【第二回】利益を出し続ける社長になる極意「残業ゼロの仕事術」

創業手帳
※このインタビュー内容は2015年01月に行われた取材時点のものです。

吉越浩一郎氏インタビュー(2/4)

【第一回】利益を出し続ける社長になる極意「社長の本当の仕事編」

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連載2_吉越浩一郎氏インタビュー「残業ゼロの仕事術」
トリンプ・インターナショナル・ジャパンを19期連続の増収増益に導いた”伝説の名経営者”吉越浩一郎氏。名経営者と言われる所以は、常に利益を出し続ける経営手腕や超効率的な仕事術をはじめ、人生の豊かさを追求し実行する生き方そのものにもある。成功する社長のあり方とは何か?

その極意を全4回に分けて探ります。

吉越 浩一郎(よしこし こういちろう): 1947年千葉県生まれ。上智大学外国語学部ドイツ語学科卒業。メリタジャパンなどを経て83年にトリンプ・インターナショナル(香港)に入社。その後トリンプ・インターナショナル・ジャパン(株)に勤務。87年に代表取締役副社長、92年に代表取締役社長に就任し、即断即決経営を武器に19年連続増収増益を達成。「早朝会議」「デッドライン」「残業ゼロ」等のユニークな経営手法を取り入れ、効率化を図り会社を急成長させた。2006年同社退社後は講演活動や執筆を行ないつつ、夫人の故郷である南フランスと東京の2か所を拠点に、余生ではない「本生」を実践している。近著に『社長の掟』(PHP文庫)、『新装版「残業ゼロ」の仕事力』(日本能率協会マネジメントセンター)、『結果を出すリーダーの条件』(PHPビジネス新書)など。


「残業は正しい」という勘違い

  トリンプ時代には19期連続で増収増益を達成しながら「残業ゼロ」を実現されたということですが、どのように推進されたのですか?

吉越:まずは「残業は正しいことではない」ということを理解してもらうことでした。毎日遅くまで残業していると、「会社のために良いことをしている」と勘違いして、どこかでそれを楽しんでしまうのです。仕事をすること自体にある種の満足感を得てしまう。

仕事は結果がすべてですから、プロセスの評価は必要ありません。そのことを働く人も会社もわかっていない場合が多いので、日本で残業は「当たり前」のものになってしまっているのだと感じます。

―  仕事があるなしに関わらず、定時に帰ること自体に肩身の狭い思いをするような風潮がありますよね。

吉越:そうですね。本来は逆でなくてはいけないのです。残業代などのコスト面ももちろんそうですが、残業が当たり前という会社の風土自体が、社員の効率的に仕事をする能力を奪っているのです。「どうせ残業すればいい」「どうせ定時では帰れないし」という意識でいると、どうしても体力を温存しながらダラダラと仕事をしてしまいます。遅くまで働けば当然仕事後の自分の時間は少なくなりますから、あまり睡眠時間も取れませんよね。睡眠時間を取れなければ頭の回転は悪くなり、集中力が低下して仕事の効率が悪くなる。

まさに、負のスパイラルです。そんな悪循環は、トップ主導で断ち切らなければいけないのです。

「デッドライン」が会社のレベルを上げる

―  吉越さん主導ではじめた「残業ゼロ」はスムーズに推進できたのですか?

吉越:いいえ、ものすごい反発にあいました。(笑)さすがに最初からすべての日の残業を禁止するのは無謀だと思ったので、まずは週1日からはじめましたが、それでもすごい反感を買いました。いくら残業を禁止にする理由を説明しても、いままで「残業は正しい、会社のためだ」と思っていたものを、いきなり変えるのは難しいですからね。

だけど反対意見に耳を傾けたり例外を作ってしまうと、成し遂げることはできませんから、定時になると会社の電気を消して回りました。仕事中の人がいてもおかまいなしです。それでも残業をする人がいたら、ペナルティを与えることもしました。そんな戦いの日々を乗り越えて、完全に「残業ゼロ」を実現することができたのです。

―  残業ゼロを推進しながらも売上を伸ばし続けた、というところが素晴らしいと思うのですが、どのように両立されたのですか?

吉越:もちろん残業をなくしたからといって、売上が落ちてしまえば元も子もありません。ですから、「決められた時間内で結果を出す」ことが必要です。

その方法として、すべての仕事に「デッドライン」を設定し、それを必ず守るよう徹底しました。

デッドラインというのは、私がメリタ(ドイツに本社を置くコーヒー機器メーカー)にいたときに習った仕事術です。仕事を細かくタスクに分割し、締切を設定して期限までに必ず処理しなければならない状況を作るのです。日々の業務に追われているとつい目の前の優先順位が高いものばかりを追ってしまいます。そうすると緊急度の高くない仕事はどんどん埋もれていき、いつまでたっても進まない。そういう会社は伸びていきません。デッドラインは延長ありきの中途半端なものでは意味がないので、厳守すべきものとして徹底します。「これくらいならできるだろう」という気遣いもしてはいけません。余裕のないデッドラインをつけて、どんどん振り分けていくことがポイントです。

そういったやり方で部下に仕事を与え、なおかつ残業を許さないとなると、必死に集中して取り組むしか方法はないですよね。最初は大抵「そんなのは無理だ」と言われますが、いつも残業前提でダラダラと仕事をしているなら、まったく不可能なことではありません。デッドラインで追い込んで仕事の密度を濃くすれば、残業をする以上の仕事量をこなすことが出来るようになります。

部下は難しい仕事をすればするほど伸びますから、社員の「仕事を効率的に行なう能力」がだんだん磨かれていき、やがては会社全体の動きが効率的になり、会社のレベルが確実に上がっていくのです。

【第三回】利益を出し続ける社長になる極意「マネジメント」

(創業手帳編集部)

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