知らず知らずに商標権侵害していませんか?ビジネスしていて思わず侵害していた事例3つ

創業手帳

知らなかったじゃ済まされない!創業時に注意したい商標権侵害リスクをご紹介


(執筆:「ベンチャー支援・外国商標・マドプロに強い」髙橋伸也 弁理士)

(2016/01/14更新)

商標権侵害なんて自社とは縁遠い話のように聞こえるかも知れませんが、外には出しづらい話なのでなかなか表に出てこないだけで、実はよくある話だったりします。今回は、軽い気持ちから商標権侵害を行なってしまい、その責任を取ることとなった事例を3つほど紹介して、皆さんに商標権侵害のリスクについて理解していただきたいと思います。

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事例1・他社の商標をちょっと変えれば大丈夫だと思ったケース

もう1年前くらいのニュースですが、結構話題になったので覚えていらっしゃる方も多いかと思います。

『「笑笑」そっくり家宅捜索 2店近接、商標権侵害の疑い』

地元歓楽街の一角にある建物の1階で営業し、笑笑と同じ名称の料理もある。

現場から約600メートルの距離には、笑笑の福山駅前店が営業。笑・笑を経営する女性は取材に「2000年に店を始めた当初は付近に笑笑はなかった。『笑』と『笑』の間に『・』も付いているので大丈夫だと思った」と話した。

日本経済新聞『「笑笑」そっくり家宅捜索 2店近接、商標権侵害の疑い』 より引用

商標法では、登録商標と同一の範囲のみならず、類似の範囲までも保護しています。

どこまでが類似かというのは難しいところで専門家の判断が必要になりますが、素人目で見ても「笑笑」と「笑・笑」では紛らわしいのは明らかですよね。

有名な商標の類似商標を使えば、有名商標の評判にただ乗り(フリーライド)できるので類似商標を使いたくなる気持ちはわかるのですが、商標法や不正競争防止法によってそのような行為は違法となってしまいますのでご注意ください。

また、日本で商標権を取得すれば日本全国にその権利が及びますので、近くにその有名店が出店していないから大丈夫という理屈も通りません。

もちろん、商標法なんてよくわからない、知らなったという言い訳も通りませんのでご注意ください。

事例2・他社の商標をちょっと使うくらいなら大丈夫だと思ったケース

次のケースはわかりやすい侵害のケースなのですが、ちょっと使うくらいなら大丈夫だと思ったり、商品名が別に付してあるから大丈夫だと思うようなケースは少なくないのではないでしょうか。

『「ラブライブ!」キャラを無断で印刷した缶バッジを販売、逮捕(ACCS)』

男性は4月3日頃、株式会社サンライズが著作権を有するアニメーション「ラブライブ!」に登場するキャラクターが印刷され、また、同社の登録商標に類似する商標を付した缶バッジを販売し、同社の著作権および商標権を侵害した疑いが持たれている。

ScanNetsecurity『「ラブライブ!」キャラを無断で印刷した缶バッジを販売、逮捕(ACCS)』 より引用

このケースの場合はキャラクターを印刷しているので著作権侵害にもなりますが、株式会社サンライズが商標登録をしていたことから商標権侵害にもなったようです。

このケースは極端ですが、キャラクターをちょこっと飾りとして使って商品の販売・サービスの提供をしようと安易に考えてしまうことはありうるかも知れません。

しかし、そのような行為は基本的には著作権侵害になってしまいますし、それを回避するためにキャラクター名だけ使ったとしても、そのキャラクター名でその商品について商標登録されていればアウトです。

逆に言えば、人気キャラクターは模倣されやすいので、キャラクタービジネスをしている側としては、関連商品についての商標登録が不可欠です。

事例3・他社の商標の使用にOKをもらっているのか曖昧なケース

最後の事例は、使用にOKをもらっているのかいないのか曖昧になってしまっていたケースです。

『「山頭火」ロゴ、使用禁止 別会社の商標権侵害認める』

国内外で「らーめん山頭火」を運営し、「山頭火」の標章(ロゴ)の商標権を持つ会社が「フランチャイズ契約を結ぶことなく、同じロゴでラーメン店を営業された」として別会社を訴えた訴訟の判決で、札幌地裁は18日、被告会社にロゴの使用差し止めを命じた。

産経ニュース『「山頭火」ロゴ、使用禁止 別会社の商標権侵害認める』 より引用

こちらのケースは、他の報道などを踏まえると、当初はフランチャイズ契約に基づき同ロゴを使用していたものの、品質などをめぐってフランチャイズ契約が終了された後も使い続けた結果、このような結果となってしまったようです。

元フランチャイジー側としては、納得のいかない理由で契約終了されたものの、それには議論の余地があるから使用を続けておこうというくらいのスタンスだったと思われますが、フランチャイザーが商標権という絶対的権利を持っている中での使用の継続は今回のような結果を招きかねないものであり、使用にOKをもらっているのか曖昧な状況下では安易に使用を継続すべきではなかったと言えるでしょう。

他にも、口頭のみでOKをもらっているケースというのも証明が難しく、トラブルになりやすいケースと言えます。

使用許諾(ライセンス)については必ず書面による契約という形でその内容に疑義が残らないような形にしておくのが重要です。

商標権侵害をしないためのアドバイス

こう見ると、自社では安易に大丈夫だろうと思っていても実際には他社の商標権を侵害してしまっているケースが多いことがわかります。そこで、商標権侵害をしないためのアドバイスとして以下のものを贈ります。

  • 事前に商標調査を行い、侵害の有無を確認する
  • 自社にて出願・登録し、他社からクレームを受けることのない独占権を確保する
  • 使用許可を行う・受ける場合は必ず書面を取り交わし、後々のトラブルを回避する

これは日本でも外国でも同じなのですが、トラブルになってから解決しようとすると商標登録する場合の何十倍ものコストがかかってしまいます。

商標登録は費用対効果が高いので、トラブル回避のためには自社商標は速やかに登録してしまうのが一番です。

これを機に、事業計画に商標についての戦略を盛り込むことをお勧めします。

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(監修:「ベンチャー支援・外国商標・マドプロに強い商標専門事務所」
フルブルーム国際商標事務所 髙橋伸也
 弁理士)
(編集:創業手帳編集部)

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