新規事業開発の国際的な方法論を学ぶ「京都スタートアップ・サマースクール」開催!主催者コメント

創業手帳
※このインタビュー内容は2018年06月に行われた取材時点のものです。

日本にいながら世界の起業文化に触れられる場所

kyotostartupschool

(2018/06/28更新)

京都工芸繊維大学 KYOTO Design Labは、新規事業に携わる社会人やスタートアップを目指す世界中の参加者を対象とするプログラム「 Kyoto Startup Summer School(KS3)」を2016年から開催しています。国内外の様々な起業文化に触れることができる本プログラム。2018年の開催にあたり、主催者のスシ・スズキ特任准教授から、発足した経緯やプログラムに込めた想いについてお話を伺いました。

スシ・スズキ
京都生まれ。アメリカに15年以上、ヨーロッパに5年以上居住。スタンフォード大学機械工学修士号、ライス大学機械工士号およびスタジオアーツ文学士号を有する。
現在は、京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab特任准教授として、スタンフォードやIDEOが掲げるイノベーション方法論である「デザイン思考」をベースにしたさまざまなプロジェクトを企画実施、そして自らも教鞭をとる。
それ以前は、パリの École des Ponts ParisTech にてデザインイノベーションについて教えながら、Paris Est d.school を共同設立。スタンフォード大学 ME310 ディレクターとしても活動していた。また、パナソニック欧州研究所でイノベーションチームを立ち上げ、i-kimono.com というアンティーク着物・小物をネット販売する日本のスタートアップ企業の立ち上げメンバー、ドイツを拠点とするセマンティックプロダクトサーチエンジンである Yocondo のコンセプトデベロッパーでもある。

日本にいながら世界の起業文化に触れられる場所を

ーまずは「Kyoto Startup Summer School(以下、KS3)」と「京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab」について教えてください。

スシ「Kyoto Startup Summer School(以下:KS3)」は、全行程において英語で開催される日本で最も国際的なスタートアッププログラムです。スタートアップや新規事業開発に対する興味や好奇心のある方を対象に成功する方法論を学び、実際にスタートアップ設立や事業立ち上げをする最初の一歩を踏み出してもらうことを目的としています。

「京都工芸繊維大学 KYOTO Design Lab」は、建築・デザインを中心とした教育と研究を行っている組織です。新たな価値創造と社会実装がおこなえる能力の開発、グローバルに活躍できる人材の創出を目的としています。

京都および世界におけるデザイン・イノベーションの拠点になることを目標に、デザインの力を活用する起業家たちのような自ら新たな道を探しに未知の世界に足を踏み入れる人々や組織を支援しています。

ーKS3はどのような経緯で開催されることになったのですか?

スシ:アメリカやフランスなど、世界中の起業文化に触れてきた私にとって、日本の起業文化はこれからだと考えています。起業を目指す多くの人がどのような壁を超えてたどり着くことができるか、具体的な道筋を描くことができていません。そこで、日本にいながら、多角的な視点で起業やスタートアップをおこなうためのプログラムを立ち上げました。

ーそのような経緯があったのですね。ちなみに、過去にはどのようなプログラムをおこなったのでしょうか?

スシ:KS3は、12名の参加者と4名の講師を迎えた2日間のプログラムとして2016年から始まりました。「資金調達」や「スタートアップのためのマーケティング」などのテーマによって構成されていたプログラムは成功に終わりました。

続く2017年にはプログラムを大幅に拡大し、51カ国から199名もの応募者があり、28名の参加者を選別して3週間にわたるプログラムを実施しました。
参加者達が地元で意欲的な起業を目指す同志たちとコラボレーションできる良い機会となりました。
本イベントの参加者が、世界的スタートアップイベント「Slush Tokyo 2018」のボランティアに参加するなど、意欲的な起業家やその支援者を生み出していると言えます。

ー参加者にとってはどういうメリットがありますか?

スシ:KS3のメリットは、デザイン思考(※1)やリーンスタートアップ(※2)の実践方法、革新的な発想方法、ファン・コミュニティの醸成、「ピッチ」と呼ばれるスタートアップ特有のプレゼンテーションなど、多様なプログラムを一度の機会で学べることです。

さらに、講師陣はもちろん、参加者も国籍や専門も非常に多様で、日本にいながら世界中の起業コミュニティとつながることもできます。2017年度の参加者らは、SNSを通じて、多角的な視点で事業の相談と助言をし合うなど、非常に熱意のあるコミュニティが形成されています。

※1
デザイン思考:経営やマーケティングなど、いかなる種類のビジネスにおいても活用できる「デザイナー的」思考を意味する言葉。人々のニーズを観察し、顧客やユーザーにテストをおこないながら試行錯誤を繰り返すことで、新たな製品やサービスを生み出し課題解決に繋げるという考え方。

※2
リーンスタートアップ:事業家の思い込みで顧客にとって無価値な製品やサービスを開発してしまうことに伴う、時間、労力、資源、情熱のムダをなくすための方法論。最低限のコストと短いサイクルで仮説の構築と検証を繰り返しながら、市場やユーザーのニーズを探り当てていくのが特徴。

閉塞的な状況を変えるヒントに出会える

ー運営でやりがいを感じるのはどの点でしょうか?

スシ世界中から参加するスタートアップに関心の高い若者たちの熱意を感じる瞬間です。

閉塞的な状況を変えたいという思いは、学生だけではないはずです。KS3 2018は企業内起業家を対象とした参加枠を設けているので、「日本の企業から世界を変えたい」という思いのある人が集まってくることを期待しています。

ーどういう人に参加して欲しいですか?

スシ世界市場を見据えた製品やサービスを発表したいと考えている方や、新規事業開発を任されたけれどどのように進めていくことが効果的なのかを学びたい人に参加してもらいたいと考えています。企業内にデザイン思考やリーンスタートアップの価値観や方法論を持ち込む機会として考えてもらえたらと思います。

ーこのイベントの今後の展望を教えてください。

スシ:目標は2つあります。1つ目は、KS3が学生や企業を目指す若者にとって最高なプログラムを提供できるようになること。そして2つ目は、KS3の参加者がアイデアをより具体的に、連続して考えられるような中長期的なプログラムを実施することです。

ー最後に、読者に向けてメッセージをお願いします!

スシ:KS3は、今回新たに社会人参加枠を設けました。新規事業開発に携わる方や企業内起業家、スタートアップ立ち上げを検討している方は、ぜひご参加下さい!

社会人枠申し込みhttp://www.kyotostartupschool.org/corporate-application-2018
京都工芸繊維大学KYOTO Design Labhttp://www.d-lab.kit.ac.jp/

(取材協力:京都工芸繊維大学KYOTO Design Lab/スシ・スズキ
(編集:創業手帳編集部)

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