【第二回】書道家・武田双雲氏から起業家に贈る「ワクワクして生きる方法」

創業手帳

書道家 武田双雲氏インタビュー

(2015/07/31更新)

創造的かつエネルギッシュな作風で人気の書道家・武田双雲氏。大手企業のNTTを辞めてストリート書道からその経歴をスタートさせた氏は、現在NHK大河ドラマ『天地人』の題字をはじめ、多くの作品を生み出すアーティストとして活躍、すぐに満席になる書道教室も主宰しています。その一方で、突き抜けたポジティブさで訴えかけるビジネスマン向けの講演も好評を博しています。

経営者というのは日々圧倒的なプレッシャーと戦い、精神面の管理が重要になってくる仕事。そんな経営者にとって、双雲流の伸びやかな感性は琴線に触れるものがあり、話を聞いているだけで自然とストレスから解放されるかもしれません。そこで創業手帳では、『無悩力』などの著書も多い武田氏に、湘南のアトリエでインタビューを敢行。インタビュアーもワクワクしながら伺ったその話の内容を、全2回に分けてお届けします。

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【第一回】書道家・武田双雲氏から起業家に贈る「ワクワクして生きる方法」

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武田 双雲(たけだ・そううん)書道家。母で書家の武田双葉に3歳から書を教えられる。東京理科大学理工学部卒業後、NTTに入社。約3年で退社し、書道家として独立。パフォーマンス書道で注目を集め、多くのメディアに出演するようになる。国内外での個展、講演活動を行う一方で、ベストセラーとなった『ポジティブの教科書』を始め30を超える著書がある。自らが指導する書道教室は、約300人の門下生を抱えている。

書道を通して無駄なノイズを断捨離する「直感力」を鍛えたい

ー双雲さんが考える「書が人に与える効用」とは?

双雲:ひと言では片付けられませんが、書くことで直感力を鍛えたいですね。現代人って、下手とかうまいとか、嫌われるとか好かれるとか、どうでもいい人間社会の評価に支配されていて、あまりにもノイズが多すぎますよね。なので、書道を通してその無駄なノイズを断捨離していく感覚を伝えたいなと。今の人たちは日々大量の情報を浴びていて、江戸時代の人の一生分の情報をたった1日で受けているぐらいだと思うんですよ。しかもネガティブな情報ばかりね。

ーそういった情報をシャットアウトすることも、ポジティブになるためのひとつの手だと著書に書かれていましたよね。

双雲:99%ぐらいシャットアウトしてちょうどいいぐらいですよ。ニュースを見ながらポジティブになろうなんていうのはそもそも無理で、だったらニュースなんて見ずにネガティブにならない環境にいった方がいい。例えばギリシャの破綻のニュースを100回見たってギリシャに貢献できないですからね。だったら直接現地に行って、自分の肌で感じた方がいい。スマホで何度も同じニュースを見るぐらいなら、草をむしっていた方がいいですよ(笑)。

ー確かに、外部からの情報によって自分自身がネガティブになるのはもったいないことですよね。

双雲:小学生の頃、しょっちゅう機嫌が悪くなる先生がいて、あとで聞いたらプロ野球で巨人が負けた日だったんですよね。子供ながらに、巨人の勝ち負けに自分の機嫌を任せるってどういうことやねんって思いましたよ(笑)。あとは雨の日に機嫌が悪い人なんかもいますけど、そういう外部の環境と機嫌が連動してしまっているのももったいないと思いますね。

僕は昔から勝ち負けに自分の幸せを左右されたくないと思っていたので、部活中試合に勝っても嬉しくないし、負けても悔しくない。ただただずっと楽しいだけだから、先生には「笑ってるんじゃねえ!」って怒られっぱなしでしたよ(笑)。だから書道家として独立して、それからやっと息ができるようになりました(笑)。そういう生き方が正しいとは言わないけれど、もうちょっとみんな楽になればいいのになと思います。

最高の未来が欲しければ、最高の今日を楽しむ

双雲さん

ー日々忙しく働く起業家を見ていて思うことはありますか?

双雲:例えばIT系のビジネスで起業すると、今はビジネスのスピードが早いから少しでも油断すると置いていかれるとか、負けてしまうとか、成長しなければいけないって言いますよね。恐怖感から来る煽りで突き進んでしまうと、数字は伸びるけれど虚無が生まれ続けてしまうんじゃないでしょうか。

本当は目の前にある毎日の方が大事なのに、みんな未来に何かがあると勘違いして優先してしまう。未来なんてまだ来ていないわけだから、虚じゃないですか。だから今日が幸せじゃないと意味がない。本当にいい未来を生きようと思ったら、地球に生きている喜びとか、もっとそういうものを感じながら毎日感動して生きた方がいいですよ。

そういうことをなんでみんな忘れちゃったんだろうって思いますね。きっと自然信仰がなくなってしまったからじゃないかな。もっと長い目で見ればいいのに、農業ができないんでしょうね。100年単位で見れば大木になるかもしれないのに、5年、10年単位で利益を上げようとしてしまう。土を耕した方がいいのに、みんな木の幹に成長促進剤を打っているわけです。

ーでは、起業家に限らず、ビジネスマンを見ていて思うことはありますか?

双雲:食事中にビジネスのことを考えるなんてあり得ない、ということはよく思いますね。だって毎食が最高のご飯で、こんなに素敵なことはないじゃないですか。僕はいつも、この食材はどこから運ばれてきたのかなとかいろいろなことを想像して、子供と喋りながら2時間かけてゆっくり食事をしているんです。

でも日本のビジネスマンの多くは、まるで食事を「こなす」みたいにササッとご飯を食べてしまう。そんな風に他のことを考えながら食事をこなすなんて、自分だったら本当に嫌だなぁと。休みだってもっと取ることができればいいのに、と思いますよ。海外では2、3カ月バカンスを取るのが普通じゃないですか。でも日本人は1週間休むのもやっとで。僕なんかは地方の講演に呼ばれたら、前乗りしてどこかに寄って、講演よりも楽しいことはないかっていつも探しています。

日本の常識は世界の非常識だから、できれば海外を見て欲しい

双雲さん

ー双雲さんは海外でのお仕事も多いですが、ビジネスにおける日本と海外の空気感の違いみたいなものは感じますか?

双雲:それはもう感じますよ。向こうだと個展のオープン当日だろうが、構わずギャラリーの一番偉い人が「今日テニスやりたくない?」って言い出すんですよ。日本だったら、高島屋や伊勢丹の担当者がいきなりそんなこと言うなんて考えられませんよね(笑)。気が向かなければ昼の3時ぐらいに閉めちゃいますしね。

僕は以前ベトナムで1カ月間ぐらい過ごしたことがありますが、打ち合わせ中でも何でも昼寝の時間が来たら「寝ましょう」ってハンモックを用意するんですよ(笑)。カリフォルニアに本社があるパタゴニアでは、どんなに真剣な打ち合わせ中でもいい波が出たらみんなで波乗りに行くらしいですしね。

でも利益はすごく上がる。集中力が続かない楽しくもない仕事を100こなすより、最高の仕事を1つやった方が絶対に利益が上がりますよね。時間に対する日本の利益率の低さって多分世界一低いですよ。日本の常識は世界の非常識なので、起業家の皆さんにはできれば海外を見て欲しいなと思います。

ー最後に、起業家に向けてメッセージをお願いします。

双雲:先ほども言ったように、未来よりも毎日を大事にして欲しい。毎日の社員との会話やメールなど、1つ1つのやり取りを丁寧に味わって、最高に楽しいものにして欲しいですね。

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(創業手帳編集部)

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