資金調達手帳 2015年8月11日
セーフティネット貸付制度
この記事の目次
セーフティネット貸付制度とは?
セーフティネット貸付制度とは、日本政策金融公庫が資金繰りに影響を受けている中小企業を支援する制度です。
日本政策金融公庫は政府系金融機関の一つで、平成20年に国民生活金融公庫、中小企業金融公庫などを統合して設立。セーフティーネット貸付制度も、その名残もあってか、国民生活金融公庫が行っていた業務は国民生活事業として、中小企業金融公庫が行っていた業務は中小企業事業として展開されています。
今回紹介するセーフティネット貸付制度は、日本政策金融公庫が行っている貸付制度のなかでも最も多く利用されているもので、物価高騰や為替の変動、経済不安などの影響で、一時的に売上や利益が減少している個人事業者や中小企業者を支援するためのものです。
また、その対象によって「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「取引企業倒産対応資金」「危機対応円滑化支援業務を活用したセーフティネット貸付」と別れており、貸付条件などが異なります。今回は、「経営環境変化対応資金」「金融環境変化対応資金」「取引企業倒産対応資金」についてご紹介します。
「経営環境変化対応資金」とは?
物価高騰、円高、株安、経済不安など、社会的・経済的環境の変化など外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているものの、中長期的には業況も回復し発展することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方を対象にしています。
また、利益が増加していても経常損失が生じるなど、特定の要件を満たす場合は対象となります。
- 最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している方
- 最近3ヵ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる方
- 最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している方
- 最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により悪化している方
- 社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある方
- 最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている方
- 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している方
- 前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である方
資金の使い道
「社会的要因等により企業維持上緊急に必要な設備資金及び経営基盤の強化を図るために必要な運転資金」とされております。
融資限度額
国民生活事業 | 4,800万円 |
中小企業事業 | 7億2千万円 |
返済期間
国民生活事業 | 整備資金 | 15年以内 (据置期間3年以内) |
運転資金 | 5年以内(特に必要な場合8年以内) (据置期間1年以内(特に必要な場合3年以内)) |
|
中小企業事業 | 整備資金 | 15年以内 (うち据置3年以内) |
運転資金 | 運転資金 8年以内 (うち据置3年以内) |
「金融環境変化対応資金」とは?
金融機関との取引状況の変化により、一時的に資金繰りに困難をきたし、中長期的には資金繰りが改善し経営が安定することが見込まれる方で、次のいずれかに該当する方を対象にしています。
- 取引金融機関が行政庁から業務停止命令(一部業務停止命令を含む。)を受けた方
- 取引金融機関が実質的に経営破綻の状態等にある方
- 預金保険法等の規定に基づき、取引金融機関からの借入等が株式会社整理回収機構に譲渡された方などで、経常利益を計上しているなど、業況が順調であると認められる方
- 経営状況が悪化していないにもかかわらず、金融機関からの借入金利が長期プライムレートの変動に比べ相対的に上昇するなどの状況にある方
- 国際的な金融不安や経済環境の変化を背景に、取引金融機関から次の(1)から(5)までのいずれかの要請または取扱いを受けている方
(1)借入残高の減少
(2)約定した返済条件を超える弁済
(3)当座預金の解約
(4)担保・保証人の追加
(5)借入金利の引上げ
資金の使い道
「設備資金及び金融機関との取引状況の変化に伴い必要となる運転資金」
とされています。ただし、上記該当条件の3.「預金保険法等の規定に基づき、取引金融機関からの借入等が株式会社整理回収機構に譲渡された方などで、経常利益を計上しているなど、業況が順調であると認められる方」に該当する場合、株式会社整理回収機構に対して繰上返済を行うために必要な資金を含みます。
融資限度額
国民生活事業 | 別枠4,000万円 |
中小企業事業 | 別枠3億円 |
返済期間
国民生活事業 | 整備資金 | 15年以内 (据置期間3年以内) |
運転資金 | 5年以内(特に必要な場合8年以内) (据置期間1年以内(特に必要な場合3年以内)) |
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中小企業事業 | 整備資金 | 設備資金 15年以内 (うち据置3年以内) |
運転資金 | 8年以内 (うち据置3年以内) |
「取引企業倒産対応資金」とは?
取引企業など関連企業の倒産により経営に困難を来している方で、次のいずれかに該当する方を対象にしています。
- 倒産した企業に対して50万円以上の売掛金債権などを有する方
- 倒産した企業に対する取引依存度が10%以上である方
- 倒産した企業に対して貸付金や差入保証金などの債権を有する方
- 倒産した企業の債務を保証している方
- 倒産した企業の設置する商業施設に入居している方であって、倒産の影響を受けている方または影響を受けるおそれのある方
- 倒産した企業から受注した商品や役務などが、倒産の影響により取り消された方
資金の使い道
「取引企業など関連企業の倒産に伴い緊急に必要な運転資金」とされています。
融資限度額
国民生活事業 | 別枠3,000万円 |
中小企業事業 | 別枠 1億5千万円 (直接貸付と代理貸付を合わせて) |
返済期間
国民生活事業 | 運転資金 | 5年以内(特に必要な場合8年以内) (据置期間1年以内(特に必要な場合3年以内)) |
中小企業事業 | 運転資金 | 8年以内 (うち据置3年以内) |
対応地域 | 全国 |
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対応業種 | その他 |
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