地方法人税ってどんな制度?押さえておきたい基礎知識

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地方法人税を正しく理解しよう

法人税の確定申告を行う際に、国税の1つである「地方法人税」を納めなければなりません。「創業時にそんな税金があった?」と思う方もいるかもしれません。それはごもっとも。なぜなら、2014年に新しくできた税金だからです。

地方法人税の創設は、事業所にとっての増税なのでしょうか?それとも減税?据え置き?今回は、そんな「地方法人税」について詳しく見ていきましょう。

地方法人税って?

地方法人税とは平成26年に新たにできた国税で、平成26年10月1日以降に開始する事業年度に課税されます。
法人数が多い地域と少ない地域で、納付される税額にかたよりが生じないように創設されたもので、法人税を納める義務がある法人はすべて納めなければなりません。

今まで法人が都道府県などの自治体に払っていた税金を一度国に納め、国が各自治体に配分する格好となったものです。

地方法人税は、いつ、どのくらい収めるの?

課税の対象となる年度は、法人事業年度にあたります。法人税と一緒に確定申告書で支払い金額を提出します。令和元年10月1日以後に開始する課税事業年度の地方法人税は【課税標準法人税額×10.3%】となるので、まずは基準となる課税標準法人税額を算出する必要があります。

課税標準法人税額の詳しい計算方法はこちら(国税庁ホームページ)

外国税額控除を受ける場合、法人税額が外国税額控除を上回る場合は、地方法人税も控除の適応を受けることができます。

地方法人税と法人事業税の違い

地方法人税と間違えやすい税金のひとつに、法人事業税があります。
法人事業税とは、地方自治体から法人が事業を営んでいる際に支払う税のことで、支払先は都道府県になります。
外形標準課税の適用法人と、不適用の普通法人によって、また、事業所得の額によっても税率が異なる所得割となっています。地方税に基づいて算出されるので、各都道府県の税率を確認する必要があります。

もう一つ、間違えやすい税金として、地方法人特別税があります。地方法人特別税は、地方税体系で各地域の格差を解消するための税制改革に伴い、臨時措置として導入されていたもので、地方法人税ができたことにより引き下げられました。

つまり、国税である「地方法人特別税」の税率が下がった代わりに、自治体が直接徴収する法人事業税の税率が上がったのです。

地方法人税の納付方法

国税の法人税申告書(別表一)の様式が変わり、2枚提出することになりました。地方法人税の納付時には、法人税と一緒に、地方法人税の申告と納付も必要です。
法人税額がなくても、地方法人税確定申告書の基準法人税額・地方法人税額・所得地方法人税額の欄に「0」と書いて提出しなければなりませんので気をつけましょう。

また、都道府県民税申告書(第六号様式)と、市町村民税申告書(第二十号様式)の、住民税「法人税割」の税率が下がります。これら2つの申告書に記載する「法人税割税率」は各自治体によって異なりますので、自治体窓口に問い合わせるか、ホームページで検索して記載するようにします。

増税?減税?会計上の影響は?

「新設」の税金と聞くと増税のように聞こえますが、地方税の1つである法人税割の税率が10.3%下がるので、実質、負担が増えることはありません。
地方法人税も法人税割も法人税額を基に計算します。つまり、「国税」に10.3%加えて納付した分、「地方税」が10.3%下がる仕組みになっています。

このように、地方法人税が新設されたからといって、会計上の影響はないことがお分かり頂けたかと思います。
ただし、国税の申告書の様式が変わり、法人税と併せて地方法人税を納付しなければならなくなりました。改正前の申告書を使ったり、法人税割の税率を使って算出したりするミスをしないように気をつけましょう。

税の見直しは毎年度行われます。地方法人税のように、都市部と過疎地域の格差を埋めるために税制そのものを改訂する場合もあります。

開業した年度などの時期、資本金の規模、所得の額によって適応となる税制が異なることもあるので、分からないことがあったら最寄りの税務署で相談するか、信頼できる税理士に尋ねてみましょう。

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(執筆:創業手帳編集部)

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