営業戦略の立て方と具体的な戦術・事例を徹底解説!

創業手帳

明日から使える営業戦略の立案をまとめました

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営業戦略を立てるには、5つの手順がある。

1つは、ターゲット設定。顧客の課題と自社の商品・サービスのマッチングは可能かを考える。
2つ目は、リスト作成。ターゲットの顧客は市場のどこにいるかを考える。
3つ目は、アプローチ。どのようにターゲットの顧客に接触するかを考える。
4つ目は、商談。接触から受注までをどのように運ぶかを考える。
5つ目は、フォロー。フォローから次の受注までをどのように設計するかを考える。

この記事で、基本的な営業戦略を立てていこう。

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この記事の目次

【はじめに】ベンチャー企業での営業戦略の立て方

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営業戦略の立て方は営業人員数で異なる

大企業の営業戦略を考える場合であれば、それ相応のマーケットリサーチの上、競合に確実に打ち勝つ施策を考える。。。というようなプロセスを経ると思うが、起業直後の創業期のスタートアップベンチャーにはそのような予算も時間もない。仮にあったとしても、そこに資源を投入すべきではないと考えているだろう。

大企業とスタートアップベンチャーでは営業人員の数が圧倒的に違うからである。

ベンチャー企業が策定した営業戦略をもとに営業活動を実施するとして、そこに関わる人数はせいぜいが4~5名程度であろう。起業直後の創業期のスタートアップベンチャーの場合は、1~2名(兼任も含め)かもしれない。

それくらいの人数であれば、最初に考えた営業戦略が間違っていたことが明らかになり、営業戦略や営業プランの変更を強いられる場合でも(基本的に最初に考えた営業戦略やプランが上手くいくことはほとんどないから、必ず変更を強いられると考えて良い)、そのメンバーで話し合えば十分に伝わる。

これが、30名や50名を超える人間が動く場合、営業戦略の変更をメンバーに浸透させるには時間がかかる。よって、営業戦略の立案は慎重にならざるを得ない。大企業の場合は、戦略の変更が最小になるように、予め綿密な計画を立てておくことが必要である。

逆に、スタートアップベンチャーであれば軌道修正が簡単だ。実行して得られる結果を見て、都度営業戦略の立て直しをするかどうか決めれば良い。

慎重になり過ぎて営業戦略の立案に時間をかけても、その間はキャッシュは入ってこない。「まず実践」で営業を行い、営業の経験数を増やすことを最重要視すべきだ。

ベンチャーは「見込み」改善サイクルを高速で回す

とはいえ、最初に「見込み」を立てた上で営業を始めないことには、「結果」が良い結果なのか悪い結果なのかすら判らない。

ベンチャーにとって営業戦略を立てるとは、この「見込み」を立てる作業だ。

この「『見込み』立て → 『結果』判明 → 改善した『見込み』立て・・・」の改善サイクルをどれだけ高速で回すことができるかが、ベンチャーにとっての営業戦略のキモだ。

①ターゲット設定

顧客側からターゲット設定を考える

営業という仕事は、「課題がある人」に対して、自社の「商品・サービス」を届ける情報流通業と考えることができる。したがって、営業におけるターゲット設定も、課題を抱えている顧客側と、商品・サービスを供給する自社側からの両面から考えることができる。

顧客側から考える場合は下記のような点を考えると良い。

①顧客が対価を払ってでも解決したい課題は何か?

既に顧客側で予算化している案件であれば、効率的に営業をおこなうことで予算獲得が可能である。ただし、顕在化しているニーズを刈り取るための営業は、こちらの介在する価値が低いため、利益は薄いことが多い。

②顧客は気付いていないが、解決することでコスト削減又は売上向上になることは何か?

顧客にニーズ意識がないため、解決すべき課題に気付いてもらうことから営業を始めることになるが、受注後の利益は厚い事が多い。

③同じ課題があると想定される会社が一定数以上あるか?

もし顧客リストに対する受注率が1%程度と考えると、リストに100社以上の営業候補が無いと、1件の受注も見込めないということになる。

目の前の顧客の課題の大きさ(=発注額)が大きかったりすると、いかにもマーケットが大きいように感じてしまうことも多いが、「その課題は普遍的なのか?(=マーケットサイズは十分か?)」ということを見落としてはいけない。

自社側からターゲット設定を考える

逆に自社側、すなわち商品・サービス側から考える場合は、下記のように考えると判りやすい。

①あなたの商品(サービス)を知った瞬間に購入を決定してしまうような顧客は誰で、どの機能(サービス)が顧客をそう思わせるのか?

力の限り営業しないと売れないような商品・サービスは、根本的には必要とされているとは言いがたい。

「適切な顧客に適切な商品説明で売れる」のが理想の営業である。営業戦略の立案において「俺が行けば売れる」は禁句中の禁句である。

②顧客はどこにいて何をしているのか?

営業戦略でターゲットを設定する際に、「どこにも存在しない人達」をターゲティングしてしまうことは多い。「『どの業種のどんな職種・役職の人』があなたの『商品・サービス』を必要としているのか?」を事実を元に考えることが大事である。

ベンチャーのための営業戦略 -リストアップ・アプローチ編- トップ画像

②リスト作成とアプローチ

ターゲット設定で「どんな相手にアプローチ」するのかがおおよそ決まると、次は具体的に顧客のリストアップとアプローチ方法を決めるステップだ。

新規顧客の前に既存顧客にアプローチする

既存顧客にアップセル・クロスセルを検討する

既存顧客がいる場合は、まず既存顧客に対してアップセル・クロスセルをまず考えるとよい。理由は簡単で、既存顧客は、「取引がある」→「すでに信用がある」→「すぐに商談ができる」からだ。

  • アップセル:既に購入いただいている商品・サービスの上位版やオプションをご購入いただくこと
  • クロスセル:既に購入いただいている商品・サービスの関連商品・サービスを販売すること
  • 具体的に言い換えれば、アップセルは、既存顧客により単価の高いものを購入していただくことであり、クロスセルは、既存顧客に購入する商品の幅を広げてもらうことである、とも言える。

    起業直後の社会的信用が決して豊富とはいえないベンチャー企業が提案した商品・サービスの購入を決めていただいた顧客である。商品やサービスさえ良ければ、追加でビジネスの話がまとまり、あなたの商品やサービスが購入してもらえる可能性は高い。

    既存顧客の少ないベンチャーだからこそキッチリと検討すべき

    起業して間もない創業期のスタートアップベンチャーであれば、それほど既存顧客数は多くない場合が多いだろう。数少ない既存顧客に対してアップセル、あるいはクロスセルができないかをキッチリ検討する時間を持つべきである。

    また、ある程度事業が成功して、顧客数が増えてきたら、顧客を管理するためにCRMツールなどを導入するとよい。そのようなツールには、大量の顧客を管理するシステム機能が備わっているので、アップセルやクロスセルを目的とした分析・検討に大いに役立つだろう。

    新規顧客のアプローチとリストアップ

    新規顧客をリストアップするときの2つの注意点

    既存顧客に対する検討が終わったら、新規顧客のリストアップにとりかかる。ここからがリストアップの本番である。

    ターゲット設定した顧客が「どこにいて何をしている人か?(業種と職種)」「連絡先は取得できるか」「どのようにしたら接触できるか?」「ターゲットは十分な数存在するのか?」を考慮する。

    ここで2つ留意しなければならないことがある。

    • 最初に考えた方法は失敗する前提で計画を立てる
    • アプローチ可能かどうかまで考えてリストアップしないと失敗する
    最初に考えた方法は失敗する

    1つ目は「最初に考えた方法は失敗する前提で計画を立てる」ということだ。

    営業戦略は「ターゲット設定」→「リストアップ」→「アプローチ手法検討」→「商談設定」→「クロージング」→「フォロー」という一連の流れからできている。そして最初に立てた計画は、すべて「想定」でしかない。どれだけ「確からしい」情報でも確定した事実ではない。すべてが上手くいくように最初から想定することは不可能であるといってよい。

    よって、リストアップやアプローチのステップに関しても、営業戦略のPDCAサイクルを回す前提でどれだけ早く想定違いを見つけられるか、どれだけ早く修正できるかということを意識すべきである。特に、起業間もないの創業期のスタートアップベンチャーであれば、社員の人数も少ない場合がほとんどだろうから、このような軌道修正を迅速におこなうことが強みとなるだろう。

    現実的にアプローチ可能か?

    2つ目は、現実的に「アプローチ可能かどうかまで考えてリストアップしないと失敗する」ということだ。「存在はするがアプローチする方法が限られる」、「連絡先は取得できるが数が少ない」といった状態では、いざ営業を始めてもすぐに頓挫してしまう。

    例えば「業種問わず従業員数1,000名以上の会社の総務部長」といったターゲット設定すると「1,000名以上の会社の総務部長の名前と連絡先」を取得しないとアプローチできない。「セミナーを開く」、「テレアポ(電話による営業)」で聞き出すなど方法はあるが、このリストを取得することは現実的にかなり困難である。通常の商品であればターゲットにするのは避けるべきという結論になる。

    ただし、例外もある。得られる見込リターンが困難を克服するコストより高ければ実行する価値はある。

    例えば、1000人以上の会社の総務部長の情報を10社分集めるのに200[時間・人(1人でやると200時間、2人でやると100時間かかるという意味)]かかるが、もし「全件アポイントメントが取れる見込で、そのうち半分は2ヶ月以内に受注でき、受注時平均粗利は100万円」ということであれば、ターゲットにすればよいだろう。

    この場合、一人の営業が動いたとしてリストアップに1ヶ月、営業に2ヶ月、粗利が500万円である。あくまでも見込の話だが、3ヶ月で500万円の粗利ならまずまずだろう。

    とにかく、リストアップするときは同時にアプローチの実現可能性を具体的に検討しながら進めていくべきである。

    ベンチャーのための営業戦略 -商談編(1)- トップ画像
    自社の商品・サービスのことをよく知り、どういう顧客にとって自社の商品やサービスが役に立つか分かったら、あとは「その顧客に、自社の商品・サービスがその顧客の役に立つことを理解してもらう」だけである。

    ③商談~基本編~

    商談で営業に必要な2つの力

    営業パーソンが顧客の前に現れた時点で顧客が商品やサービスを導入することは、営業パーソンの立場として「絶対善」である。絶対善であるからには、万難を排して導入してもらわなければならない。そして顧客に成果を出してもらわなければならない。それが営業としての責任であり仕事である。

    そのために営業パーソンにとって必要な力が2つある。一つは、商材に対する知識に裏打ちされた絶対的な自信であり、もう一つは商談を構築する構築力である。

    商品に対する絶対的な自信

    商品やサービスを導入するかどうかは顧客が判断することであるが、提案する人間は自社の商品やサービスが顧客の役に立つことを確信していなければならない。

    このことは提案する立場として最低限の義務だと考えている。顧客が自己の判断で導入の可否を判断するのと同じ次元で営業も導入の可否を判断しなければならないし、もしその判断が否になることがあれば即刻提案を引っ込めなければならない。営業とはそれだけの覚悟をもって商談に挑むべきものだ。

    商談を構築する構築力

    商談を構築する構築力とは、営業プロセス全体を構築する構築力である。

    商談を構築するとはどういうことか?一言で言うならば、商談の中で想定されるシナリオを全て想定し、導入に至る道筋を立て、導入に至らない道筋は予め排除しておくことである。

    同じ情報を伝えたとしても、伝え方、伝える順番、伝える前にヒアリングした内容、伝える際の表情・しぐさ等々によって人間の判断は大きく変わる。こういったコミュニケーションを間違えれば導入から遠ざかるし、正しくコミュニケーションを取れば導入に至るのである。

    起業直後のベンチャー企業は、一般的に伝統や実績がある企業と比較して信用力や認知度が低い。これは商談でベンチャーの商品やサービスが「導入に至らない道筋」に入ってしまう可能性が比較的大きいということである。

    真実だけを伝えても正しく解釈されるとは限らない

    「コミュニケーションによって判断が変わる」とは、商品やサービスについて間違ったことを言っていなくても顧客は情報を勝手に解釈して、容易に判断を変えてしまうということである。

    有名な例がある。

    恐怖の物質DHMO

    1997年にアメリカで行われた調査がある。DHMOという物質について説明した後で、この物質の法規制の是非を問うたところ50人中43人が「規制すべき」と回答した。

    みなさんもこの物質の法規制をすべきか考えていただきたい。

    DHMO
    • 水酸と呼ばれ、酸性雨の主成分である。
    • 温室効果を引き起こす。
    • 重篤なやけどの原因となりうる。
    • 多くの材料の腐食を進行させ、さび付かせる。
    • 電気事故の原因となり、自動車のブレーキの効果を低下させる。
    • 末期がん患者の悪性腫瘍から検出される。
    • 原子力発電所で用いられる。
    • 各種の残酷な動物実験に用いられる。
    • 防虫剤の散布に用いられる。洗浄した後も産物はDHMOによる汚染状態のままである。
    • 各種のジャンクフードや、その他の食品に添加されている。

    その危険性に反して、DHMOは頻繁に用いられている上にほとんど法規制がされていない。

    いかがであろうか?おそらくほとんどの方が「法規制すべき」という判断になったのではなかろうか?

    ちなみにこの物質DHMOとはDihydrogen Monoxide(ジハイドロキシ モノオキサイド)の略称で、簡単に言えば「水」のことである。

    驚かれたかも知れないが、翻って前述のDHMOの説明を読んでいただければ、「水」に関して間違ったことは何一つ書かれていないことがわかるだろう。それでも「法規制すべき」という間違った結論を殆どの人が選んでしまうのである。

    ④商談~応用編~

    ミーティング

    前述のとおり、先ず最初に顧客が気にすることは「この人は信用できるのか?」である。ラポールの構築ができていることが何よりも重要である。起業直後の創業期のスタートアップベンチャーは、一般的に信用力が低いので、いわゆる「個人としての信用」の重要性は以前述べた通りである。

    信用ならない相手の言葉は聞こえていても頭に入らない。よって、まず人として顧客に信用されていることが前提だ。この前提条件を満たした上で、商談の構築を進めていく。

    会社ではなく担当者にとってのメリットを提示する

    日本のビジネスの現場では、「××株式会社の〇〇さん」というように「会社名+担当者名」をセットにしがちだ。つまり「顧客=顧客が所属する会社」という考え方だ。しかし、これでは営業の現場で商談を上手く構築するにはこの考え方を変えなければいけない。

    目の前の担当者にとってのメリットを具体的に提示出来ない限り商談がスムーズに成功する可能性は低い。特に大事なことは「目の前の相手にとって」というポイントである。

    例えば、顧客の所属する会社として大いにメリットがあることであっても、担当者にとってはあまりメリットが感じられない場合は、対会社のメリットを強く提示したところで担当者がなかなか動いてくれないことがある。

    逆もまた然りである。対全社的にはそれほど大きいメリットがない案件でも、担当者が大きなメリットを感じる案件であれば商談は成約に向けて動きだす。極論を言うと、「この営業担当と仕事をしたい」ということだけでも受注するのに十分な場合も多い。

    商談相手は会社ではなく担当者である。商談相手の会社にメリットがあることは当然であるが、担当者があなたの商品やサービスにメリットや価値を感じない限り、商談の次のステップには進めない。よって、この点を認識して「この担当者にとってのメリットはなにか?」という視点から商談で伝える内容を考えることが必要なのだ。

    あなたが革新的な新商品や新サービスでベンチャーを起こした起業家であれば、同じ会社にあなたの商品やサービスを売り込むとしても、すぐに利益や売上を狙う短期リターンを求める部署ではなく、将来性に投資して長期で大きなリターンを狙う部署の担当者と商談した方が、うまくいく可能性が高いだろう。

    「ダメな理由」を言わせない

    メリットが相手に伝わると、顧客は具体的な検討を始める。この段階で大事なことは「ダメな理由」を言わせないということだ。
    営業で商談を上手く構築するためには、この「ダメな理由」を言わせない「トーク」の組み合わせをできるだけ多く発見することが重要である。

    よくあるダメな理由には、「うちの会社にはまだ早い」「安い商品で十分」「既存の外注先があるから大丈夫」などがある。起業直後のベンチャーが提案する商品やサービスであれば、「実績のない会社だから」というのが定番の「ダメな理由」となる。

    しかし、これらの理由には、本質的な「ダメな理由」の要素は含まれていない。本当は「メリットがあればやれば良いし、なければやらなければ良い」だけであるからだ。

    それにもかかわらず、人は「ダメな理由」を無意識に探してしまう。それは、人の習性として「外部からの刺激で考えを変えること」を基本的には嫌がる動物だからだ。冷静に考えればメリットの方が大きかったとしても、人は無意識のうちに「変えない理由」を探す。

    「営業はダメ出しをされてからが本番」などという言葉があるが、あれは間違っている。ダメな理由に反対するいわゆる「アウト返し」をしている時点で、顧客からみると、動物的本能として、あなたは意見に反対する「敵」である。「敵」から物は買わない。つまり、「ダメな理由を口にされてから反対する」のでは遅すぎるのだ。

    よって、営業で商談を構築する上で大切なことの2番目は「想定されるダメな理由を言わせない」ことである。そのためのトークをあらかじめ商談の構成(ストーリー)に入れておくことだ。

    「メリットを伝え、顧客が検討に入る前」に「早いところやっとかないとね!」とか「安かろう悪かろうだよ」とか「良いところがあれば合理的に外注先を選ばないと」といった言葉を引き出しておかなければならない。それは「一度言った手前、恥ずかしくて言えない」と思わせるというような「言質をとる」といった単純なものではない。無意識に「ダメな理由」を考えてしまう顧客のマインドを変えるのだ。人は「外部からの刺激で考えを変えられること」よりも「内部から考え変えること」の方が容易である。人は自分の言葉に最も説得される生き物なのである。

    担当者にとっての「メリット」と「ダメな理由」を収集する

    ここまで、商談先の会社全体のメリットだけではなく、商談相手である担当者が感じるメリットを提示すること、ダメな理由を言わせない、という商談構築のプロセスにおける2つのポイントについて説明してきた。この「メリット」や「ダメな理由」はあらかじめ情報収集して整理しておくことが重要である。

    メリットは担当者や会社によって変わってくるので、ラポールを通して「何がこの会社と担当者にとってのメリットなのか?」をヒアリングしておくことが大事である。

    また、業種・職種を絞ってしまえば「どの会社・担当者にも共通のメリット」を見抜き、営業側から提案することも可能である。この場合、ヒアリングをせずに、営業側のトークだけで受注までもっていくこともある。

    「優秀な営業は口数が少ない」というが、むしろ「トップ・オブ・トップの営業はよく喋る」ものだ。相手に話させる前に状況やしぐさ、表情から相手のほしい情報・言葉・物を提供できるのが一流の営業であると思う。一方的に喋っているように見えて顧客の心の機微をとらえて話せる営業こそ優秀な営業であると思う。

    また、「ダメな理由」の情報収集も大切である。商品やサービスを新しく扱うことになると、営業をしながら商談構築初期段階で「なんでダメなのか詳しく教えて下さい。」と顧客に根堀り葉堀り聞くのが良いだろう。

    当然「ダメな理由」をたくさん挙げてくる顧客が、あなたの商品やサービスをすぐに購入してくれることはほぼないだろう。しかし、批判的な顧客ほどあなたの商品やサービスについてよく調べて知っているものだ。これは商談を構築する上で大変有用な情報なので、ありがたいと思いながら受け取ろう。

    ⑤商談~クロージング編~

    ベンチャーのための営業戦略 -商談編3(クロージング)-トップ画像

    今回は、商談の最後の仕上げである「クロージング」の考え方について説明しよう。

    クロージングとは顧客を説得することではない

    「商談でクロージングの決めトークは何ですか?」と聞く人はそもそもクロージングの考え方が間違っている。トークでクローズすると考えている営業パーソンは、営業を「顧客を説得して意見を変えさせる行為」と勘違いしているように思えてならない。

    そうではなく、「顧客にとって役に立つものを、役に立つと顧客が適切に判断し、適切に利用するための情報を、適切な順番で提供することで、顧客に行動を促すこと」が営業の仕事である。あくまで営業の仕事は情報を提供することが仕事であり、判断・行動するのは顧客である。

    前回も述べたとおり、顧客のニーズを満たしており、障害となる要素を取り除いていれば、顧客は自ら金額や発注方法・納品方法などを尋ねてくる。それらの質問に適切に答えるだけで受注に至る。「やりましょう!」などと力説する必要などないのだ。

    クロージングするときに顧客の心は冷え切っていませんか?

    あなたが営業で一生懸命クロージングをしている商談シーン。そのとき、顧客の心は冷え切ってないだろうか?「できるだけ早く、ここを切り上げたい」「なんと言えば諦めてくれるだろう?」と顧客は考えていないだろうか?そんな状態の顧客に、華麗な営業トークをぶつけたところで溝が深まるだけである。

    「断り切れずに勢いで契約してしまう」ことを狙って勢いで押す方法もあるにはあるが、決してオススメはできない。ゴリ押しでは契約が成立したとしても「契約させられた」というネガティブな感情が顧客に残るため、長期的には満足度が低く、将来的に顧客のリピート化を狙うのは難しい。

    さらに、顧客と信頼関係を構築できない状態では、WEBホームページ制作など顧客の要望をヒアリングしながら一緒に納品物を作り上げていくような商品・サービスの場合は、顧客の協力が得られず納品に時間と手間がかかる可能性も高い。

    顧客が「決断できない理由」を取り除くのがクロージングの考え方

    ミーティング
    あらためて営業の「クロージング」はどうやったら良いかを考えてみる。別の表現をするならば、営業が「クロージングしたい」と思った時に何をすれば良いのか?ということを考えたい。

    クロージングを意識する典型的なシチュエーションは、あなたが「やるべき理由や商品(サービス)の説明をやりきった。顧客も悪くないと感じている」と感じている一方、顧客は「商品(サービス)のメリットや購入すべき理由は理解したが、判断するには情報が足りない、整理できていない」と感じるときである。

    したがって、顧客が感じている「決断できない理由」を取り除くための情報や条件を提示することが、営業をクロージングするために行うべきことになる。

    顧客が「決断できない理由」を見つけよう

    顧客が納得していれば商品やサービスの金額や納品手順を聞いてくるはずだ。金額や納品手順を聞かずして商品を手に入れることは出来ないのだから、当然といえば当然である。よって、具体的な金額や納品手順を聞かれないのは、顧客側に何かしら商品やサービスを購入することを「決断できない理由」が存在するシグナルと考えよう。

    営業経験が浅いと、顧客が発する「決断できない理由」のシグナルに気付けていないことが多い。「決断できない理由」は、営業側の商品やサービスの特性や顧客側の事情などが絡み合い、千差万別である。起業直後のベンチャー企業の商品やサービスであれば、商品やサービスのスペックや機能は申し分ないにもかかわらず、信頼性や実績が不足していることが「決断できない理由」となることさえありうる。

    (監修: 本気ファクトリー代表  畠山 和也
    (編集:創業手帳編集部)

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