を行う必要があります。食品衛生法の規定では各店舗に、食品衛生責 任者を1人置く必要があります。
食品衛生責任者は、調理師、栄養士、製菓衛生師などの資格が必要で、資格者不在の場合は、保健所が行っている食品衛生責任者講習会を受講すれば資格取得も可能です。
通常の開業手続き
個人の場合は税務署に開業申請を、法人の場合は必要に応じ、健康保険や厚生年金関係は社会保険事務所へ、雇用保険関係はハローワークへ、また、労災保険関係は労働基準監督署、そして、税金関連は所轄の税務署、または、税務事務所に申請して下さい。
2.開業にあたっての留意点・準備
営業の形態
■カフェ(喫茶)
■カフェバー(喫茶ア、ルコール両方が楽しめます)
■カフェレストラン(喫茶、食事両方が楽しめます)
■カフェテリア(セルフサービスが基本です)
■カフェテラス(庭付きの喫茶店になります)
店内の空間
利用客はコーヒーに対して料金を評価するのではなく、お店の雰囲気や楽しい時間に対しての満足度を評価しています。それ故、コーヒーの味はもちろん、お店の特色も打ち出していく必要があります。
味の差別化
収益を上げる為には、お店の雰囲気、コーヒーの味に対する差別化を図ることも大切です。また、専門店として必要となる、焙煎、雰囲気、豆、新商品の探求、こだわりのアイテムなどを追求していくことが重要になります。
メニューの充実
客数の多いランチの時間帯はメニューを工夫することで、客単価のアップを図れます。しかし、内容によっては専門店の品格の低下に繋がることもある為、注意して下さい。夜の時間帯はアルコールの提供により、客単価をアップすることも出来ます。
3.必要資金例
コーヒーショップの開業に必要になってくるお金、大きく分けると以下の通りです。それぞれ、大まかな額を見て行きましょう。
(1)物件取得費
店舗物件を借りるために必要な費用。保証金、前家賃、不動産仲介手数料などで、これらを全て合わせると(地域によりますが)家賃月額の8~12ヶ月分位になる場合が多いようです。
仮に家賃15万円なら120万円~180万円くらいです。
(2)内外装・設備工事費
設計費、内外装工事費、看板設置、電気水道ガス電話等の工事、冷暖房機器などです。
まっさらな状態(スケルトンと言います)から自分好みの店に作り上げる場合は、かなりお金がかさみます。
スケルトン物件の場合、(地域によりますが)一坪あたり約50万円前後、こだわれば100万円以上の工事費が目安になります。例えば10坪のお店であれば500万円前後、最大でも1,000万円くらいが目安で、それを超えると過剰投資と考えられます。
(3)什器・備品・消耗品費
イス、テーブル、食器、照明、音響、インターネット設備、インテリア、メニュー、名刺などなど。
業務用のイス・テーブルは強度の関係で家庭用のものよりも非常に高くなります。また、細かい備品などは1点1点が少額でも、積み重なると結構な額になります。
(4)運転資金
日々の経費支払や家賃支払など、開業後にかかるお金を、予め余裕を持っておくことが大切です。こちらは最低でも、仕入れと給料(人を雇う場合)の合計3ヶ月分くらいは用意しておきたいところ。
6ヶ月分くらいあれば開業後のオーナー自身の生活費も補えるので、軌道に乗るまで少し時間がかかる場合でも安心です。なお、開業時にレセプションやパーティをやる場合は、その費用もここに含めておきましょう。
≪開業資金例≫
開業場所、店舗物件が居抜き物件かどうかや、内外装工事にどこまでこだわるかで、開業にかかる費用が大きく変わります。
下記は、なるべく費用をかけないで開業した場合(家賃15万円/月、10坪、居抜き物件、設備や備品等を中古で揃えた場合を想定)の参考例です。(実際はケースバイケースなので、あくまで参考としてお考え下さい。)
なお、フランチャイズに加盟して新規オープンする場合はフランチャイズ本部で開業資金モデルを算出しているので、問い合わせてみるのも良いでしょう。
4.ビジネスプラン策定例
次に、開業した後のビジネスプランの策定にあたって、いくつかの指標をご紹介します。
(1)必要な売上高を考える
開業にあたり、まずは目標売上高を考える必要があります。この目標売上高について、まずは大まかに設定する方法をご紹介します。
①家賃の10倍
最も大きな費用の店舗の家賃から逆算する方法。おおよそ家賃の10倍が目安になります。例えば家賃15万の物件であれば月売上目標150万円になります。
②坪売上15万円
店舗の面積(坪数)から目標売上高を策定する方法もあります。こちらは、一般に黒字の基準と言われる坪売上15万円を一つの目標にすると良いでしょう。
例えば10坪の物件であれば、月売上目標150万円になります。
目標売上高が設定できたら、客単価と客数に落とし込んで、より具体的な売上目標を立てましょう。
(2)経費の売上高に対する比率をおさえる
ビジネスプランの策定には、収入面(売上高)だけでなく、支出面(費用)のシミュレーションも非常に重要です。
各費用は、売上高に対する比率を元に目標数値を設定します。まず仕入高は、売上高に対する比率(原価率)25%~35%が目安です。とはいえ、ここは下げすぎるとお得感が減り、魅力のないメニューになってしまう可能性があるため注意が必要です。
ただし、コーヒーショップは他の飲食店に比べて原価率が低い業種と言われていますので、高くても35%以内におさえることが望ましいでしょう。
また、人を雇う場合の人件費(オーナー自身の給料を除く)比率は20%前後、先程の仕入と合わせて多くても60%以内になるようにしたいところです。そして家賃は場所にもよりますが8~12%が一つの目安になります。
≪黒字経営のビジネスモデル例≫
上記の比率で経費を計上して黒字経営になる場合のビジネスモデル例を、売上高の規模に応じて見て行きましょう。
下記は、個人事業主でスタッフを雇っている前提での例になります。この利益(に減価償却費を足した額)からオーナー(開業者)の生活費や、借入金返済、税金支払などを行います。
こちらの数値はケースバイケースなので、あくまで参考としてお考え下さい。
5.入っておくべき保険
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6.必要になる契約書
準備中
(監修:かみむら会計事務所 上村 大輔(かみむらだいすけ)税理士 )