何を基準に資金調達をすべきか

資金調達手帳
※このインタビュー内容は2015年06月に行われた取材時点のものです。

「株式会社スマイルワークス」 代表取締役社長 坂本 恒之 氏インタビュー

(2015/06/19更新)

「会計」「販売」「給与計算」「経費精算」「勤怠管理」など、さまざまなシステムをクラウドサービスとして提供している『株式会社スマイルワークス』。プライベートカンパニーから資金調達に至ったのはどんな背景があったのでしょうか。
資金調達の考えについて代表取締役社長の坂本 恒之氏に話を伺いました。smile-works3_2

坂本 恒之(さかもと・つねゆき)
北海道札幌市出身。大手流通グループにて法人営業企画やセールスプロモーション、システムの企画・構築を担当。
その後、セキュリティベンチャーで事業開発、ロータス/日本IBMでビジネスパートナーマーケティングを担当。ITを活用したサービスビジネスにおける事業開発・マーケティングのエキスパートとして、各方面から高い評価を得る。
2003年に(株)スマイルワークスを設立し、代表取締役社長に就任。弥生(株)の経営に参画するなど、中小企業支援ビジネスでの実績も豊富。

 

プライベートカンパニーの経営、事業売却、そしてVC(ベンチャーキャピタル)からの資金調達へ

ー資金調達についてはどのようなことをされていますか?

坂本:我々は一昨年まで、100%自己資本のプライベートカンパニーとしてやっていました。

それが1年半ほど前からVC(「株式会社グロービス・キャピタル・パートナーズ」「YJキャピタル株式会社」)に入れていただいて、エクイティ(株式等により調達された返済義務のない資金)として調達しています。

実は僕はその前にも会社をやっていまして、これは売却しています。

プライベートカンパニーでやっていた時期もあるし、事業を売却した経験もあるし、今はIPO(上場)を目指してVCの方々に資金を入れていただいているように、いくつかの資金調達のフェーズを経験しています。

なぜIPOを目指すのか?

ーIPOを目指す決意をしたのは、どういったお考えからでしょうか?

坂本:事業承継です。
いくら健康でいても、人はいずれ死にますよね。

そうしたときに、「誰が経営を引き継ぐのか」という問題が発生します。

会社を引き継げるだけの能力がある人、つまり優秀な人材を集めるには、プライベートカンパニーでは難しいんです。

ある程度の体制づくりが必要となる。

そういったことを考えるうちに、プロフェッショナルから資金を入れて、いろいろな方々と協力しつつ、IPOを目指すべきだと思うようになったんです。

場合によっては、プロの経営者が必要となるかもしれませんしね。

VCにはお金以外も出してもらう

ーVCはどのように選べば良いでしょうか?

坂本:それはすごく重要です。
エクイティでお金を出していただくということももちろんですが、僕自身、上場企業で働いていたことはあっても上場させたという経験はありません。

ですので、お金だけでなくアドバイザーや社外役員として経営に関与してもらうことを求めています。

プロフェッショナルの方からアドバイスもらったり、紹介してもらったり、そういった支援をしていただくことが重要だと思っています。

悪い意味じゃなくて、良い意味で口を出してほしいんです。

そういうパートナーシップを結べるVCを選ぶと良いと思います。

企業の形態によって資金調達は変える

ー資金調達は、企業の形態によっても異なりますか?

坂本:資金調達は「何を目的としているのか」によって異なると思います。

IPOを目指すのであれば、資金調達うんぬんの前に、自分たちの企業価値を高めないといけません。

逆に言えば、市場価値のある会社になれば、自ずと資金は集まるわけですから。

プライベートカンパニーの場合には、息子や娘に「事業承継」、あるいは「相続」をするつもりがあるのなら、そういった対策をしながら、株式をどういうふうに持ち合うかなども考えておく必要があります。

相続を考えていないのであれば、自己資金だけでやるか、あるいは共同経営者という形で友人や知人などと一緒にやるのかを検討するべきですね。

「上手くやっていけるのか」などもあわせて考えておいたほうがいいでしょう。

僕がお勧めしないのは、50%ずつ出し合うこと。これはだいたい上手くいかないんですよ。

やっぱりオーナーシップって大事で、特に創業する時はそうですね。迷うところが必ず出てくる。

選択肢が複数ある場合、結局は誰かがジャッジしなければならないですから。

そうすると、意見が分かれた時に50ずつ持っていると、多数決ができません。だからこそ、オーナーシップをしっかり意識しておくべきです。

オーナーは、責任を持って決断をしていかなければなりません。

一方で参謀役は「どうやってオーナーをフォローしていくか」「間違った方向に行かないようにするためには」などを考えておく。

つまり、役割分担が大切なのです。

―ベンチャーを支援している制度とかは利用されてなかったのですか?

坂本:すればよかったと思っていますが、全然利用しなかったです。

適応するかどうかを読み解くのが大変に感じてしまったことと申請書が通る、通らないというのも当時は良くわからなくて。

通った後も、書類の提出とかあったので。

お金をもらうのに手間がかかるのは当然と思っていますが、同じ手間をかけるなら助成金をとるために手間をかけるより、営業で売上を上げていこうという考え方だったんです。その時は…。

今は、もっと情報が整理されているかもしれないですね。

(取材先:株式会社スマイルワークス
(創業手帳編集部)

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