売上・顧客・在庫の適正管理こそ成功への近道【美容室・サロンの開業手帳 〜11. 経営を管理する〜】

創業手帳

経営の管理は売上・顧客・在庫の把握から始まる。

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(2015/03/11更新)

「キレイになって喜んでもらいたい」「美しくなって夢を叶えたい人をサポートしたい」という想いだけでは生き残れないのが、美容業界。

業界規模は、約2兆円ですが、美容室の数はコンビニの約4倍と言われ、非常に競争の激しい業界です。

また、近年増えているサロンですが、廃業率は1年以内が6割、3年以内が9割と言われています。

美容室・サロンは、店舗の固定費がかかるため、開業前に廃業するかしないかが決まっていると言っても過言ではありません。

開業前に情報を集め、きちんと準備をして、必ず成功させましょう!
美容室・サロンの開業前から開業後までを、ゼロから解説する、開業手帳シリーズ。今回は、最終回「11. 経営を管理する」です。

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店の基本、正しい売上管理とは?

売上の管理は、店舗マネジメントの中で最も重要であり、かつ基本となる部分です。

店全体でいくら売れたのか、売上は現金かクレジットか、目標に対しての達成率の確認やスタッフそれぞれの指名率の確認など、日次、月次で管理しなくてはならない項目は多岐にわたります。

管理の方法も様々であり、オーナー自身がわかりやすいように手書きの紙ベースで管理されている店舗もあれば、正確さや機密性を重視してPOSシステムを使っている店舗もあります。

日次の売上 (施術・店販売上)

その店の一日の売上です。施術売上と店販売上の確認となり、この情報はすべての情報に関連していきます。

レジチェック(レジ閉め)では過不足が無いか確認し、日々誤りのない正確な情報(売上)を蓄積したいものです。

当月での累計

日々の売上をプラスして算出します。月での残日数から予測売上を出し、サロンの現状を把握していきます。

客数

「客数」を増やすことが、売上げアップへの鍵です。

新規客、再来客、固定顧客における客数はどうか?新規客はどのような導線があり、何が魅力となってその時期にご来店頂けたのか?など細かな確認を怠らないようにしましょう。

客単価

日次より月次での平均で、比較的正確な数値が出ます。もちろん技術売上と店販売上の両面においての確認が必要です。

現金売上とクレジット売上

クレジットカード決済は、そのお手軽さでお客様には人気ですが、現金と違って後日入金やカード種別ごとに入金日や手数料が異なるケースもあるので注意しましょう。

まとめて後日処理をしようとすると少々煩雑になります。できれば日毎にきちんと管理をしておきたいものです。

目標達成率

店舗での年間及び月間の目標を、日々に落としこみ確認をすることが必要です。

店舗全体だけでなく、スタッフ個々の目標も確認しつつ数字を意識させることが重要でしょう。

紹介数

紹介客はリピート率が高く、重要なお客様となります。紹介数は「紹介された方」だけではなく「紹介をして頂いた方」へのケアや確認もとても大切です。

どのお客様が紹介を多くして頂いているのかを早い段階で知り、その情報をオーナーはじめスタッフ間で共有するようにし、サービスにも迅速に反映させましょう。

メニュー別の売上

美容室の場合、大きくカット、カラー、パーマ、ストレート(縮毛矯正)、トリートメントなどに分けられます。

特にトリートメント比率は店舗によりかなり幅があります。一般的な比率を下記にまとめてみました。

  • カット:55%
  • パーマ:12% → 目標20%
  • ストレートパーマ:5%
  • トリートメント:3% → 目標15%
  • カラー:25% → 目標30%

ここに登場するカラーは、今や薬局等でも優良な商品が安く販売されており、薬液の操作も簡単になっていることから、サロンでの技術力や仕上がりの良さなどをお客様に感じてもらいお伝えできなければ、売り上げを上げることは難しいかもしれません。

商品分類別売上

販売する商品の確認も必要です。シャンプー、トリートメント、ワックス、スプレー、フォームなど。

店舗によってはドライヤーやブラシ、メイク道具などを扱う店舗もあります。

何が何個売れているか、一番売れているのは何なのか、その理由はなぜなのかも、きちんと把握しておきましょう。

割引率

クーポン、ポイント、各種キャンペーンなど、いわゆる割り引きは集客のためには必要ですが、可能な限り減らしていきたい項目の一つです。顧客の固定化につながれば徐々に減っていく部分です。

しかし固定化率が悪ければ広告宣伝費+割引のダブルパンチで、負のスパイラルに陥ってしまう可能性もあるのです。

一目でわかる顧客管理とは?

顧客情報には基本情報カウンセリング情報属性情報の3つがあります。

これら3つが基本であるとすれば、もう少しつっこんだ内容のものが技術情報になります。

以下の図をご覧ください。技術情報は、どの担当者が何月何日にどのような施術(メニュー)を行ったのか、その施術料はいくらだったのか、という施術にまつわる情報のことです。

加えてカラーリングの場合は何の薬液を、どのくらい使い、どのように塗布し、何分放置したのかといった詳細まで軽く書かれています。

更に、写真などの画像データも付属できるとより分かりやすくなるでしょう。

技術情報(技術カルテ)イメージ

以下の簡単な表は、売り上げ情報のサンプルイメージです。

古くからのお客様であれば累計が多くなり顧客であると一目で判断できるでしょう。

こういったデータ集めは、紙の管理でもできることはできますが、かなり時間がかかってしまいます。

また、エクセル等でもできないわけではありませんが、データが増えると紙以上に管理が大変になる点や、その後の情報抽出もしづらい点等があります。

POSシステムでの管理をおすすめします。

売上情報イメージ

スタッフマネジメントで経営を強くする

サロンにとって、「スタッフ管理」には大きく4つの項目があります。

  • スタッフのシフトとお客様の予約管理
  • スタッフの個別売上の管理
  • スタッフへの顧客情報の管理
  • セキュリティ、不正防止の管理

1.スタッフのシフトとお客様の予約管理

スタッフのシフトは、お客様の予約と関連してくるため、最初から調整をしておく必要があります。

特にネット予約システムや早期予約(次回予約)をされている店舗では、かなり前からのシフト決めが必要になります。

スタッフ個々の都合もありますし、全て顧客優先というわけにはいかないので、バランスのとれた采配が必要になります。

さらに月曜日の休日や勤務時間なども管理しなくてはいけないため、スタッフの数が少ないうちはまだいいですが、多くなってくると難しくなるでしょう。

2.スタッフの個別売上の管理

スタッフへのお給料が歩合を含む場合、スタッフ個々の売上の確認は不可欠です。

近年は「業務委託型」や「レンタルミラー(面貸し)」のサロン形態も増え、よりリアルタイムでのスタッフ売上を確認したい経営者がほとんどでしょう。

このような場合のリアルタイム性、正確性を考えると、美容系システム(ASPタイプ)が大きく役立ちます。

手作業でおこなう場合は1枚、1枚の伝票から技術、物販別に売上を転記して、その後転記した売上を合算。

ただし新規、リピート、スタッフ持ち客などにより歩合が変わる場合はそのカテゴリずつの足し算もしなければなりません。

その後、手作業で「%(パーセント)」で歩合の計算を行なうのは大変な作業量です。

又、美容室の場合アシスタント業務の数値化(ポイント性)を行なっているサロンもあります。

通常、技術売上はスタイリストの売上として付くものですが、作業を手伝ったアシスタントがどのくらいの仕事(つまり売り上げ)をしているのかの確認も必要になるのです。

ここで売上管理として、効率的にシステムを使用するのが一般的です。下記のイメージをご覧ください。

例としてパーマ技術に作業「工程」をつけました。パーマ技術の各工程を設け金額やポイントを振り分けてあります。

システムによっては「%(パーセント)」での振り分けも可能です。その工程ごとに対応した担当者を振り分けることにより、アシスタントの作業も数値化できるのです。

3.スタッフへの顧客情報管理

顧客情報は、非常に重要な個人情報です。

とりわけお店ではなくスタッフに顧客がつきやすいと言われるサービス業の世界では、スタッフのデータ持ち出しには細心の注意を払い、情報漏洩にも可能な限り対策を打ち防止しなくてはなりません。

大事な顧客データを持っていかれるのは、お店の売上を持っていかれることと同じことです。

あくまでもお客様は店舗に来て頂いているのであり、スタッフのものではないということを従業員全員に理解してもらわなくてはならないのです。

しかし一方で、オーナー側があまりにも露骨に情報に制限を掛けるとスタッフの自尊心は傷つき、お店の運用そのものもスムーズにいかなくなります。

しかし最近はシステム化により、顧客の情報をうまく切り分けて、作業には支障がないままに個人情報も引き出しにくいような仕様を持つシステムも増えてきていますので、できる限りこういったものを活用しましょう。

4.セキュリティ、不正防止の管理

何かおかしい、何度計算してもレジの金が合わない。売上が少ない気がする。

人を疑うことは良くないことですが、現金商売のサロンでは、お金の問題が発生することがあります。

「レジ金はあっているのにお金が少ない気がする」といった場合は「伝票の削除」の可能性も出てきます。

こういったケースへの対応方法として、レジ閉めの際に「予約管理」「顧客管理」「売上管理」の付け合せの必要があるのです。

まずは、売上管理にあたる「伝票」と予約管理にあたる「予約表」すべての伝票と予約表のつけあわせを行います。

そうすれば、どの伝票が無くなってしまったのか解ります。更に、顧客カルテ。

こちらにも来店情報を記載している場合は、ダブルチェックが可能となるのです。

万一悪意のある人がいて、予約表も消されてしまった。伝票も無くなっている。

カルテには来店情報の記載は無い。こうなってしまうとオーナーは何も確認できず、もはや防犯カメラくらいしか打つ手はありません。

お金の出し入れには、二重、三重の安全対策を練り、かつ「犯罪防止のため」という名目で、カメラ設置を堂々と実施するくらいのセキュリティ対策を打ちたいものです。

在庫管理は細かく実施しよう

ここでいう在庫の商品とは、店販の美容商品です。商品を店にたくさん置いた場合、お客様が興味を示したそのチャンスに品切れも少なくチャンスロスは防げます。

しかし売れない商品がいつまでも残っていれば、それはいつまでたっても現金に変わらないため、全体の資金繰りに影響する可能性もあります。

いつまでも古いストックを抱えているとサロンの限られたディスプレイ・スペースを圧迫したり、商品劣化を起こしたり、新商品への切り替えがスムーズにいかないなど、あらゆる問題が発生してきます。

今、何が「売れて」、何が「売れていない」のか。今、「何」が「どのくらい」残っているのか。

在庫全体の「金額」はどのくらいで、今月の「販売金額」はどのくらいなのか。

こういったことは定期的にチェックしましょう。そのために必要な管理が『在庫管理』です。以下はその詳細です。

①在庫の確認

まずは現状の各商品のリストアップ。数、及び仕入れ額の把握をしなければなりません。

もちろん「物販用」と「施術用」のすべての商品、材料を確認します。施術用の商材に関しては「消耗品」も関連してきます。

②足りなくなっている商品のピックアップ

売れている商品が切れてしまっていては、お客様に販売することができません。

商品もすぐに届かない場合もあるため、こまめにチェックをしておく必要があります。

店舗によっては「のこり◯◯本になったら、新しく注文」という基準値をおいてスタッフ全員が管理しやすいルールを決める場合もあるようです。

③購入先への注文

足りない商品のピックアップ後、業者への注文となります。

商品によって購入先が違う場合もありますし、納期のタイミングも変わります。

購入金額によってはあと◯◯円で送料無料などのサービスもあるので、全体の在庫を確認しつつ、過剰に在庫を増やさぬよう注文を行います。

④検品・入庫(返品、交換)

商品が届きました。ダンボールを開けてそのまま棚へというわけにはいきません。

必ず、数量、商品を確認しましょう。業者が商品の数を間違えて梱包している可能性もあるのです。

また運送業者が誤って壊してしまうケースもあります。きちんと商品の数、状態を確認して伝票と照らし合わせ確認を行います。

⑤販売

販売した場合は、伝票に記入しましょう。システム使用の場合は自動的に在庫数から数が引かれるものが多いようです。

業務使用に関しては、封を開けた時、使いきった時と店舗によりルールが異なるようです。

店舗で決められたルールでこちらも伝票やシステムに記載しましょう。

⑥棚卸し

月末の閉店後に行うことが多いようです。流れとしては①と同じですが、商品の確実な数量を確認して翌月の頭に合わせるための作業となります。

各商品をリストアップし商品の数量を数えていきます。電卓上の計算では月初にあった数量+仕入れ数量―販売数量=現在庫数量となるはずです。

必ずしも計算通りには行かないことも多く、数え間違いや販売時の伝票のつけ忘れ、盗難、紛失、スタッフの持ち出しなど、突然起こるトラブルを数え上げていけば、きりがないでしょう。

このようなチェック時に出た違いを「差異」と呼びます。

来店予約を管理しよう!

電話対応は迅速さと正確さが勝負

「はい、美容室◯◯です!!」お電話の場合、ここから予約の取得が始まっていきます。

お電話でお聞きした情報を記入していくのが予約表となり、予約管理の大本となるでしょう。

記帳忘れや間違いによるダブルブッキングなど、顧客満足度の低下やクレーム、更には失客に繋がってしまうトラブルはなるべく避けたいものです。

お客様からのお電話での予約を考えた場合「つながらない、長い、待たされる」などマイナス面をもたれやすい部分も多いので、可能な限り早く、間違いのない予約取得を実施しましょう。

ネット予約の便利さ

最近はネットを使っての「ネット予約」の需要も上がってきています。

24時間いつでも予約が取得でき、店舗でのお電話対応も軽減できることから、店側にとってもお客様にとっても便利なシステムです。

新規顧客に関しては「ご連絡先(お電話番号)」と「来店動機」の確認は不可欠です。

特に来店動機は「ご紹介」であった場合、事前に情報を得られたほうが、紹介客へのサービスも迅速に行えるでしょう。

予約表はシステムか紙か?

やはりシステムでの管理がスムーズです。

特に「CTI」と呼ばれるお電話着信時の表示機能搭載のシステムは、お客様検索の必要がなく、着信と同時に即カルテが表示されます。

そのまま予約表への入力と、簡単に操作も行えます。

しかしサロンの業種によっては「場所」「機材」をあわせて管理する場合も出てきます。

更にスタッフ一人一人の技術の「出来る、出来ない」がある場合、これも予約上で管理する場合があるのです。

紙で書くことと同じく、項目が増えれば増えるほどシステムへの入力工数も増えます。

とうぜん操作は複雑になってしまいます。複数の業態や複合系メニューを多くされている店舗は「紙での運用が楽で便利」な場合もあるのです。

運用に応じて変わってきますが、システム検討の際は、事前に一連の流れを確認する必要があるでしょう。

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(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
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武渕将弘 税理士)
(編集:創業手帳編集部)

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