開業手帳2015年8月19日
美容室の開業手帳
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- 美容室という産業は比較的開業しやすいこともあり、新規で参入するものも多くなっています。
そのため開業地域によっては競合店も多く、競争が激化することもあります。
顧客確保のためには他店との差別化を図る必要があり、丁寧な対応も求められます。 - 美容室1店舗の美容師はおよそ1~2名程度であり、その他のスタッフをいれるも4名前後のところが多く、比較的小規模な店舗となっています。
ここ最近はチェーン店が目立っています。
- 美容室という産業は比較的開業しやすいこともあり、新規で参入するものも多くなっています。
この記事の目次
1.開業に必要な手続き
美容室開業の場合、1週間前までに保健所に届出ることになります。
必要な書類・開設届について
・施設の平面図
・構造、設備の概要
・法人の場合はさらに会社の登記簿謄本が必要
・有資格者の免許証(提示)
・従業員名簿
・従業員の健康診断書・店舗の図面(厨房配置入り平面図)2部
経営者が資格を有しているか、また美容師資格を持っている従業員の雇用が条件です。
さらに常時2人以上の美容師がいるお店は、「管理美容師」の資格を持った者を雇用する必要があります。
美容師資格について
美容師資格:美容師の資格は厚生労働大臣指定の美容師養成施設において、規定の学科を習得し学科試験や実地試験に合格しなればなりません。この場合実地試験は、実地訓練期間終了後に受験することになります。
管理美容師資格:美容師として3年以上の実務を経験後、各都道府県指定の講習を修了することによって付与されます。
なお店舗の構造設備については都道府県の条例に規定されており、最寄りの保健所で相談できます。
2.開業にあたっての留意点・準備
1)立地条件
街中や駅の周辺…競合店も多いが、通行人も結構多いので新規の顧客獲得も期待できます。開放的できれいな店舗が望まれます。
郊外や住宅街…地域住民が主な顧客になります。幅広いサービスや親しみ感あふれる接客が期待されます。
学生街やビジネス街…OLや学生が主な顧客層になってくる。低価格のお店と高級店が競合することもあります。
2)技能を備えた美容師
技能のある美容師の存在が美容室の選択基準になってきます。技能を持った美容師をいかに多く確保できるかです。
またファッションや美に興味を持っている顧客確保のためには、ファッションセンスやその他の面に有能な美容師が望まれます。
3)付帯業務について
以前美容室では化粧品販売や着物の着付けなどの副業をおこなっていましたが、最近はネイルやボティエステ、またその他のマッサージといった付帯サービスを提供している美容室も目立っています。
4)保険について
美容院開業にあたって最低限必要な保険としては、お店の火災保険と賠償責任保険です。お店の火災保険は、お店を借りる際に加入が必須となることがほとんどです。
意外と見落としがちなのが賠償責任保険です。賠償責任保険は、カラー材等でお客様の服や手荷物等に損害を与えてしまった場合や、施術ミスが原因でお客様にケガを負わせてしまった場合などの保険です。そこまで高額な保険ではないので、賠償責任保険も加入されることをお勧めします。
3.開業資金の考え方及び開業資金例
美容室を開業する際に必要な資金は大きく分けて以下の3種類に分類されます。
1)物件取得費用
物件取得費用とは美容室を開く場所を借りるための資金です。具体的に言うと、敷金・保証金、礼金、仲介手数料等がこれに当たります。
敷金・保証金と礼金については、立地や物件オーナーの考え方によって大きく変わる部分となるのですが、一般的には敷金・保証金については家賃の3~10か月分、礼金については家賃の1ヶ月~3ヶ月分となることが多いです。
2)設備関係費用
設備関係費用とは、物件を借りた後に美容室にするための内装工事や、美容器具、その他細かい什器などです。これらは、内装工事や、どのようなスタイリングチェア・シャンプチェアを使うか等で大きく変わる部分になります。一般的には、一坪あたり30万~60万円当たりになることが多いです。
3)開業諸経費及び運転資金
開業諸経費とは、開業の際に必要な諸経費となります。人の募集費、研修費、チラシやDM等の広告宣伝費、店販の在庫やシャンプー、カラー材などの材料費等です。
また、これとは別に運転資金が必要になります。この運転資金はとても重要で、美容室を開業した場合、一般的にはすぐに黒字化することは難しいことから、黒字化するまでの資金を用意する必要があります。ここではこれを運転資金と言っております(通常の運転資金とは定義が異なります)。
この運転資金を出来るだけ確保することが、美容室を成功させる上でもとても大切な部分となります。最低でも毎月通常支払うお金の3ヶ月分、可能であれば6ヶ月分を運転資金として確保することをお勧めします。
4)開業資金例
セット面3台とした場合で、オーナースタイリスト1名、スタイリスト1名、アシスタント1名で開業する場合の資金例は以下と通りです。なお、コンセプトを含むビジネスモデル等により内訳は大きく変わることがございますので、ご留意ください。
※物件取得費用、設備関係費用は出店場所やオーナーの考え方でケースバイケースになります。
4.ビジネスモデルの考え方及びビジネスモデル例
1)ビジネスモデルの考え方
美容室開業にあたってビジネスモデルを考えることはとても重要です。お店のコンセプトを考えそれを基に数値としてのビジネスモデルを考えていきます。ここでは特に数値としてのビジネスモデルの考え方をご説明してきます。
ビジネスモデルと言うと難しく考えてしまうと思いますが、意外と単純です。ビジネスモデルを考える際の手順としては以下の通りです。
(1)目標とする利益を決定する
(2)固定費(売上の増減にかかわらず必要な費用)を想定する
(3)原価率を設定する
(4)売上を設定する
(1)の「目標とする利益」は個人事業として開業する場合には、「支払う税金+借入金の返済額の合計額+開業する方の給料」が利益となるように設定してください。
(2)の「固定費」は家賃や、人件費、毎月の広告宣伝費やその他の費用となります。
(3)の「原価率」は、美容室の場合には10%~14%になるのが一般的です。
(4)の「売上」については、「お客様一人あたりの売上×お客様の人数」で考えて頂き、(1)の利益を達成するために必要な売り上げを設定していきます。
2)ビジネスモデル例
セット面3台とした場合で、オーナースタイリスト1名、スタイリスト1名、アシスタント1名で開業する場合の一月単位のビジネスモデル例は以下の通りです。
ビジネスモデルや借入の有無により内訳は大きく変わることがございますので、ご留意ください。
3)開業後の資金繰りを確認する
運転資金をスタートとして、月単位で黒字化するまでの資金繰り計画の作成をお勧めします。素晴らしいビジネスモデルが出来たとしても、開業後1、2ヶ月で想定したビジネスモデル通りになることはほとんどありません。早くて1年、通常は3年程度で想定したビジネスモデルに近づけていくことになります。
開業後と想定したビジネスモデルとの大きな違いは売上です。開業後は売上が少ないため、手元のお金が減っていきます。そのため、仮に3年程度で想定したビジネスモデルに到達した場合、資金が途中で足りなくなることが無いかを確認することが必要です。
どのタイミングでスタイリスト、アシスタントを雇うか、軌道に乗るまでの開業者の給与はいくら出せるか等、税金や社会保険の支払いなども含めて出来るだけ精密に検討することが必要ですので、それなりの専門知識が必要となります。そのため、税理士等の専門家の力を借りながらシミュレーションすることをお勧めします。
5.必要になる契約書
準備中
(監修:「理・美容室の創業融資・開業支援に強い税理士事務所」
ライズサポート税理士事務所
武渕将弘 税理士)