【第一回】平松庚三氏に聴く仕事術「プロ経営者の心得」

創業手帳

平松庚三氏インタビュー(1/4)

(2015/06/5更新)

アメリカンエキスプレス、IDGコミュニケーションズ、AOLジャパン、Intuitジャパン、弥生株式会社、ライブドアなど、さまざまな企業で社長・副社長を歴任されてきた平松庚三氏。しかし、その道中は必ずしも平坦ではありませんでした……。数々の修羅場を乗り越えてきた氏の経歴から学ぶ、生き残りをかけた創業企業のあり方とは? 全4回に分けてお届けします。

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平松 庚三(ひらまつ・こうぞう)
1946年生まれ。アメリカン大学(Washington,D.C.)コミュニケーション学科卒業。ソニー株式会社入社。ソニーで13年間勤務した後、アメリカンエキスプレス副社長、 IDGコミュニケーションズ社長、AOLジャパン社長などを歴任。2000年にIntuitジャパンのCEOに就任。2002年にMBOにて米国親会社から独立、社名を弥生株式会社に変更、同社の代表取締役社長に就任。2004年全株式を売却してライブドアグループ入り。 2006年1月(株)ライブドア社長就任。 2008年小僧com株式会社代表取締役会長、2013年オンラインビジネス英会話サービスプロバイダー、株式会社Global InstaBizを設立代表取締役に就任。

最も大事なのはHR(ヒューマンリソース)

ー会社経営で重要なことはなんでしょうか?

平松:会社を経営する時でも、ネットワークを広げるときでも、もっとも大切なのが人つまり「ヒューマンリソース」です。経営資源には、時間やファイナンシャルリソース、インテリジェンスソース、技術などがありますが、もっとも大切なものはヒューマンリソースです。

そもそも経営とは、リソース(資源)をマネージ(管理)すること。そのリソースの中で重要なのが人間なので、そのためには、社内はもちろん、社外の人間をうまく使うこと。こういったインタビューも、社外資源の活用ですよね。この会社(ビズシード)にとって。社内外のすべての資源を上手に使うことが大切です。

ータフな状況やトラブル時、平松さんであれば何をしますか?

平松:トラブルの真っただ中に行きます。

社長としてヘッドハントされると、必ず言われるのが「走りながら修理してくれ」ということ。もともと行った時からトラブルがあって、たくさんの問題を抱えているのは明らかなんです。

そこでまず、問題の中心に行って、全体を見ます。そして「現状の認識と問題点の把握」作業をします。

特に顧客からのクレームを分析することが大事ですね。A0Lの時も、弥生の時も、アメックスの時もそうなんだけど、カスタマーセンターから電話があって現場が「ちょっと大変なんです」という状況になっている。ただ、全体の客観的な状況がわからないと対処できません。

だからこそ、客観的な事実を把握して分析することが大切なんですよ。すべてのトラブルは、客観的に、一歩下がってみるということを心がける必要がありますね。

ー影響範囲を把握し、対応はそこから考えていくわけですね。

平松:トラブル時には誰かに任せず、やっぱり社長が「自分がオーナーシップを持つ!」と、全面的に責任をとる姿勢を社内外に見せるのが大切ですよね。

また、リスクマネジメントも重要です。あの頃のライブドアは、ブランドの認知度ではコカ・コーラやトヨタ並みでした。でも、「ブランドのロイヤルティー」、つまりブランドに対する好感度は、そういった企業と比べて大きく落ちましたから。

その原因は一つはマネージメントの「露出過多」でした。日本では、メディアへの露出も質を考えてストロデジックにやらないと。ライブドアの事件のように露出過多が逆作用に働いて大打撃を受けるといったことがあります。そういった点についても、やはり事前のリスクマネジメントは重要だと思います。

 

“Speed is directly proportional to risk.”
(スピードと危険性は正比例する)

“If I wasn’t hard , I wouldn’t be alive. If I couldn’t ever be gentle, I wouldn’t deserve to be alive.”
(タフでなければ生きていけない。優しくなれなければ生きている資格がない)

 
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経営者はどんな人間であるべきか

ー経営者はどんな人間であるべきでしょうか?

平松:外資系に行って、SONYで働いていたというと、みんな「Oh, What Dose MORITA like?=盛田ってどういう人?」って聞きます。普通みんな、彼は偉大なる経営者だと僕が言うと思っているのだけれど、「He was charming」すごくチャーミングだったと言うと大変驚かれます。チャーミングとは可愛いだけではなく、とても魅了のある人だったという意味ですね。

盛田さんにはウォークマンの話とか色々な成功話があるけれど、失敗はその10倍ぐらいしている。それでも諦めずにずっとやっていたし、そんなところがチャーミングだった。きっと、本田宗一郎さんもチャーミングだったと思います。

では、チャーミングとはどういう意味か。それは「be positive」、つまりネアカということです。根が明るい。リーダーや経営者は、必ずネアカじゃなくちゃダメなんです。でも、いつもネアカになるのは難しい。毎月の決算書を見ていたら、卒倒しそうになることもある。しかし、そういう時にでも、あくまでネアカのふりをするのです。

ネアカのふりをすると、チームの中に正のスパイラル、つまりポジティブなスパイラルが生まれます。社長が暗くなっていると、社員はみんな心配しますよね。お客さんが来ても心配する。

会社にしても、入るなり「しーん……」としているところもあるけれど、ちょっとざわざわしていて大声で「いらっしゃいませ!」と言ってくれる活気あるところもある。そういったポジティブな雰囲気を社内に作ることが大切です。キーワードは「pretend:〜のふりをする」ですね。

pretendすると、社員もだますことができるし、お客さんもだますことができるし、最後は自分をだますこともできるようになる。辛いときでも、自分もだまして会社全体でポジティブになっていく。それが盛田さんのチャーミングな部分で盛田さんから教えて貰った最大のレッスンですね。

“An executive should be an optimist. If you really are a pessimist, you must pretend to be an optimist.”
(経営者は楽観的であれ。もし本当は悲観論者でも、楽天家のふりをしなさい)

 

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【第二回】平松庚三氏に聴く仕事術「学び続ける方法」

(創業手帳編集部)

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