【第三回】平松庚三氏に聴く仕事術「外国人との働き方」

創業手帳

平松庚三氏インタビュー(3/4)

【第二回】平松康三氏に聴く仕事術「学び続ける方法」

(2015/06/5更新)

アメリカンエキスプレス、IDGコミュニケーションズ、AOLジャパン、Intuitジャパン、弥生株式会社、ライブドアなど、さまざまな企業で社長・副社長を歴任されてきた平松庚三氏。しかし、その道中は必ずしも平坦ではありませんでした……。数々の修羅場を乗り越えてきた氏の経歴から学ぶ、生き残りをかけた創業企業のあり方とは? 全4回に分けてお届けします。

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【第一回】平松庚三氏に聴く仕事術「プロ経営者の心得」
【第二回】平松庚三氏に聴く仕事術「学び続ける方法」

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平松 庚三(ひらまつ・こうぞう)
1946年生まれ。アメリカン大学(Washington,D.C.)コミュニケーション学科卒業。ソニー株式会社入社。ソニーで13年間勤務した後、アメリカンエキスプレス副社長、 IDGコミュニケーションズ社長、AOLジャパン社長などを歴任。2000年にIntuitジャパンのCEOに就任。2002年にMBOにて米国親会社から独立、社名を弥生株式会社に変更、同社の代表取締役社長に就任。2004年全株式を売却してライブドアグループ入り。 2006年1月(株)ライブドア社長就任。2008年小僧com株式会社代表取締役会長、2013年オンラインビジネス英会話サービスプロバイダー、株式会社Global InstaBizを設立代表取締役に就任。

外国人を採用する際に意識すべきことは2つ

ー外国人を採用する際に意識するべきことはありますか?

平松:二つあります。

外国人もやはり同じ人間なので、「素直に話し合えるか」という問題が一つ。

それからもう一つは「言語能力ではなく中身の問題」です。日本人はつい日本語ができる外国人を信用してしまう傾向があります。しかし、日本語がペラペラでも、全然中身がともなっていないという人もいるのです。反対に、通訳をつけてでも優秀な人はやはり優秀です。日本語ができるというのは、日本の運転免許証を持っているだけと同じなのです。

英語が上手くても仕事のできない日本人もいれば、同様に日本語がペラペラでも仕事ができない外国人もいます。

しかし、本当に見なければならないのはその人のマネジメント能力であったり、ビジネスのスキルです。外国人が日本人を雇う際にも、英語を使えるだけで選ぶということは今ではほとんどありませんよね。

言葉は非常に大切です。しかし、もっとも大切なものではないのです。もっとも重要なのは中身つまり能力なんですね。

ー人の中身を見定めるコツはありますか?

平松:横綱白鵬はテレビで「日本相撲協会を代表しまして。。。。」と、カメラを見ながらどうどうと言うでしょ。白鳳にしろ日馬富士にしろ、彼らの日本語は素晴らしい。そこに彼らの人間性を見定める重大なヒントがあるような気がします。

僕らは、中学生のころから英語をしゃべれない日本人の先生にずっと英語を教わってきた。だけど、彼らの日本語の先生は、英語もモンゴル語も一言もしゃべれない兄弟子という人たちです。そういう人から言葉を教わってきた背景がある。

「頭を付けていったんですけれども……」「……おかげ様で頑張れます」とか。そんなふうに英語で喋れますか? 一方で、海外から来たサッカー選手や野球選手は、日本語が喋れない人が多い。この差はどこにあるのか。

答えは簡単です。一方は母国語が一切使えない環境の中で日本の習慣から勉強してきた。もう一方は億単位の給与をもらって専属通訳までいる。つまり、自分の仕事場に対するコミットメントに大きな差があります。

就職の面接にしても、そもそも、雇用者側から見れば15分程度の面接でその人が分かるわけがないでしょう。新卒の採用面接などを見れば明らかですよね。求職者側は大抵面接のマニュアルか何かを見ているだけだから。

雇用者側は「君は他の人とどこが違うんだ?」というところを見たいわけですよね? 他の人と違う、外国語で自分の考えをいかに相手に伝えられる能力があるか。そして、相手の意図をしっかり理解する能力があるのか。それが大切なのではないでしょうか。

日本語できちんと自分の意思が伝えられないのに英語で伝えられるわけがありません。

大事なことなのでもう一度言いますが、英語も日本語も大切ですが最も大切なものではありません。

大切なのは話す中身です。

 

“Which one do you choose? Me or Mr. MBA?”
(ボクとMBA君のどちらを取るんだ?)

 

「言葉は非常に大切だが、最も重要ではない。重要なのは中身」

ー海外で活躍するためには、どんなスキルを身につけるべきですか?

平松:1つ目は基本的な「仕事の能力」ですね。

日本人は、外国人と1対1だとなんとか英語を喋れます。でも大勢の人がいるとしゃべらない。なぜか。周りに日本人がいるから。外国人なら仕方がないが日本人に恥ずかしいところを見られたくない、とおかしなビジネスマンがたくさんいます。特にカンファレスコールで英語のうまい上司がいると日本人はあまりしゃべらない傾向にあります。

大切なのはしゃべり出すタイミングです。縄跳びと一緒ですよ。縄跳びでも入るタイミングが難しいけれども、一度入ると続くし、ちょっと入りずらい時は「もっとゆっくり回してよ」と言えばいいのです。「Let’s me speak! 俺がしゃべるからちょっと待ってくれよ!」、と言えるかどうかですよね。

日本人に特に多いのが会議で何も発言しないでうんうんと頷いてメモとっているだけの人。これが海外の会社なら、「次から来なくていいよ。忙しいでしょうから……」と言われてしまいますよ。

2つ目はやはり「人間力」です。

たとえば盆栽とか、歌舞伎とか、相撲とか何でもいいんだけど、英語でうんちくを語れること。僕だったら農業とかハーレーとか飛行機の運転とか宇宙旅行とかですね。とにかく何でもいいんだけど、仕事以外のことについて深い知識があること。そういうところで、パーソナリティーやインテリジェンシーの深さを見られるんです。あいつは仕事もできるが人間性も魅力だと海外のパートナーに思わせたらしめたものです。

あとは、人間対人間として良い関係を築けること。そのためのインターパーソナルスキルでしょうか。時間はかかりますが、お互いにいい関係を築き合う姿勢が大切です。キーワードは「ギブ&テイク」ではなく、「ギブギブ&テイク」ですね。

ー海外ではやはりユーモアが大切ですか?

平松:ユーモアは英語で言うと「humor(ヒューモア)」なんです。「sense of humor」はつまり人間性。だからダジャレとは違います。日本人同士でもそうですが、結局は人間性と人間性のぶつかり合いだから。

IUJ(international university of japan)でスピーチを頼まれたとき、タイトルを「What I would like to tell you as a farmer,an astronaut and a CEO.」つまり「百姓として、宇宙飛行士として、そして経営者として僕が君たちに今日伝えたいこと」としたんです。そうしたら、僕のゼミ生は60人の予定だったのだけれど、100人以上来ました。

英語で90分話し、それから一時間、僕の周りを生徒が取り囲むかたちで話し続けました。新幹線が出る15分前まで。国内の大学でもたくさん話をしましたが、「もう帰るの?」と捕まえられて話をしたことなんて、それまでありませんでしたね。

違いは、最初から質問しようと思って聞いているかどうか。途中からどんどん「こうじゃない?」「ああじゃない?」と聞いてくる。質問の時間なんてとっていないんだから、途中で質問しても全然OKなんですよね。つまり彼らは「参加」しようと思ってくるわけで、平松先生の講演を聞いて、一生懸命メモを取るために来ているのではありません。この90分間を自分のためクラスのためにいかに建設的な時間にするかで、全員が同じ目的を共有しています。ハングリーですよ。日本の学生に足りないところがこのハングリー精神です。

 

“Eating Fugu is much safer than walking in New York.”
(ふぐを食べるのはニューヨークを歩くより安全さ)

 
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【第四回】平松庚三氏に聴く仕事術「海外での交渉術」

(創業手帳編集部)

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