高額特定資産取得で中小事業者に対する特例措置の適用関係の見直し

資金調達手帳

眞喜屋先生が税制改正を徹底解説します!!

(2016/05/20更新)

今回の消費税税制改正で、高額資産を取得すると一定期間は、簡易課税制度や事業者免税点制度の適用ができなくなる制度の見直しが行われました。

この記事では、そもそも高額資産とは何かという基本から、簡易課税制度に関連して、東日本大震災を受け昨年(平成27年4月)に改正されたばかりの災害等による制度も紹介します。

【1】今回の税制改正で特例措置の適用関係の見直しが行われました。

そもそも高額資産とは?

高額資産とは、一取引単位につき、支払対価の額が税抜1,000万円以上の棚卸資産または調整対象固定資産のことを言います。

具体的な改正内容は?

事業者が、簡易課税制度の適用を受けない課税期間中に高額資産の課税仕入等を行った場合には、「当該仕入れ等の日の属する課税期間」から「当該課税期間の初日以後3年を経過する日の属する課税期間」までの各課税期間においては、事業者免税点制度及び簡易課税制度を適用されないこととなります。

※自ら建設等をした資産についても、建設等の費用が税抜1,000万円以上の資産の譲渡につき、同様の取り扱いとなります。

適用期間

平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合につき適用されます。

平成27年12月31日までに締結した契約に基づき平成28年4月1日以後に高額資産の仕入れ等を行った場合には適用されません。

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補足【平成27年4月1日より】

【2】災害時の簡易課税から原則課税への変更が可能

災害その他やむを得ない理由が生じたことにより被害を受けた事業者が、その被害を受けたことによって災害等の生じた日の属する課税期間等について、簡易課税制度の適用を受けることが必要となった場合、若しくは適用を受ける必要がなくなった場合には、所轄税務署長の承認を受けることにより、災害等の生じた日の属する課税期間等から簡易課税制度の適用を受けること、若しくは適用をやめることができます。

この特例は、例えば次のような場合に適用されます。

①災害等により、事業者の事務処理能力が低下したため、簡易課税制度を適用して申告する必要が生じた場合

②災害等により、棚卸資産その他の業務用資産に相当な損失を受け、緊急な設備投資等を行うため、簡易課税制度の適用をやめる必要が生じた場合

手続きは下記のとおりです。

承認を受けようとする事業者は、災害等のやんだ日から原則2か月以内に、災害その他やむを得ない理由、これら災害等によりこの特例規定を受けることが必要となった事情等を記載した申請書(災害等による消費税簡易課税制度選択(不適用)届出に係る特例承認申請書)を納税地の所轄税務署長に提出します。
 

相違点

本来簡易課税制度を利用する場合、課税期間が始まる前日までに届出を税務署に提出する必要があり、提出した日の属する課税期間には利用できませんが、当該制度は災害等の生じた日の属する課税期間等から利用できる点です。

まとめ

消費税の簡易課税制度選択は、様々なメリットがある反面、届出書の提出時期には要注意する必要があります。

簡易課税制度はシュミレーションを間違えると損することもあります。顧問税理士と常日頃から事業の見通しを相談し、上手に当該制度を利用し節税を図りましょう。

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(監修:眞喜屋朱里税理士事務所 代表 眞喜屋 朱里(まきや あかり)
(編集:創業手帳編集部)

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