産廃収集運搬業許可を取得するために知っておきたい準備あれこれ

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(2019/02/27更新)

廃油や廃プラスチックなどの産業廃棄物を適正に処理するための許認可として、「産業廃棄物収集運搬業許可(以下:産廃収集運搬業)」というものがあります。産業廃棄物の収集・運搬を頼まれるためには、この許可が必要です。

ですが、いざ産廃収集運搬業許可を取得するためには、様々な要件をクリアしないといけません。
そこで今回は、産廃収集運搬業の許可申請を多く手がけている、行政書士 アイズ法務事務所の藤原 大輔氏に、申請の際に確認しておきたいことや申請方法について解説していただきました。

産業廃棄物とは

産廃収集運搬業許可の説明をする前に、まず「廃棄物とはなにか?」「この許可でどのような時に必要なのか?」ということをお話ししたいと思います。

「廃棄物」とは、「自ら利用し、又は他人に有償で売却することができないために不要になった物」で、廃棄物に該当するかは「その物の性状、排出の状況、通常の取扱い形態、取引価値の有無及び占有者の意志等を総合的に勘案して判断すべきものであること」と定義されています。

また、これらの廃棄物は性状や毒性等により所管する法律が異なっていますが、ほとんどの廃棄物は、廃棄物処理法により規定され、「ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの」と定められています。

その廃棄物を表で分類すると、以下のようになっています。

廃棄物 廃棄物処理法の対象である不要物
産業廃棄物 事業活動で発生したもののうち、規定されている20種類
特別管理産業廃棄物 産業廃棄物のうち、特に指定された有害なもの
一般廃棄物 産業廃棄物以外のもの
事業系一般廃棄物 事業活動で発生した、産業廃棄物以外のもの
家庭廃棄物 一般家庭の日常生活から発生したもの
特別管理一般廃棄物 一般廃棄物のうち、特に指定された有害なもの

これで見ると、産業廃棄物とは、廃棄物の中でも事業活動に伴って生じたもののうち廃棄物処理法で規定されている20種類となります。
つまり、それ以外のものに関しては、たとえ事業活動に伴ったとしても、一般の廃棄物という事になります。

許可が必要となる種類と具体例

では、今回解説する産廃収集運搬許可が必要な産業廃棄物がどのように規定されているのか、種類と一般的な具体例で確認しましょう。

種類 具体例
あらゆる事業活動に伴うもの (1)燃え殻 石炭がら、焼却炉の残灰、炉清掃排出物、その他焼却残さ
(2)汚泥 排水処理後および各種製造業生産工程で排出された泥状のもの、活性汚泥法による余剰汚泥、ビルピット汚泥、カーバイトかす、ベントナイト汚泥、洗車場汚泥、建設汚泥等
(3)廃油 鉱物性油、動植物性油、潤滑油、絶縁油、洗浄油、切削油、溶剤、タールピッチ等
(4)廃酸 写真定着廃液、廃硫酸、廃塩酸、各種の有機廃酸類等すべての酸性廃液
(5)廃アルカリ 写真現像廃液、廃ソーダ液、金属せっけん廃液等すべてのアルカリ性廃液
(6)廃プラスチック類 合成樹脂くず、合成繊維くず、合成ゴムくず(廃タイヤを含む)等固形状・液状のすべての合成高分子系化合物
(7)ゴムくず 生ゴム、天然ゴムくず
(8)金属くず 鉄鋼または非鉄金属の破片、研磨くず、切削くず等
(9)ガラスくず、コンクリートくずおよび陶磁器くず ガラス類(板ガラス等)、製品の製造過程等で生ずるコンクリートくず、インターロッキングブロックくず、レンガくず、廃石膏ボード、セメントくず、モルタルくず、スレートくず、陶磁器くず等
(10)鉱さい 鋳物廃砂、電炉等溶解炉かす、ボタ、不良石炭、粉炭かす等
(11)がれき類 工作物の新築、改築または除去により生じたコンクリート破片、アスファルト破片その他これらに類する不要物
(12)ばいじん 大気汚染防止法に定めるばい煙発生施設、ダイオキシン類対策特別措置法に定める特定施設または産業廃棄物焼却施設において発生するばいじんであって集じん施設によって集められたもの
特定の事業活動に伴うもの (13)紙くず 建設業に係るもの(工作物の新築、改築または除去により生じたもの)、パルプ製造業、製紙業、紙加工品製造業、新聞業、出版業、製本業、印刷物加工業から生ずる紙くず
(14)木くず 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、木材・木製品製造業(家具の製造業を含む)、パルプ製造業、輸入木材の卸売業および物品賃貸業から生ずる木材片、おがくず、バーク類等、貨物の流通のために使用したパレット等
(15)繊維くず 建設業に係るもの(範囲は紙くずと同じ)、衣服その他繊維製品製造業以外の繊維工業から生ずる木綿くず、羊毛くず等の天然繊維くず
(16)動植物性残さ 食料品、医薬品、香料製造業から生ずるあめかす、のりかす、醸造かす、発酵かす、魚および獣のあら等の固形状の不要物
(17)動物系固形不要物 と畜場において処分した獣畜、食鳥処理場において処理した食鳥に係る固形状の不要物
(18)動物のふん尿 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等のふん尿
(19)動物の死体 畜産農業から排出される牛、馬、豚、めん羊、にわとり等の死体
(20)以上の産業廃棄物を処分するために処理したもので、上記の産業廃棄物に該当しないもの(例えば、コンクリート固型化物)

こちらが一般の産業廃棄物ですが、その中でも特に運搬や処理の取扱いに注意しなければならないものが以下の「特別管理産業廃棄物」です。

種類 性状および事業例
廃油 揮発油類、灯油類、軽油類の燃えやすい廃油

《事業例》紡績、新聞、香料製造、医療品製造、石油精製、電気めっき、洗濯、科学技術研究、その他

廃酸
廃アルカリ
pH2.0以下の酸性廃液、pH12.5以上のアルカリ性廃液

《事業例》カセイソーダ製造、無機顔料製造、無機・有機化学工業製品製造、アセチレン誘導品製造、医薬・試薬・農薬製造、金属製品製造、石油化学工業製品製造、非鉄金属製造、ガラス・窯業、科学技術研究、その他

感染性産業廃棄物 感染性病原体が含まれるか、付着しているか又はそれらのおそれのある産棄廃棄物
(血液の付着した注射針、採血管等)《事業例》病院、診療所、衛生検査所、老人保健施設、その他
特定有害産業廃棄物 廃PCB等 廃PCBおよびPCBを含む廃油
PCB汚染物 PCBが染み込んだ汚泥、PCBが塗布もしくは染み込んだ紙くず、PCBが染み込んだ木くず、もしくは繊維くず、またはPCBが付着もしくは封入された廃ブラスチック類や金属くず、PCBが付着した陶磁器くずやがれき類
PCB処理物 廃PCB等またはPCB汚染物を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る)
廃水銀等
及びその処理物
・廃水銀等(廃水銀及び廃水銀化合物)
・廃水銀等を処分するために処理したもの(環境省令で定める基準に適合しないものに限る)《事業例》水銀回収施設、水銀使用製品製造施設、水銀を媒体とする測定機器を有する施設、大学及びその附属試験研究機関、その他
廃石綿等 建築物その他の工作物から除去した飛散性の吹付け石綿、石綿含有保温材、断熱材、耐火被覆材およびその除去工事から排出されるプラスチックシート等で、石綿が付着しているおそれのあるもの、大気汚染防止法の特定粉じん発生施設で生じた石綿で集じん施設で集められたもの等

《事業例》石綿建材除去事業等

有害産業廃棄物 水銀、カドミウム、鉛、有機燐化合物、六価クロム、砒素、シアン、PCB、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、ジクロロメタン、四塩化炭素、1,2-ジクロロエタン、1,1-ジクロロエチレン、シス-1,2-ジクロロエチレン、1,1,1-トリクロロエタン、1,1,2-トリクロロエタン、1,3-ジクロロプロペン、チウラム、シマジン、チオベンカルブ、ベンゼン、セレン、1,4-ジオキサン又はその化合物、ダイオキシン類が基準値を超えて含まれる汚泥、鉱さい、廃油、廃酸、廃アルカリ、燃え殻、ばいじん等

《事業例》大気汚染防止法(ばい煙発生施設)、水質汚濁防止法(特定事業場)等に規定する施設・事業場

というように、細かく分類されています。

そして、これらの種類の産業廃棄物で、他人の産業廃棄物を業として、収集・運搬する場合には、産業廃棄物収集運搬業の許可が必要となるわけです。

産廃収集運搬業許可取得で確認しておきたいこと

それでは前述の内容を踏まえ、産業廃棄物を運ぶ為に必要な許可取得のお話に移ります。

今回は、許可の中でも一般的な「産廃収集運搬業許可(積替え又は保管なし)」の新規申請について記載していきます。

まず、他の許可でもお話しさせていただいておりますが、この許可も人やお金、設備等の要件があります。その要件がどのようなものか確認して計画を進めていきましょう。

申請者(人、お金)の能力に係る基準について

申請者の能力(人、お金)に関わる基準としては、

  • 事業を的確に行うに足りる知識、技術を有していること
  • 事業を的確かつ継続して行うに足りる経理的基礎を有すること

とされています。
1.の「知識、技術」については、「公益財団法人 日本産業廃棄物処理振興センターの講習会で収集・運搬課程(新規)を受講し、修了書の交付を受けた者」を、事業を的確に行うに足りる知識、技術を有する者とみなしています。
申請する法人の役員又は政令使用人、個人の場合は、その申請者又は政令使用人が、当該講習会を修了していることが必要です。
この講習は日程や開催場所が決まっている為、急には受けられない可能性もありますので、まず確認・予約をしましょう。

2.の経理的基礎については、「事業において利益が計上されず、かつ、債務超過の状態(赤字等)にある場合」などは、継続的な営業ができない恐れがあると捉えられるかもしれません。
ですが、継続した営業が可能であることを、事業計画等作成することによって解消できる場合もあります。

欠格条項について

法第14条第5項第2号(産業廃棄物)又は第14条の4第10項第2号(特別管理産業廃棄物)で、法に従った適正な業を遂行することが期待できない者として「破産者、暴力団員、その他」を規定しています。申請者やその法人の役員、株主、出資者、法定代理人、政令使用人が当該条項に該当しないことが必要です。
なお、許可後に該当することとなった場合は、当該許可は取り消されます。

事業の用に供する施設に係る基準について

「事業の用に供する施設」とは、運搬に使う車両、船舶、容器とその駐車施設、洗車施設などが該当します(積替え又は保管を行う場合は、積替施設、保管施設、積替作業に必要な重機等も必要)。

また、施設に係る基準としては、「産業廃棄物の種類に応じ、その収集又は運搬に適するもので、飛散し、流出し、悪臭が漏れるおそれのない施設(車両や容器)を有すること」、特別管理産業廃棄物では「加えてより厳重に、その収集又は運搬に適する施設を有すること」、とされています。

したがって、収集・運搬を行う予定の産業廃棄物の性状、形状、取扱量などに応じた車両、容器などを用意しておく必要があります。
例えば、車両が土砂等の積載禁止と記載があれば、がれき類等は運べませんし、液状の汚泥などを運ぶ場合でしたら、こぼれない容器が必要になったりします。
申請時に、車両や容器等の写真も必要になりますので、申請前には用意しておかなければなりません。

駐車場に関しても、運搬に必要な車両等をおいておく、使用権限や車両等に見合ったスペースがなければいけません。

産廃収集運搬業の申請


さて、上記の要件を確認したら、いよいよ申請の手続きです。書類の作成や証明書などを集めていきます。

申請先・申請窓口

産廃収集運搬業を営むための許可申請先は、個人法人を問わず都道府県知事です。さらに、積み込み先と持っていく処分場が都道府県をまたがる場合には、それぞれの知事に申請をしなければいけませんので注意が必要です。

例えば、東京都の現場などで積み込みを行い、千葉県の処分場に持っていく予定の場合は、事業所が東京であっても、東京都と千葉県の許可が必要です。
事業計画で、どこで処分するかの記載があり、それによって必要な都道府県の許可が変わってきますので、事前に把握しておきましょう。

また、実は各都道府県で必要な書類や見るポイントなど異なる点が多くあり、同じ書類を提出すればいいという訳にいかない場合もあります。各申請先に確認しておくことをオススメします。

そして、申請先は各都道府県知事ですが、申請の窓口は産業資源循環協会等に委託している場合もあります。
前述の講習と同じように、申請も予約しなくてはなりません。時期が悪いと申請受付するのに1ヶ月以上先になる場合もありますので、早めの予約を申請窓口にしておきましょう。
急に持って行っても受け付けてくれません。また、申請書類は郵送ではなく、必ず直接提出にいかなくてはなりません。

申請書類は都道府県庁やHP、証明書等の添付書類は各官公庁で入手しよう

提出書類の免許申請書などの様式等の法定書類については、都道府県庁やそのHPで入手して、必要事項を記入していきます。

また、商業登記簿謄本や身分証明書などの公的証明書を初めとした提出書類についても用意します。個人の証明書類に関しては、本籍で取らなくてはいけないものなどもありますので、早めに確認しておきましょう。前述したように車両等の写真も必要ですし、申請する人によって書類が変わってきますので、しっかり確認しましょう。

必要書類は正本と副本を作成しよう

必要書類が全て揃ったら、副本用として必要な部数のコピーをとって、書類を決められた順番に上から重ねて綴じます。コピーした書類を使い副本用も同様に綴じれば、提出用書類は出来上がります。申請時には、申請手数料も必要になりますので持参しましょう。

審査には3か月程度かかる

審査は、40日や60日(休日を除く)と規定されていることが多いですが、都道府県によって違いがあります。受付からどのくらいで事業が始められるか逆算しておきましょう。また、2箇所以上申請した場合などは許可日が異なり一斉に事業が開始できるわけではありませんので注意が必要です。

まとめ

許可取得までには、様々な要件を確認して営業開始となります。時間や費用もかかりますので、事前に事業計画の中に許可に関しての手続きも組み入れ、早めの準備を心がけましょう。概要は共通ですが、細部などは事業者様や自治体でも差異がありますので、必要書類や時期などを関係各所に確認しながら進めていってください。

また、営業開始からが本当のスタートになります。開始後スムーズに営業ができるように準備しておきましょう。

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(監修:行政書士 アイズ法務事務所 藤原 大輔
(編集:創業手帳編集部)

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