開発~販売まで、3社で取り組むイノベーション!日本ヒューレット・パッカードの『EcoSystem』活用法

※このインタビュー内容は2016年02月に行われた取材時点のものです。

『EcoSystem』実践事例!
日本メディアシステム×沖縄クロス・ヘッド

(2016/02/16更新)

発売から2年足らずで累計出荷数約300台を達成した『nas2cloud』。データ保全に課題を抱える中小企業向けファイルサーバーとして開発された同製品のヒットの背景には、ベンダーと販売店、そして日本ヒューレット・パッカードのコラボレーションによる、理想的な「EcoSystem」の姿がありました。沖縄クロス・ヘッド株式会社の今井良氏と日本メディアシステム株式会社の大越秀之氏に、成功に至る経緯や「EcoSystem」のメリットについて話を伺いました。


日本メディアシステム株式会社
1987年2月設立。オフィス環境をより良いものにするため、オフィス機器の販売・施工・保守・コンサルやネットワークの構築を全国規模で展開。

インタビュイー:
管理本部 企画業務課 課長代理 大越 秀之(おおこし・ひでゆき)
営業部としてオフィス向け通信機器販売後、2011年11月現職に。
オフィス向け通信機器販売の営業をしながら、今後はネットワーク機器の事業の必要性を感じ、社内で支援のもとネットワーク機器販売事業を立ち上げを行う。
さらに自社でもクラウドサービスを提供したいという想いと同時に、提供するなら利用者も、提供者も、作り手も、みんなが喜べて責任を持てるクラウドサービスをと思い、沖縄クロス・ヘッド様と業務提携し、共同開発およびリリースを行う。


沖縄クロス・ヘッド株式会社
2006年6月設立。沖縄県だけでなく県外、さらにはアジアをはじめとした国外に拠点を展開するお客様にネットワーク技術を活かした様々なサービスを提供。

インタビュイー:
技術部 部長 今井 良(いまい・りょう)
企画部としてクラウド製品の企画・立案から、実際の開発を担当する部署の責任者として職務を行い、その後現職に。
2016年は10周年の節目を迎え、この10年で沖縄のインフラを支える企業へと成長し、ヒトから、ヒトが創るサービスへと変革させてきた。
これからは、働き方を変えるサービス展開を目指して、地方だからこそできること、そしてアジア圏に近い立地を活かした海外展開へと挑戦していく。

顧客と時代のニーズに端を発する新たなビジネスの模索

ー『nas2cloud』開発の経緯を教えて下さい。

日本メディアシステム:弊社はNTT情報機器特約店として、長年に渡って情報通信機器の販売・施工・保守を中心に事業を行ってきました。

営業力はピカイチですがIT分野への対応が遅れていて、急激なIT化が進む中で高まる顧客ニーズに対応しきれていないことが課題でした。

10年ほど前ネットワーク機器を取り扱うようになり、NASの販売を開始しましたが、データが消失したり、故障でデータが復旧できなくなったり、さまざまなトラブルに直面するなかで、「自分たちで責任を持てる間違いない商品」の必要性を強く感じていったんです。

そこで、自社で提供するクラウドサービスの立ち上げへと踏み出しました。

とはいっても自社で作ることはできないので、協業できる会社を探していたところ、以前からお付き合いのあった沖縄クロス・ヘッドが同じようなビジネスの展開を目指していることを知り2012年に共同開発を開始することになりました。

そこから弊社営業・工事・管理さらに沖縄クロス・ヘッドのメンバー全員で一丸となって取り組んでいきました。

沖縄クロス・ヘッド:弊社はITベンダーとして2010年からオリジナルのクラウドサービスの提供をスタートし、「データセンターを活用したビジネス」を推進していました。

データセンターのもっとも大きな役割のひとつは「データを貯めること」です。しかし、約400万社と言われている中小企業のデータの大半は、いまだ自社内に置かれたままです。

なぜかというと、クラウドに合わせて今までの使い方を変えないといけないから。

「クラウドに歩み寄らないといけない」というハードルを、IT業界ではない一般的な中小企業は越えられないんです。

けれど、これは製品のコンセプトでもあるのですが「企業規模に関わらずデータの価値は等しく重要」なのです。

中小企業であっても、大切な企業資産であるデータは万全の体制で守らないといけない。

そのためにはどうしたら良いのだろう、というのが最初の課題で、それを解決する為に生まれたのが『nas2cloud』です。

ー『nas2cloud』はどのように中小企業の課題を解決できるのでしょうか?

沖縄クロス・ヘッド:『nas2cloud』は、ユーザーから見たらただのファイルサーバーです。

クラウドだということを意識する必要はまったくありません。

普段通りにファイルサーバーとして使っていただいて、サーバーに保存されたデータは、有無を言わさず全てデータセンターにバックアップされます。

日本メディアシステム:中小企業を中心にNASを再販してきた経験のなかで、バックアップの仕組みやデータの選別なんて、お客様には関係ないということを実感しました。

「今の状態に戻して欲しい」。ただそれだけなんです。難しい設定の必要なく、今までとなにも変わらずに使えて、「ここに入れればデータは必ず守られる」というシンプルな製品こそが、中小企業が求めているものだと考えました。

沖縄クロス・ヘッド:もちろん、バックアップの仕組みは万全です。弊社が持っている運用監視センターで、バックアップが取れているかどうかを24時間365日監視しています。

監視できる状態にないとNASが作動しない機能を搭載することで、使用中は必ずバックアップできていることを保障しています。

メーカーが参画する意義

ー『nas2cloud』のサーバーは日本ヒューレット・パッカードの「ProLiant MicroServer Gen8」を採用されていますが、その経緯を教えて下さい。

沖縄クロス・ヘッド:弊社はマルチベンダーなので、日本ヒューレット・パッカード以外のハードも扱っています。

その経験のなかで、一番ハードとして信頼を置けるのが日本ヒューレット・パッカードの製品です。

サポート対応も非常に柔軟で迅速ですし、他の選択肢がなかったというのが正直なところです。

日本メディアシステム:「データを守る」という製品の特性上、営業するときに一番重要なのは「信頼してもらえるかどうか」です。

お客様先でよくわからないメーカーの筐体使っていますとは言えないんです。日本ヒューレット・パッカードの場合、IT業界の事をあまり知らない零細企業でも知っていますし、名前に対する安心感は絶大ですね。

沖縄クロス・ヘッド:日本ヒューレット・パッカードのサーバーを採用すると決めたあとは、以前からお付き合いがあったこともあり『nas2cloud』は構想の段階から相談に乗って頂きました。

製品化にあたっては、単にサーバーを仕入れて自分たちで作りこんで出荷する、というわけにもいきません。

だからといって、実績はもちろんまだなにも具現化していない状態にも関わらず、直接相談に乗って支援してくれるメーカーはなかなかいません。

そこが日本ヒューレット・パッカードのすごいところだと思います。他の大手メーカーでは考えられないですね。

「EcoSystem」のトライアングルから生まれるイノベーション

ー『nas2cloud』は3社協力の「EcoSystem」のもと生まれたのですね。共同開発で感じたメリットを教えて下さい。

沖縄クロス・ヘッド:弊社は直販がほぼないので、直接エンドユーザーと接触する機会がほとんどありません。

ですから、顧客の具体的なニーズより、エンジニアの視点で新たな需要を創出することを優先しがちなところがあります。

だからといってエンドユーザーの千差万別なニーズに応えることも難しい。1社ではそのバランスがなかなか取れないんです。

『nas2cloud』は、営業のエキスパートである日本メディアシステムと大手メーカーである日本ヒューレット・パッカード、3社で密にコミュニケーションを取りながら展開することで、1社では成し得なかったベストな製品が実現できたのだと思います。

日本メディアシステム:私も、それぞれの会社がお互いの知らない世界を持っているなかで、本音でぶつかり合いながらひとつのビジネスを展開できたからこそ、今までにない新しい製品が生み出せたのだと思います。

日本ヒューレット・パッカードのような大手メーカーが我々のような中小企業とビジネスを「ガチンコでやりましょう」と言ってくれること自体、とてもありがたいことです。

『nas2cloud』を営業するなかでも、日本ヒューレット・パッカードのホームページに載っている商品だと紹介すると、お客様の反応がまったく違います。

「日本ヒューレット・パッカードも本気で取り組んでる製品なら安心だ」という印象を持ってもらえるので、販売する営業マンも安心するため、売上に直結するんです。

『ネームバリューとブランド』これは、販売する側としては非常にありがたく、売っても安心という自信になりますね。

沖縄クロス・ヘッド:ビジネス的な付き合いだけじゃなく、ひとりのビジネスパーソンとして同じ志を持った人たちと仕事できることが、なによりの収穫かもしれません。

1社では変えられない、実現できないことも、会社の枠を超えた3社の綺麗な「EcoSystem」のトライアングルができたとき、本気で変えられると思うんです。

そんな思いを共有できる出会いを含めて、参加させて頂いて本当に良かったと感じています。

現在、ワンランク上の容量にも対応できる『nas2cloud Plus Edition』の開発も進めています。

海外展開も視野に入れながら、今後も奇跡に近いこの取り組みを継続していきたいと思います。

本インタビューの誌面版はこちら(PDF 3.08 MB)

(取材協力:日本メディアシステム株式会社
(取材協力:沖縄クロス・ヘッド株式会社
(編集:創業手帳編集部)

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