商標?特許?弁理士に依頼できる仕事や業務をまとめました

創業手帳

弁理士を100%活用するために知っておきたいこと

(2016/06/15更新)

普通に生活していたら、まず耳にすることがない「弁理士」という言葉。創業者の方々にとっても、馴染みが薄いのではないでしょうか。しかし実は、社名を決めた時点で、商標登録をしておいたほうが良い場合もあります。その場合、弁理士を活用するケースも出てくるかもしれません。今回は、そもそも弁理士ができる業務にはどのようなものがあるか、実際に依頼する場合の金額感を解説します。

そもそも弁理士とは

では、弁理士について、もう少し詳しく解説してみましょう。弁理士とは知的財産についての専門家です。

まず、その知的財産について簡単に説明しましょう。

社名の商標は必要?

起業する時、社名が決定したとします。

その社名について、商標登録は必要でしょうか?

例えば、ぐうもん株式会社という社名に決まったとします。しかしながら・・・「GUMON」という商標がその商品について既に他社に登録されていた場合には、自社の売れ筋の商品の箱に「ぐうもん」という社名の商標は商標権侵害のおそれがあり使用できない可能性が出てきてしまいます。

そんな困った事が起こらない様に、社名については商標登録をしておいた方が良いと思います。

さらに言えば、その社名が製造する予定の色々な商品について安全に使用できるのか?について調査などしておく必要があります。

このように、商標などの知的財産権に関わる仕事、即ち相談に乗ってもらったり、登録などの代理の仕事をしてもらうのが弁理士なのです。

知的財産権とは

知的財産権とは、発案や発明、企業のブランドやロゴなど無形の財産に関する権利のことを指します。

知的財産権には、特許権、著作権、商標権、実用新案権、意匠権などが含まれており、その総称です。一つ一つ見ていきましょう。

特許について

非常に新しく画期的なゲームソフトの開発をした場合、そのソフトウェアの発明について説明した願書を特許庁に提出することにより独占権を得られるのが特許です。

この様な特許をとりたい場合、相談を受けて、調査をして、特許出願の代理人となってくれるのが弁理士です。

そのゲームソフトの開発でできあがった成果の発明を最大限に強い独占権とすべく願書を作成してもらえば、すなわち効果的に弁理士を使うことで、商品開発は最大限の効果を上げることができるのです。

実用新案について

実用新案とは、特許よりも少しレベルの低い発明(考案といいます)の事を言います。

日本では、特許と異なり実用新案は無審査で直ぐに登録されますので、なるべく早く商品のパッケージに登録実用新案○○○号と記載したい場合は実用新案が良いかもしれません。

権利を行使すると言うよりも、権利をもっているという実績がまず重要!などという場合には実用新案を活用するのが効果的な場合があります。

意匠について

ゲームソフトの中で素敵なキャラクターが颯爽と動いているその画像を意匠で登録することも可能です。

また、文房具の使い易く統一感のとれたデザインについても意匠登録すると効果的な場合があります。

創業したばかりの企業でも、主力の商品を効果的に守りたい時には、意匠出願が非常にお薦めの場合があります。

特に、商品を外国で作って日本に輸入する場合には日本やその外国での意匠権があると極めて効果的な場合があります。

商標について

先ほど書きました通り、商標は会社名ばかりではなく、商品のシリーズ名、商品名などの登録をすることができます。

商品名を独占的に使用する、という目的もありますが、他社に先がけて登録されてしまってその商品名が使用できなると、大きなダメージとなる場合がありますのでその点も注意が必要ですね。

弁理士に依頼する主な業務について

では、上記の知的財産権について弁理士に依頼すべき主な仕事とそのポイントについて書いてみましょう。

相談(守るべき権利は何か?)

まずは、相談をしてみることが重要です。

開発した商品を特許で権利化するか、意匠で権利化するか?など、専門家の弁理士と相談して、掛かる費用も相談して決めてみるのが良いと思います。

後に書きますが、無料相談などに行ってみても良いかもしれません。

商標調査

近い商標が既に登録されているか否かを調査してもらうことも重要です。

既に類似の商標が登録されている場合には、会社名、商品名が使用できなくなる恐れがあるから重要です。

特許事務所によっては、調査は無料などという所から2〜3万円などと、料金は様々です。

ただ、後々侵害の事件となっても困りますので調査はしっかりする必要があります。

商標出願

商標調査をしっかりとしてしまえば、出願は自社でできる可能性もあります。

商品やサービスが複雑な場合などは、弁理士に依頼してしっかり商品、サービス、会社の提供する仕事をカバーできる権利にした方が良いかもしれません。

意匠調査・出願

意匠には、部分意匠や秘密意匠など独特の制度があります。

上手く権利を保護するためには、弁理士に依頼するのが効果的で良いと思います。

画像のデザインも意匠権が取れる場合もあります。

実用新案・特許出願

特許出願・実用新案登録出願は、発明の内容を文書で書いた願書を特許庁に提出することになります。

本当に効果的な権利とするためには、熟練した弁理士に頼むと良いと思います。

特許の場合には、薬品系、電気系、機械計、などと専門分野が様々ですから、より良い特許権を得るためには、どの分野の得意な弁理士なのか確認して依頼すべきでしょう。

もちろん弁理士本人に聞くと良いのですが、弁理士の専門はこちらから調べることが可能です。

日本弁理士会 弁理士ナビ
http://www.benrishi-navi.com/

契約について

特許や商標については、実施(使用)許諾で使わせてもらう時もありますが、その様な時には、弁理士に契約書をチェックしてもらうと安心です。

模倣品への対策(不正競争防止法など)

新しくて良い商品が販売されると、すぐに外国からの模倣品が出てきてしまう場合もありますね。

その様な場合には、不正競争防止法で差止め等するのが効果的な場合もあります。

まずは、弁理士に相談してみると良いと思います。

弁理士にかかる料金について

弁理士に支払う料金は、特許事務所毎にかなり料金が違ってきます。とても安価なところから高価なところまで様々です。

また、タイムチャージが掛かってくる事務所もあります。

創業したての会社では、掛けられる経費も限度があると思います。

しっかり掛かる費用についても聴いておかれると良いと思います。

例えば、特許出願をする場合には、平均して30万くらいの出願料金がかかると思われます。

弁理士会の発明相談などを活用したり、東京都など地方自治体の助成金などを有効に活用しても良いと思います。

弁理士会の発明相談
http://www.jpaa.or.jp/?cat=64

東京都の助成金
http://www.tokyo-kosha.or.jp/chizai/josei/

埼玉県の助成金
https://www.pref.saitama.lg.jp/a0803/tech-subsidy.html

千葉県の助成金
http://www.chibashi-sangyo.or.jp/idea/tokkyo.html

費用について考えるときのポイント

特許出願の願書を作成してもらうためには、先ほど書いたように、数十万という代理手数料がかかりますから、料金についてはしっかり説明を聞いて、見積もりも取っておくべきでしょう。

また、出願をしても、その後、特許庁から拒絶理由などが来る場合が多く、反論したり補正をする中間処理の費用もばかにできません。

さらには、特許が許可された場合は、登録料金などの費用もかかりますので、トータルでどれ位掛かるか、ということで費用を見積もってもらうと良いでしょう。

「創業したばかりだから、予算が余り用意できません」ということをはっきり言って相談をしてみると、少し割引をしてくれる事務所もあると思いますから、前向きに話をして相談にのってもらうと良いと思います。

取敢えずは、最初からトータルの見積もりをきちんと作成してもらいましょう。

まとめ

弁理士も、得意な分野も様々ですし、性格も様々です。まずは、御社の仕事の分野に強い弁理士を探してみると良いと思います。

また、特許や商標も数十年間という長い時間に亘る権利ですから、長いつきあいになると思います。

ずっと長くつきあっていける信頼のおける弁理士を探せると良いと思います。

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(監修:弁理士 久門保子(くもんやすこ)
(編集:創業手帳編集部)

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