統計でざっくりわかるアメリカの起業事情

創業手帳

アメリカの統計データが起業家に教えてくれること(創業手帳・海外支社カレン記者執筆)

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創業手帳グローバル編集部
創業手帳グローバル編集部は2014年11月より海外に支社を開設、起業家向け英語サイト Founder’s Guide を運営しています。現地では、元新聞記者や海外ビジネス経験の豊かな現地の弊社社員が、独自に海外の起業に関する情報を調査・執筆しています。

統計でざっくりわかるアメリカの起業事情

創業大国アメリカの起業統計を、創業手帳グローバル編集部の弊社社員が調査しました。

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起業家にとって、統計データから読み取れる情報は貴重であり、大きな未来の変動を予測するのにも有用だ。

起業家の参考になるアメリカの統計データを、創業手帳・海外支社のカレン記者が特集した。アメリカ向けに執筆したものを日本の読者に紹介します。

今回は、統計データで”ざっくり”とアメリカにおける起業事情を見ていこう。

アメリカにおける起業数

フォーブス社の報道によると、アメリカでは毎月543,000社が設立されているという。[1]

また、起業に特化した教育プログラムを持つバブソン大学の調査によると、2014年に1,440万人ものアメリカ人が独立して働いている。これは米国における労働者人口の6.6%にあたる。

【引用元】
[1] Forbes | Who’s Starting America’s New Businesses? And Why?

アメリカで起業が盛んな地域は? 3トップはアリゾナ、テキサス、カリフォルニア

起業の多いアメリカの中でも、やはり起業に適した地域、あるいは逆に適さない地域がある。統計的に起業家の多い、アントレプレナー精神に富んだ州をランキングすると、以下の通りとなっている。[2] 州名の後ろに記載した起業スコアは、2011年の成人人口10万人あたりの起業件数を示している。

  1. アリゾナ州:520
  2. テキサス州:440
  3. カリフォルニア州:440
  4. コロラド州:420
  5. アラスカ州:410

アメリカで起業が盛んな地域は?
起業が盛んな地域には、アリゾナやテキサスのように、創業時の税負担が小さい州が名を連ねている。

アリゾナ、テキサスのほか、カリフォルニア州などは、多くの優秀な人材を輩出する有名大学を地元に抱えており、起業家マインドに富んだ人材の供給が、起業率を高める原動力になっている。カリフォルニアには、世界的にも有名なベンチャー集積地であるシリコンバレーがあり、起業家が世界から集う。

また、豊富な観光資源や天然資源を活用した起業が盛んなアラスカ州など、地域特性を上手く活かした地域が上位に食い込んでいるのも見逃せない。

【引用元】
[2] CNN Money | 10 most entrepreneurial states

ねらい目は成長分野における起業

では、起業家達はどのようなビジネスでアメリカン・ドリームを掴もうと考えているのだろうか?

やはり、統計的に見ると成長分野で事業を起こそうと考えている起業家が多いようだ。調査によると、起業家の34%が革新的なサービスや製品を世の中に生み出している。[3]

しかし、次の成長分野がどの分野なのかは、自身で未来を見通さなければならない。多くの場合、起業のアイデアは消費者のニーズに対応する産業の分野のものであろう。

米国における2017年までの成長分野は以下の通りである(予想収益増加率順にランク付けした)。

アメリカにおいてはスマホゲーム、電子出版・メディア、住宅建設がトップ3を占める。

※編集部注 日本もITは成長分野だが高齢化を反映して、医療介護分野の成長が大きいのは複雑である。

 

2017年までの成長分野

  1. 173% –スマホ(モバイル)ゲーム
  2. 110% –電子出版・メディア
  3. 63% –住宅建設
  4. 54% –物流・運輸
  5. 52% –eコマース
  6. 45% –環境コンサルティング
  7. 15% –ITコンサルティング

【引用元】

なぜ起業は失敗するのか?

起業の盛んなアメリカでも起業は失敗するのか?その原因は?
前述のように、米国は起業にたいへん適した環境をもつ国家だが、それでも毎年25%のスタートアップ企業がビジネスに失敗して消滅している。そのうち50パーセントがEC(ネット通販)などの直販ビジネスである。

アメリカで事業を開始するために、最速でたった6日で会社をつくることができる(会社登記は、州法によって異なる)。2年経って生き残っている企業が69%だが、それらは次の4年間で44%にまで減る。7年間生き残る会社はさらに減って31%である。

日本以上に激しい生存競争の波にさらされているのがアメリカのスタートアップといえよう。

なぜ、起業に失敗してしまうのか?

調査によると、18-34才の若年層に限定された統計だが、起業を妨げる障害トップ10は以下の通りだ。[4]

起業を妨げる障害トップ10

  1. 41% –資金調達
  2. 31% –大きすぎるリスク
  3. 19% –経営がわからない
  4. 13% –技能や知識の不足
  5. 12% –自信の欠如
  6. 12% –ロールモデルの不在
  7. 11% –製品、技術、サービスに対する需要がほとんどない
  8. 9% –健康保険の制限
  9. 9% –ほかの負債の返済
  10. 8% –学生ローンが残っている

別の調査によると、起業家のうち38%が「景気がビジネススピード遅らせている」と回答しているが、外部環境が起業失敗の主たる原因ではなく、起業家個人の資質や事情によるところが大きいと言えるだろう。

【引用元】

起業の資金調達方法は?

アメリカにおける起業の資金調達方法は?
前章の統計データで示したように、起業の妨げとなる障害のトップは「資金調達」である。あらゆるビジネスは資金調達無しでは成り立たない。起業に必要な資金調達は、一般的に以下のような方法で行われている。[4]

資金調達方法

  1. 自己資金
  2. 家族や友人
  3. エンジェル投資家
  4. ベンチャーキャピタル
  5. IPO

同調査によると、起業家の82%が自身の貯蓄や家族や友人から資金を募り、16%が銀行融資、その他の方法での資金調達が2%となっている。こららのデータからは、銀行をはじめとする金融機関は、融資に厳格な審査を求めるため、8割以上の起業家は自己資金や近親者から資金を融通している現状が浮き彫りになっている。

まとめ

一説では、アメリカ人の60%以上が、「アメリカ社会は起業家に優しい社会」であると考えているという。

実際のアメリカ社会が起業にとって恵まれた環境であるだけでなく、その社会に住む人々も恵まれた環境を享受しつつ、それを正しく認識していると言えるだろう。このような事実がアメリカの経済成長の原動力の一つになっているのかもしれない。

原典:What Statistics will tell you about Startups
執筆:創業手帳編集部・海外支社 カレン記者
翻訳・日本向け編集:創業手帳・東京本社編集部

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