ウルフ・オブ・ウォールストリートに学ぶリーダーシップ

創業手帳

未経験の若者達をスーパー営業マンに育てた手法とは?

映画を楽しみながら起業家に役立つエッセンスをお伝えするシリーズ。
今回はレオナルド・ディカプリオの好演で大ヒットした「ウルフ・オブ・ウォールストリート(The Wolf of Wall Street)」を取り上げます。その過激な描写からR指定されている映画ですが、創業期の起業家に役立つエッセンスがたくさん隠されています。

※この記事を書いている「創業手帳」ではさらに充実した情報を分厚い「創業手帳・印刷版」でも解説しています。無料でもらえるので取り寄せしてみてください

global-team-portrait

創業手帳グローバル編集部
創業手帳グローバル編集部は海外に拠点を構え、起業家向け英語サイト Founder’s Guide を運営しています。現地では、元新聞記者や海外ビジネス経験の豊かなライターから成る現地編集部員が、独自に海外の起業に関する情報を調査・執筆しています。

1.ジョーダン・ベルフォートってどんな人?

物語の主人公は、ジョーダン・ベルフォート(Jordan Berfort)、1962年生まれでニューヨークブロンクス区出身。大学卒業後にウォール街の証券会社でキャリアをスタートし、20代で小口株の仲介を行なうストラットン・オークモント社を創業。あっという間に50億円の売上を作るという、当時、金銭的には大成功を収めた起業家なのですが、その裏では資金洗浄や証券取引法違反等を行なっており、結果的に逮捕されます。刑期を終えた後は、主にセールスをテーマとしたセミナー講演を行ない、50代を迎えた今では米国のビジネスシーンで絶大な人気を得ています。

2.若い未経験のメンバーに独自の営業教育を施した

彼は最初、地元の友人達と創業し、地元のある意味「荒くれ者」たち12人を最初のメンバーとして雇いました。映画内ではあまり時間を割いて描写をされていませんが、MBA取得者でもハーバード卒でもない、セールス未経験のメンバー達を、彼は短期間で一流の営業マンへと育て上げます。

とは言え、実際には最初からうまくいった訳では無かった様です。彼のインタビューによると、元々優れた営業マンだった彼は、まずメンバー達に自分の営業テクニックを説明して学ばせようとしました。最初の1ヶ月間、様々なトークを試させたり、役に立つと思える本を読ませたり、声の抑揚の付け方まで指導し、様々な手法で教育を試みましたが思うようにはいかず途方に暮れてしまいます。

彼らは富裕層をターゲットにしていました。教育レベルの高い顧客が多く、付け焼き刃の営業トークでは、説得してクロージングに持ち込む事は、当時のメンバー達には容易ではありませんでした。次第にメンバー達も疲弊し始め、彼もこのままでは会社が長続きしないと悟ります。

そこで、彼は自分の分身を作る事に専念しようと考え、自ら考案した「ストレートラインシステム」という独自の教育方法を考案します。具体的には、彼自身が行なってきた営業活動の成功パターンを全て要素分解し、秩序立てて整理し、一直線の「流れ」で視覚化して、誰にでもきちんと最適な営業方法を理解出来るトークマニュアルを作りました。

そして、映画内でも描写されていますが、彼自身がそのマニュアルを使いながらクロージングする様子をメンバーに見せて、社員に成功パターンを刷り込んでいったのです。
彼は後に、「本当に才能のある営業マンは世の中に1.1%位しかいないかもしれない、しかし、生来の才能がなくても、正しい方法論を学び実行出来る様になれば、誰もが優秀な営業マンになれる」と言っています。

いつまでもパワフルな創業者の力に頼っていては会社は大きくなりません。彼は自分のスキルのマニュアル化とその教育をコアメンバーに集中的に施した事で、一気に会社を大きく成長させたのです。

3.強烈なパフォーマンスで社員を鼓舞し続けた

もう一つ特筆すべきは、彼の社員を鼓舞する強力なリーダーシップです。

映画でも描写されている様に、毎朝の朝礼で情熱的に会社や彼のビジョン、夢を語り、社員を絶え間なく鼓舞し続けています。

彼は後のインタビューの中でこう言っています。「もしあなたが起業家で、まだビジネスを始めたばかりだとしたら、あなたの周りの冷めた人たちを、あなたのビジョンや会社のビジョンで熱く興奮させ、引き込むことです。自分の感情、確信を相手に移すことです。もしそれが出来なければ、才能ある人たちがあなたのために働くことはないでしょうし、人を動かせなかったら成功はほとんど不可能です。ビジョンを伝え、インスピレーションを与え、モチベーションを上げ続けなければならないのです。」

もちろん、ビジネスの形態、創業者や社員のタイプによって適切な方法というのは異なるかもしれません。しかし、彼が誰よりも「ビジョンを伝えること」や、社員の「モチベーション」を重視していた事は間違いありません。

彼が創業したストラットン・オークモント社は、倫理観の欠如から犯罪行為を行ない、廃業という結果となりました。
しかし、映画「ウルフ・オブ・ウォールストリート」自体は、起業家が楽しみながら会社経営の参考にも出来るのではないかと思います。

原典・3 Lessons from The Wolf of wall street
執筆・創業手帳編集部・海外支社 カトリーナ記者
日本向け編集:創業手帳・東京本社編集部

創業手帳は、起業の成功率を上げる経営ガイドブックとして、毎月アップデートをし、今知っておいてほしい情報を起業家・経営者の方々にお届けしています。無料でお取り寄せ可能です。

創業手帳
この記事に関連するタグ
創業時に役立つサービス特集
このカテゴリーでみんなが読んでいる記事
カテゴリーから記事を探す
今すぐ
申し込む
【無料】